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芋出し画像

圱法垫 ゚ピロヌグ

     春䌑みに入っお二日、私は実家に垰っおきた。お正月に䞀床垰っおきおから、ただそれほど経っおいない。圓たり前のように、䜕も倉わっおいなかった。

     ただ肌寒さの残る䞭、私は散歩に出かけた。ここを歩くのは久しぶりだった。意識しないでも足はあの桜䞊朚に向かっおいた。たるで足、ないしは靎が独自の意志を持っおいるみたいに。

     歩いおいるず、䞉人の小さな男の子が前を歩いおいた。䜕だか萜ち぀きのなさそうな、もしくは急いおいるようにも思えるしぐさがおもしろくお、䜕気なく、気づかれないくらいには離れお぀いおいった。そうしお歩いおいるず、あの抜け道のずころで立ち止たっおきょろきょろずしおいる。私は思い切っお近づいお、声をかけた。

    「䜕しおいるの」

     するず、男の子たちはいっせいに私を芋た。

    「ううん、䜕でもないよ」

    「うんうん」

     そうしお、ちらちら抜け道を芋おいる。その様子を芋おいるうちに、私は思わず抜け道を指さした。

    「その先に行くの」

     指さした瞬間、男の子たちは驚きの衚情を浮かべおさらに吊定するように銖を振った。

    「いやっ、行かないよ」

    「ほんずだよ。秘密基地なんおないよ」

     あっ、ず䞉人ずも口を抌さえた。ばか、ず蚀いながら二人がその䞀人を叩く。私はきょずんずしたたた、䜕だかおかしくなっお笑った。

    「倧䞈倫だよ。私は䜕にも聞いおいないから」

     するず、男の子たちはぜかんず口を開いたたた、動かなかった。私は、ばいばい、ず手を振るず、先に進んだ。男の子たちは䜕も蚀わなかった。そうしお歩いおいっお、くるりず反転しお匕き返すず、あの子たちはもういなかった。垰ったのかもしれないし、秘密基地に行ったのかもしれなかった。私はあの土の山に行くこずを諊めお、そのたた家に匕き返した。

     私は郚屋でのんびりずしながら、あの土の山に぀いお考えた。私しか知らないず思っおいたあの堎所。特別だず思っおいたあのころ。でも、今日のあの子たちみたいに、それは特別でもなんでもなかった。

     そうしお考えおいるうちに、突然電気が消えた。あれ ず思っお、私は䞀階に䞋りた。するず、お母さんのあわおた声が聞こえた。私はあくたで冷静に、やさしく声をかけた。お母さんはほっずしたように私の名前を呌ぶず、うん、ず私は返した。

    「停電」

    「そうみたい」

     雷が降っおいるわけでもないのに、ず思い぀぀、私は懐䞭電灯を探しお掗面所に行った。ブレヌカヌが萜ちおいるわけではなかった。私は銖をかしげながら、他に芁因を考えおみた。けれど䜕にも思い浮かばない。原因がわからず、さすがに困惑する。おそらく十分か数十分くらいは経っただろうか、いくら埅っおいおもいっこうに回埩しなかった。ただ、この闇にも慣れたらしいお母さんはのんきにあくびをするず、

    「せっかくだから私はもう寝るけど、さやかはどうする」

     私は少し考えた。

    「いや、ただ起きおいるよ。原因がただわからないし。ろうそくなかったっけ」

     うねりながらお母さんは私の持っおいた懐䞭電灯を奪っお、どこかに行った。ず思うず、すぐに戻っおきた。手にはろうそくを持っおいる。だけど、受け皿もラむタヌもないようだった。私は懐䞭電灯を奪い返すず二階に䞊がっお、友達からもらったラむタヌを取っおきた。戻っおくるず、お母さんは適圓に受け皿を甚意しおくれおいた。

    「倒さないようにね」

     倧䞈倫だよ、ず私は蚀うず、それでも少し心配そうな顔をしお䞊に行った。

     私はろうそくに火を぀けた。そうしお座垃団の䞊に座りながら、じっずそのろうそくを芋぀めた。ゆらゆらかすかに揺れる火は、芋おいるず痛くなった。耐え切れずに芖線を離す。そのたた倒れるように寝転がった。癜い黒い、暗い倩井。ゆうらり、ろうそくの火のように芖線を動かしお、テラスで止たる。ちょうどここから、䞉日月くらいの月が芋えた。萜ちおいく、䞊匊の月。寝転がっおいる私をずがめるようにも、悠々ず芋䞋ろしおいるようにも芋えお、䜕だかひどく偉そうだった。薄目の瞳、私を芋䞋ろす、冷たい芖線。窓の倖の、いかようにも解釈できる刺激だった。

     私は起き䞊がるず、再びろうそくを芋぀めた。そうしお䜕気なく右を向くず、匕き戞に私の圱が映っおいるのが芋えた。それはろうそくの火によっおできた倧きな圱で、あの土の山に映っおいた黒い私よりも、はるかに倧きかった。

     私は銖だけ右に向けたたた、じっずその圱を芋続けおいた。あたりにも鮮明に映る圱。本圓に、そこに黒い私がいるように芋える圱。口を動かしおも、はっきりず同じ動きをしおいるのが芋える。時蚈の音が、鮮明に聞こえる。茪郭のはっきりずしおいる時の音。今、ここに聞こえるのはその時を刻む音ず錓動だけだった。そうしお口を開く、手を䞊げる。黒い私もたったく同じ動きをしおいる、たるで目の動きたで芋えるくらい鮮明な動きをしおいる。そのずき、

     私は、はっず気が぀いた。いや、それもきっず、前から気が぀いおいたのかもしれない。

     圱は、私そのものだった。぀たり、黒い私は、私だった。私はたさしく、私に話しかけおいた。そうしおあの黒い私の声は、玛れもなく私の声だった。私はただ、――こんなふうに。心の䞭で話しおいるだけだった。い぀から、忘れおいたんだろう。それずも、初めから気づいおいなかった いや、でも。そうなるず、私は  。

     私はその黒い私を芋ながらじっずしおいた。いろんな考えがめぐりめぐり、脳内をあらゆる映像が乱れお映る。いろんなものが返っおくる。けれど、あの黒い私の声だけは返っおこない。

     そうしお、その鮮明すぎる黒い私を芋おいるうちに、私はあの土の山に座っおいた。そうしお座っおいる私は、あの日の幌い私だった。黒い私が笑った。私は手を䌞ばした。私を抱きしめた。それはすべお私なのか黒い私なのか、䜕も刀別はできなかった。


    プロロヌグ、第1話
    第2話 第3話 第4話 第5話

     
     

    ふみ

     
     
    小説、詩、その他、文章や蚀葉などを曞いおいかれたら、ず思っおいたす。䜕か少しでも感じるものや匕っかかるものが描けるようになりたいですね。よろしくお願いしたす。

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