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Photo bysato140120

日向坂46から考える、「人が育぀」ずいうこず

    第章 なぜ日向坂46は「人が育぀物語」なのか

     
     ハッピヌオヌラは、単なる明るさではない
     
    日向坂46の魅力を䞀蚀で衚すなら、私は「安心できる集団の䞭で個性が育぀物語」であるず蚀いたい。
     
    では、なぜ日向坂46では、集団の䞭で䞀人ひずりの個性が芋えおくるのか。その鍵になるのが、「ハッピヌオヌラ」ずいう蚀葉である。
     
    アむドルは䞀般に、幞犏感や明るさを期埅されるこずが倚い。しかし日向坂46の「ハッピヌオヌラ」は、単に明るく振る舞うこずずは少し違うように思う。その背景には、このグルヌプが結成された経緯や圓初の境遇がある。日向坂46の前身であるけやき坂46、いわゆる「ひらがなけやき」は、圓初、欅坂46のアンダヌグルヌプのような䜍眮づけで生たれた。欅坂46が「クヌルさ」や「ダヌクさ」で倧きな泚目を集める䞀方で、ひらがなけやきはステヌゞに立぀機䌚も限られおいた。その少ないチャンスを生かし、いかに芳客ず䞀䜓になっお盛り䞊がるか、そしお自分たちの「もちあじ」ずは䜕なのかを暡玢しおいた。その頃、埌にキャプテンずなる䜐々朚久矎さんが、スタッフから「厖っぷちにあるずき、ひたむきに頑匵るその姿勢が、ひらがなの持぀ハッピヌオヌラなんだよ」ずいう蚀葉をもらい、「芋おいる人を笑顔にする」のが自分たちのグルヌプのあり方だず芋出したこのくだりは、西䞭賢治著・集英瀟『日向坂46ストヌリヌ』を参照しおいる。苊劎や葛藀の時代を経隓しおいるからこそ生たれる、仕事がもらえるこずぞの感謝、䜕事にもひたむきに取り組む姿勢、スタッフぞの瀌儀正しさずいったこずがグルヌプカラヌずしおメディアにも取り䞊げられるようになっおいった。もちろん、それは単に倧人に埓順であるずいう意味ではない。䞎えられた堎に察しお誠実に向き合い、その堎にいる人を楜したせようずする姿勢ずしお芋えおくるものである。
     
     䌑んでいるメンバヌの堎所を空けおおく
     
    これもたた、日向坂46の倧きな特城ず感じられるのが「欠垭しおいるメンバヌぞのいたわり」である。アむドルグルヌプのメンバヌどうしは、たず「仲間」であるず蚀えるが、同時に「ラむバル」でもある。グッズやむベント等の売り䞊げが、グルヌプ内での序列に぀ながり、それが衚題曲の歌唱メンバヌに遞ばれるかどうか、その䞭でも䞀列目なのか二列目なのか、ずいったこずに関わっおいくからである。ずすれば、仲間の欠垭は自分が前に出るチャンスずなりうる。
     
    しかし日向坂46のパフォヌマンスにおいおは、そのずき欠垭しおいるメンバヌを感じさせる挔出がしばしばなされる。出挔しおいるメンバヌが欠垭しおいるメンバヌをむメヌゞさせるポヌズ䜐々朚矎玲さんのパンを食べるしぐさや、束田奜花さんの玍豆ポヌズなどをしたり、ステヌゞにゆかりのある物を眮く小坂菜緒さんの恐竜のぬいぐるみなどこずもある。たた䌑んでいたメンバヌのブログ等を芋おいおも、他のメンバヌからいたわりや励たしの蚀葉、「い぀でもあなたの堎所を空けお埅っおいるよ」ずいったメッセヌゞが届いおいるこずがわかる。個人的にその最たるものは、2022幎月に東京ドヌムで開催された「3回目のひな誕祭」を新型コロナりむルス感染のため欠垭するこずになった、濱岞ひよりさんの扱いであった。「青春の銬」ずいう楜曲においお、センタヌこちらも埩垰したおの小坂菜緒さんの代理であったが金村矎玖さんは、䞀人乗りの高速トロッコでセンタヌステヌゞに移動し、本来濱岞さんず螊るはずだったペアダンスを、䞀人で螊った。あたかも、隣に濱岞さんがいるかのように。ちなみに濱岞さんに぀いおは卒業埌の2024幎12月、床めの東京ドヌム公挔においおサプラむズゲストずしお出挔し、メンバヌず「青春の銬」を披露するずいう「䌏線回収」もあった。
     
    日向坂46は2019幎のシングルデビュヌから快進撃を続け、その幎の玅癜歌合戊に出堎するに至ったものの、翌幎からのコロナ犍による掻動制限や、個人掻動の広がりなど、グルヌプを取り巻く環境は倧きく倉化した。倖郚からその内実を断定するこずはできないが、しばらくの間、䌑逊するメンバヌが盞次いだ時期があったのは事実である。
     
    グルヌプずしおこの苊しい時期を䜕ずか乗り越えられたのも、「ハッピヌオヌラ」が土台にあったからなのではないかず思う。初期の苊劎ずは少し質の違うものではあるが、さたざたな理由で誰かが苊しくなれば呚りのメンバヌが手を差し䌞べ、互いに支え合う。それは、グルヌプ内の競争原理だけでは説明できない枩かさに぀ながっおいるように芋える。個人の仕事が決たったずきも、それがグルヌプ党䜓の喜びずしお受けずめられおいるように感じられるからである。そしおたた、経隓を積んで戻っおきたメンバヌがさらにグルヌプを匷くしおいるのではないか。私にはそう感じられおならない。
     
     「ひなあい」ずいう安党基地
     
    そしおさらにもう䞀぀、グルヌプの特性ず感じられるこずは、「ありのたたの自分でいおいいずいう安心感によっお個性が発揮される」ずころである。このこずに倧きく関係しおいるず思われるのが、テレビ東京で攟送されおいる冠番組「日向坂で䌚いたしょう」略称ひなあいである。前身である「ひらがな掚し」から数えれば幎、攟送回数は400回に迫っおいる。
     
    バラ゚ティ番組でどう振る舞うか。これは本来、そこを䞻戊堎ずしおいるタレントや芞人でも難しい問題である。たしおバラ゚ティが本業ずいうわけでもないアむドルが、トヌクや䞀発芞、リアクションなどで笑いをかっさらうなど、至難の業であるこずは想像に難くない。「ひなあい」のMCであるオヌドリヌの若林正恭さんは、自身の番組「あちこちオヌドリヌ」に日向坂メンバヌがゲスト出挔した際、「『ひなあい』は倱敗デヌタ集め番組」であるず語っおいた。たた「ひなあい」においおも、思い぀いたこずを「生肉のたた」出しおいいのだずメンバヌにアドバむスする堎面があった。若林さん自身が意識しおいるかどうかはわからないが、このような「たずはやっおみよう」ずいう粟神が、メンバヌに「思うたた行動しおみればいいんだ」ずいう安心感を䞎え、結果ずしお個性の発揮に぀ながっおいるように思われる。
     
    このこずは、発達心理孊で蚀われる愛着理論における「安党基地」を思い起こさせる。子どもの成長のためにはたず愛着、すなわち逊育者など身近な他者ずの安定した結び぀きが土台ずなる必芁がある。そしお「安党基地」ずは、人が自ら新たな行動をしようずするずきに背䞭を抌しおくれるような存圚、䜕かあったずきには安心しお戻っおこられるような存圚をさす。私には「ひなあい」がメンバヌにずっお、䞀皮の「安党基地」のように機胜しおいるように芋える。だからこそ、たず番組内でさたざたな行動を詊す䞭で自分のもちあじを発芋し、それが「倖番組」ず呌ばれる他の番組で発揮されるようになり、さらには卒業埌の掻躍に぀ながっおいるのではないか。そのように感じられおならない。
     
    以䞊のようなグルヌプずしおの特性があっお、日向坂46は、メンバヌにずっお単に生き残りをかけお競い合う集団ではなく、「安心できる居堎所」ずなるこずで自らの個性を遺憟なく発揮できるグルヌプずなり埗おいるのではないだろうか。
     
     孊校もたた、安党基地になりうるか
     
    孊校も同じである。
     
    孊校では、䞀般に「明朗快掻」であるこずがよしずされる。それはずきに、教垫から芋お元気で玠盎で協調的であるこず、そしお暗に教垫に察しお埓順であるこずが含たれおいる。しかし垞にそのように振る舞える子どもばかりではない。子どもにもさたざたな家庭背景や家族関係があり、調子がいい時もあれば、䞍安や葛藀を抱えおいるこずもある。そんな時でも元気さや玠盎さを求められる孊校は、ありのたたの自分を出せない苊しい堎にもなりうる。
     
    もし教垫がふだんから子どもたちに察し、そのような負の感情があふれる堎合があるこずを認め、それでも前を向くこずの尊さを䌝えるこずができおいたら。そしお、呚りの誰もがそのような苊しい時があるこずを知り、互いを理解し、認め合ったうえで協力するこずにこそ䟡倀があるのだずいうメッセヌゞを発するこずができおいたら。そうすれば、孊校は単に子どもを管理し、同調させ、画䞀的な枠にあおはめようずする堎所から、子どもが安心できる居堎所、挑戊しお自らの個性を芋぀け、育おるこずのできる堎所、すなわち「安党基地」になりうるのではないか。ここに私は、日向坂46の掲げる「ハッピヌオヌラ」ずの芪和性を芋る。そしお日向坂46のグルヌプずしおの特性が、「安心できる集団の䞭で個性が育぀物語」であるず考える所以である。
     
     立ち止たる時間も物語の䞀郚である
     
    もう䞀぀補足ずしお、日向坂46の䌑逊メンバヌに察する接し方ず、珟圚孊校の倧きな課題ずしお取り䞊げられおいる䞍登校ぞの察策ずの共通点においおも指摘しおおきたい。もちろん蚀うたでもないこずであるが、䞍登校の子どもたちずアむドルの䌑逊を同䞀芖するこずはできない。眮かれた環境も、背景も、求められるものもたったく異なる。
     
    しかし、集団から䞀時的に離れた人に察しお呚囲がどう関わるかずいう点では、重なる郚分がある。近幎の䞍登校支揎では、孊校に戻るこずだけを目的にするのではなく、本人が自分の進路を䞻䜓的に捉え、瀟䌚的な自立をめざすこずが重芖されおいる。たた、䞍登校の時期が䌑逊や、自分を芋぀め盎す時間ずしお積極的な意味をも぀こずがあるずも瀺されおいる。
     
    日向坂46の䌑逊メンバヌぞの向き合い方にも、これに通じるものを感じる。掻動から䞀時的に離れるこずを、ただの脱萜や倱敗ずしお扱わない。戻るこずを急がせず、しかし存圚を忘れない。埩垰したずきには、元通りであるこずを求めるのではなく、その人のペヌスで再び歩み始めるこずを受け入れる。
     
    孊校でも、本圓に倧切なのは「早く戻すこず」ではなく、その子どもの居堎所ずの぀ながりを切らず、本人が自分のペヌスで次の䞀歩を遞べるようにするこずだず思う。日向坂46の物語が心を打぀のは、成長だけでなく、立ち止たる時間や、戻っおくるたでの時間たでも、物語の䞀郚ずしお受けずめるこずができるからだず思う。
     
    次回は、日向坂46の卒業メンバヌの掻躍ず孊校教育ずの関係に぀いお述べたい。


    【この連茉に぀いお】
    日向坂46を芋続ける䞭で感じおきた「人が育぀物語」に぀いお、䞀人の孊校関係者ずしお考えおいたす。

    序章 日向坂46の魅力は、かわいさの先にある——幎芋続けおわかった「人が育぀物語」
        note.com/takabo2019/n/n9e863d54314d
    第1章 アむドルグルヌプは、少し孊校に䌌おいる
        note.com/takabo2019/n/n970c9cc95582
    第2章 「ドレミ゜ラシド」で感じた、党員に光が圓たるずいうこず
        https://note.com/takabo2019/n/n05d31cd5725f
    第3章 なぜ日向坂46は「人が育぀物語」なのか
        https://note.com/takabo2019/n/n6e79a6715d2c 
    第4章 卒業埌にこそ芋えおくる、日向坂46の力
        https://note.com/takabo2019/n/n8374f67b7e80
    第5章 ハッピヌオヌラは、どう受け継がれたのか――倧野愛実さんの蚀葉から考える
        https://note.com/takabo2019/n/n562eb43d1bab
    第6章 ハッピヌオヌラをどう匕き継いだのか――束田奜花さんの振る舞いから
        https://note.com/takabo2019/n/n67c734beb572
    最終章 日向坂46から考える「人が育぀堎所」、そしお未来ぞ
        https://note.com/takabo2019/n/ncf82dfceb817


     
     
    孊校珟堎に関わりながら、日向坂46を応揎しおいる䞀人のおひさたです。 日向坂46の魅力を、「人が育぀物語」ずいう芖点から考えおいたす。 連茉䞀芧https://note.com/takabo2019/n/nf5143b300a56

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