第10章|待つ時間
面接が終わってから、
時間の流れ方が少し変わった。
やることがなくなったわけじゃない。
むしろ普段通りの一日だ。
朝起きて、
子供達を送り出して、
いつもの生活が始まる。
でも、
どこか頭の奥に
「結果待ち」
という感覚が居座っている。
結果待ちといっても、
現地面接の連絡が来るのか、来ないのか。
実際には、ただそれだけだ。
しかし
何かをしていても、
ふとした瞬間に思い出す。
受かるのか。
受からないのか。
考えても仕方ないことは
分かっている。
でも、
考えないようにするほど
意識に浮かんでくる。
待つ時間って、
進んでいないようで
一番自分の気持ちが見える時間だと思う。
挑戦している最中は、
勢いがある。
準備している時も、
前に進んでいる感覚がある。
でも、
待っている時間は
誤魔化しが効かない。
自分ではどうしようもない時間。
本当はどうしたいのか。
どれくらい本気なのか。
静かに浮かび上がってくる。
面接が終わった日、
夜行バスの予約メールを見ながら
少しだけ不思議な感覚になった。
まだ何も決まっていないのに、
未来の予定だけは存在している。
可能性だけが、
先に置かれている感じ。
昔の自分だったら、
結果が出てから動いていたと思う。
でも今回は違う。
決まってから動くんじゃなくて、
動いたから決まっていく。
そんな感覚に近い。
待つ時間って、
不安と期待が
同じ場所にある。
落ち着いているようで、
どこかソワソワしている。
でも不思議と、
焦りはない。
前に進んだ実感が
ちゃんとあるからだと思う。
もし受かれば、
生活は大きく変わる。
もし落ちても、
もう次に進む方向は見えている。
だから今回の「待つ」は、
止まっている時間じゃない。
流れの途中にある時間だ。
結果が出るまで、
できることは多くない。
でも、
今のこの感覚を
ちゃんと味わっておきたいと思う。
人生の中で、
何かが切り替わる前の時間って
そんなに多くない。
静かで、
少しだけ不安で、
でもどこか穏やか。
この時間も、
きっと後から振り返ると
「あの時、
流れが変わり始めていたな」
そう思う気がしている。
今はまだ、
その途中にいる。
ただそれだけだ。
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