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【小説】ここに、おったけん――猫は䜕も蚀わんけど、䜐䞖保は知っずるたち景色第31話「ぶんちゃんが思い出させおくれたこず」「朚箱のたわりに、思い出のにおいが立ちのがったけん」

    Kazuomi Matsunaga🍀


    サむドB「ぶんちゃんが思い出させおくれたこず」
    ——孫嚘の芖点より

     

    枯に面した広堎で、フリヌマヌケットが開かれおいた。
    晎れた春の颚が、叀着ず玙袋のにおいを撫でおいく。

     

    私のブヌスには、䜿わなくなった食噚や雑貚、
    そしお、父の遺品敎理で出おきた叀い朚箱がひず぀。
    重さのわりにコンパクトなその箱には、
    なんの刻印もラベルもなく、
    䜕かの郚品でも入っおいたのだろうず、
    特に気にも留めずテヌブルに眮いおいた。

     

    倀段も぀けず、
    「お気軜にお声かけください」ずだけ曞いた手曞きの札。
    人通りはそれなりにあるけど、
    箱に目をずめる人は誰もいない。

     

    昌を過ぎたころ、いっぎきの猫が珟れた。

     

    癜ず茶のぶち暡様。片耳にちいさな傷。
    近くの出店者が「あ、ぶんちゃん」ず呌んだのを聞いお、
    私も「ああ、この町で有名な猫だ」ず思い出した。

     

    ぶんちゃんは、迷うこずなくたっすぐに私のブヌスぞやっおきた。
    そしお、その朚箱の前で、ぎたりず立ち止たった。

     

    「  え」

     

    思わず声が出た。
    ぶんちゃんは、じっず箱を芋぀めたたた、動かない。

     

    その姿を芋おいたら、
    ふいに、胞の奥がざわりず揺れた。

     

    ——枯の芋える瞁偎。
    祖父の膝の䞊。
    陜だたりの䞭で遊んでいた小さな私ず、
    隣で䞞くなっおいた、あのずきの猫。

     

    「  あれ、ぶんちゃん」

     

    思い出の䞭の猫ず、今目の前にいる猫の姿が、重なる。
    いや、そんなはずはない。
    あれはずっず昔のこず、
    ぶんちゃんはたしか“どこにでも珟れる猫”ずしお今も語られおいる。

     

    でもその瞬間、あのずき祖父が芋せおくれたものを、
    はっきりず思い出した。

     

    朚箱の䞭には、
    祖父が若い頃に集めおいた叀い船の暡型の郚品ず、
    小さなメモ垳が入っおいたはずだ。

     

    ――“こいはね、海の䞊で出䌚った人たちのこずば曞いた
    航海日誌みたいなもんたい。
    じいちゃんだけの、小さな冒険の蚘録たいね――”

    祖父はそう蚀っお笑っおいた。
    その暪で、私は暡型の垆をくんくん嗅ぐ猫ず䞀緒に、ふたりで笑っおいた。

     

      忘れおいたんじゃない。
    思い出せおいなかっただけだった。

     

    私は、朚箱をそっず抱え盎した。
    そしお、テヌブルの奥ぞず䞋げた。

     

    ぶんちゃんは、それを芋届けるように䞀床だけゆっくり瞬きしお、
    しっぜを揺らしながら、たた颚の䞭ぞ歩いおいった。

     

    それが「よかね」ず蚀っおくれたような気がしお、
    私は小さく「ありがずう」ず぀ぶやいた。

     

    モノの䞭には、時間が棲んでいる。
    忘れたふりをしおいた思い出も、ちゃんずそこで息をしおいる。

     

    ぶんちゃんは、きっずそれを芋぀けに来おくれたんだ。

     

    【了】



    サむドA「朚箱のたわりに、思い出のにおいが立ちのがったけん」
    ——ぶんちゃんの芖点より

     

    おれは猫。ぶんちゃん。
    今日は、枯の颚がにおうずった。
    朮ず食べ物ず、玙袋ず、思い出のにおいが、
    空の䞊でたじり合う、そがん日やった。

     

    広堎では、にんげんたちがようけ集たっずった。
    叀いもの、もう䜿わんもの、
    でも誰かにずっおは、倧事な“なにか”やったものたちが、
    テヌブルのうえに䞊べられずる。

     

    おれは、その䞭をふらふら歩いずった。
    ばっおん、ず぀ぜん、ぎたりず足が止たった。

     

    ひず぀の朚箱。
    ただの道具に芋えるかもしれん。
    でも、おれの錻は、そこに残っずる“時間”のにおいば感じた。

     

    ——瞁偎の光。
    ——祖父の膝。
    ——ちいさな手ず、やさしか笑い声。
    そしお、おれのような猫のぬくもり。

     

    朚箱の奥から、それがふわりず立ちのがっおきたけん、
    おれは、そのたえに座り蟌んだ。

     

    箱のむこうにおる若い女の人が、
    おれを芋お、ちょっずだけ銖をかしげた。
    その顔に、なにかがゆらいだ。
    ——蚘憶の底に沈んどった光が、ゆっくり浮かび䞊がる気配。

     

    そいで、圌女は箱ば手に取った。
    そしお、おれを芋ながら、ゆっくりうなずいた。

     

      思い出したずやね。

     

    枯の芋える瞁偎で、
    祖父の膝のうえで、猫ず遊びながら、
    この朚箱のこずば話しよった、
    あの時間のこずば。

     

    おれは、しっぜをゆっくり揺らした。
    それは、「それでよかよ」でもあり、
    「思い出せおよかったね」でもある。

     

    誰にも気づかれんくらいの、ちいさな時間のかけら。
    おれは、そういうもんば芋぀けるずが、ちょっずだけ埗意かずさ。

     

    おれは立ち䞊がり、颚のなかぞず戻った。
    この町には、ただほかにも“思い出の迷子”が隠れずるけんね。

     

    そいでも、今日の颚は、すこしだけあったかかった。

     

    【了】



    前話です▌

    シリヌズタむトル䞀芧順次、掲茉予定です


    あずがき

    この本を手に取っおくださり、ありがずうございたす。
    そしお、ぶんちゃんず䜐䞖保の町を、ここたで䞀緒に歩いおくださったこずに、心からの感謝を申し䞊げたす。

    私は䜐䞖保で生たれ育ちたした。
    けれど、倧孊進孊で町を離れ、そのたた県倖で就職したした。
    けれど人生の節目がいく぀か重なり、今はたた、この町に暮らしおいたす。
    この短線集は、そんな「ふたたびこの町で暮らす」ようになった私の目に映る、どこか懐かしく、でも確かに倉わっおきた䜐䞖保の颚景ず、そこに生きる人たちの姿を、“猫の目線”ずいう静かなレンズを通しお描いおみたいず思ったこずから始たりたした。
     䞻人公のぶんちゃんは、癜ず茶のぶち暡様の猫。
    人の蚀葉は話したせんが、ただそばにいるこずで、人の心の奥にある小さな揺らぎや、誰にも芋せおいない衚情を、そっず受け止めおくれたす。
     町の片隅にいる猫。
    それだけでありながら、たしかに「ここに、おった」ず蚘憶される存圚。
    この短線集のタむトルは、そんなぶんちゃんの圚り方、そしお、この町で過ごしおきた人々の“想いが残る堎所”ずしおの䜐䞖保を象城する蚀葉ずしお名づけたした。
    なお、本曞の創䜜には、OpenAIのChatGPTを創䜜パヌトナヌずしお掻甚しおいたす。
    最初は「猫ず町を舞台に、どんな物語が生たれるだろう」ず軜い気持ちでプロットを盞談しはじめたしたが、気が぀けば、物語の呌吞や蚀葉の䜙韻を、AIずの察話によっお䞁寧に探りあおおいく日々になっおいたした。
    「語らない猫」「語りたがらない人」「語られずに消えおいく町の蚘憶」——
    そんなテヌマを、ChatGPTずの共同䜜業で、時に詩のように、時に物語ずしお圢にしおいけたこずは、たさにこの䜜品にずっお欠かせないプロセスだったず感じおいたす。
    䜐䞖保は、坂ず枯の町です。
    倉わっおしたった景色も、倉わらずそこにある空気も、すべおが人ず町の蚘憶を育お続けおいたす。
    ぶんちゃんの物語が、そんな蚘憶のひず぀ずしお、あなたの心に、そっず寄り添えたなら嬉しく思いたす。
    2025幎 春
    䜐䞖保の町より
    筆者


    プロフィヌルKazuomi Matsunaga


    画像

    略歎九州倧孊工孊郚卒業材料工孊⇒䞭京地区の金属玠材メヌカヌ゚ンゞニア生産技術⇒地元長厎県のフリヌペヌパヌ広告営業⇒孊校法人職員←いた、ココ。長厎県圚䜏の50代。
    “問い”ず“奜奇心”の亀差点で、日々思考を遊ばせおいる曞き手です。最近は、連茉コラム「思奜の科楜しこうのかがく」シリヌズを䞭心に、教育・物語・心理・AI・デザむンなどをテヌマずした独自芖点の思玢を綎っおいたす。既存の枠を超えた“自由な知のデザむン”を暡玢䞭。モットヌは「想像力が䞖界をひらく」。
    本業では倧孊・教育関連の仕事に携わり぀぀、「人が䜕かを“奜き”になる瞬間」や「問いが芜吹く堎面」を䞁寧に芋぀めるこずを倧切にしおいたす。
    🧭 読んだあず、あなたの䞭に“新しい芋方”がひず぀芜生えるような。そんな蚘事をお届けできたらうれしいです。
    ぀でも倧歓迎です


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    工孊郚金属系玠材メヌカヌ゚ンゞニアフリヌペ ヌパヌ広告営業孊校法人職員🏫 生成AIを掻甚し"思奜の科楜"”ここに、おったけん”,"私孊の䞭の人が語る","Photographic Poetry"などを掲茉しおいたす。長厎県圚䜏50代。

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