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ある彼女の冒険6

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    ※私的な宗教的解釈を含みます。敬虔なキリスト教信者さんはここで回れ右して読み進めないことを強くお勧めします。
    =====


    「さあっヨハン特製野菜スープを召し上がれ〜!!」

    目の前の木のボウルから立ちのぼる湯気と香りがお腹の空き切った私の心と体に異論を言わせるはずもなく、私は夢中でその様々な野菜の入ったスープを飲み干した


    「ご、ごちそうさま、でした。
    …美味しかったです、、、」


    お礼を言って浅黒の熊、、大きな笑顔のヨハンさんの顔を見ると何故だかずっと見ていられず下を向くしかなかった


    …あの人には似てない

    さっきの笑顔があの人のもののように感じたのは、、、たぶん感傷的になっているからだ



    「それはよかった
    おねえさんお名前は?

    うん、マリアさんっていうんだね。

    旅の人?
    え?彼の方とずっと旅をしていらしてたの?

    …そうだったんだねえ、、、


    これからは?
    うん、うん、
    …決まってないなら2、3日うちにいればいいと思うよ?

    うん!いいよお!!

    みんなっおねえさん一緒にいてもいいかなあ〜??」


    こどもたちの元気のいい返事とともに、ヨハンさんとこどもたちのお家に居候させてもらえることになってしまった



    そして、2、3日のつもりだったが、あっという間に1ヶ月が過ぎていた


    その頃にはもう私も家の一員のようになり、料理はほぼ私がメインで担当していた。
    野菜の皮剥きや洗い物などは、立って手が使えるこどもたちが率先して手伝ってくれている


    …村の市に買い出しに行こう、いもを買わなければ、、、


    家の裏の畑でいろいろな野菜を作って日々食べてはいたが、いもは毎日食べるので週に一度開かれる村の市で忘れないように買うことになっていた


    必要なものをあらかた手に入れて帰路に着こうとした時、井戸の周りがなにやらざわざわしていていたので近づいていった


    「おれはペテン師だと思ったね!」

    突然男があげた声にそうだそうだと賛同する声がこだまする


    「だいたい、大都会のエルサレムに来て?
    『無償で人々を救います』だなんてあるわきゃないっ!

    いいこと言ってたが教会の奴らと同じ様に、俺らを依存させてから搾り取るつもりだったのさあ!!!!

    教会とつるんでたのがいい証拠じゃねえか!


    磔にされて苦しんでいるところを見れたのはスカッとして気持ちがよかったぜえ〜!」

    ヨシュアさんのことを言われていることがわかってしまって私はその場に縫い留められてしまった

    「その通りだっ!!
    実際オレはあのあと教会の奴らに金を要求されたんだからなっ!

    貧乏人からふんだくろうなんて、
    なあ〜にがっ『愛の人』?『メシア』??『神の子』???????

    ふっざけんじゃねえよ!!!!!?


    磔は順当だったね!!!
    石を投げてやりたいくらいだったけど、…あの場ではなぜかできなかったな」

    「まあ、死んだからいいだろ?
    弟子たちにも見捨てられて、
    弟子たち自身もおとなしくなったようだしなあ」


    私はきつく下唇を噛んだ
    教会の人たちがお金を取っていたのは知っていた

    兄弟子たちが猛抗議していたが、でもそのお金が返されたところは誰もみていない…


    歯痒かった
    いいことをしても利用されて、
    善意は簡単に歪められてしまう


    噛み締めた奥歯がカタカタ鳴った
    涙は出なかったが体が冷えて今にも倒れそうだった


    一緒に来て荷物を運んでくれている年嵩の男の子が心配そうに私をみていた


    「ああ!あいつにいってやりたいねえ
    『生まれてきたことが間違いだったのだ』
    ってねっ!」



    沸き上がる笑い声に、
    なにかがぶちんっと音を立てて切れた

    私の手はそろそろと背中に回っていた
    腰に隠している短刀に手が触れ、
    固定しているボタンを静かにパチンッと外した

    そして強く柄を握った


    殺してやる
    お前たちにあの人のなにがわかる


    …あの人の愛を受けておきながら、

    今もなおこれだけの愛を与えてもらっておきながら、それに気づきもせず

    そしてあいもかわらず

    不満を言うことや
    争い合うこと、
    奪い合うこと、
    傷つけ合うこと、
    貶め合うことしかできないお前たちなんか



    死んで消えてしまえばいいっ!

    姿勢を低くし斬りかかろうとしていからせた私の肩を

    すっと大きな手が包んだ


    そして、

    「彼の方の愛は本物だったよ
    わたしは確かに受け取って救われた


    そして、わたしたちは悔い改めなければならないと思うんだけど、

    どうかなあ?」

    肩にそえられた手を伝って温かさが私を包んだ


    井戸の周りを含めた市の広場はヨハンさんの言葉にしんっと静まり返り




    やがて聞こえてきたしゃくりあげる声は誰のものだったのか…



    ヨハンさんに半分抱えられるようにして家に戻ってきた私はそのまま自分のベッドで寝てしまった



    夢を見た


    あなたがいた

    静かに笑っていたが


    とても悲しそうに
    とても寂しそうに


    ただ、ただ美しく微笑んでいた


    私はたまらなくて
    あなたの頬に手を添えたら
    あなたは涙を一筋二筋流した


    そして私の手をとり、
    私のひたいを何度か撫でて
    私の両のまぶたを優しく………閉ざした




    それから時は過ぎて、
    私のお腹にはヨハンさんとの子の命が宿っていた


    あれから世界はまったく変わることはなかった

    あいからず
    人は盗み、奪い、憎み、貶め合っていた


    それでも世界は愛に満たされていた

    気づくだけでいいのに
    こんなにも愛されていると気づくだけで満たされるのに


    人はあいも変わらず地面だけを見て
    苦しい、理不尽だ、とうめくのだ
    しがない身で世の中は不条理であるとうめくのだ



    ヨハンさんはこのところおもしろい集まりに出かけるようになった

    名前を教えてもらったが「メンサ」とは変わった組織名だと思った


    目をキラキラさせて集まりでの話をしてくれるヨハンさんはとても素敵だと思う


    その声はやはりあの人に似ていて



    眠たくなった私は
    ゆっくりとゆっくりと目を閉じた


    〈ある彼女の冒険 終わり〉
    =====

    この話を最初から読みたい方は
    ある彼女の冒険1
    ある彼女の冒険2
    ある彼女の冒険3
    ある彼女の冒険4
    ある彼女の冒険5

    ヨシュア目線の第一話はこちらから
    ユダ目線の第二話はこちらから

    ここまで読んでくだってありがとうございます🌸
    あなたはいつも素敵です💖
    よかったらまた読みにきてくださいね✨

    余談

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    それがsubstack。

    んー、
    とりあえずsubstackにくればわかるよ
    noteとの連携もできそうですし✨
    おいでませsubstack🌸

    #サブスタ盛り上げ隊

     
     
    不登校・ひきこもりの経験から、今お子さんへの接し方に悩んでいるおかあさん、おとうさんの参考になる情報を書いています。小説も書いてるよ🗒️ 気軽にのぞいていってください♪ 主にsubstackにて活動中です🌸 「味村昇」で検索してねっ🔍

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