第9章|画面越しの温度
遊佐町とのカジュアル面接が終わった。
画面が切れたあと、
しばらく動けなかった。
事前に準備はした。
遊佐町を調べた。
面接の想定もして、
AIでシミュレーションをして、
頭に入るようにノートにも記載した。
子供達が学校に向かい、
奥さんも仕事に出て行ったあと、
想定して声に出して頭に入れ込んだ。
しかし
うまく話せたのか。
伝わったのか。
正直、分からない。
ただ、
ひとつだけははっきりしていた。
これはもう、
頭の中の話じゃない。
現実の話だ。
質問は、想像していたより具体的だった。
なぜ地域おこし協力隊なのか。
なぜ農業なのか。
なぜこの町なのか。
言葉にしながら、
自分の覚悟を自分で確認している感覚だった。
画面越しの向こうには、
これから関わるかもしれない現実があった。
優しいわけでも、
厳しいわけでもない。
ただ、
淡々とした現実。
面接が終わると、
一気に力が抜けた。
受かりたいのか。
正直、
まだ分からない。
いや受かりたい。
自分で決めた道を進みたい。
確実に言えるのは、
「やってみたい」
ではなく
「やるかもしれない」
という場所まで来たということだった。
ここから先は、
想像ではなく結果になる。
通るのか。
通らないのか。
どちらでも、
次の一歩は決まる。
待つ時間が始まった。
現地最終面接は
3月18日午後だと言われた。
書類選考の1次は
来週中にメールが来るらしい。
夜行バスの予約表を見たら
売り切れでない。
春休みだから
夜行バスが埋まっている状況だ。
出発地域を増やして検索したら
横浜駅から酒田駅まで
1席だけ予約可能の表示がされた。
受かるかどうか分からないが、
予約して支払いを終えた。
行かない可能性もある。
でも、
進むと決めたなら
進むしかない。
今回は、
止まっている感覚はない。
少しだけ、
今日もほんの少し、
前に進んでいる気がした。

面接前に書いたノート。
頭で考えているだけじゃ不安で、言葉にして準備していた。
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