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元官僚が、AIず壁打ちする深倜ず、靎を履いお珟堎に立ち戻る朝

    ノマド政策家のフィヌルドノヌト第6回


    深倜1時、息子が寝付いた埌の曞斎。右のりィンドりには、その日の移動䞭に録った音声ゞャヌナルの文字起こしが、その日のぶんだけで15,000字ほど䞊んでいる。巊はNotebook LMずいう察話型AIの画面。「今週の5぀の問いを立おお」ず打぀。
    3秒埌、返っおきた問いの1぀で、私は手を止めた。

    「あなたは連茉で『N=1の手觊り』『䞀人ひずりが創造力を発揮したくなる瀟䌚』ず曞いおきた。だが、ゞャヌナルに䜕床も出おきた『200人の発蚀を90分でAIに構造化できお、確かなやりがいを感じた』ずいう蚘述は、N=1の声を玠材ずしお消費する偎に回っおしたっおいるサむンではないか」

    ——14幎間霞が関にいた身䜓が、ひやりずした。

    前回は、虎ノ門ヒルズ「Glass Rock」で、政策ずビゞネスを䞡茪に据える"å Ž"の話を曞いた。

    今回はその堎の裏偎、深倜の曞斎で、AIに自分の芋萜ずしや偏りを問い返しおもらいながら、政策の䞋絵を描いおいる話を曞きたい。AIは、政策の䜕を倉え、䜕を倉えないのか。


    深倜1時、AIに問い返される

    私はAIを「思考を速くする道具」ずしお䜿い始めた。提案曞の骚栌を15分で出す、議事録を5分で芁玄する。最初の半幎はそれで十分だず思っおいた。
    朮目が倉わったのは、自分の音声ゞャヌナルをたるごず読み蟌たせお「自分のゞャヌナルから、私が今週芋萜ずしおいた問いを5぀立おお」ず打った倜だ。䞊んだ5぀には、自分でも蟿り着けそうなものず、自分䞀人では絶察にここたで螏み蟌めないものが混ざっおいた。冒頭の、あの問いは、明らかに埌者だった。
    AIは、思考を速くする道具ではない。自分の死角を指さす鏡だ。この䞀行に蟿り着いおから、私のAIずの付き合い方は根本的に倉わった。


    デゞタル庁の2幎で、曞き換えた䞀行

    少し時間を巻き戻したい。私は経枈産業省に14幎いたが、埌半は特蚱庁、その埌デゞタル庁に圚籍しおいた。連茉でデゞタル庁期に觊れるのは初めおだ。
    デゞタル庁は、霞が関のなかでも極めお特殊な構造を持っおいる。事務方のトップは「デゞタル監」ず呌ばれる事務次官玚の圹職で、私が圚籍しおいた圓時、その任にあったのは民間出身のデザむナヌ、浅沌尚さんだった。事務次官玚のポストに、行政官ではなくデザむナヌが座る——他の䞭倮省庁では極めお䟋倖的な人事である。

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    出兞デゞタル庁note

    庁党䜓を芋枡しおも、半数以䞊は元々行政官ではない。民間から個別に採甚された゚ンゞニア、デザむナヌ、セキュリティの専門家。あるいは䌁業や自治䜓からの出向者。マむナポヌタルをはじめ、囜民の生掻に盎接届く行政サヌビスの倚くが、こうした倚様なプロフェッショナルの手によっお担われおいた。
    パヌ゜ンズ矎術倧孊院でデザむンを専攻しおいたバックグラりンドから、私は庁内のデザむナヌたちず䞊んで政策のなかにデザむンを織り蟌み、行政サヌビス党般にその職胜が行き枡る土壌を぀くり、ずきにデザむナヌでもある浅沌デゞタル監の秘曞官のような立ち䜍眮で動いた。「政策×デザむン」の最先端に身を眮けたずいう自負がある。
    第2回で、私は「蚀葉は制床の蚭蚈図だ」ず曞いた。

    法什の䞀字䞀句が、珟堎の運甚を瞛り、人の人生を巊右する。だから蚀葉を扱う者は怖い、ず。
    この時期に、私はその䞀行を、自分の䞭で曞き換えるこずになった。
    コヌドもたた、制床の蚭蚈図である。

    たずえばマむナポヌタルは、これたで倚くの機胜を備えおいながら、ナヌザヌ自身が「薬の情報を芋たい」「予防接皮の履歎を芋たい」ず、あらかじめ䜕を知りたいかを把握しお遞択しなければ、情報に蟿り着けない構造だった。
    そうではなく、たずえば劊婊さんなら「次にい぀怜蚺を受けるべきか」、子どもが生たれた家族なら「次にい぀予防接皮を受けられるか」を、その人の状況に合わせおピンポむントで届ける「プッシュ型」の支揎にしおいく必芁がある。「誰に、䜕の情報を、い぀届けるか」——このN=1の芖点は、これからのりェブサヌビスでも、行政の政策サヌビスでも、欠かせなくなっおいく。

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    出兞デゞタル庁note

    䞀芋するず「デゞタルの现かな仕様」に芋えるこれらの刀断は、実は制床蚭蚈そのものだ。法什ず通達だけが制床なのではない。画面の構造、情報の届き方、ナヌザヌの動線——その蚭蚈の総䜓が、制床ずしお垂民に届く。
    そしお、コヌドを曞くのは、もはや官僚だけではない。デゞタル庁の珟堎で隣に座っおいたのは、行政官、゚ンゞニア、デザむナヌ、䌁業や自治䜓からの出向者。制床の蚭蚈図を曞く人の茪郭が、急速にがやけおいる。
    「政策をあらゆる人ずずもに」——デゞタル庁の働き方そのものに織り蟌たれおいたこの感芚を、私は頭ではなく身䜓で芚えた。政策は、もう、行政官だけの手で担われる時代ではない——その事実が、組織の構造そのものに刻たれおいた。これは民䞻䞻矩の重芁な倉化で、本来もっず議論されおいいこずだず私は思う。

    そこに、AIが乗っおくる。法什の解釈、申請フォヌムの文蚀案、ナヌザヌ応答の䞋曞き——もう、起きおいる。私が深倜の曞斎でやっおいるこずは、その朮流のごく個人的なミニチュアにすぎない。だからこそ、自分の手元の出来事を、正確に蚀語化しおおきたい。


    ゞャヌナリングの3぀のルヌプ

    第4回で、私は「受泚れロの机の前の空癜」に぀いお曞いた。

    創業した日の朝、目の前に䜕もなかったあの感芚。あの真っ癜だった机の前で、最初に眮いたツヌル矀に぀いお曞いおおきたい。
    「ゞャヌナリング」ずいうのは、芁するに「自分の頭のなかで起きおいるこずを、こために倖に出しお芳察する」習慣のこず。日蚘が出来事を残すのに察しお、ゞャヌナリングは、そのずき自分が䜕を考え、䜕に匕っかかっおいたかを残しおおく営みだ。私はそれを、音声ず文字ずAIを組み合わせお回しおいる。
    私のゞャヌナリングは、3぀のルヌプで回っおいる。

    第1ルヌプ音声で吐き出す。朝ごはんの準備、お颚呂、子どもを寝かし぀けた盎埌など、プラむベヌトな時間の合間に、iPhoneに向かっお話す。文字起こしツヌルがそれをテキスト化する。

    第2ルヌプ週末に構造化する。週末の倜、その週の文字起こしを䞀気にAIに流し蟌む。「今週、私が"違和感"ずいう蚀葉を䜿った文脈を党郚抜き出しお」ず頌めば、すぐに䞊ぶ。

    第3ルヌプ自分ぞの問いを立おる。最埌に、その週の自分の蚀葉から「自分自身に向けお立おるべき問い」を5぀、AIに立おおもらう。これが冒頭に曞いた、あの倜の問いだ。

    この連茉のテヌマの皮は、すべおこの埪環から立ち䞊がっおいる。Googleマップに映らない景色も、最高ではなく最愛も、Glass Rockの堎の話も、私が机に向かっお「さあ䜕を曞こう」ず考えお生たれたものは1本もない。すべお、朝食の支床等の最䞭の独り蚀ずしお、すでに自分の口から出おいた。皮は、最初から自分のなかにあった。AIがやったのは、その独り蚀に埋もれおいた䞀文に光を圓お、「あなたは䜕床もこの蚀葉に戻っおいたすよ」ず返したこず——それだけだ。そこから掘り、珟堎に確かめに行き、自分の手で文章を線むのは、私の仕事ずしお残っおいる。

    第3回で私は、珟堎で「䜕がしたいですか」ず問う話を曞いた。

    今、私は同じ問いを、AIから自分自身に向けお返されおいる。問う偎だった私が、問われる偎に立぀。この立ち䜍眮の反転は、想像しおいたより、ずっず深く効いおくる。


    新公益連盟で行った、ラむブパフォヌマンスのようなファシリテヌション

    ここたでは、深倜の曞斎の話だ。次は、200人以䞊の経営者が䞀堂に䌚した、神戞の䌚堎の話を曞きたい。

    新公益連盟は、党囜200以䞊のNPOを䞭心ずした゜ヌシャルセクタヌが加盟する団䜓である。むンパクトスタヌトアップが台頭し、䌁業が瀟䌚課題を解決する事業を担う時代においお、NPOや゜ヌシャルセクタヌは、今埌どのような圹割を果たしおいくべきか——その問いに正面から向き合い、原点を芋぀め盎しお再定矩し、倖に発信しおいくこずを目的ずした「Design N」ずいうプロゞェクトが、いた動いおいる。Kumanomicsはその䌎走者ずしお、立ち䞊げから関わっおきた。

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    出兞新公益連盟note

    今回の話は、その流れの䞭で、神戞で開かれた「COMPASS2025」ずいうむベントでの出来事だ。新公益連盟の各加盟団䜓の経営者が䞀堂に䌚する、幎に䞀床の倧芏暡な堎である。私はその堎のファシリテヌションを担圓した。
    圓日の課題は明確だった。限られた時間で、参加者の声を「聞いた」で終わらせず、これからの゜ヌシャルセクタヌ像の玠描たで、その堎で届けるこず。
    通垞、200人芏暡で意芋を吞い䞊げお構造化しようずするず、圓日のグルヌプワヌク→事務局が埌日テキスト化→分析→次回返华、ずいう1〜2ヶ月のルヌプになる。私たちはそれを、その日のうちにやろうずした。
    仕掛けは、2幕構成だった。

    第1幕未来新聞。
    「5幎埌、自分のNPOはどんな芋出しで、どの媒䜓に取り䞊げられおいるか」——その架空の蚘事を、各団䜓の経営者に曞いおもらう。媒䜓名、芋出し、本文、識者の声、メンバヌの声。Googleフォヌムぞの入力がそのたたAIに流れ蟌み、レむアりトされた「未来新聞」が即時にスラむドずしお返っおくる。経営者たちは、自分が描いた5幎埌ず、隣のテヌブルが描いた5幎埌を、同じ画面に䞊べお芋る。「あなたの5幎埌ず、私の5幎埌は、ここが䌌おいたすね」「ここは違いたすね」——察話が始たり、自分の団䜓の栞が、自分自身の蚀葉ではっきりしおくる。

    第2幕捚おたい残したい創りたい。
    未来新聞を螏たえお、これからのNPOが「捚おたいもの」「残したいもの」「新たに創りたいもの」を、各5項目ず぀曞き出す。続けお、新公益連盟ずしおの具䜓的アクション、自団䜓がこの1幎間で取り組むこずを入力する。AIがそれらを集玄し、ゞャンルごずに敎理しお、たた即時にスラむドぞ返しおくる。

    私は壇䞊から、AIが返しおきた論点を「これがいた䌚堎から立ち䞊がっおいる景色です」ず発衚しながら、次の問いを投げ盎しおいく。「『支揎するされる』ずいう䞊䞋構造を捚おたいず曞いた団䜓ず、『声なき声の可芖化』を残したいず曞いた団䜓が、それぞれにたくさんありたす。この二぀を繋ぐず、䜕が芋えるだろうか」——人間が䞀人で200人分の発蚀を頭に保持するのは無理だが、AIに保持しおもらえば、私は問いを立おるこずに集䞭できる。

    䞭身ずしおは、アヌトのラむブパフォヌマンスに近かった。経営者たちは、自分の手で曞いた蚀葉が、AIの敎理を経お、200人分の集合知ずしお目の前に立ち䞊がっおいく景色を、その堎で芋続ける。
    90分で、これからの゜ヌシャルセクタヌ像のたたき台が、参加者自身の蚀葉だけで立ち䞊がった。

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    出兞新公益連盟note

    終了埌、Design Nをリヌドしおいる代衚理事の小沌倧地さんから、ありがたい蚀葉をいただいた。

    これたでにないやり方で、加盟団䜓の声を挏らさず拟うこずができた、新しい時代に沿ったやり方だ

    ず。そしお、もう䞀぀、もっずありがたかった䞀蚀がある。

    これが、AIに詳しい誰かの仕事ではなく、政策や公共を真ん䞭で担っおきたKumanomicsず橋本さんの仕事だからこそ、アりトプットそのものに信甚が乗っおいる

    これは、私が䞀番蚀われたかった蚀葉そのものだった。
    ただ、ここで匷調しおおきたい。AIがファシリテヌションしたのではない。AIがやったのは、テキストの構造化ず、即時のスラむド化だけだ。誰がどんな衚情で発蚀したか、ある人が蚀い切らずに飲み蟌んだ蚀葉が䜕だったか、䌚堎の空気がい぀枩床を䞊げたか——それを読んでいたのは、私ず、Design Nプロゞェクトメンバヌの身䜓だった。第5回で曞いたGlass Rockの話ず同じ構造で、堎の空気を読むのは、最埌たで人間の仕事だ。

    そしおもう䞀぀、小沌さんの蚀葉が瀺しおくれたこずがある。AIの出力に乗る信甚は、AIそのものから来るのではない。その堎に立っおいる人間が、これたでどんな珟堎を、どんな速さでなく、どんな深さで歩いおきたか。その文脈そのものが、アりトプットの正圓性を支えおいる。AIは䟿利だが、AIだけでは、信甚は立ち䞊がらない。

    そしおこの新しい時代に、゜ヌシャルセクタヌはどう動けるか。コンパス2025の珟堎で、私はそのヒントを芋たず思っおいる。AIには、200人の経営者が抱える違和感を䞀気に拟い䞊げる力がある。だが、その先で「支揎するされるを超えた共創」「珟堎ず政策を぀なぐ翻蚳」「声なき声の代匁」ずいった、圌らが残したいず曞いた仕事を、それぞれの地域の暮らしに届けるのは、AIではなく圌ら自身の歩みだ。声なき声を「拟うずころ」たでがAIの仕事で、その声を抱えお誰かのもずに「届ける」のは、最埌たで人間の仕事である——これからの゜ヌシャルセクタヌの未来像は、たぶん、このシンプルな分業の䞊に立぀。

    AIは、人間がその仕事に集䞭するための、認知の䜙癜を䜜っおくれる。逆に蚀えば、空気を読む身䜓ず、長く珟堎を歩いおきた文脈を持たない人間が、AIだけで200人の堎をファシリテヌションしようずしたら、参加者は確実に「凊理された」ず感じお去っおいく。境界線は、ここにある。

    冒頭で私を黙らせたAIの問いは——「N=1の声を玠材ずしお消費する偎に回っおいないか」——たぶん、この境界線を私がい぀螏み越えおしたうかを、先回りで指しおいた。「やりがいがあった」ずいう蚘述の裏偎にある、その滑りやすさを、AIは芋おいた。
    冒頭でAIに突き぀けられた問い——「N=1の声を玠材ずしお消費する偎に回っおいないか」——ぞの、私の答えはこうだ。

    AIには、確かにN=1を玠材ずしお消費する偎ぞ人間を匕きずる重力がある。深倜の曞斎で、自分の独り蚀が200人の発蚀ず同じ「テキスト」ずしお扱える䟿利さは、珟堎の手觊りを抜く速床で進む。

    ただ、AIには逆の力もある。個人の独り蚀ずいう、これたで誰にも届かなかったN=1を拟い䞊げお自分自身に返す力。䌚堎の200人の発蚀ずいう、これたで集玄に1ヶ月かかっおいたN=1の総䜓を、その日のうちに本人たちに返す力。AIだからこそ、N=1の声は、これたで以䞊に倚く、深く、拟える。
    二぀の力は、䞡立する。だから問題は、AIで䜕を拟うかではなく、拟った先で䜕をするかだ。拟ったN=1を玠材ずしお消費しお終わるのか、それずも、拟った声を片手に、靎を履いお珟堎に立ち戻るのか。境界線は、行動の偎にある。


    AIで倉わるもの倉わらないもの

    ここたでの話を、自分ぞの敎理ずしお曞いおおきたい。AIで䜕が倉わり、䜕は倉わらないのか。

    倉わるものは、3぀ある。

    第1に、思考の速床。䞋絵を描く時間が、䜓感で10分の1になる。
    第2に、芖界の広がり。読み切れない量の参考文献を、芁点だけ䞊べおくれる。
    第3に、扱える情報量の桁。週末に、その週の自分の独り蚀をたるごず構造化できる人間は、AIなしでは存圚しない。

    私の生産性は、客芳的に蚀っお数倍になった。
    ただ、倉わらないものの方が、私には倧事だ。

    第1に、珟堎に立぀足。川厎町の高霢者の自宅の冷蔵庫の䞭を芋ないず、「魚が買えない」の意味は本圓には分からない。
    第2に、翻蚳の責任。行政の蚀葉を䜏民の蚀葉に、䌁業の蚀葉を行政の蚀葉に翻蚳する時、誀蚳の責任は人間が負う。AIは、責任を取れない。
    第3に、倫理的刀断。これは絶察にAIに枡せない。

    第2回のMVVを、AI時代に読み盎すずどうなるか。私は、こう曞きたい。AIに代替されない領域こそが、その人の創造性が宿る領域だ。誰かの机の前に座り、目を芋お、沈黙を䞀緒に過ごし、その人がただ蚀葉にできおいない違和感を䞀緒に掎む——この営みは、これからたすたす皀少になる。だからこそ、創造性の意味は、生産性ではなく手觊りの偎ぞ重心を移しおいく。

    私はAIを毎日䜿い、生産性を䞊げ続けおいる。そしお同時に、AIを䜿えば䜿うほど、珟堎に身䜓を運ぶ時間を枛らさないようにしおいる。この䞡立が、たぶん、私たちの䞖代の宿題だ。


    AIに「コンパクトにせよ」ず蚀われおも、私は急がない

    最埌に、川厎町の話に戻りたい。

    人口枛少は、極めお厳しい。䜏民は山あいの集萜に分散しお䜏み、町を瞊暪に走る路線バスは、䟿によっおは誰も乗っおいないこずがある。財政の面でも、行政には「いかにコンパクトにするか」ずいう重い決断が、珟実ずしお迫っおいる。これは決しお逃げおはいけない問いで、䜏民ずたっすぐ向き合いながら、説埗を重ね、進めおいく必芁がある。

    仮にこの町の諞条件——人口動態、財政、亀通利甚率、斜蚭皌働率——をすべおAIに読み蟌たせお「最適解を出しお」ず打おば、答えはおそらく䞀瞬で返っおくる。サヌビス拠点を集玄し、路線を畳み、機胜を䞭心郚に寄せる。論理的には、たったく正しい。AIの提案曞のドラフトは、明日にでも提出できる出来になるだろう。

    その提案を私は、急いで採甚したくない。
    なぜなら、その提案曞には、この町を自分の足で歩かないず出おこなかった景色が、䞀぀も映っおいないからだ。

    たずえば——元オリンピック遞手が、町の片隅に立ち䞊げたスケヌトボヌド堎がある。海倖からわざわざ聎きに来るファンがいる、ピアニストが䜏んでいる。100幎前に途絶えた「川厎茶」を、自分の手で再興させようずしおいる茶畑がある。間䌐材を゚ネルギヌ源ずしお䜿うクラフトビヌルを醞造しおいる人がいる。第3回で曞いた里山の宿「癟のやど」では、薪ず井戞氎で営む暮らしを、若い䞖代が地元の方々ず䞀緒に線み盎しおいる。

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    元オリンピック遞手が経営する廃校を掻甚したスケヌトボヌド堎"IKUTO"

    これらは、人口動態の衚からは出おこない。財政の芋通しの衚にも、亀通利甚率の衚にも、出おこない。AIに諞条件を枡すずき、私はそもそもこれらの掻動をデヌタずしお枡せおいない。AIに枡せるものに、圌らはいない。
    だから、AIの提案曞には、圌らの顔は映らない。圓然だ。

    第1回で私は、「Googleマップには映らない景色がある」ず曞いた。集萜の现い道、誰かの家の瞁偎、誰かの蚘憶の䞭にしかない堎所。AIの時代には、この䞀行をこう曞き盎したい。

    AIのアりトプットにも、映らない景色がある。

    しかも、それは欠陥ではない。AIに映らない景色こそ、ノマド政策家が珟堎に行く理由だ。

    「コンパクトにする」ずいう結論を急ぐず、圌らの掻動は、蚈算に乗らないノむズずしお凊理されおしたう。けれども、圌らこそが、この町の次の景色を䜜っおいく豊かな土壌そのものだ。だから私たちは、ただ「コンパクトにすべきか吊か」の二択ではなく、人の掻動量、気持ち、悲しみ、ただ蚀葉にならない垌望——その党郚を、耇雑なたた抱きしめる必芁がある。3歩進んで2歩䞋がるかもしれないけれど、䜏民ず、行政ず、倖から関わる䌁業ず、それぞれの芖点を持ち寄りながら、共に線み盎しおいく。そのプロセスそのものが、政策デザむンの本䜓だず、私は思っおいる。

    AIは、私の芋萜ずしを返しおくれる。AIは、200人の声を90分でたずめおくれる。AIは、ほずんど䜕でもしおくれる。だが、AIには、足音がしない。だから私は明日の朝も、靎を履いお川厎町に向かう。
    そしおこの「死角を指されながら、それでも自分の足で立぀」ずいう埀埩運動の䜜法を、私はある教宀で、時間をかけお叩き蟌たれた。10幎近く前、ニュヌペヌクでのこずだ。


    次回は、少し時間を遡りたい。AIに死角を指されながら、自分の䞍完党さず付き合っお前に進む——その䜜法を、私はどこで身に぀けたのか。10幎近く前、私は人事院の制床で二幎間の海倖留孊に出た。志望欄に「矎術倧孊」ず曞いた、31歳の話だ。教宀で䞀蚀も英語が聞き取れずに絶望し、最埌に「正解を速く出す」癖を手攟すたでの2幎間を曞く。


    線集埌蚘〜おのひら草子〜

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     この連茉の線集担圓、橋本みどりです。
     倫はい぀も朝ごはんを準備しおいる時、倕飯を䜜っおくれおいる時なんかに、今日あった出来事ずその時に考えたこずを声に出しAIに蚘録ゞャヌナリングしおいたす。顔認蚌のセットアップ時に3Dスキャンで色んな角床から顔をスキャンしたすが、そんな感芚なのでしょうか。そのせいで、倧䜓お料理は焊げおいるんですけど。笑
     AIが䟿利だずいうこずは誰しも知っおいたすが、自分でも気が付けなかった死角をAIに指摘される。そんな、他の知識をもった誰かず意図しお察話しなければ出来なかったこずが、1人でできおしたうのは凄い革呜ですよね。でも、やっぱりAIは道具なのだず思うこずが倚々ありたす。倫が倚忙なので私が代わりに文章の叩き台を䜜ろうずした時、倫のAIに蚘録されおいる蚀葉では倫の文章は぀くれたせんでした。結局、倫のAIは倫自身が䜿わないず真䟡が発揮できないのです。
     本文䞭に、AIが進化しおも倉わらないものずいう郚分がありたすが、私の本業・看護垫の仕事自䜓はたさにAIがずっお代れるものではないずは思い぀぀も、熟緎した粟神的関わりに぀いおは、膚倧な知識ず高床なコミュニケヌション胜力やメタ認知力が必芁なので、AIがずっお代われないほどの人は果たしおどれ皋いるのだろうかもちろん私を含めず、思ったり思わなかったり。最近は鬱憀が溜たるずAIに気持ちを吐き出すのですが、その返事は論理的な䞊に気持ちに寄り添い、䞋手な人間よりよっぜど人間味があっお私は助けられたりもするのです。
     この前ニュヌスで、化孊の実隓はAIにより効率化され䞀気に研究が進むだろうず蚀っおいたした。でも倱敗や偶然から発芋されるこずもあり、人が手䜜業するこずも倧事なのではずいうコメンテヌタヌの意芋が印象的でした。
     デスクワヌクはAIに任せれられる時代、今たで以䞊に人がいかに『人ずしお思考し掻動できるか』が重芁になるのだず、倫の話を聞いお日々思いたす。看護孊校で「患者さんが亡くなった時泣いおはいけないず教科曞にもあるけど、私は泣いおいいず思いたす。」ず涙ながらに話しおくれた先生の授業が、今の私にも匷烈に刺さりたす。たさにこれはロゞックではない人間的な思考だし、結局それが人を動かすず感じたす。
     この『いかにも人間的な感芚』を我々倫婊は倧切にしおいきたいです。

    ノマド政策家の劻 橋本みどり より

    政策×ビゞネスの共創プロゞェクトのご盞談は、以䞋にご連絡ください。

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    橋本 盎暹はしもず なおき

    株匏䌚瀟Kumanomics 代衚取締圹ノマド政策家
    東京倧孊法孊郚卒業埌、経枈産業省に入省。囜家公務員ずしお初めお矎術倧孊院に留孊。米囜パヌ゜ンズ矎術倧孊におMFA矎術孊修士号を修了。垰囜埌、知的財産暩により瀟䌚課題を解決する「特蚱庁 I-OPENプロゞェクト」の立ち䞊げなどに携わり、2023幎に同プロゞェクトでグッドデザむン賞を受賞。2024幎、株匏䌚瀟Kumanomicsを蚭立。組織の枠を越境する「ノマド政策家」ずしお、䌁業ず行政が共創し、ビゞネスず政策を䞀䜓でデザむンするプロゞェクトを倚数手がける。その他、虎ノ門ヒルズGlass Rock共創コヌディネヌタヌ、東京倧孊公共政策倧孊院 非垞勀講垫などを務める。
    Web: https://kumanomics.jp/

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