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聖アントニオを巡るいく぀かの詊考 (9) | 創䜜倧賞2026 | ファンタゞヌ小説郚門

    Chapter -1: 聖アントニオ修道院 V

    タツノはコティスの指に指を絡たせお、その枩床を感じながら、裂け目の䞭を流れる川沿いをひたすら䞋流ぞず䞋っおいた。ヘッドラむトの光に遠い壁面に埋たる貎石が反射しお、たるで満点の星空の䞋を歩んでいるかのような錯芚をもたらしおくる。
    錯芚、ずいうこずで蚀えば、タツノはずいぶん前から、自らの五感を信頌できなくなっおいた。
    たず川面が黒くおらおらず茝いお芋える。それは氎でなく、オむルのように粘床を持ち、玉虫色に光を反射させおいる。
    そしお、耇雑な川音の反響。
    空掞の䞭で反響を繰り返す川音は、時折、人の囁きのようにタツノの耳に響いお、時にはっきりず、男の子の声ずしお聞こえおくる。
    神の特城を䞀぀蚀えず蚀えばそれは甲虫に察する限りない偏愛だ。
    そう聞こえお隣をみるずコティスは口を぀ぐみ、ただ、たっすぐず歩いおいるので、自らの聞いたのがコティスの蚀葉ではなく、幻聎に近い䜕かなのだず悟る。
    気味悪く響く少幎の声のような川音を聞きながら、タツノはここが修道院の母屋の最深郚、あのルむヌゞ・アントニオ・サカグチの小郚屋に䌌おいるず思った。朝倕の食事を届ける圹目を担っおいた十代前半たでの間、あの郚屋ではいく぀もの幻聎や幻芚を感じたものだった。
    ここはあの郚屋の匂いがする。
    改めおゆっくりず錻から息を吞うず、元の土ず苔の匂いに戻っおしたったが、䞀瞬、確かに、あの小郚屋の叀びた朚ず垃の匂いを感じた気がした。
    芖芚、聎芚、臭芚を信頌できない䞭で、唯䞀はっきりしおいるのが、コティスの手のぬくもりだ。タツノが䜕床も指を絡めお握り盎すのでコティスはきょずんずした顔で向き盎り、もう䞀床ダヌする? ずタツノに問いかけたが、タツノは、ダヌしない、ず答えおそれでも、もう䞀床匷く手を握り盎した。
    この道を行けばどうなるものか。
    タツノが詠唱をはじめるずコティスも、道、の詠唱を続けた。二人が詠唱をおえるず、隣を自転車が走り抜けおいく。
    自転車を挕いでいるのは、芋たずころ二十代埌半の青幎だ、埌ろの荷台には小さな女の子が乗っおいお、こちらを振り返り、バむバむず手を振っおくる。幻芚にしおはむダにはっきりしおいるが、自転車は河川敷ずも川の䞊ずも぀かない平面を駆け抜けお奥の闇ぞず消えおいった。
    最埌はデゞタルノむズのように揺らめいお消えた自転車を芋送っお、改めおコティスの方を向きなおしたが、コティスは身じろぎもせず時折壁面に目を走らせお、採取すべき石がないかを探しおいるようだ。
    自転車はおそらくタツノだけに芋えおいる。
    タツノが眩暈の䞭でよろめくず、コティスは䞡腕でしっかりず抱きずめお、倒れないようゆっくりず腰を䞋ろさせた。
    タツノ倧䞈倫? やっぱりもう䞀床ダヌする? ずコティスが問い掛けるが、タツノは瞑目しながら、それは明確に、ダヌはしない、ず答えた。だっお、秘儀なんだし口づけはそういった性質のものではない。
    反響する川音が瞑目するタツノを包む䞭、コティスは小䌑止できる良い堎所がないか、蟺りを芋回す。少し離れたずころにオオバコが茂る平らな堎所を芋぀けた。コティスはその筋肉質な䜓躯ずは裏腹にゆっくりず繊现な動きで、タツノをオオバコの暪に座らせた。
    コティスはバックパックから、氎筒ずナッツそしお゚マヌゞェンシヌシヌトを取り出すず、タツノを゚マヌゞェンシヌシヌトに包んで、たずは氎分を䞎えるべく氎筒の蓋に氎を泚いだ。
    タツノが氎を飲めるこずが分かるず、今床は砕いたナッツを口に含たせる。
    タツノは、倧䞈倫、ちょっず眩暈がしただけだから、ず答えはしたが、耳に響く反響は次第に倧きくなっおいった。
    反響が遠のき、次にタツノ目を開いたずきにオオバコの傍らに芋぀けたものは、叀いマッキントッシュであった。マッキントッシュはタツノずコティスが芋぀めるのを埅っおいたかのように、ドゥヌンず電子音を挏らしながら、ゆっくりず目芚めおいった。

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    倖資系認蚌機関で機械安党ずAIなどの先端テクノロゞヌに関わる䌚瀟員。 2025幎、15幎ぶりに小説執筆を再開。 AIを壁打ち盞手ずした小説ず、その制䜜ドキュメンタリヌを公開しおいたす。 創䜜倧賞2026 ファンタゞヌ小説郚門 オヌルカテゎリ郚門 に応募しおいたす。

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