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【連茉04】西日に照らされる連垯ず、扉の向こうぞの奜奇心│看護を再著述する

    ナラティノ・セラピヌずいう倧切な友人に手を匕かれお、私は䞀床は決別した看護の珟堎に再び舞い戻りたした。私にずっお看護ずは、「心身の語りに耳を柄たせる」こず。埮现な倉化を認蚌する䞁寧な芳察によっお、暙準化された技術を目の前の人に最適化しおいくクリ゚むティブな営みなのです。

    蚪問看護の臚床で私が実際に出䌚っおきた人々ずの 10の物語を玡ぎながら、そこに朜む゚ヌゞェンシヌを掘りあお、再著述を線んでみたいず思いたす。今回は、Episode3【陜子さん】ずEpisode4【玘子さん】を玡いでいきたす。

    ★前回の蚘事はこちら
    物語の揺らぎず、そこから描かれる逃走線│看護を再著述する
    パヌキン゜ン病の宏䞀さんず、肺がんの地さんの物語

    ★第1話はこちら
    友人ずしおのナラティノ・セラピヌ│看護を再著述する
    䞀床は決別した看護の䞖界に、ナラティノずずもに舞い戻るたで

    ここで玡いでいる物語は、個人情報保護の芳点から、幎霢・家族構成・疟患などの詳现を、本質を損なわない範囲で再構成したコンポゞット・ケヌスであるこずを明蚘しおおきたいず思いたす。

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    Episode3連垯

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    陜子さん

    陜子さんは、膵臓がんのため療逊䞭の母芪を自宅で介護しおいた。数幎前に父芪が先に亡くなり、母芪ず陜子さんの二人暮らしだ。

    実は陜子さんの母芪には再婚歎があり、陜子さん以倖にも別の家族元倫がいる。しかし、枩かい亀流があったわけではなく、陜子さんの母芪ぞお金を無心しに来たり、䜏むずころに困っお転がり蟌んだりしおトラブルが絶えなかったそうだ。幌い頃から䜕床も生掻を脅かされ、元倫の存圚は陜子さんにずっお頭痛の皮になっおいた。

    母芪の状態が急倉しお死期が迫り、「最埌に䌚いたい」ず連絡しおきた元倫を母芪に䌚わせるべきかどうか、陜子さんは眠れなくなるほど悩んだ。元倫は困った人だったが、それだけではなく、関係が良かった時期の楜しかった蚘憶も母芪から聞いおいたのだ。元倫は母芪の幌なじみで初恋だった。

    母芪はもう意識がなく、自分の意思を衚明するこずができない。「母は底抜けに優しい人だから、党おを蚱しお䌚うのかもしれない」「楜しかったずきを思えば、母は䌚いたいず思うのかな」ず陜子さんは涙ぐんだ。「でも、母ずの最埌の時間を邪魔されたくないず思っおしたう」

    数日間のうちに、陜子さんの気もちは䜕床も揺らぎ、芆った。陜子さんは自分の垌望ず母芪の人生を倧切に思う気もちの狭間で、どこに立っおいいのかわからなくなっおいた。 

    眠っおいる母芪の静かなベッドサむドで、湯気をたおるタオルを手に、陜子さんず䞀緒に母芪の䜓を拭きながら「どっちを遞んでも正解にならない遞択を迫られるずきっおありたすよね」ず私は切り出した。小窓から西日が差しおいた。「私が同じ状況なら、陜子さんず同じ方を遞ぶ」ず䌝えるず、陜子さんは「ありがずう」ず涙を流した。


    「寄り添い」が深める孀独

    人は、重倧な遞択を迫られるず身動きが取れなくなるこずがありたす。䞡䟡性の狭間で底なし沌にはたっおしたうのです。それが、倧切な人の人生に関わる内容や、誰かの生呜がかかっおいる事柄なら尚曎でしょう。

    看護をはじめずする支揎の珟堎においおは、「寄り添いが倧切である」ず蚀われたす。しかし、「どちらを遞んでもあなたを支持する」ずいう寄り添いは、䞀芋するず力匷いものの「どちらを遞んでもあなたの自己責任である」ずいう響きを含み、ずきに孀独を深めおしたうのではないでしょうか。

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    「寄り添い」を吊定したいわけではありたせん。「寄り添い」は、支揎の珟堎においお非垞に倧切なものであり、寄り添う気もちがなければそもそも支揎が始たりたせん。しかし、その人が切り立぀厖にたったひずりで立たされおいるずき、抱えきれない荷物をなんずか持ずうずしお、それでもこがれ萜ちおしたうずき、「寄り添い」は驚くほど圹に立ちたせん。

    「寄り添い」は、「寄り添う人」ず「寄り添われる人」ずいう構造から逃れられず、「寄り添われる人」の抱える荷物を「重たくお倧倉ですね」ず共感するにずどたるからです。

    「人生でどんなこずが倧切だろう。」倕食埌、そんな話題になったずき、ホむダヌは「自然のなかでの䜓隓かな」ず答えた。アンデルセンは䜕も蚀わず、「ナヌディットはどう思う」ず尋ねた。「向かい颚に向かうずき、私を埌ろで支えおくれる人がいるこず」ず答えた圌女に、アンデルセンは「じゃあ、僕がその䞀人になろう」ず蚀ったずいう。

    トム・アンデルセン『トム・アンデルセン 䌚話哲孊の軌跡』


    「寄り添い」から「連垯」ぞ

    抱える荷物が倧きすぎるずき、芖界は途絶えお真っ暗闇になりたす。どちらを向き、どちらに進んでいいかがわからない。すぐに消えおしたうマッチでもいいのです。真っ暗闇の䞭で少しでも誰かが足元を照らしおくれたら、どれほど勇気をもらえるでしょうか。

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    少しでも荷物を持ずうずするなら、たたは足元を照らそうずするなら、「寄り添い」ではなく、培底的に同じ文脈の同じ立堎に立぀「連垯」ずいう蚀葉を䜿いたくなりたす。「連垯」は、「寄り添い」ず近い意味を持぀䞀方で、法埋甚語ずしお「耇数の者が共同で責任を負うこず」を指したす。

    私が考えおいる連垯ずは、自分自身の人生ず他者の人生をはっきりず区別するこずを拒吊するセラピストたちによっお構成される連垯である。぀たり、揎助を求める諞個人の呚蟺化を拒吊するセラピストたちである。もしも自分が盞手ず同じ困難の文脈を提䟛される立堎に立ったら、圌らず同じようなこずをするだろうずいう事実に、぀ねに盎面する準備ができおいるセラピストたちによっお、構成される連垯のこずである。

    マむケル・ホワむト『ナラティノ・プラクティス䌚話を続けよう』


    カりンセリングは客芳性や䞭立性ずは皋遠いずころにあっお、他者に察しお心のこもった関䞎が求められるものでもある。こうしたクラむ゚ントぞの関䞎は、理論的なものではない。䞭略この仕事にずっお最終的に矅針盀ずなるのは、理論ではなくケアの姿勢である。

    デノィッド・パレ『協働するカりンセリングず心理療法』


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    困難な問いに向き合う人々ずずもに圚ろうずするずき、自らの手を差し䌞べ、その抱えきれない責任に少しでも觊れようずするのが連垯なのです。


    蚀葉は、぀ながるために差し䌞べられる。蚀葉は、握手を求める手に䌌おいる。

    トム・アンデルセン『䌚話・協働・ナラティノアンデルセン・アンダヌ゜ン・ホワむトのワヌクショップ』



    Episode4奜奇心

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    玘子さん

    玘子さんは、小孊3幎生。もずもず友達関係が苊手で孊校に行きづらかったが、匕っ越しをきっかけに䞍登校になった。

    幌少期から感情をコントロヌルするこずが難しく、他者に自分の思いがうたく䌝わらないずむラむラしお圓たっおしたう。特に母芪に察しおは暎蚀や暎力がひどかった。䞡芪は玘子さんに察する関わりの難しさを抱えおおり、芪子関係にも圱響しおいた。䞡芪は腫れ物に觊るようにしか玘子さんず関われず、家庭の雰囲気はギスギスしおいた。 

    かかり぀けクリニックから䟝頌があり蚪問看護が導入された。最初は玘子さんに䌚うこずすら難しかった。これたでの玘子さんの人生では、他者ず関わるこずはむラむラさせられ、怒られ、吊定されるものでしかなかった。突然やっおきた看護垫にさっず心を開くわけがなく、自分を守るため党身で抵抗しおいた。  

    蚪問時間にお邪魔するず、玘子さんは自宀に閉じこもっお鍵をかけおしたい、たずもに䌚話するこずさえ叶わなかった。䞀方的ではあったが、開くこずのない扉に向かっお蚀葉をかけ続けた。その蚀葉は決しお励たしたり耒めたりするものではなく、䞀貫しお玘子さんぞの興味を瀺すものを遞んだ。扉の前の廊䞋は、倏は蒞し暑く、冬は凍えるほど寒かった。 

    少しず぀、玘子さんは扉の向こう偎から蚀葉を返しおくるようになった。扉を隔おお、私たちはいろんな話をした。その倚くは、玘子さんが倢䞭になっおやっおいたゲヌムの話だった。私は自分のスマホに玘子さんず同じゲヌムをダりンロヌドした。孊校のこずや家のこず、勉匷のこずなどはほずんど話したこずがなかった。

    玘子さんは少しず぀、間に扉を眮かなくずも看護垫ず話したり遊んだりできるようになり、半幎埌には隠れるこずはなくなっおいた。


    「信頌関係』ずいう名の協働䜜業

    看護を提䟛するにあたり、察象ずなる人々ずの信頌関係は倧切な土台ずなりたす。看護は「する偎」ず「される偎」があるように芋えたすが、実際は䞡者が協働しお築き䞊げた信頌関係を基盀に、ずもにケアを手䜜りするこずによっお成り立っおいたす。

    日垞的になされおいる協働ずしお、わかりやすいのは身䜓的ケアの堎面かもしれたせん。たずえば、ベッド䞊で着替えやおむ぀亀換をお手䌝いするずきは腰を䞊げおもらう動䜜をお願いしたり、トむレをお手䌝いする時は手すりを持っお立䜍保持をお願いしたりしたす。たさにひず぀のケアを䞀緒に手䜜りしおいる堎面ず蚀えるでしょう。

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    看護蚈画によく入れるのは「信頌関係を築く」ずいう項目です。信頌関係ずいう基盀があっおはじめお、その䞊にケアを積み䞊げるこずができるからです。

    しかし、実際の看護においおは、信頌関係の構築ずケアの提䟛は同時に始たりたす。珟実的には「信頌関係ずいう基盀の䞊にケアを提䟛する」のではなく、「ケアずいう協働䜜業を通しお信頌関係を築いおいく」。぀たり、ケアを提䟛するこず自䜓が信頌関係の構築に぀ながり、たた信頌関係を構築しおいくプロセス自䜓がケアそのものであるず衚珟できたす。

    関係を぀くり続けるのはカりンセリングの䞀芁玠ではなく、それこそがカりンセリングの実践そのものである。

    デノィッド・パレ『協働するカりンセリングず心理療法』


    クラむ゚ントぞのケアにあふれた姿勢は、そのクラむ゚ントを知ろうずする以前にある、関䞎しようずする態床から生たれおくる。

    デノィッド・パレ『協働するカりンセリングず心理療法』


    信頌関係構築ずケアの同時進行

    玘子さんずの扉越しの時間は、たさに信頌関係の構築ずケアが同時進行しおいたした。返事がなくおも声をかけ続けたこず、玘子さんぞの興味を瀺し続けたこずは、関係構築のための足堎かけでありながら、他者ず関わるこずに肯定的な思いを持おなかった玘子さんぞのケアにもなっおいたのです。

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    このドアを隔おた関係は、お互いの姿は芋えないたた、関係性が進んでいきたした。姿は芋えなくずも、なんずなく玘子さんがどんな衚情をしおいるか、どんな息づかいで話しおいるか、どんな気もちでいるかは手に取るように䌝わっおきおいたした。それは玘子さんも同じだったのではないかず、今振り返るず思うのです。

    クラむ゚ントが自分のこずや盎面する問題をいかに経隓するかに圱響を䞎えるからである。奜奇心がどこに向けられおいるかによっお、クラむ゚ントを萜ち蟌たせるこずにも力を䞎えるこずにもなる。

    デノィッド・パレ『協働するカりンセリングず心理療法』


    カりンセラヌが探玢の姿勢をも぀ずき、クラむアントは自らのうちに存圚しおいる力を発芋する機䌚を手に入れる。カりンセラヌは、通垞は問題行動ずみられおいるものを、クラむアントのも぀特別な生来の知識を発芋するための資源ずみなすこずができる。奜奇心に満ちた態床を保぀こずは、カりンセラヌが混乱やあいたいな状況ずの共存を受け入れるこずを助け、早急に治療的な解決に持ち蟌んでしたう非を避けるこずができる。

    ゞェラルド・モンク他『ナラティノ・アプロヌチの理論から実践たで垌望を掘りあおる考叀孊』


    間に扉を眮きながらも、その堎を䞀緒に䜜り䞊げおいるこずには倉わりありたせんでした。芋えないからこそ、盞手を思いやる気もちを䜕倍も持おた、ずも蚀えるかもしれたせん。これが玘子さんずの、奜奇心に裏打ちされた協働でした。

    クラむ゚ントの生きおいる䞖界は倉わり続けおいるずいうこずを念頭においお、協働しおいる間はずっずクラむ゚ントの経隓党䜓を捉え続けようずするこずである。

    デノィッド・パレ『協働するカりンセリングず心理療法』


    単にその堎を共有するこずでもない。目の前で起こっおいるこずの解決を急ぐのでもない。小さな糞口からチャンネルを合わせ、その人を取り巻く䞖界党䜓に奜奇心を持ち、立ち寄らせおもらう姿勢が倧切なのです。

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    ★連茉の党蚘事はこちら



    このnoteでは、日々の臚床や日垞の颚景、映画や文孊の䞭で出䌚う人生の物語を、ナラティノ・セラピヌを觊媒にしお再考する゚ッセむを発信しおいたす。

    ​慣れ芪しんだものを、芋知らぬ異囜のものにする ── exoticise the domestic

    Bourdieu, 1988

    ​芋慣れた日垞のストヌリヌを少し違う角床から眺めおみる。そんな時間を、ご䞀緒できたら嬉しいです。

    野村涌子

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    蚪問看護垫11幎目䞻に粟神科。 スクヌルカりンセラヌ経隓も。 珟圚地は圚宅看護ずナラティノ・セラピヌの亀差点。「心身の語りに耳を柄たせる」を矅針盀に、日垞の文脈でケアを続けおいたす。 日々出䌚う人生の物語に、ナラティノ・セラピヌずいう光を圓おる゚ッセむを発信䞭。

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