
ぬかお #6|vs 納豆臭 後編
■あらすじ
朝、目が覚める。
カーテンの隙間から、やわらかい光が差し込んでいる。
顔を洗い、台所に向かう。
冷蔵庫を開ける。
ぬか床を取り出す。
ここ数日、これが僕の朝の習慣になっている。
今日もいつも通りの朝…のはずだった。
ゆっくりとフタを開ける。
そして、鼻を近づける。
……
あれ?
もう一度、嗅ぐ。もう一度。
「臭……くない!!」
■歓喜の雨
その後、何度もにおいを確認した。
しっかりとかき混ぜてからも試した。
ぬかだらけの手で頬をつまむ。
痛い……
夢じゃない…
そして、臭くない……
ぬかおは納豆菌に勝利した。
思えばこの戦い、2週間以上も続いていた。
毎朝ぬか床を確認し、においを嗅ぎ、混ぜる。
地味で、終わりの見えない戦いだった。
その長い戦いが、ようやく終わった。
気が抜けたのか、少しだけ涙が出た。
ぽたっ。
ぬか床に落ちる。
……。
あれ?
ぬか床が、やけに水っぽい。
もしかして、涙のせいだろうか。
——いや、違う。
これは、どう考えても僕の涙の量ではない。

■戦跡
水たまりの原因は、捨て野菜だった。
納豆臭対策として埋めていたキャベツから水分が出て、ぬか床がかなりゆるくなっている。

ぬか床は、発酵が進むと野菜から水分が出る。
その水分が溜まると、ぬか床は次第に水っぽくなっていく。
つまりこれは、戦いの副作用。
ぬか床の中では、菌たちがそれなりに激しい攻防を繰り広げていたのだろう。
その結果が、この水分だ。
戦いが終わったあとには、必ず跡が残る。
荒れた戦場のように。
ちなみに、ぬか床を水分過多な状態のままにしてしまうと、
腐敗臭やセメダイン臭などが起こるらしい。
恐ろしい。
次のタイトルが
「vs 腐敗臭」
にならないことを願う。
ではぬか床の復興作業を始めよう。
■ぬか床メンテナンス① 水抜き
まずは水分を抜く。
ぬか床に水抜き用の小さな陶器を入れる。

これは、ぬか床容器を買ったときに一緒についてきたが、
使いどころが分からず、今まで放置していた。
どうやらぬかに埋め込んで使うものらしい。
入れてから1日で中に水が溜まった。

この水は定期的に捨てる。
忘れないようにしよう。
■ぬか床メンテナンス② 足しぬか
水を抜いたあとは、足しぬか。
新しいぬかを追加する。
ぬか床は、野菜を漬けたり水分が出たりすることで、
少しずつぬかが減っていく。
だから、ときどき補充が必要になる。
少し多いかと思ったが、今回は80gくらいを補充する。
(i-riceで5合精米した際に出るぬかの量)

手で全体を混ぜながら、ぬか床を整えていく。
ゆるくなっていたぬか床が、少しずつ元の感触に戻っていく。
ぬか床が喜んでいるように感じた。
■復興、そして…
納豆臭は消えた。
水分も抜いた。
ぬかも補充した。
#1で先輩のむちゃぶりから始まったこの企画。
どうやら物語は、次の段階に進みそうだ。
ぬか床は整っている。
ならば、やることは一つ。
漬ける。
次回
#7「きゅうり漬けてみた」