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黒く焦げた木は本当に使えないのか?現地で聞いた大船渡市林野火災のその後

こんにちは、フォレです。

先月、岩手県大船渡市で開催された「大規模林野火災に学ぶ講演会」に参加してきました。

2025年に発生した大船渡市の林野火災(焼損面積3,370ha、住家被害90棟、死者1名)について、複数の研究者が現地調査の結果を報告する内容で、防災に携わってきた者として学びの多い時間になりました。

この記事では、当日の内容を3つのポイントに絞ってお伝えします。





避難所は「津波用マニュアル」のまま運用されていた

避難所自体は津波災害を想定したマニュアルで運用されており、林野火災への対応は考慮されていなかったそうです。

体育館のような広い避難スペースを想定した設計だったため、空調設備のある特別教室などの活用は考慮されておらず、要配慮者への対応にも苦労があったといいます。

加えて、多数の市職員が消防団を兼務していたため、消火活動と避難所運営の両方で人手不足が生じました。

住民アンケートでは、避難指示後に特に必要と感じた情報として「火災の延焼状況」を挙げた人が66.7%と最多。刻一刻と状況が変わる中、正確な情報が何より求められていたことが伝わってきます。

「プライバシーの確保」を求める声も多く、避難生活が長期化する中での環境整備の重要性を感じました。



「緑が戻ったから安心」ではなかった

森林への影響調査では、火災によって土壌に「撥水性層」という水を通しにくい層ができることが分かりました。

落ち葉などに含まれる油分が熱で気化し、冷えた下層で再び固まることでできる層だそうです。

この層があると雨水が地中に浸透しにくくなり、地表を流れやすくなるため、土砂流出のリスクが高まります。

驚いたのは、焼損の激しいエリアほど植生の回復は早く、約120日でほぼ100%緑が戻ったにもかかわらず、土砂の流出率は下がらなかったという結果です。

逆に焼損の軽いエリアは植生回復こそ遅いものの、緑が戻るにつれて流出率も下がっていったそうです。

昨年9月・11月の大雨でも、植生が回復した後の大規模な出水が観測されており、火災で生じた撥水性の状態を継続的に監視する必要があると報告されていました。

「緑が戻った=安全」とは言い切れない、というのが今回の調査の重要な示唆でした。

土壌の化学性についても調査が行われており、灰の影響で表層のpHが最大8.2まで上昇していたことも分かりました。

火災後の土は「石灰を撒いた直後」のような状態に近かったそうです。

一方で重金属の濃度は全国平均を大きく下回り、環境リスクは低いという結果も示されていました。



黒く焦げた木は、実は使える

最も印象的だったのが、焼損木の再利用についての報告です。

結論はシンプルで、「見た目が黒くても、測って選べば用材に使えるものが多い」というものでした。

丸太を輪切りにして調べると、外側は焦げていても内側の木材本体はほとんど無事なケースが多く見られたそうです。

顕微鏡や成分分析でも、木材の主成分であるセルロースの構造に明確な破壊は見つからなかったといいます。

板に加工して機械等級区分を行った結果でも、約99%が集成材として使用可能な等級に分類されました。

また、消火に使った海水による塩分残留が心配されていましたが、直接海水をかけた木材でも、健全な木の樹皮に含まれる塩素量の範囲を超える異常な値は確認されなかったとのことです。

ただし、樹皮の防御機能は弱くなっており、強い焼損を受けた丸太では樹皮の厚さが2mm未満まで薄くなっているケースが約75%にのぼりました。

「今は使えても、放置すれば劣化が進む」ため、早めの伐採・搬出・乾燥が重要になるそうです。

使える木材は建材へ、加工が難しい木材は再生ボードや屋外資材、活性炭など、状態に応じた使い道を複数用意していく必要があるという提言も印象的でした。

実際に加工されて作られた木工品
当時の燃えていた木々が展示

おわりに

林野火災は、避難や住まいの再建といった「見える被害」だけでなく、土壌や生態系への「見えない被害」も長く残ります。

その一方で、焼け跡に残った木材のように、正しく評価すれば地域の資源として活かせるものもある。

「使えるか使えないか」を見た目で決めつけず、きちんと測って判断する姿勢の大切さを、今回の講演会を通じて改めて実感しました。

防災の現場に携わってきた身として、そしてこれから林業との関わりを深めていきたい立場としても、今回の講演会は多くの気づきを得られる貴重な機会でした。

今後もこうした調査・研究の続報を追いかけていきたいと思います。

それでは、また!

帰りに食べたアジフライ定食が絶品でした!


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