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芋出し画像
Photo byaoming

小説再䌚③

    LINEの送信ボタンの真䞊に指をもっおいく。

    指を萜ずす前にもう䞀床読み返しおみる。

    “ねぇ聞いお賢斗が私の敎圢前の写真隠し持っおたんだけど、私賢斗に敎圢の事話しおないのこれやばくない笑たさか誰か枡したりした笑”

    でも、もし玗匥が写真を枡しおいなかったら。疑ったみたいに芋えないだろうか。

    逆に、本圓に玗匥が枡しおいおもここで“はい、私が枡したよ”なんお告癜するだろうか。

    するわけないず思った。私はLINEを打ち盎す。

    “ねぇ聞いお賢斗が私の敎圢前の写真隠し持っおたんだけど、私賢斗に敎圢の事話しおないのこれやばくない笑”

    これならいいか。私は今床こそ指を送信ボタンぞず萜ずす。

    既読は぀だけすぐに付いた。

    華しかしLINEは入らない。たあ、華ならこのLINEのこず知っおるからだろう。

    誰かから返事が来たのは時間皋経っおからだった。先に返事をしたのは玗匥だった。既読はのたただ。

    玗匥“めっちゃ怖いじゃん笑敎圢前っお事は高校の写真ずか矎咲が持っおた写真なの”

    ”高校の時の私が持っおた写真じゃないず思う、、おいうか、なんか隠し撮りっぜく芋える“

    玗匥”隠し撮りたじで怖いや぀じゃんえ、たっお。賢斗くんず出䌚ったのっお飲んでた時だよね高校生の矎咲を隠し撮りっおおかしくない“

    そう蚀われおみればそうだ。玗匥を少なからず疑っおいたけど、玗匥が犯人なら私の敎圢前の写真なんおたくさん持っおいるはずだ。いや、自分だずバレたくなくおわざわざ隠し撮りに芋える写真を䜿ったずも考えれる か。

    頭の䞭でああだこうだず考えを巡らせれば巡らす皋、答えから遠のいおいく気がする。

    華“おか、賢斗くんにこれどうしたのっお聞いたらうちらの知らない所で写真やりずりされおる可胜性もあるっお事でしょ敎圢隠しおたのは謝った方がいいけど、写真枡したりずかっお気分のいいものじゃないよね“

    賢斗に聞く

    それはあなたが奜きになった私は、私じゃありたせんず打ち明ける事だ。賢斗はもし私が敎圢をしないたたの姿だったずしおも、私を遞んでくれたのだろうか。

    私じゃありたせんず告癜したずころで、元の姿を芋せれるわけでも戻れるわけでもないのに。

    賢斗は目尻を䞋げお私に觊れる。

    それは玛れもなく私なのに、私には觊れられおいる感觊がない。

    私が口を開かなければ、賢斗はこれからもずっずそれを知りながら、目尻を䞋げお私に觊れるのだろうか。

    賢斗ず出䌚ったのは幎前。

    あの居酒屋で出䌚った日、トむレぞず垭を立った盎埌に照れくさそうに、でも勢いよく「ねLINE教えおよ」ず蚀われたのが始たりだ。

    女の子の扱いに慣れおいるのか慣れおいないのかは読めなかった。でも、賢斗の顔の造圢が党おをどうでもよくさせた。

    次の日の昌間、賢斗からLINEが届いた。

    “昚日はありがずね今床矎味いもん食い行こヌよ奜きな食べ物ある”

    “こちらこそありがずう海鮮党般奜きだよ”

    “海鮮俺もめっちゃ奜き矎咲ちゃんが良ければせっかくだし日垰りで行ける範囲で遠出しない静岡ずかなら新幹線䜿えば時間ずかで行けるし”

    昌間なら小排萜たカフェか、倜なら雰囲気のいいビストロか、初めおのデヌトの定番っおそんなものだず思っおたから、賢斗の提案に新しい䞖界が広がっおいく前觊れを感じずにはいられなかった。

    浮かれそうになる気持ちを抑えお抑えお、賢斗ず付き合いたい気持ちをばれないようにした。

    賢斗ず付き合いたい女の子なんおたくさんいるだろうから、他の女の子ず同じだず思われるのもなんだか嫌だったから。

    でも、目は口皋に物を蚀っおいたのか、賢斗が自分に揺るぎない自信があるのか、圓然のように回目のデヌトの垰り、告癜された。たるで台本があったかのように。

    賢斗は私の顔を耒めた。

    私の、敎圢した顔を。

    「ああ、顔実はいじっおるから可愛くお圓たり前なんだわ」

    なんお笑いながら打ち明ける自分を想像しながら、実際は曖昧に「ちゃんずメむクしおきおよかった」なんお蚀っおしたう。

    䞀床぀いた嘘や隠し事は、思った以䞊に重い。

    賢斗が耒めおくれる床に、その蚀葉を受け取っおいるのが誰なのかわからなくなっおいく。

    それは時間が経おば経぀皋に膚らんでいく。

    賢斗に芋せた過去の写真は、盛れたプリクラか、撮られた角床ずかでたたたた今の姿に近いず思われるであろう写真数枚のみだ。卒業アルバムの類は友人に貞したたた返っおきおない事にした。

    賢斗が容姿を耒めおくれた数だけ、私には告癜するチャンスがあったはずだ。

    でもそのチャンスを流し続けた私にずっおそれは、本圓の私を隠した数ずなった。

    そしお今、もう自分では抱えきれなくなっおいるのだず実感しおいる。

    毎朝、鏡を芋るたびに自信をくれた顔だった。

    それなのに今はこの顔でどう笑えばいいかわからない。

    私は華ず玗匥のグルヌプLINEをもう䞀床開いた。そしお文字を打぀。

    ”盞談しおおいお本圓にごめんだけど、もう少しひずりで考えおみる。聞いおくれおありがずう”

    ベッドぞず仰向けに倒れ混むず、倩井が芋える。

    初めお敎圢を決心した日。私の頬には涙が぀たっおいた。

    あれから、容姿を耒めおもらえる事は確かに増えた。

    自信だっお぀いたず思っおたのに。

    なのに、どうしおただ同じように倩井を芋䞊げお泣いおいるのだろうか。

    誰かからLINEが届く。華か玗匥のどちらかだろう。

    ふたりは、ずっず味方だった。

    それでも。

    最初から可愛いふたりに、この気持ちを説明できる気がしなかった。そしお、この気持ちを受け止めおくれる人はどこにいるのだろう。

    LINEを芋るのも返事をするのも億劫だ。でも自分が蒔いた皮だず、僅かな気力で返事をした。

    その日はそのたた眠っおしたったらしい。

    垰っお来た賢斗の「矎咲寝おたの」ずいう声で目が芚めた。䞀瞬自分がどうしお寝おたのか思い出すたでに時間がかかった。

    「ごめん。私䌑みなのにご飯も䜜っおない 急いで䜜るで埅っおね」

    「いいよ、いいよ。疲れおた䜕か食い行くかりヌバヌでも頌もうよ」

    「いいのじゃあ髪がさがさだからりヌバヌでもいい」

    「いいよヌ䜕する届くたで矎咲ずいちゃいちゃできるねぇ」ず少幎が悪戯するような顔で賢斗は笑っおいる。

    賢斗は、あの写真を芋おどうしお私に䜕も聞かないのだろう。

    別に敎圢なんお関係ないず思っおくれおるそれならどうしおあんなポヌチに入れお隠しお持っおるのあれは 最近写真を芋たような眮き方だった。

    それなのに、私の名前を呌ぶ枩床はプロポヌズしおくれたあの日ず倉わっお いない、ず思う。

    賢斗がプロポヌズしおくれたのは付き合っお幎の蚘念日だった。

    蚘念日だからずい぀もより莅沢な旅行をしおいたけど、プロポヌズなんお私は予感すらしおいなかった。ホテルの郚屋で指茪を芋せられた時、結婚どうのこうのより賢斗が私の事を想っおいおくれた事がただただ嬉しかった。

    「俺さ、今たで結婚なんおただただず思っおた。でも矎咲ず出䌚っお、矎咲ず䞀緒に過ごしお、矎咲の事誰にも枡したくねぇず思ったんよ。この先死ぬたで矎咲の䞀番近くにいられる暩利、俺にくれぞん」

    「  その暩利、審査厳しいよ 曎新も死ぬたでよ」

    溢れおくる涙を抑えながら、照れ隠しで粟䞀杯匷がった。

    賢斗はどんな私でも受け止めおくれるのだず実感したから。

    「䜙裕䜙裕。喜んで曎新するわ。」

    「 私も賢斗の暪にいる暩利もらうからね。」

    「矎咲以倖に枡す぀もりないわ。矎咲じゃないなら誰にもやらん。」

    賢斗は私を抱きしめた。

    「結婚しおくれる」

    腕の䞭で聞こえた蚀葉やその枩床は、もし出来るなら額瞁に入れお食っおおきたいず思った。時が止たっおもいいっおこういう事なのかず思った。でも圓然そんな事は䞍可胜なのだ。

    「する。  ありがずう。」

    「こちらこそ。ありがずう。ねぇ矎咲」

    「なに」

    「倧奜き。愛しおる。」

    あの日は、敎圢だずか敎圢じゃないずか考えずにいられた。考えなくおも蚱されたずいう方が近いか。

    でも、敎圢でも敎圢じゃなくおも、私の心はひず぀だけのはずなのに、人生ごず借り物みたいに感じおしたう。

    やっぱり、敎圢しおなかったら。

    賢斗ず付き合っお結婚する事もなかったのだろうか。

    敎圢をしおいない、ありのたたの私は今頃どこをどうやっお歩いおいるのだろう。

    ありのたたで今ず同じ道の䞊に立っおたらいいのに。

    ふっ。それじゃ敎圢する意味なんおないじゃん。思わず也いた笑い声をあげそうになる。

    私は、本圓の自分には釣り合わない未来を掎んだのだろうか。

    「ねヌ矎咲、今日䜕か元気ない」

    「や、そんな事ないよ寝過ぎたせいでがけっずしちゃうのかも。」

    賢斗の玔粋な心配を適圓に返事しながら、明日賢斗が仕事ぞ行ったら、もう䞀床芋おみようず思った。あの写真を。

    翌日、私は賢斗を芋送った埌、誰もいない郚屋をたるで気配を消すように歩いた。

    そしお、あの匕き出しの前に立぀。

    芋る前ず同じ圢に戻したポヌチをもう䞀床匕っ匵り出した。

    ファスナヌを開け、䞭の写真を芗く。

    どくん、ず心臓が鳎るのがわかった。

    そこには今より目の倧きさが半分くらいで、錻筋も匱々しい私がいた。これは確かに私なのだ。

    雑誌のメむク特集を隅から隅たでくたなく芋たり、化粧を萜ずす前にい぀もず違うメむクを詊しおみたり、出来るだけ甘いものを我慢しおみたり。可愛くなりたいず、健気な努力を続けおいたあの頃の私だ。

    この少女の健気な努力を積み重ねお成長した姿はどんな姿だったのだろうず、今たで考えもしなかったような疑問が浮かんでいた。

    私は写真の端を芪指でなぞる。

    敎圢前、自分の姿を芋る時、い぀も先に目に入るのは欠点だった。

    華やかずは蚀えない奥二重の目。

    䜎い錻。

    がんやりした茪郭。

    でも写真の䞭の私は、笑っおいた。それも無理やりじゃない。

    誰かに呌ばれた瞬間なのだろうか。口角が少しだけ䞊がっおいお「えっ」ず蚀いたげな顔をしおる。

    私はしばらくその衚情を芋぀めた。

    䞍思議だった。こんな顔をしおいた事なんお芚えおいない。

    芚えおいるのは鏡の前で萜ち蟌んだ日ばかりだ。

    雑誌に出おくる可愛い子を芋お矚たしくなった日。

    華や玗匥ず自分を比べた日。

    敎圢の症䟋写真を䜕時間も眺めた日。

    そんな蚘憶ばかりなのに。

    この子は笑っおいる。

    たるで自分が䞍幞だったなんお知らないみたいに。

    私はなんずなく、携垯のカメラで写真を写した。

    華ず玗匥のグルヌプLINEを開く。

    ”賢斗に聞いおみなよ“

    ふぅず息を吐いた。

    このたたにはしおおけない。そう思った。




    続きはこちらからどうぞ。


    第䞀話、第二話はこちらから。

     
     
    子育おしお、働いお、酒を飲んで。 たたに人生に぀いお考えおいたす。 たいしたこずのない毎日から、 たいしたこずのある䜕かを拟うように生きおいきたい。

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