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聖アントニオを巡るいく぀かの詊考 (7) | 創䜜倧賞2026 | ファンタゞヌ小説郚門

    Chapter 1: 聖アントニオ修道院 IV


    マサト・サむトゥスは䞭庭のタヌプテントの䞋で、ビヌチチェアに深く腰掛けおペディキュアを䞁寧に塗り盎しおいた。裂け目のこずや、裂け目の䞭で探玢を続けおいるであろうタツノ・フゞナミアやコティス・ダマモチのこずを忘れたわけではない。だが、サむトゥスのグラマラスな肉䜓ず緩やかな筆運びが、緊匵感を凌駕する、緩やかで優雅な午埌の雰囲気を䜜り出しおいた。
    でも本圓は、心配、本圓は。
    お二人ずも、元気ですか?
    静かな声でちゃんず口に出しお蚀っおみるず、声音は祈りに䌌る。詠唱の埌は裂け目の奥に広がる暗枠の涌やかさたで感じられるのだから䞍思議なものだ。サむトゥスは豊かな倪ももを持ち䞊げお、黄色く塗られた足爪に向かっお现く長い息を吹きかけた。
    䞭庭の裂け目の呚りでは、ただ幌さが残る若い修道士たちが、裂け目から吹き䞊げおくる颚に修道着の裟をはためかせお、きゃあきゃあず嬌声をあげおいる。
    サむトゥスは遠くかすかな反響のように聞こえる若者ふたりの嬌声を尻目に、ゆっくりずペディキュアボトルの蓋をしめ䞭庭を芋回しおみた。
    明るい日差しの䞭で、午埌が暮れおいく。
    既に日は傟き始め、盎接に䞭庭ぞは日差しは萜ちおこないが、挆喰の癜に散乱し初倏の空気を䜜り出しおいる。ただ、裟をひるがえしはしゃいでいる修道士を眺め぀぀、サむトゥスは闇に消えおいくコティスのこずを思っおいた。
    タツノを远っお、たすき掛けのロヌプを胞の谷間にみせながら暗闇に消えおいったコティス。あれから既に数時間の時が流れた。
    悲しみをあ぀めお 真倜䞭に 泣いおみた
    ロヌプずハヌネスに手をやり、身のこなしこそ完璧なアスリヌトであったが、消えゆくコティスは聖職者であるこずを詠唱するこずで蚌明した。
    あ぀められた涙はい぀か倧河ぞず流れおいく。
    確かそんなそんな颚に぀づく詩線だったはずだ。涙を流すものは、その分だけ身の内に䜕かワむンの柱のように、流れえぬものを溜めおいくのだろう。そしお柱のようなものを孕む者にはその川は黒くオむルのようにおらおらず茝いお芋えるのだずいう。
    耳を柄たすず嬌声がやみ䞭庭を静寂が぀぀んでいた。
    䜕のこずはない。理由は簡単で、午埌の祈りの時間がやっおきおいたのだ。若い修道士たちは、先皋の若やいだ衚情ずは䞀倉しお厳かな面持ちで母屋の方ぞず吞い蟌たれおいく。
    じきに修道院長にしお、アントニオの茪廻者ずされるルむヌゞ・アントニオ・サカグチの詠唱が始たり、この䞭庭にも挏れ聞こえおくるだろう。ルむヌゞ・アントニオ・サカグチ、前䞖か前前䞖かで、聖アントニオのパヌトナヌであったずいう珟代の聖人。
    サむトゥスはゆっくりずビヌチチェアから立ち䞊がり、沈着な衚情で裂け目の前に立぀。
    私はなぜ、タツノを地䞋ぞず行かせたか。
    元気があれば䜕でもできる、でも本圓は䜕でもできるわけじゃない。
    でも䜕かはできる、なぜ止めなかった。若い修道士ならいざ知らず、私は幟床もの刷新を経隓した茪廻者である。聖アントニオ様の埡姿があった頃を知るものなら、孀島でたった二人で躰をあわせたこの身なら、裂け目の意味を知らないずは決しお蚀えない。
    アむランド・デ・ガンリュヌ。
    二人きりだったあの瞬間を思うず、サむトゥスはい぀も口の䞭に血の味を感じた。ダヌずいう詠唱の埌の口づけは、どちらかのもしくは二人共の血が混じった口づけであった。血の蚘憶の味がする唟をごくりず飲み蟌んで、だからこそのタツノであり、だからこそのコティスです。
    ず声に出したが、自分でも蚀い蚳の匂いを感じた。タツノは既に黒い氎面を芋るものです。䜕を孕んでいるのやら。裂け目から産声が、い぀聞こえおもおかしくはないでしょう。
    修道院の母屋からはルむヌゞ・アントニオ・サカグチの詠唱のあずに、皆が倍音の詠唱を返しおいるのがかすかに聞こえおきた。
    日はずいぶん傟いおきたが、蟺りはただただ十分に明るい。
    サむトゥスは、蚘録には本日は6月13日であったず蚘しおおこう、ず独り蚀ちた。そしお改めお、今日は「サンタモニカの朝」であるずも蚘すこずも誓った。
    埌に、ルむヌゞ・アントニオ・サカグチにより、この日は正匏に6月13日でありサンタモニカの朝であるこずが宣蚀されたが、実際のずころは、真倏の午埌、日差しが容赊なく降り泚ぐ、7月半ばのこずであった。

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    倖資系認蚌機関で機械安党ずAIなどの先端テクノロゞヌに関わる䌚瀟員。 2025幎、15幎ぶりに小説執筆を再開。 AIを壁打ち盞手ずした小説ず、その制䜜ドキュメンタリヌを公開しおいたす。 創䜜倧賞2026 ファンタゞヌ小説郚門 オヌルカテゎリ郚門 に応募しおいたす。

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