ガンダム"二次創作"『マチルダ』第7話
創作としての「マチルダ中尉」物語。
今回は第7回です。よろしくお願いします。
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「よく覚えていないんだ、サイド7にホワイトベースが着いて作業中、どこからか落下して…気づけばここだ。ここの人間からもまだあまり詳しいことを教えてもらえていない。だが、、」
言いながらテムは日付時計の方を見つめた。
「何かの間違いであってほしかったが…私だけ取り残されてしまった。」
ガンダムの戦果は順調か、という問いにマチルダは、可能な範囲と思えたところまでを簡潔に伝えた。
「優秀な技師は私以外にもたくさんいる。ガンダムもそのうち誰かの手によって新たな力が備わっていくことにもなるだろう。ところで、…アムロは、息子は元気にしているだろうか。軍にいるとも聞いたが、知っているか?あまり危なくないところにいるならいいのだが。」
自分も詳しく分からない、といった表情を浮かべるに留めるしかなかった。まさか彼の、彼らの活躍がある意味では今の連邦軍の活躍をも支えているなど、信じてもらえるかも分からない。それほど強力なモビルスーツを完成させたレイ大尉だとも言える。
「彼には度々助けてもらっています。」
軽い意味に、もしくは社交辞令とも受け取れる言い方にしておいたが、実際かなり重要に助けられてもいる。また、隊ではときに毅然としすぎとさえ自分自身思える彼女にとってホワイトベースのクルーのみといるときは心を許せる時間でもあり、これにも助けられていた。また大尉に会う機会があれば、移送先に送ることができるなら、写真を見せたい、用意したいとも考えた。
「今日は大尉にこれをお持ちしました。」
思い出したマチルダはそう言って、おそらく彼の目にも入っていたであろう自分の背後に置いていた且つて大尉が使っていた大型の図面製本と、マチルダが倉庫から見繕った小型の古いプロトタイプパーツをいくつか、テムの前に差し出した。
「今は自分も小さいながら隊を率いてやらせていただいております。あの日、大尉からうかがったお話、今も心に刻んでおります。」
時代の速さに抗いながら最前線の研究成果を求められる緊張の日々、その話は、中尉となった今の自分を支えてくれている言葉だった。あの日部屋にあったお蔵入りパーツの幾つかについて熱っぽく語る大尉の姿は今でも忘れることができない。「全てが宝物だ。」と語ったあのときのこと、何か思い出してくれるだろうかとマチルダは考えたのだ。でも今は、何も思い出さなくてもいいとも感じていた。このまま彼が何事もなく静かに暮らしていくことが、それほど良くないことには思えなくなってきていた。マチルダは、自分自身が思い出したかったのだ。自分がもう一度あのときの彼を感じたかったのだ。でもそれは傲慢だと恥じた。
「これには特に思い出がある…。」
その中の一つを彼が大事そうに手に取った。
「だが、…今となっては。」
一呼吸おいて、もう一度、同じセリフをもってきた。
「自分では分かるのだよ。私はもう、長くない。
少しずつ、記憶が失われていっていることもね。
よく来てくれた。今のうちでよかったよ、マチルダ君。」
建物を後にした彼女には、張り裂けそうなその思いを何も持たないまま地面に叩きつけるしかなかった。
(続く)