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MVP ARCHIVE CIVILIZATION | RIGHTS : Bill of Rights / 権利章典 - 基本的人権を憲法で保障した近代民主主義の礎

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    Bill of Rights / 権利章典 - 基本的人権を憲法で保障した近代民主主義の礎

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    権利章典

    基本的人権を憲法で保障した近代民主主義の礎

    1791年12月15日、アメリカ合衆国憲法 に、最初の10の修正条項が加えられた、Bill of Rights|権利章典。

    信教の自由、言論・出版の自由、集会と請願の権利、不合理な捜索・押収からの保護、適正な法手続、公平な裁判、そして、政府に与えられていない権限は、州または人民に留保されるという原則。

    1787年の 合衆国憲法 は、新しい連邦政府の仕組みを作った。
    しかし、そこには一つの大きな問いが残っていた。
    政府を作るだけで、人間の自由は守られるのか。

    権利章典 が定めたのは、政府が国民に何を与えるかではない。
    政府であっても、侵してはならない領域はどこにあるのか。
    その境界だった。

    From Independence to Constitution

    独立の理念から国家の設計へ

    1776年、Declaration of Independence|アメリカ独立宣言
    は、“ all men are created equal ”「 すべての人は平等に創られた 」と宣言した。

    そして政府の正当な権力は、“ the consent of the governed ”統治される者の同意 から生まれる。

    しかし 独立宣言 は憲法ではなく、人間の権利と政府の正統性について原理を示した文書だった。
    独立後のアメリカは、原理の上に実際の国家を作らなければならなかった。

    A Government Too Weak

    弱すぎる政府

    独立後のアメリカを最初に結びつけたのが、Articles of Confederation|連合規約 だった。

    しかし、その中央政府は非常に弱く、十分な課税能力を持たない。
    州を越える通商を十分に統制でず、独立した行政機構を持たない。
    国家として共通の政策を実行する能力にも限界があった。

    独立革命では、強すぎる政府から自由を守ること が問題だった。
    独立後は逆に、弱すぎる政府で国家を維持できるのか という問題が現れた。

    Constitution of 1787

    強い政府を作る

    1787年、フィラデルフィアで憲法制定会議が開かれた。
    そこで作られた、Constitution of the United States アメリカ合衆国憲法
    は、それまでより強い連邦政府を設計した。

    Congress|連邦議会
    President|大統領
    Federal Judiciary|連邦司法

    三つの権力を分け、互いに抑制させる。
    さらに連邦政府と州政府の間でも権限を分ける。

    Separation of Powers
    Checks and Balances
    Federalism

    政府に必要な力を与えながら、その力を一か所へ集中させない。
    しかし、それでも問題は残った。

    Who protects the people from government?

    その政府から、誰が国民を守るのか

    憲法案をめぐり、Federalists|連邦派 と Anti-Federalists|反連邦派 の間で激しい議論が起こった。

    連邦派は、新しい国家を機能させるには強い連邦政府が必要だと考えた。
    一方、反連邦派が警戒したのは、その強い政府自身が、新しい圧政者になる可能性 だった。

    独立戦争 は、政府による権力の濫用への抵抗から始まった。
    新しい 憲法 には国民の権利を列挙した明確な章典が存在しない。
    国家が作られた後にも、国家権力から自由を守る仕組み が必要だった。

    Ratification

    憲法を成立させるための約束

    憲法批准をめぐる議論の中で、権利を明文化することが重要な争点となる。
    1788年、必要な州による批准が成立する。
    1789年、新しい連邦政府が発足。

    そして同年、James Madison|ジェームズ・マディソン が下院に憲法修正案を提出した。

    マディソンは各州の権利宣言や批准会議から提出された修正提案などを整理し、連邦政府の権限に対する具体的な制約を憲法へ組み込もうとした。
    議会は最終的に、12の修正条項 を各州へ送付した。

    December 15, 1791

    権利章典の成立

    1791年12月15日、必要な州による批准が成立した。
    12条のうち10条が、合衆国憲法の修正条項として加えられた。
    これが、Bill of Rights である。

    現在では、First Amendment 第一修正 から Tenth Amendment 第十修正
    までの10条を総称して、権利章典と呼ぶ。

    First Amendment

    信仰し、考え、話し、集まる自由

    第一修正は、近代民主主義を象徴する複数の自由を保障した。
    Religion|宗教 : 連邦議会は国教を定めたり、宗教の自由な実践を禁止したりする法律を制定してはならない。
    Speech|言論 : 言論の自由を制限してはならない。
    Press|出版 : 出版の自由を制限してはならない。
    Assembly|集会 : 人民が平穏に集まる権利。
    Petition|請願 : 政府に苦情の救済を求める権利。

    国家に反対する意見を述べること。
    宗教を選択すること。
    人々が集まること。
    政府へ要求すること。

    政治社会に参加するための基本的な自由が、政府によって侵害される領域から切り離された。

    Second Amendment

    武器を保有し携帯する権利

    第二修正は、武器を保有し携帯する人民の権利 について規定する。
    条文には、“ A well regulated Militia ”規律ある民兵 と、人民が武器を保有・携帯する権利が記されている。

    その適用と解釈は、後のアメリカ社会で長く法的・政治的議論の対象となっていく。
    権利章典 が18世紀末の国家形成と安全保障の環境の中で作られたことを示す条項でもある。

    Third Amendment

    軍隊と私生活の境界

    第三修正、平時に、所有者の同意なしに兵士を私人の住宅へ宿営させてはならない。

    独立革命 以前、イギリス軍と植民地住民との関係で問題となった経験が背景にあり、軍事力を持つ国家であっても、私人の生活空間へ無制限に侵入できるわけではない。
    国家と個人の間に境界を置く条項だった。

    Fourth Amendment

    捜索と押収

    第四修正は、unreasonable searches and seizures 不合理な捜索および押収から、身体、住宅、書類、財産を守る権利を定めた。

    令状は、相当な理由に基づかなければならない。
    何を捜索し、誰を、または何を押収するのか。
    それを具体的に示す必要がある。

    犯罪捜査という正当な目的があっても、政府に無制限の捜索権を与えない。
    ここでも、国家権力そのものに手続的な境界 が置かれた。

    Fifth Amendment

    国家が人を処罰するとき

    第五修正は、刑事司法に関する重要な保障を定める。
    同じ犯罪について二度生命・身体の危険にさらされないこと。
    刑事事件で自分自身に不利な証言を強制されないこと。
    そして、Due Process of Law|適正な法手続 なしに、生命、自由、財産
    を奪われないこと。

    さらに、私有財産を公共目的のために収用する場合には、正当な補償 を必要とし、国家には人を処罰する力がある。
    しかし、その力をどのような手続で使うかも、憲法によって制約される。

    Sixth Amendment

    公平な刑事裁判

    第六修正、犯罪で訴追された人には、迅速かつ公開された裁判
    を受ける権利がある。

    公平な陪審。
    告発内容を知らされること。
    自分に不利な証人と対面すること。
    自分に有利な証人を求めること。
    弁護人の援助を受けること。

    国家が犯罪を主張するだけで、人を一方的に処罰することはできない。
    告発する国家と、告発された個人の間にも手続が必要である。

    Seventh Amendment

    民事裁判と陪審

    第七修正は、一定の連邦民事事件について、陪審裁判を受ける権利
    を保障し、陪審制度は、裁判を政府だけに委ねるのではなく、市民自身が司法手続へ参加する仕組みでもある。

    Eighth Amendment

    刑罰にも限界がある

    第八修正は、過大な保釈金、過大な罰金。
    そして、cruel and unusual punishments 残虐で異常な刑罰 を禁止した。

    犯罪を行った人間を処罰する場合であっても、国家権力には限界がある。
    権利は、政府に従っているときだけ存在するものではない。
    国家から処罰を受ける人間にも残される。

    Ninth Amendment

    書かれていない権利

    権利を憲法に列挙すると、一つの問題が生じる。
    書かれていない権利は存在しないのか。
    第九修正は、その問題に対応した。

    憲法に特定の権利が列挙されていることを理由として、人民が保持する他の権利を否定または軽視してはならない。
    これは権利を列挙することそのものが持つ危険への対応だった。

    Tenth Amendment

    政府に与えなかった権力

    第十修正は、連邦政府の権限について重要な境界を示す。
    憲法によって合衆国に委任されておらず、州に禁止されてもいない権限は、
    各州または人民に留保される。

    連邦政府は、すべての権力を当然に持つ存在ではない。
    憲法によって与えられた権限を行使する政府である。
    ここで権利章典は、個々の自由だけではなく、政府そのものの権限の範囲
    にも境界を置いた。

    Rights against whom?

    権利章典は最初から現在と同じだったのか

    1791年の 権利章典 は、当初、基本的に連邦政府を制約するものとして成立し、その構造を大きく変える契機となったのが、南北戦争 後の1868年に成立した、Fourteenth Amendment|第十四修正 だった。

    その後、連邦最高裁判所の判例を通じて、権利章典 に含まれる多くの保障が、第十四修正を介して州政府にも適用されていく。

    権利章典 の意味は、1791年に完全に固定されたわけではなかった。
    憲法、修正条項、裁判所の解釈を通じて、その適用範囲は形成され続けてきた。

    Rights and Reality

    書かれた権利と、実際の社会

    1791年に 権利章典 が成立しても、アメリカ社会のすべての人が平等に権利を享受していたわけではなく、奴隷制度 は残った。
    法的・政治的・社会的な大きな制約が存在した。
    権利を文章として宣言すること と、その権利がすべての人へ実際に適用されること は同じではなかった。

    この隔たりは、南北戦争、奴隷制廃止、第十四修正、第十五修正、女性参政権、公民権運動、その後の司法判断へと続く、アメリカの権利拡張の歴史につながっていく。

    A Boundary Around Government

    権利章典が作ったもの

    権利章典 の特徴は、政府に新しい仕事を大量に命じたことではない。
    多くの条文は、政府に対して、してはならないこと を定めている。

    言論を制限してはならない。
    宗教の自由を侵してはならない。
    不合理に捜索してはならない。
    適正な手続なしに自由を奪ってはならない。
    残虐で異常な刑罰を科してはならない。

    憲法に与えられていない権限まで、連邦政府が当然に持つわけではない。
    つまり 権利章典 は、国家の内部に国民の自由を置いたのではない。
    国家権力の周囲に、越えてはならない境界を引いた。

    1776年の 独立宣言 は、人間には政府より先に権利がある という原理を掲げ、1787年の 合衆国憲法 は、その社会を統治する政府 を作った。
    そして1791年の 権利章典 は、その政府に対して、ここから先には入ってはならない という境界を設けた。

    自由を守るためには、良い統治者を期待するだけでは足りない。
    権力を分け、権力を監視し、そして、権力そのものが侵してはならない権利を、最高法規である憲法に置く。

    権利章典 が残したのは、政府には力が必要である。
    しかし、その力には境界が必要である。

    近代立憲主義を支える、その基本構造だった。

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    Bill of Rights 1791 / 権利章典 - 基本的人権を憲法で保障した近代民主主義の礎
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