
正義感は少し遅れてやってくる(創作大賞2026)
保護活動の現実に打ちのめされ「僕には無理だ」と白旗を振りつつ、なぜか現場に居座る日々。正解のない迷路でうだうだ悩み、自分のダメさ加減を笑い飛ばす。正義感が少し遅れてやってくる迷走コラムのまとめ。
秘密基地には仏壇がある。
沖縄の空き家と仏壇の重み。犬と気兼ねなく息ができる場を求め、低いコミュ力で地域の縁側に指をかける。シロアリと現実に挟まれながら、静かな諦めと居場所を探し彷徨う。
犬に教育される夜
自分を許したいという自意識で始めた保護犬の預かり。かつて鼻で笑った厳しすぎる「譲渡条件」は、命を二度と捨てさせないための安全装置だった。犬に生活を矯正され、いい人でありたい僕のメッキが剥がされていく。
誠実な敗北宣言
自分の部屋の植物さえ枯らす僕が、譲渡会で他人の家庭を審査する皮肉。情緒だけで飼おうとする人に、僕は真顔で「犬カフェ」を勧めてしまう。好きだからこそ「飼わない」という誠実な敗北。
不器用な設計図
やりたいこととやれることの深い溝。ブックカフェという夢の前に立ちはだかる、お役所の分厚い壁。五年の活動も書類の上ではノーカウントだ。いつもなら諦めていた僕が、今回はなぜか往生際悪く裏技を模索している。消えない執着を心の帳簿に忍ばせながら。
仮宿の主人、空き家を彷徨う。
「ペット可」を選んだ瞬間、消えていく選択肢。仮宿の主人として、拳サイズの蜘蛛が潜むボロボロの空き家と向き合う日々。努力なんて信じていない僕が、それでもチャンスの神様の首根っこを掴むために、今日も泥臭く、細々とキーボードを叩いている。
2.99%
売上のぼちぼちにも満たない次元で、僕は今、世界を救おうとしている。屋号の「にくきゅう」に合わせて寄付を二・九九%にしたいという、絶望的に面倒くさいこだわり。合理的な一言に回収される手前の、泥のぬかるみであがいた試行錯誤。
生業の種を蒔く
一円にもならないボランティアの方に、僕は命をかけている。お金という不純物が混ざらないからこそ、純度100%の自分で向き合える。泥にまみれて土を耕すような時間の積み重ねが、いつか誇り高い生業に変わる日を夢見て、今夜も格好のつかない資料を片付ける。
侵略者と居場所
不衛生な部屋でボロボロの日常を頑なに握りしめる飼い主。ひどい人だと石を投げるのは簡単だけれど、その頑固さの裏には、犬を失えば自分がダメになるという震えるような孤独がある。理屈ではどうにもならない人間の業を前に、今はただ淡々と救うしかない。
寂しさの間取り図
不衛生な部屋の飼い主と、愛しい犬たち。己の情けなさを笑い飛ばしながら、彼らがくれる「待っててやったぞ」という不器用な優しさを、今日も静かに噛み締める。