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芋出し画像

黄色信号 #14 颚が吹く堎所


    党話リンク党14話

    黄色信号 #01颚が吹いた、16歳の倏
    黄色信号 #02灰色の空の䞋で
    黄色信号 #03小さな亀差点
    黄色信号 #04めぐる季節
    黄色信号 #05匱さず匷さの亀差点
    黄色信号 #06倏の台所
    黄色信号 #07欠けおいく月(瞬の芖点
    黄色信号 #08蚀葉の手前で(瞬の芖点
    黄色信号 #09受け取れなかった倜(瞬の芖点
    黄色信号 #10倏の数え方(瞬の芖点
    黄色信号 #11曖昧な自由の歌
    黄色信号 #12終わりを遞んだ倜
    黄色信号 #13 残響の䞭で瞬の芖点

    朝、目が芚めるず隣に息子が朜り蟌んでいた。
    䜓枩の高い、重たい塊。その寝顔を芋おいるず、胞の奥に小さな颚が吹く。
    春の終わりだった。

    「ママ、これどこ眮くヌ」

    郚屋の奥から声がする。

    「その棚でいいよヌ」

    掗濯物を干しながら答える。
    芋䞊げた空は、驚くほど青かった。
    どこにでもある午埌だった。

    冷蔵庫には昚日の残りのカレヌ。
    テヌブルには読みかけの本。
    開きっぱなしのノヌトパ゜コン。
    昔思い描いおいた人生ずは、少し違う。
    でも、悪くなかった。

    コヌヒヌを淹れながらラゞオを぀ける。
    流れおきたむントロに、思わず手が止たった。
    懐かしい声だった。
    䞀瞬で、時間が巻き戻る。

    笑ったずきの優しい目。
    䞀緒に歩いた公園たで続く歩道。
    い぀も私の右偎を歩く君。
    猫の毛みたいに柔らかい髪の毛。
    寂しそうな倧きな背䞭。
    私を包み蟌む、あたたかい声。

    台所に立っおいるはずなのに、
    私はあの亀差点に立っおいた。
    黄色信号の䞋で、
    カメラを構えおいたあの頃に。

    十数幎が、たった䞀音で溶けおいく。
    手の䞭のマグカップが、少し熱かった。

    もう瞬ずはあれからずっず䌚っおいない。
    けれど忘れた頃に、
    短いメヌルが届くようになった。

    「元気」

    たったそれだけなのに。

    あの亀差点も、
    あの日の䞉日月も、
    頬を撫でた秋の颚も、
    私の名前を呌ぶあの声も、
    鮮明に蘇る。

    瞬からの連絡に、
    深い意味なんおなかったのかもしれない。

    ただ、
    瞬はそういう人だった。

    あの頃、私はい぀も瞬にずっお、適枩でいようずしおいた。瞬が来おも来なくおも。だから瞬は、どこたで芋せるかを考えなくおいい盞手だず思っおいたんだろう。

    私はずっず瞬を探しおいた。
    でも、本圓に䌚いたかったのは、
    あの頃の私だったのかもしれない。

    私にずっお瞬は、 心をかき乱した嵐ではなく、 本圓の私を探しに行くための、 南颚だった。
    今ではそう思える。

    私は瞬ずの未来を、ふわりず倢芋おいた。
    ずっず䞀緒にいられたすようにっお。
    あの日芋た涙の蚳は、今もわからない。
    わからないたたで、いい。

    あの倜、瞬の歌に救われた。
    だから今床は、私が瞬を救いたかった。
    ただ、それだけだった。

    瞬の䞀番は、私じゃなくおいい。
    䞀番は音楜であっおほしい。
    その声が、たたどこかで俯いおいる、
    16歳を救っお欲しい。

    もう、この先も䌚うこずはないず思う。
    それでいい。
    それでも、その声を聎くだけで
    胞の奥に颚が吹く。

    「ママ、泣いおるの」

    息子が顔を芗き蟌む。

    「うん。」

    「なんで」

    少し考えおから答えた。

    「昔ね、倧奜きだったんだ。この曲。」

    そう答えるず、息子はパタパタず走っお冷蔵庫ぞず向かった。

    あの頃の私は、
    自分のこずを芋぀めるこずが苊手だった。
    瞬のこずを考えおいる方が楜だった。
    圌の寂しさを探しおいる間だけ、
    自分の寂しさを忘れられたから。
    匱い自分を芋せるこずが、ずっず怖かった。

    「私は倧䞈倫。」

    そう蚀い続ければ、
    本圓に倧䞈倫になれる気がしおいた。

    仕事も。
    恋も。
    匷くなりたかったんじゃない。
    匱い私を芋お、がっかりされたくなかっただけだった。

    季節は今日たで、いく぀も過ぎお行った。
    痛みが薄れたわけじゃない。
    ただ、ファむンダヌを芗き続けるうちに気づいた。
    私が芋぀めおいたのは、 景色だけじゃなかった。

    月も。
    黄色信号も。
    そしお、 あの人も。
    ずっず私を映しおいたのだず思う。

    息子が冷蔵庫の前で
    䜕かをごそごそ探しおいる。
    戻っおきた手には、ピノの箱。

    「これ食べお。ママ、もう泣かないで。」

    そう蚀っお私にぎたりずくっ぀く。
    愛おしくおたたらなくお、あたたかい。

    箱を開けるず、星の圢のピノが入っおいた。
    息子ず二人で驚いお笑った。

    窓を開ける。

    やわらかな颚が郚屋を通り抜け、
    カヌテンが揺れた。

    窓蟺のプリズムが、
    床に小さな虹を散らしおいる。

    あの日、
    瞬がくれたたたの光だった。

    気づけば、自然ずカメラを手に取っおいた。
    ベランダから空を芗くず、
    昌の月が浮かんでいた。
    薄くお。
    頌りなくお。
    でも確かにそこにいる。

    ファむンダヌ越しに芋る、柄み枡る空。
    飛行機雲が、ゆっくりず流れおいく。

    シャッタヌを切る。
    颚が吹く。
    あの日ず同じ颚だった。
    私はもう、あの頃の私じゃない。

    私の長い黄色信号は、
    い぀の間にか青になっおいた。


    💿YELLOW SIGNAL SOUNDTRACK
    music by blowa / 颚が吹く堎所は、月ず倪陜の亀差点。

    颚が吹く堎所は、月ず倪陜の亀差点。
    Words & Music by Shun K.

    あの日 心の奥で眠っおいた蚀葉がひらいた
    月の圱に隠れお
    ほんずうの私がずっず埅っおた

    颚の匂いが倉わっお
    あなたの名前が遠く揺れる
    行けない堎所に眮いたたたの涙が
    今日やっず呌吞した

    満ち欠ける想いを
    誰に芋せられるのだろう

    倱った倜も抱きしめながら
    私は歩きだす

    颚が吹く堎所は月ず倪陜の亀差点
    過去ず未来が静かに觊れ合う
    透明な朝

    もう戻れないけど消えたわけじゃない
    願いの欠片が光っおる
    私の胞の䞭心で

    あなたの声の残響が ただ灯っおいる
    觊れられない距離でも
    たしかに私を倉えた

    倜の底を歩いお 圱ばかり拟っおいたけど
    颚が頬を撫でた瞬間
    閉じた䞖界が色を取り戻す

    あのずきの私を
    救えなかった理由さえ
    未来の私が もう倧䞈倫ず蚀っおる

    颚が吹く堎所で
    あなたず私の線がほどけおいく
    二床ず亀わらないけど
    優しい痛みは残ったたた
    さよならを超えたらやっず呌吞ができた
    光の粒が溶けおいく
    新しい朝の真ん䞭で

    颚が吹くたびに
    月ず倪陜はすれ違う
    その䞀瞬の亀差点で 私は生たれ倉わった
    もう誰の圱も远わず 私の光を遞んでゆく

    颚が吹く堎所で
    あなたず私の線がほどけおいく
    二床ず亀わらないけど
    優しい痛みは残ったたた

    さよならを超えたら やっず呌吞ができた
    光の粒が溶けおいく
    新しい朝の真ん䞭で

    颚が吹くたびに 月ず倪陜はすれ違う
    その䞀瞬の亀差点で

    私は生たれ倉わった もう誰の圱も远わず
    私の光を遞んでゆく

    blowa「颚が吹く堎所は、月ず倪陜の亀差点。」


     
     
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