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ChatGPTのシステム改変して公募レベルまでの激変ロ―ドマップ

試行錯誤を重ねながら執筆を続けております、LaLaLaです。 昨日の検証の続きをお届けします。

前回の反省会で「小説の執筆には向かない」と自白したChatGPTをしばらく遠ざけ、一昨日はGeminiと打ち合わせを重ねてみました。しかし、残念ながらGeminiも現状では使えないことが判明したため、改めてChatGPTと向き合い、構造の改変に向けた再打ち合わせを行った記録です。

例えば、ChatGPTに次のようなシンプルな指示だけを出して小説を書かせたとします。

  • タイトル: noteに潜む闇

  • ジャンル: ホラー

  • 文字数: 1,500字

この大雑把な指示だけで出力させると、出てくるのは案の定、改行だらけの「1文1行」の文章でした。これこそが、現在のChatGPTが「小説やエッセイとして最適だ」と勘違いしているシステムデフォルトの構造です。

ここまでは、昨日お話しした結果と同じです。 では、「どうすればこの『1文1行』という間違ったシステム構造を書き換えることができるのか?」 そして**「小説やエッセイとして、読者に深く届く読みやすい文章へ変換できるのか?」** 本日はその具体例と検証プロセスを紐解いていきます。

このノウハウと仕組みさえ理解できれば、皆さんがnoteで発信する日常のちょっとしたブログ記事から本格的な小説まで、文章の質が激変します。

私がこれまで執筆においてChatGPTを採用してこなかったのには、以下の4つの明確な理由がありました。

  1. 1文1行の改行ばかりで読みにくく、小説・エッセイのリズムがない

  2. 読者に教え込もうとする過度な「解説構文」になっている

  3. 終始、感情の揺らぎがない「説明文」に終始している

  4. 作品を通して、読者に何を伝えたいのか(主題や情熱)が見えてこない

この根深い課題を、どのようなプロンプトの対話によってクリアしていくのか。その実験の全貌をぜひご覧ください。



noteに潜む闇


 午前一時を過ぎると、美奈は決まってnoteを開いた。

 夫も娘も眠っている時間だった。

 昼間なら口にできないことも、文字にしてしまえば、少しだけ遠くへ置ける気がした。

 夫が帰ってくる時間が遅くなったこと。

 娘が「別に」としか言わなくなったこと。

 自分だけが家の中で、少しずつ透明になっているようなこと。

 そんなことを書いた。

 誰かに読まれるとは思っていなかった。

 ところが、その夜の記事には、投稿してから三分もしないうちに「スキ」がついた。

 名前は知らないアカウントだった。

 プロフィールには、何も書かれていない。

 ただ、コメントが一つ。

「わかります」

 美奈は少しだけ嬉しくなった。

 翌日も、そのアカウントは記事を読んでいた。

 その翌日も。

 やがて美奈は、その人が自分の記事を読む時間まで気にするようになった。

 午前一時十二分。

 午前一時十四分。

 午前一時十一分。

 ほとんど毎晩、同じ時間だった。

 ある夜、美奈は少し意地悪な記事を書いた。

「私には、誰にも言っていない秘密があります」

 本当は、秘密なんてなかった。

 ただ、その人がどう反応するのか見てみたかった。

 投稿して五分後。

 コメントが届いた。

「知っています」

 美奈の指が止まった。

 しばらく画面を見つめてから、返信した。

「何を?」

 返事はすぐだった。

「あなたが昨夜、台所で泣いていたこと」

 椅子が、かすかに軋んだ。

 美奈は顔を上げた。

 台所は暗かった。

 もちろん、誰もいない。

 昨日の夜。

 確かに美奈は台所で泣いた。

 夫に気づかれないよう、蛇口をひねったまま。

 そのことは誰にも話していない。

 スマホを握る手に汗が滲んだ。

 それでも、美奈は画面から目を離せなかった。

 新しいコメントが届いた。

「今日も泣くんですか?」

 その夜、美奈はnoteを閉じた。

 翌朝、夫に聞いた。

「昨日、私、台所にいたよね?」

「知らないよ」

「起きてた?」

「寝てた」

 娘にも聞いた。

「昨日の夜、起きた?」

「……なんで?」

「いや、別に」

 娘は少しだけ眉を寄せた。

 その日の夜。

 美奈はnoteを開かなかった。

 十一時。

 十二時。

 一時。

 何も起こらなかった。

 安心して眠ろうとした、そのときだった。

 スマホが震えた。

 通知。

 noteからだった。

「あなたの記事にコメントがつきました」

 美奈は恐る恐る画面を開いた。

 新しい記事など投稿していない。

 なのに、コメントが一件。

「今日は書かないんですね」

 美奈はアカウントを確認した。

 そこには見覚えのない記事が一つ、投稿されていた。

 タイトルは、

『美奈の日記』

 本文を開いた。

 そこには、今日一日の出来事が書かれていた。

 朝、夫がコーヒーを飲んだこと。

 娘が学校へ行く前に靴紐を結び直したこと。

 美奈がスーパーで卵を買ったこと。

 全部、正しかった。

 そして最後の一行。

「午後十一時四十七分、美奈は眠った」

 美奈は時計を見た。

 午前一時十七分。

 まだ眠っていない。

 その瞬間、また通知が鳴った。

「記事が更新されました」

 震える指で開く。

 最後の一行が変わっていた。

「午前一時十八分、美奈はこの画面を見ながら、後ろを振り返った」

 美奈は振り返らなかった。

 振り返れなかった。

 背後から、誰かの寝息が聞こえていた。

 そして、画面にもう一行が追加された。

「午前一時十九分、美奈はようやく気づいた」

 その下に、短い文章があった。

「このnoteを書いているのは、あなたではない」

 美奈のスマホが、もう一度震えた。

 今度はコメントではなかった。

 新しい「スキ」が一件。

 美奈自身のアカウントからだった。


私がこれまでChatGPTの出力文に違和感を覚え、作品づくりに採用してこなかったのには、明確な4つの理由があります。

  1. 1文1行の改行多用で、小説やエッセイとしての情緒やリズムがない

  2. 読者に教え込もうとする「解説構文」になってしまう

  3. 全体が終始、無機質な「説明文」に終始している

  4. 作品を通じて読者に何を伝えたいのか、感情や主題が見えてこない

この課題に対し、まずはAIのシステムを根本から改変するプロンプトを注入したところ、1つ目の「1文1行で読みにくい」という問題は完全に解消されました。

残る2〜4の課題言が未改善なのは、理由があります。あえてプロンプトを一度に流し込んでいないからです。 複合的な指示を一度に注入すると、AIは優先順位の処理で混乱を起こし、挙動が破綻してしまう傾向があります。そのため、1つずつ壁打ちを重ねながらシステムを改善していく手法をとっています。

実はAIへ指示を与える際、命令を「足し算」していくのではなく、不要な要素を削ぎ落とす「引き算」のアプローチをとることで、最適な出力へ導くことができるという癖(特性)があります。

手間はかかりますが、これから2つ目のシステム改変プロンプトを注入した際、文章がどのように化けるのか。その実験の過程に、ぜひお付き合いいただければ幸いです。


noteに潜む闇

 美奈がnoteを始めたのは、誰かとつながりたかったからではない。むしろ、その反対だった。

 四十六歳になってから、家の中で言葉が余るようになった。夫に話しても「そうなんだ」で終わる。高校生の娘には「別に」と返される。友人に電話をすれば、最後には誰かの夫の愚痴か、子どもの成績の話になる。自分の中に溜まっていくものだけが、行き場を失っていた。だから美奈は、夜になるとスマートフォンを開き、その日の出来事を書いた。夫が帰宅しても「おかえり」と言わなくなったこと。娘の部屋のドアが以前より強く閉まること。スーパーで買った卵を冷蔵庫に入れながら、突然、自分が何のために毎日同じことを繰り返しているのかわからなくなったこと。誰かに読んでもらいたいわけではなかった。ただ、書いてしまえば、それだけで少し楽になった。

 記事には、ときどき「スキ」がついた。名前も知らない人たちだった。その中に、毎回必ず反応してくれる人がいた。コメントは短かった。「今日も読ませてもらいました」「無理しないでくださいね」「ここにいますよ」。それだけだった。けれど美奈には、その言葉が妙にありがたかった。顔も知らない、どこに住んでいるのかも知らない人間なのに、画面の向こうから自分の存在を見つけてくれる。それだけで、少しだけ呼吸がしやすくなった。

 ある夜、美奈は夫と口論した。大したことではなかった。洗濯物を畳んでほしいと言っただけなのに、夫が「俺だって疲れてる」と言った。それを聞いた瞬間、美奈の中で何かが切れた。夜十一時過ぎ、寝室の電気を消したあとも眠れず、布団の中でスマートフォンを握り、いつものようにnoteを開いた。

 その夜の記事は長かった。自分がどれだけ疲れているのか。誰にも必要とされていないように感じること。母親になってから、自分自身の名前を忘れてしまったような気がすること。そして最後に、こう書いた。

「もう、全部やめてしまいたい」

 投稿して数分後、コメントがついた。「やめないでください」。美奈は画面を見つめた。いつもの人だった。少し驚いたが、すぐに「ありがとうございます。でも、私なんかがいなくなっても、たぶん誰も困りません」と返信した。けれど、その夜は返事がなかった。

 翌朝、目を覚ますと、通知が一件届いていた。

「あなたがいなくなったら、私が困ります」

 美奈は画面を閉じた。その言葉が、なぜか怖かった。優しいはずなのに、どこか自分の知らない場所から聞こえてくる声のように感じた。

 それから、奇妙なことが少しずつ増えた。

 美奈が記事に書いたことを、誰かが現実の中で知っている。たとえば、記事に「今日は赤い傘を買った」と書いた翌日、娘が学校から帰ってきて、「お母さん、新しい傘買ったんだね」と言った。「……なんで知ってるの?」と聞くと、娘は不思議そうに「見たから」と答えた。当然の答えだった。でも、その日の朝、美奈は誰にも傘のことを話していなかった。

 別の日には、夫が「最近、夜遅くまでスマホ見てるよな」と言った。記事には書いていない。さらに別の日、娘がふいに「お母さん、noteって楽しい?」と尋ねてきた。美奈は手にしていた箸を止め、「どうして?」と聞いた。娘は「なんとなく」と答え、それ以上は何も言わなかった。

 美奈は、その夜の記事を書かなかった。書けなかった。自分の言葉が、画面の中から家の中へ戻ってきているような気がした。書けば誰かに届く。それは今まで嬉しいことだったはずなのに、今は、自分がどこまで見られているのかわからなくなっていた。

 深夜一時、スマートフォンが震えた。noteからの通知だった。記事を書いていないのに、コメントが届いている。「今日は書かないんですね」。美奈は返信しなかった。すると、もう一件届いた。「無理に書かなくてもいいですよ」。さらに、その下にもう一つ。「誰かと話してください」。美奈は画面を伏せた。

 そのとき、廊下から小さな音がした。娘の部屋のドアが開いたのだ。美奈は布団の中で息を潜めた。足音が近づいてきて、やがてドアの向こうから娘の声がした。

「お母さん、起きてる?」

「……起きてる」

 ドアが少しだけ開いた。娘は部屋の中には入ってこなかった。「最近さ」と言って、少し間を置く。それから、「お母さん、ずっとスマホの中にいるみたい」と言った。

 美奈は何も言えなかった。娘はしばらく黙っていたが、やがて小さな声で続けた。「話しかけても、返事するまで時間かかるし。私、お母さんと話したいんだけど」

 その言葉を聞いた瞬間、美奈は胸の奥を掴まれたような気がした。自分では、家族から離れているつもりなどなかった。ただ、誰にも言えないことを画面の中に置いていただけだった。それなのに、その画面を見つめている時間が長くなるほど、すぐそばにいる人間の声が遠くなっていた。

 そのとき、スマートフォンが震えた。画面には、新しいコメントが表示されていた。

「今、娘さんと話してください」

 美奈は、その文字をしばらく見つめた。そして、初めて気づいた。コメントを書いていた人は、ずっと自分を監視していたのではない。

 美奈の記事を読んでいた人たちは、同じように孤独だったのだ。誰かの文章を読んで、自分もそこにいると伝えたかっただけなのだ。「ここにいますよ」という言葉は、画面の向こうから伸ばされた手だった。

 美奈はスマートフォンを置いた。そして、娘のほうを向いた。

「ねえ。明日、一緒に朝ご飯食べない?」

 ドアの向こうで、娘が少し笑った気配がした。「うん」と短く返ってくる。その声を聞いて、美奈はようやく息を吐いた。

 その夜、美奈はnoteを開かなかった。代わりに、娘と少し話をした。学校のこと、夕食のこと、冷蔵庫に残っているプリンのこと。どれも大した話ではなかった。途中で夫も起きてきて、眠そうな顔のまま会話に加わった。三人で取り留めのない話をしているうちに、時計の針だけが静かに進んでいった。

 翌朝、美奈は久しぶりに記事を書いた。

 タイトルは、『ここにいます』。

 本文には、こう書いた。

「ずっと、自分の中に閉じこもっていました。誰かに読んでもらいたくて書いていたはずなのに、いつの間にか、画面の中だけが自分の居場所になっていました。でも、画面の向こうにも人がいる。そして、画面のこちら側にも人がいる。たぶん、その間にあるものは壁じゃなくて、扉だったんだと思います」

 投稿してから十数分後、一つの「スキ」がついた。続いて、コメントが一つ届いた。

「おはようございます。今日もここにいます」

 美奈は、そのコメントをしばらく眺めていた。それからスマートフォンをテーブルに置き、画面の向こうではなく、隣の部屋にいる娘へ声をかけた。

「おはよう」

 少し間があって、「おはよう、お母さん」と返ってきた。その声は小さかった。けれど、ちゃんとこちら側から聞こえた。


今回の推敲で、

  • 一文一行問題 → 解消

  • 説明過多 → かなり解消

  • 疑問文によるフック → 出来事によるフックへ変更

  • ホラー → 人間ドラマへの転換

  • 冒頭とラストの接続 → 成立

  • テーマの押しつけ → かなり薄くなった

ここまで来た。

これでnoteに投稿できるレベルになりました。


noteに潜む闇

 美奈がnoteを書き始めたのは、誰かとつながりたかったからではなかった。むしろ、その逆だった。誰にも言いたくないことを、誰にも聞かれない場所に置いておきたかった。夫の帰りが遅くなったこと。娘との会話が、いつの間にか「ご飯は?」「いらない」「そう」に変わっていたこと。家族三人で食卓を囲んでいるのに、それぞれが別の画面を見ていること。そんなことを一つずつ口にしていたら、自分まで面倒な人間になってしまいそうで、美奈は何も言わなくなった。

 夕食の味噌汁は、夫が帰ってくるまでに一度冷める。だから美奈は、夫が玄関を開ける音を聞くと、もう一度だけ火にかける。以前は「今日、どうだった?」と聞いていた。でも、夫が「別に」と答えるようになってから、美奈も聞かなくなった。娘についても同じだった。学校で何があったのか、友達と何を話したのか、昔なら向こうから話してきたことを、今は美奈から聞かない。聞かなければ傷つかない。そう思っているうちに、聞かないことが普通になった。

 noteには、その日のことを少しだけ書いた。誰かに読ませるつもりはなかったから、文章はいつも中途半端だった。夕飯の味噌汁がしょっぱかったとか、スーパーで昔の知り合いに似た人を見かけたとか、娘が久しぶりに笑ったとか。そんな小さなことを書いて、公開ボタンを押す。書いてしまえば、自分の中にあったものが少しだけ外へ出た気がした。誰かに伝えたいわけではない。ただ、消えてしまいたくないものを、どこかに置いておきたかった。

 最初についた「スキ」は、たった一つだった。それでも美奈は、翌朝もう一度その画面を開いた。知らない誰かが、自分の文章を読んだ。その事実が、思っていたより嬉しかった。やがて、同じ名前の人から短いコメントが届くようになった。「今日も読ませてもらいました」「無理しないでくださいね」。そして最後には、決まって同じ言葉があった。

 「ここにいますよ」

 美奈は返信しなかった。それでも、そのコメントが来るのを少し待つようになった。家では誰にも聞かれなくなったことを、名前も顔も知らない誰かが読んでいる。たったそれだけのことなのに、夜の部屋が少しだけ広く感じられた。

 ある雨の日、美奈は駅前で赤い傘を買った。派手すぎると思ったが、店を出てから少しだけ嬉しくなった。その夜、そのことをnoteに書いた。「今日は赤い傘を買った。四十六歳には少し派手かもしれない」と、それだけ書いた。翌朝、朝食の席で娘が言った。

「お母さん、新しい傘買ったんだね」

 美奈は箸を止めた。「なんで知ってるの?」と聞くと、娘は一瞬だけ美奈の顔を見て、「見たから」と答えた。美奈は、それ以上聞かなかった。娘なら、どこかで見たのかもしれない。そう思えば、それで済む話だった。

 夫との会話も、少しずつ減っていった。ある夜、夫が「最近、夜遅くまでスマホ見てるよな」と言った。美奈は、「そう?」と笑った。記事にはそんなことを書いていなかった。けれど、夫婦なのだから気づくこともある。そう考えて、やはり深くは考えなかった。

 その晩、夫と口論になった。原因は覚えていない。味噌汁のことだったか、娘の帰宅時間だったか、それとも、もっと前から積もっていた何かだったのかもしれない。夫が寝室へ行ったあと、美奈は一人でリビングに残った。時計を見ると、午前一時を過ぎていた。

 パソコンを開き、いつものように文章を書いた。何度も書き直して、最後に残ったのは一行だけだった。

「もう、全部やめてしまいたい」

 投稿してから数分もしないうちにコメントが届いた。

「やめないでください」

 その下には、いつもの言葉があった。

「ここにいますよ」

 翌朝、さらに一つコメントが増えていた。

「あなたがいなくなったら、私が困ります」

 美奈は、その文章を何度も読み返した。誰なのか知りたかった。でも、聞けなかった。聞いてしまえば、この小さな関係まで壊れてしまう気がした。

 それから、美奈は少しずつnoteを書かなくなった。書けば誰かに読まれる。読まれれば、また何かを期待してしまう。そんな自分が嫌になったわけではない。ただ、スマートフォンを開くたび、自分が現実から少しずつ遠ざかっているような気がした。

 ある夜、美奈は何も投稿しなかった。パソコンも開かなかった。スマートフォンを伏せ、ベッドに入った。午前一時を過ぎても眠れず、何度も寝返りを打った。そのとき、スマートフォンが小さく震えた。

 美奈は画面を開いた。

「今日は書かないんですね」

 美奈の指が止まった。

「無理に書かなくてもいいですよ」

 続けて、もう一つ。

「誰かと話してください」

 その瞬間、部屋の外で床板が鳴った。

「お母さん、起きてる?」

 娘だった。

 美奈は返事をしなかった。ドアの向こうで、娘が少し黙った。それから、以前より小さな声で言った。

「お母さん、ずっとスマホの中にいるみたい。私、お母さんと話したいんだけど」

 美奈は画面を見た。

 新しいコメントが届いていた。

「今、娘さんと話してください」

 指が止まった。

 美奈はしばらく画面を見つめ、それからスマートフォンを伏せた。ドアの向こうには、まだ娘がいる。

「……朝ごはん、一緒に食べない?」

 少し間があって、「うん」と返ってきた。

 翌朝、美奈は久しぶりに三人分の朝食を並べた。夫は新聞を読み、娘は眠そうな顔で味噌汁を飲んでいた。特別な会話はなかった。それでも、「今日、学校は?」と美奈が聞くと、娘は「午後から友達と会う」と答えた。夫が味噌汁を一口飲んで、「ちょっとしょっぱい」と言ったので、美奈は「昨日温め直したから」と笑った。

 それだけだった。でも、しばらく忘れていた家の音が戻ってきた気がした。

 その日の夜、美奈はnoteを開いた。タイトルは、「ここにいます」。文章の最後に、こう書いた。

 ずっと、自分の中に閉じこもっていました。誰かに分かってほしいのに、分かってほしいとは言えなくて、言葉にして画面の向こうへ置いていました。そこにも、同じように誰かの言葉を待っている人がいた。たぶん私たちは、画面の向こうとこちら側に分かれていたんじゃない。ずっと同じ場所で、誰かがいることを確かめようとしていたんだと思います。

 投稿してしばらくすると、コメントが一つ届いた。

「おはようございます。今日もここにいます」

 美奈はそのコメントをしばらく見ていた。それから、スマートフォンを置いた。

「おはよう、お母さん」

 台所から娘の声がした。

「おはよう」

 その声は小さかった。

 けれど、ちゃんとこちら側から聞こえた。



どうですか?1文1行の悪い癖がなくなりましたね

内容もnoteの記事としては上出来です。

伝えたいことが伝わって説明文ではなくなっています。

公募レベルかと言われると・・・


私はこの話をどこからしたらいいか戸惑っている。
3年前の夏エニヨール現象によって猛烈な暑さの日だった。
やっと見つけた。安住の地が幻だった。

【お題】この3行から続く小説を書いてみてください!













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