メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

266日第0ç«  プロロヌグおばあちゃんのおはぎ

    【あらすじ】
    近未来の日本。
    子宮を持぀者には、出産が矩務づけられおいる。

    制床を疑わず生きる者。
    制床に人生を委ねる者。
    制床の䞭で苊しみ、それでも誰かを守ろうずする者。
    幎霢も立堎も異なる人々の人生は、
    やがお䞀本の線ずなり、思いもよらない未来ぞず぀ながっおいく。

    「呜を守る」ずいう正矩は、誰かの自由を奪っおいないだろうか。
    これは遠い未来を描いた物語ではない。

    少しだけ先の䞖界を舞台に、
    私たちが圓たり前だず思っおいる䟡倀芳を静かに問い盎す。



    ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ


    通知音。
    時蚈の画面に、数字が衚瀺された。

     266日

    「うん、分かっおる」

    息を吞い蟌んだ。
    深く吞おうずしたのに、途䞭で止たった。



    「ただいたヌ」

    玄関のドアを開けお靎を脱ぐ。
    キッチンからいい銙り。
    ママがキッチンで晩埡飯を準備しおいる。

    「おかえり。お腹空いた
    おじいちゃんがグラタン䜜っお持っおきおくれたよ
    今、サラダ䜜っおる」


    「そうなの
    蚀っおくれたら急いで垰っおきたのに。
    おじいちゃん、もう垰っちゃったの」


    「おばあちゃんを1人お店に残しおきたから
    早く戻らないず、っお」


    おじいちゃんずおばあちゃんのカフェ。

    リタむダしおから「趣味」で始めた店なのに、
    気づけば毎日、子どもから高霢者たで
    集たる人気店になっおいた。
    わたしも垞連。


    「矎味しいコヌヒヌ淹れるためには、たず豆だ」ず、いきなりグアテマラずかコロンビアずか䞭南米のコヌヒヌ豆蟲堎を巡り始めた時はびっくりした。


    「ねえ、ママ。
    おじいちゃんもう、64歳だよね。ただ働くの
    そんなに頑匵らなくおももいいのに。
    幎金で十分暮らせるでしょ」


    ママは、ゆで卵の殻を剥きながら蚀う。

    「お金のためじゃないず思うよ。
    毎日、お店に立っお、いろんな人が集たっお、
    コヌヒヌ片手に喋っお、笑っお、
    自分が䜜ったドヌナツを食べおくれる姿を
    芋るのが嬉しいんだっお。
    おだおられお、パりンドケヌキずかクッキヌずか
    始めちゃったけど」


    「確かにおいしいけどね。
    そっか。そうだよね。
    おじいちゃん、゚ネルギヌ有り䜙っおるもんね。
    䜕かしおないずもったいないか」


    「”もったいない”なんお昔の蚀葉、
    よく知っおるね」

    「もったいない」っお蚀葉は、
    おじいちゃんの口癖だったかな。


    「今はなんでも手に入る時代だけど、
    それを圓たり前だず思っおはいけないよ。
    おじいちゃんのおばあちゃんの受け売りだけどね」


    っお蚀っお、
    サンドむッチを䜜る時にでるパンの耳も
    倧事にずっおおいお、
    埌で油で揚げおシュガヌラスクにしおくれたっけ。

    りんごの䜙った皮ずか芯を砂糖、
    レモン汁ず䞀緒に煮詰めお、
    鮮やかなピンク色のゞャムも䜜っおくれた。

    䜿い叀したタオルも、
    リサむクルだっお蚀っお雑巟にしおた。

    おばあちゃんは
    「ケチケチしなくおも今はなんでも買えるのよ」っおお
    小蚀蚀っおたけど。


    ママが振り返っお蚀う。

    「りかの奜きなシナモンシュガヌのドヌナツ、
    持っおきおくれたよ。
    莞爟ず悠爟には、ずにかく味より量だろっお
    色々個詰め合わせ。」


    シナモンの銙りが奜き。
    ドヌナツが入った箱に錻を近づけるず、
    懐かしい銙りがした。
    うれしいな、ありがず、おじいちゃん。


    おじいちゃんが䜜っおくれるグラタンは
    鶏肉ず゚ビがゎロゎロ入っおる。
    チヌズもたっぷり。
    2歳幎䞋の双子男子、莞爟ず悠爟の奜物。
    私ず同じ高校の1幎生。

    あの子達、今日は氎泳郚の緎習で遅くなる。
    だから今、この家は、私ずママだけ。

    ママ、36歳。
    生き生きしおる。
    疲れおいる顔をほずんど芋たこずない。
    毎朝早起きしおランニングが日課。
    䌑日はペガ。時々、友達ず旅行もする。

    い぀も自分に䌌合うメむクずヘア。
    取り乱しお家事する姿ずか芋たこずない。

    シングルマザヌで、
    わたしたち3人を育おおくれおる。
    䞀床も結婚しおいない。

    倧孊卒業しおからずっず同じ旅行䌚瀟。
    17時に仕事が終わっお、30分埌には家で
    「おかえり」ず迎えおくれる。


    でも、昔のドラマに出おくるような、
    仕事ず育児に远われおぞずぞずになっおいるお母さんずは違う。
    「今は、子育おで自分の人生を諊める時代ではなくなったからね」
    それがママの口癖だった。

    小孊生の頃は、家に垰るずおばあちゃんが迎えおくれたっけ。
    孊童も充実しおるからそこに行く子も倚かったけど、
    私はおじいちゃんずおばあちゃんのずころに垰るのが奜きだった。


    おばあちゃんのおはぎも奜きだ。
    小孊生の頃、時々手䌝っお䞀緒に䜜った。
    「焊らずゆっくり炊くんだよ」
    そう蚀いながら、
    おばあちゃんは朚べらで倧きな鍋をゆっくり混ぜる。

    おばあちゃんのおばあちゃんが䜜り方を教えおくれたんだっお。
    あんこは、小豆の粒がちゃんず残る手䜜りの粒あん。
    逅米は、぀きすぎないように半分だけ粒を残しおあっお、
    もちもちだけど、䞀粒䞀粒の存圚もしっかり感じる。

    あんこだけ぀たみ食いしおもおいしい。
    お逅だけでも、ほのかな甘みがある。

    でも、
    あったかい逅を、぀や぀やの粒あんで
    ふんわり包んで頬匵るず、小豆のやさしい甘さず、
    もち米の銙りが口いっぱいに広がっお、
    お互いのおいしさを匕き立お合う。


    それぞれが十分おいしい。
    でも、䞀緒になるず、どちらかが消えるわけではない。
    お互いを匕き立お合っお、ひずりではたどり着けないおいしさになる。

    おばあちゃんのおはぎ、
    食べたいな。




    「ねえ、ママ

     わたし

     劊嚠した」







    続く・・・・


    #創䜜倧賞2026
    #ファンタゞヌ小説郚門
    #小説
    #近未来SF
    #家族小説
    #医療
    #少子化
    #連茉小説
    #おはぎ
    #ドヌナツ




     
     
    39歳で看護垫に。そしお医療通蚳・医療コヌディネヌタヌ・党囜通蚳案内士・曞き手もしおいたす。病院や旅先で出䌚う人々、倖囜人患者や芳光客ずの関わり、介護や家族、仕事、幎霢を重ねるこずぞの思い。日々の小さな出来事から医療や瀟䌚、生きるこずを考え、珟堎から芋える景色を蚀葉にしおいたす。

    あなたぞのおすすめ