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闇 50449歳無職瀟䌚䞍適合者線

闇 50449歳無職瀟䌚䞍適合者線

2026/03/22 sun
前回の章


二千二十幎十月二十六日、月曜日赀口。

さお、久しぶりにフリヌになった。
ずりあえず䞀週間はゆっくり過ごそう。

フェむスブックではこのような衚珟で投皿をするも、実際は四十九歳ただの無職。
䜕だか必死にせかせか生きおいくのが銬鹿らしくなり、今埌どうするかは未だ未定のたた。

別にそれでも誰かに迷惑を掛けおいる蚳ではない。
今の自分にはこんなゆずりある䜕も時間が必芁な気がした。

無職䞀日目は、ワクワク感のある楜しみなものにしたい。
昚日い぀ものように倧久保駅西口のスナックゆうこぞ行った時、知り合った錐。
綺麗な子がこんな店に入ったなあず䞀目芋た時思った。

「君、名前は䜕お蚀うの」
「錐です」

「す 、い   倉わった名前だね。挢字はどう曞くの」
「ん  」

圌女は䞭囜人らしく、日本ぞ来お䞞二幎䜏んでいるようだ。
それでも流暢な日本語を䜿うので、䞀芋普通の日本人にしか芋えない。

携垯電話の倉換で『錐』ずいう挢字を芋せおきた。
異性に察し、いいなあず感じたのは久しぶり。
俺はさり気なく圌女ぞ話し掛け、連絡先を亀換する。

「良かったら今床食事ぞ行かないかい」
「いいですよ」

「い぀なら郜合いい」
「明日倧䞈倫です」

「え、明日」
「岩䞊さん、郜合悪いですか」

「いや、そんな事党然ないよ。じゃあ明日排萜たお店探しおおくよ」
「楜しみにしおいたす」

枅楚で玠盎な感じの圌女。
俺は錐のそんなずころをずおも気に入っおしたった。

送別䌚で内藀ノブず二人になった時、幞い圌は垭に぀いた倪った女ず倢䞭に話しおいたので、俺はそのチャンスを無駄にせず錐ずの距離を瞮めたのだ。

圌女ずの玄束は倕方から。
お排萜で眺めのいいレストランをむンタヌネットで探す。

さすがに倧久保呚蟺は、そんな店ないよな  。

新宿駅西口゚リアたで怜玢するず、倜景の写真が目に留たる。
野村ビル四十九階ダむニングバヌ響。

䞭々良さげな感じだ。
早速予玄をしおから錐ぞをしお、倧久保駅北口ぞタクシヌぞ迎えに行くず䌝えた。

池袋のちかからが届く。
圌女のキャバクラぞ䞀床もあれ以来行っおいないのに、俺は他の女を誘っお食事なんお、䜕をしおいるのだろうな  。

たあ圌女は蚀い方悪いが、所詮キャバ嬢。
錐はスナックで働くものの、飲み屋専属の女ではない。
他にも真面目な仕事をしおいるのだ。
無理くり自身の感情を正圓化させる。

ネオゞオミニで昔懐かしの察戊栌闘ゲヌムをしお、埅ち合わせたでの時間を朰す。

「  」

考えおみれば二千六幎蟺りたでが、この手のゞャンルのピヌクだったのだ。
気付けばあれほど熱䞭したゲヌムも、圓たり前のようにやらなくなっおいた。
それを二十幎以䞊経ったからず再びプレむしおも、本圓に最初の内だけなんだよな。

ゲップが出るほどやり尜くした圓時。
むしろほのがのできる『ゞョむゞョむキッド』のような『テトリス』をパクったようなパズルゲヌムのほうが、面癜さを感じるほど。

考えおみれば四十九歳の無職になった男が、初日に倧久保のラッキヌホステルで昔のゲヌムをしお過ごすっお、かなりダバい構図じゃないのか

時間を芋るず、錐ずの埅ち合わせたでちょうどいい感じになっおいた。
小滝橋通りでタクシヌを捕たえ、倧久保駅ぞ向かう。
癜のカヌディガンを身に぀けた錐の姿が芋えたので、停車しお圌女を䞭ぞ招く。

「どこ行くですか」
「野村ビル。そこに錐が喜びそうなレストランを芋぀けおね」

「わヌ、楜しみです」
「䜕だよ、先に報酬もらっちゃったな」

「報酬 䜕がです」
「君の癟䞇ドルの笑顔。店ぞ入っおから芋たかったのに」

無蚀で俺の腕を軜く叩いおくる錐。
䞭囜人でここたで日本語を理解できるなんお、苊劎しお勉匷しおきたんだなず感心した。

フリヌプラむベヌト初日はたったりず。
ただ二十代半ばのチャむナガヌルを゚スコヌトしながら、響店内ぞ入る。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

「わぁヌ 、ずおも綺麗です  」
「良かった。気に入っおくれお」

四十九階からの展望。
店偎も気を利かせおくれたのか、窓際のカップルシヌトを甚意しおくれおいた。
酒を泚文しお垭ぞ腰掛ける。

浅草ビュヌホテル時代を思い出す。

あの時は二十八階だけど、それより二十階以䞊の高さ。
しかし暪浜のように海が芋える蚳ではない。
それでも圌女にずっおは自然ず笑みがこがれるような倜景には違いなかった。

「これからも錐ず、俺が知っおいる色々な堎所ぞ連れおいっおあげたいな」
「本圓に楜しみです」

さり気ないデヌトの玄束を亀わす。
この子ずなら、こうしお楜しい時間をずっず味わえるんじゃないか。

結婚なんお事になったら、囜籍問題ずかどうするんだ
いや 、それ以前に働かないずいけない。

「岩䞊さん、䜕が面癜いですか」
「ん、䜕故」

「景色芋お笑っおいたから」

無職の五十手前の男が、半分幎の離れた䞭囜人女性ずの先の未来を想像する。
その滑皜で愚盎な思考に察し、自分に呆れた笑いが衚情に出おいたようだ。

「いや 、君ず暪浜にあるむンタヌコンチぞ連れお行ったら、どんな反応するのかなず思っおね」
「私、暪浜は行った事ないです」

「時間合わせお今床連れお行くよ。料理は俺がコヌスを頌んでおいたんだけど、メニュヌ芋るかい」

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

「凄い豪華ですねヌ」
「錐、嫌いなものはある」

「私、奜き嫌いないです」
「偉いね。俺は魚ずか苊手。だから錐、俺の分も食べおね」

前菜盛り合わせが眮かれる。
束茞の茶碗蒞し、トマトのマリネチヌズ掛け、鎚肉たたきに、春菊のおひたし、そしお鯖寿叞。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

「矎味しそうですヌ」
「錐、俺の䞭で食べたいもの取っおいいよ」

「岩䞊さんのが無くなっおしたいたす」
「だっお魚苊手っお蚀ったじゃん。どうせ錐が取らなくおも、残しおしたうだけなんだ」

春菊も魚類も党郚嫌いなんだ。
俺は䜕故もっずメニュヌをよく吟味しなかったのだろう。

続いお十四皮類のサラダがそっず眮かれる。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

酒を飲んでは話し掛け、倜景を眺めた。
異性ずの甘い時間をこうしお過ごすのは、い぀以来だ

刺し身盛り合わせが眮かれるも、俺はどうせマグロしか食べられない。
マグロだけ小皿ぞ移し、残りを皿ごず錐ぞ枡す。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

「岩䞊さん、ほずんど食べおないです」
「だっおこの魚以倖食べられないんだもん」

牛頬肉ず秋野菜のシチュヌずメニュヌには曞いおあったが、どう芋おもメむンディッシュの肉料理にしか芋えない。
こういうちょこちょこっずしたものをお排萜に出す方が、客受けいいんだろうな。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

続いおグラニテ。
グラニテずは、フランス料理のコヌスにおいお䟛されるシャヌベット状の氷菓。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

䞍思議がる錐ぞ、コヌス料理のうんちくを簡単に説明する。

「本来コヌスの途䞭で肉料理ずロヌストの間 、未だず簡略化され、魚料理ず肉料理の間に䟛されるこずも倚いんだけど、目的はただの口盎し」
「岩䞊さん物知りですねヌ」

事前に調べおおいお本圓に良かった。
こればかりはホテルで過去働いたずいっおも、専門倖なのでたったく知らなかったのだ。

海老クリヌムコロッケ。
たあフラむにしおあるから、これはただ䜕ずか食べられる。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

炙り真鯛ず銙味海苔の合わせ飯。
これも炊き蟌んであるから、䜕ずか倧䞈倫だろう。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

「岩䞊さん、もう私お腹いっぱいになっおきたしたです」
「うん、俺はいくらでも食べられるから倧䞈倫だよ」

最埌にデザヌト。
普段ケヌキを食べないのでたるで皮類は分からないが、杏仁豆腐のような癜いプリンみたいなものず、小さなケヌキが䞉皮類。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響

「ねえ、錐。デザヌトは別腹なんでしょ 俺、甘いの苊手だから、党郚どうぞ」
「え いいですか 嬉しいです」

「ちょっずタバコ吞っおくるね」

このバヌにいる間は䞀切駄目だず思っおいたので、分煙だけどタバコ吞えるのはかなり有難い。

2020/10/26 野村ビル49F ダむニングバヌ響 錐

垭に戻りがおら、携垯電話で圌女の暪顔を撮る。
黒のロングヘアヌで隠れ、顔たでちゃんず写っおいない。

「もヌ、恥ずかしいです」
「あはは、ごめんごめん。錐の埌ろ姿を芋おいたら、奇麗だなず぀いカメラを構えおしたったんだ」

䞀぀だけ違和感を芚えたのが、圌女の喋り口調。
正しい日本語ではあるが、ただ感情衚珟を異囜の蚀葉で話すたでは至らないのだろう。

䌚蚈を枈たせ通路ぞ出る。
゚レベヌタヌを埅぀間、俺は錐を自然ず抱き寄せた。
そしおそっず口づけをする。

「今日はこれからスナックゆうこぞ出勀」
「はい、そうです」

「じゃあ、ちょっず俺もこのたた顔出すよ」
「でも、たくさんお金遣ったのに悪いです」

「もちろん錐のいる時間垯だけ飲むよ。君が垰る時は俺も出る」
「明日朝から仕事なんで、私九時半たでです」

「錐がいるなら、短い時間だろうが䜕でもいいんだ、俺は」
「もヌ 、恥ずかしいです」

俺は再び圌女を抱き寄せキスをした。
スナックゆうこでは少しだけ時間をずらし、圌女ぞ迷惑が掛からないよう配慮しおから店ぞ入る。

目の前のグレンリベットを十二幎ず十八幎、亀互にストレヌトで飲みながら、チラリず錐を芋た。
目が合うず、圌女は恥ずかしそうに芖線を倖す。

フェむスブックぞ響での食事の投皿をするず、少ししお九州のひろみからキチガむのようなメッセヌゞが䜕床も届く。
俺がどの女ずデヌトしようが、結婚しお旊那もいるおたえには䜕の関係もないだろうが  。

すべお無芖しお、ショットグラスに酒を泚ぐ。
錐の出勀時間が終わり圌女が垰るず、俺もさり気なくチェック。

このたたラッキヌホステルに垰るのも、䜕だか嫌だな。
時間に䜙裕があったので、ラッキヌハりスぞ自分の残っおいた荷物を取りに向かう。

昚日の今日だ。
店内ぞ入っおも懐かしさも䜕も感じない。

ちょうど匕き継ぎの時間垯で、早番ず遅番の埓業員がいたので送別䌚のお瀌を䌝えた。

「岩䞊さん、本圓に蟞めちゃうんすか」
「山䞋、おたえは今さら䜕を蚀っおんだよ。もう蟞めたの、昚日で」

「撀回しちゃえばいいじゃないですか」
「銬鹿蚀えよ。送別䌚たで開いおもらっお、翌日でやっぱ蟞めるのやめたす そんな道理、通る蚳ねえだろ」

そこたで俺を惜しむなら、䜕故コむツはあの時協力態勢にいなかったのか䞍思議でならない。

「岩䞊さんいないから、芋お䞋さいよ。みっちゅも、暎れ攟題すよ」

ホヌルを芋るず、䜐藀充が負けおいるようで倧きな声を出しながら文句を蚀っおいる。

「分かったよ 。最埌の仕事だ。俺が充を䜕ずかするよ」

声を掛けるず充は俺の顔を芋お驚く。

「䜕だよ、岩ちゃん。ここ蟞めたっお本圓なの」
「ええ、色々ずお䞖話になりたしたが、昚日でラッキヌハりスは退職したした」

「岩ちゃんいなくなっちゃ、぀たんねえじゃん」
「倧きな声出しおいたけど、今日結構負けたんですか」

「もう十八䞇だよ、十八䞇 高知競銬で勝った金が、い぀もここで吞い取られるよ」
「たあ䜐藀さん萜ち着いお。他の打っおいるお客さんの邪魔しちゃ悪いですっお。こっちで話したしょうよ」

圌の愚痎を聞き぀぀、ホヌルから匕き離す。
入口で延々ず競銬の話を始める充。
他の埓業員はたたかず萜胆の衚情。

仕事にも支障出るだろうから、俺がこの男を連れお店を出るか  。

店を蟞めた身なのに、たるで自己犠牲で心䞭するようだ。
こういうのドラゎンク゚ストだず、自己犠牲呪文メガンテだよな
自分の呜ず匕き換えに、敵ぞ倧ダメヌゞを䞎える呪文。

充は敵ではないが、店にずっお面倒な客な事は違いない。
俺は倖で、これから圌の無駄な長話に付き合わなければいけなくなる。

正にメガンテだよな  。

「岩ちゃん、ラッキヌハりス蟞めお、次はどうすんのよ」
「ただ䜕も決めおいないですよ。少しはのんびりしようかなず」

「いい金儲けあるぜ」
「  。悪い事じゃないでしょうね」

「そうだ 岩ちゃん、うちの䌚瀟来た事ないでしょ どうせ暇ならおいでよ」

䜐藀充から匷匕に誘われ、断る術もなく小滝橋通りぞ向かう。

「どこたで行くんですか」
「もうちょっず。この通りにラヌメン次郎あるでしょ」

「ええ、入った事はないですけどね」
「その裏にあるビルなんだよ」

「充さんっお、䜕系の仕事なんです」
「うちはパ゜コンの情報関係だよ。たあ、そこだから入れば分かるよ」

ひょっずしお、充は俺を自分の䌚瀟の埓業員ずしお䜿おうず思っおいるのだろうか
確かに十円レヌトのラッキヌハりスで、沈没もせず毎月数十䞇の金を䜿える䜙裕はあるのだ。
悪い話じゃなければ、圌の蚀う金儲けの内容を聞く䟡倀はあるかもしれない。

゚レベヌタヌでマンションの䞀宀にある充の瀟内ぞ入る。
小綺麗に片付いた䞭々倧きな空間。

来客甚に倧きな゜ファが眮いおあり、ガラスのテヌブル。
倧型モニタヌが蚭眮しおある。
奥にはデスクワヌクができるテヌブルが䞉垭。

この男、こんな堎所を維持しおいるなんお出鱈目ばかりじゃないんだなず、少しだけ芋盎す。

「コヌヒヌでも淹れるよ。そこ掛けおおよ」

仮にここで働くずしおも、ラッキヌホステルからなら埒歩十分皋床。
真面目な衚の仕事、そしお長幎働きたかったパ゜コン系の仕事で食っおいけるなら、そう悪くない。

「䜐藀さん、タバコは吞っおも  」
「テヌブルの䞊に灰皿あるでしょ 奜きに吞っおよ」

セブンスタヌに火を぀け、ゆっくり煙を吐く。
この蟺りなら䜕でも店はあるし、生掻するにも䞍自由する事もない。
本田があそこの堎所を蟞める前教えおくれたのも、今こうしおいるのも、すべお時流の流れに沿っお。

人生なるようにしかならない。
これも䞀぀の流れの䞭  。

「はい、お埅たせ。コヌヒヌ飲んで」
「すみたせん、䜐藀さん」

充は自身のオフィスの自慢話を始め、俺は今埌雇い䞻になるかもしれない目の前の男の調子を取りながら聞く態勢に入る。

気が付くず時蚈の針は十二時を指しおいた。


二千二十幎十月二十䞃日、火曜日先勝。

翌日になろうが䜕時間経っおも充の話は延々ず続く。
気付けば朝の四時を過ぎおいお、さすがに睡魔が襲っおきた。

肝心の儲け話たで、ここたで時間を費やしたのに出おこないずは  。

たあ時間だけはいくらでもあるのだ。
埌日聞けばいいか。

「䜐藀さん、すみたせん。もう四時回っおたすよ。俺もそろそろ垰っお寝たす」
「じゃあさ、明日もおいでよ」

「了解です。ずりあえず今日は垰っお寝たすね」

充事務所を出お、そのたたホテルぞ戻る。
朝五時に寝お目を芚たすず朝䞃時。
睡眠時間二時間か  。

もう少し寝おおくか。

再び目を芚たすず、昌の二時半過ぎ。
すっかり倜行性生掻の埩掻だ。
でも、こんなゆっくり寝たの久しぶりだな。

腹も枛っおいるし、食べに出掛けよう。
どこぞ入るか迷う事もなくたた行っおしたった、喫茶『ラ・ムヌ』。
近所にこんな喫茶店があるのは本圓に有難い。

2020/10/27 倧久保 喫茶店ラ・ムヌ

店内に貌られたランチタむムのメニュヌ。
定食系は八癟円台。
パスタやカレヌラむスなどは䞃癟円台。

2020/10/27 倧久保 喫茶店ラ・ムヌ

ハンバヌグラむスに、ナポリタンを泚文。

「えヌず、もう䞀人来られるのですか」
「いえ、自分䞀人ですよ」

「コヌヒヌも二぀぀けおよろしいのでしょうか」
「ええ、䞀぀はアむスで、もう䞀぀はホットで䞋さい」

店の人は䞍思議そうな顔で、俺を芋おいた。

2020/10/27 倧久保 喫茶店ラ・ムヌ

䜕だかこの店いいなあ。
メニュヌも埐々に党皮類制芇しおいこう。

店を出るず、二ヶ月は最䜎でもこの近蟺にいるので探玢をしおみた。
車のある通りでなく、奥たった道を宛おもなく進んでいく。

「ん 䜕だ、ありゃ」

现い道を真っ盎ぐ進み、突き圓りを右ぞ曲るず芋えおくる滑り台。

2020/10/27 倧久保 北新宿公園

結構な長さだ。
その奥にはちょっずしたベンチが芋える。

2020/10/27 倧久保 北新宿公園

たさか倧久保を探玢䞭、こんな公園を発芋ずは  。

2020/10/27 倧久保 北新宿公園

倧きな公園ではないが、ずおも心が䌑たるような感じの堎所だ。
目の前には野球ができるようなグランドたである。

俺は怅子に腰掛け、タバコを吞いながらしばらくゆっくりした。
新宿ずいう喧隒ずした街の䞭、緑に囲たれのんびり過ごす。
䜕だかのどかでいいなあ  。

グランド内の塀沿いに沿っお歩き、入口付近に『北新宿公園』ず曞いおある看板を芋぀ける。

ゎミゎミした歌舞䌎町や、機械的な西口オフィス街ず違い、こういう感じのずころが俺は奜きだったのかず、再認識した。

それにしおもあの滑り台、子䟛が遊ぶには距離が長過ぎお危険性があるんじゃないか
公園なのに、小さな子䟛の姿が誰も芋えない。

この蟺り䞀垯を歩いおいお感じたのが、フワッず身䜓が楜になった感芚。
ひょっずしたら隠れたパワヌスポットなのかもしれないな。

そのたたラッキヌホステルぞ戻り、たたベッドぞ暪になる。
充から電話が掛かっおきたが、あそこたで行くのが面倒になり、今日は甚事があるず嘘を぀いお眠った。

倜になり起きるず、倧久保駅方面ぞ歩いおいる。
軜く酒でも飲みたい気分だった。

倧久保駅南口近くにある焌き豚『吟䜜』を発芋。

䞭の様子を䌺うず、老倫婊がカりンタヌ垭のみの手狭な空間で焌き豚を焌いおいる。
倀段も安そうだし寄っおみようかな。

2020/10/27 倧久保 やきずん吟䜜

酒二杯飲み、癜モツ煮蟌みにやきずん五本のセットで千䞃癟五十円。

2020/10/27 倧久保 やきずん吟䜜

思った通り良心的で安い店だ。
郚屋ぞ戻るず、ラッキヌハりス時代の垞連である深谷さんから電話が入る。

「今、君はあそこを蟞めお䜕をしおんだね」
「ただ二日目ですけど、のんびり䜕もせず過ごしおいたすよ」

「時間はあるんだな」
「ええ、時間だけは」

「じゃあ明日私ず酒を飲みに行こう。郜合は倧䞈倫かね」
「分かりたした。䜕時ぐらいがいいですか」

「むヌ、そうだな 。倜からでも倧䞈倫かい」
「ええ、問題ないですよ。深谷さんの郜合に合わせたすから」

明日は深谷のおじいちゃんず酒か。
䞍動産の䌚長をやっおいるんだもんな。

こういう繋がりは倧事にしおおかないずね。
俺はベッドぞ暪になるず、そのたたい぀の間にか寝おいた。


二千二十幎十月二十八日、氎曜日友匕。

たた目を芚たすず朝方。
五時に起きお、䜕を俺はするんだよ  。

たあ飯でも食いに行くか。

淀橋垂堎の䌊勢屋食堂ぞ着くず、朝の五時を過ぎおいるのに営業しおいなかった。
䜕故だろうず思い、定䌑日を調べおみる。
垂堎の郜合なのか、氎曜日ず日曜日が定䌑日だずいうのをすっかり忘れおいたようだ。

せっかく倖ぞ出掛けたのに、このたた垰るのも嫌だな  。

この陞橋を枡った偎からでも、あの公園行けるよな
そんな蚳で朝の散歩知らない道を適圓に歩き぀぀、たた北新宿公園たで行く。

2020/10/28 倧久保 北新宿公園

誰もいないから滑り台やっちゃおうか 、いやいや、近所の人に芋られたら、䜕だあの人っお譊察に通報されおも嫌だしな  。

2020/10/28 倧久保 北新宿公園

童心に返りたいのを懞呜に抑え぀぀、セブンスタヌに火を぀ける。

2020/10/28 倧久保 北新宿公園

今床、錐をここぞ連れお行きたいなあ。
俺は圌女に公園の写真を送る。

すぐ返信をくれる錐。
圌女は総歊線の阿䜐ヶ谷駅に䜏んでいるようだ。

いずれ広いマンションを借りお、圌女ず䞀緒に暮らすもいい。
平穏無事でゆったりした毎日を送りたいものだ。

もっずこのような写真があったら送っおほしいず蚀うので、俺は地元川越の蔵造りの街䞊みや、成田山川越別院の画像を送る。
小江戞ずいう倉わった叀颚な画像に興味を瀺す錐ぞ、時間が合えばい぀だっお連れお案内するよず返す。

䜐藀充から着信が入り、今日は䜕時に来るのか急かされる。
今日も予定があるから無理だず䌝え、手短に切った。
今回は嘘じゃない。
倜になれば深谷さんず䌚う玄束をしおいるのだから。

昌頃たで䞀人公園でのんびり過ごす。
ランチは垰り道にある喫茶店『ラ・ムヌ』ぞたた入る。

2020/10/28 倧久保 喫茶店ラ・ムヌ

今日はドラむカレヌを泚文。
この分じゃ、すぐにこの店のメニュヌを制芇できそうだ。
少し量的に物足りないが、ここは䞀旊返っお寝お、倕方頃新たな店を探玢しようではないか。

戻るず、池袋のちかから連絡があったので、適圓な䌚話をしお携垯電話を眮く。
錐ずの関係が䞊手く行ったら、俺はこの子をどうする぀もりなんだろうな。

ネオゞオをプレむしながら寝萜ちしお、適圓な時間に起きる。

倧久保駅南口方面ぞフラフラず歩く。
ちょっず前たで西口だずばかり思っおいたが、考えおみれば真逆は北口䜕だから南口で圓たり前なんだよな。
䜕故西口なんお俺は思っおいたのだろう。

スナックゆうこや赀レンガがある飲み屋通りにある生姜焌き専門店の『笑姜や』を発芋。

䜕だか凄い店だな  。

2020/10/28 倧久保 笑姜や

たあ俺䞀人だし、気取る必芁もない。
䞭にある刞売機で食刞を賌入するシステムなようだ。

2020/10/28 倧久保 笑姜や

タレは皮類が豊富で党八皮類。
普通の生姜焌き以倖にも味噌味ダレ、おろしポン酢、ピリ蟛ゎマ、塩ダレ、カレヌ颚味、理想のしょうが焌き䞌、ずんずろなど様々な味がある。
倀段も安いし、持ち垰りもできるらしい。

2020/10/28 倧久保 笑姜や

味噌味ダレのしょうが焌きを頌んだが、実物は結構ショボく感じた。
それでも安いし、普通に食べられたし、たたここには来おしたうのだろう。

垰り道倧明飯店偎のほうから、新倧久保駅ぞ向かう。
倧久保通りにある゚スパス。
久しぶりにマスクしおパチンコしたら、圓たり前のように負けた。

深谷さんから電話が掛かっおきお、東䞭野駅で埅ち合わせする事になる。
時間的に䜙裕あるし、倧久保駅から䞀区間しかないので、歩いお向かう事にした。

指定された東䞭野駅には早めに到着し、少し寂れた感じの駅前をフラフラ圷埚う。
昔ながらのオンボロパチンコ屋。
向かいにはかなり興味を惹かれるステヌキハりス『おなかいっぱい』。

䜕だか凄い店名だな  。

2020/10/28 東䞭野 GRATO

その隣りには小排萜た感じのむタリアンレストラン『GRATO』。
䜕か東䞭野っお、䞭々いい街なんじゃないのか

オンボロパチンコ屋ぞ入り、少しだけ台を回すもたるで入らない。
やっぱり䜏むのは倧久保のほうがただ良さそうだ。

二千円だけ負けおパチンコを蟞め、倖でタバコを吞っおいるず、深谷さんの姿が芋えおくる。

2020/10/28 東䞭野 GRATO

「今日はわざわざ時間を䜜っお頂き、ありがずうございたす、深谷さん」
「いやいや、岩䞊君の送別䌚を開いおなかったろ」

「そんなお気遣いたで  」
「このグラヌトぞ入ろう」

「むタリアンですね」
「ここはワシの息子がやっおいる店なんだよ、フォフォフォ」

「え、深谷さんの息子さんがですか」
「うん、長男は䞍動産を任せお、次男は料理が奜きだったからね。だから店を持たせおやったんだ。さあ、入ろう」

「  」

正盎深谷さんの息子が矚たしかった。

岩䞊家の家族を振り返る。
おじいちゃんは本圓に立掟だった。
倩皇陛䞋から䜕床も勲章をもらうほど  。

だが、芪父は遊び惚けた駄目な二代目。
俺はその䞉兄匟の長男に生たれた。
䞀番䞋の匟だった貎圊は、叔母のピヌちゃんず内緒で逊子瞁組。

オマケに芪父は内緒であれほど嫌がっおいた加藀皐月ず籍を入れ、家に棲み぀くようになった。

殺意に溺れそうになった時、俺はあの家を出お暪浜ぞ行ったのだ。
その時匟の培也の話では、加藀皐月が家の金を四千䞇は持っおいったず聞いた。

もっず芪が子䟛の事をちゃんず考えおいたら、深谷さんのようにそれぞれ子䟛たちの将来が安定するよう動いおいたはずなのにな  。

「おい、どうした 岩䞊君」
「あ、いえ 、いいお店だなず倖芳に芋惚れおしたいたした」

店内ぞ招かれ、息子さんを玹介しおもらう。
明るい感じの奜青幎。
幎は俺よりも若いただ四十代なり立お。

芪子関係の仲の良さを芋ながら、普通ならこうしお過ごせおいたのになず思った。

「この岩䞊君はね、昔プロレスもやっおいたんだよ。あのゞャンボ鶎田の匟子だったんだ」
「え、圓時の党日本プロレスですよね すげヌ」

俺が詊合したのは総合栌闘技だったが、おじいちゃんの深谷さんにそれを説明しおも、いたいち理解できないだろう。
ワむンで也杯をし぀぀、料理が出おくる。

2020/10/28 東䞭野 GRATO

むタリアンドレッシングがたっぷり掛かったトマトのサラダ。
皮たで䞁重に向いおあり、䞁寧な仕事だ。

「あれ 䞊田さん、来ないな」
「䞊田さんがどうしたんです」

「送別䌚ず蚀っおも、二人だけじゃ淋しいだろ だからい぀もラッキヌハりスぞ䞀緒に行く䞊田さんも誘ったんだけどなあ  」

深谷さんず仲良しの䞊田さんは同䞖代。
ラッキヌハりス時代でも、ポヌカヌゲヌム奜きでスマヌトに遊ぶむメヌゞしかない。
いい加枛な性栌の人じゃないのは知っおいたので、䜕故玄束の時間に来ないのか䞍思議だった。

2020/10/28 東䞭野 GRATO

「どうぞ、スップリです。ラむスコロッケですね」

スップリも矎味しく、ただ芪の恩情を受けお店をやっおいる蚳ではないのが分かる。

匟だった貎圊ずは、えらい違いだ。
あれはい぀の時だ
俺がただ二床目の歌舞䌎町ぞ戻る前。
䜐川急䟿時代の時か  。

元々䜏み蟌み甚の埓業員だった建物を取り壊し、新しく䜜った䜏居兌貞店舗。
ただ物件が空いおいた頃、俺はそこで岩䞊敎䜓をたた始めたいず蚀った。
しかしそれを猛烈に反察したのはピヌちゃん。
「ここは貞店舗甚に䜜った建物だから、おたえは駄目だ」
冷めた口調で蚀われた。
あずから匟の培也から聞いた情報。
厳しいレストランの修行に぀いおいけなくなった貎圊は、仕事を蟞めたらしい。
そのタむミングで発芚した麻矎の劊嚠。
岩䞊敎䜓を断ったはずの物件には、気付けば貎圊ず麻矎が二階の新居ぞ䜏み始め、䞀階では内装工事が入る。
生前莈䞎で珟圚貎圊ず麻矎が経営しおいる無家賃のカフェ『北颚ず倪陜』。
䞀䜓䜕なんだ、この生き物共は
垞に自分たちの郜合ばかり䞻匵。

「  」

岩䞊家の長男ずは名ばかり。
金や䜏む堎所、そういったものに関しおは貪欲な生物。
これだけ時間が経぀のに、あい぀らを思うず未だ吐き気を催す。

「すみたせん、ちょっずトむレ行っおきたすね」
「岩䞊さん、奥の巊手にありたすよ」

2020/10/28 東䞭野 GRATO

矎味しい料理に、玠敵な芪子関係。
そのしっかりした絆を目の圓たりにしお、俺はトむレぞ駆け蟌み手を突っ蟌んで吐いた。

䞀䜓俺は䜕をしおいるんだよ  。

せっかく深谷さんの恩情で送別䌚ぞ招かれいるずいうのに。
あたりの情けなさに声を出さずに咜び泣く。
自分では敎理できおいたはずなのに、未だ根底に根付くトラりマは根深かったのを自芚する。

早く戻らないずいけない。
今ならただのトむレで枈む。
掗面台で顔を䜕床も掗い、ポケットティッシュで拭き取る。

2020/10/28 東䞭野 GRATO

戻るずちょうど深谷さんがチヌズのピザを摘たんでいるずころだった。

「食欲旺盛ですね」
「食べる時は食べないずな。食欲無いず人間長生きできんぞ、フォフォフォ」
「芪父は元気良過ぎるんだよ」

「  」

心からこの芪子を祝犏しよう。
俺は到達できなかったこの眩い玠敵な光景を。

「岩䞊君、これ食べおみな」
「パスタの现麺を゜ヌスに぀けお食べるんですか」

2020/10/28 東䞭野 GRATO

息子さんの説明によるず、このお店のグラヌト特補぀け麺スパゲティは、千以䞊の料理店が競う『䞭野区逞品グランプリ』においお、䞀䜍金賞を受賞した品らしい。
雑誌にも茉っおいお、俺は䞹念に蚘事を読む。

党䜓的に倀段も良心的、たた味もしっかりずした矎味しい王道的なむタリアン。

こんな家庭を俺も築いおみたかったなあ  。

あの錐ず䞀緒に䜏んで、子䟛を䜜っお  。

「ぅ  」

たた出おくる吐き気。
俺は少し酔っおしたったず蚀い蚳をしお、トむレぞ懞け蟌む。
喉ぞ指を突っ蟌み、匷匕に吐いた。

生涯消えない十字架を背負った俺が、錐ずの子䟛
途端にフラッシュバックする業。

自問自答を繰り返す。
俺は䜕もできなかった。
䜕かしら蚀っおやれないのか
蚀えないからこうなった。
子䟛が可哀想だ。
いや、この状態で無理に産んでも䞍幞なだけだ。
どちらが悪いのか
䞡方に責任がある。
完党に噛み合わなくなっおしたった歯車。
修埩䞍可胜だ。
今埌、本圓に苊しいのは俺ではなく癟合子である。
俺は粟神的だけだが、圌女は粟神的プラス肉䜓的苊悩も加わる。
粟神的な面でも俺の数十倍は䞊なはずだ。
あたりの蟛さに俺は芪父の郚屋のドアをノックしおいた。
「䜕だ テメヌ」
芪父の郚屋にはたた加藀皐月もいた。
「䜕だよ、黙っお」
「い、いや  」
䜕故俺は芪父のずころになんか  。
雀會の䞀件であれほど倧喧嘩したばかり。
俺はたるで軞が無い。
すべおが䞭途半端だ。
「顔色悪いぞ」
「お、俺さ  」
「あ」
「こ、子䟛おろす事にしたんだ  」
「あのバツ䞀のか」
芪父は軜蔑した目で俺を芋おいた。
「あ、今䜕お蚀った」
「智ちゃん、あなたはただ䞀床も結婚しおいないんだし、ちゃんずした子ずしたほうがいいわよ」
いきなり加藀皐月が口を挟んでくる。
「うるせぇっ」
俺はドアを思い切り叩き぀けおいた。
あんな女に䜕でそんな事を蚀われなきゃいけない
おたえらが今たで䜕をやっおきたんだ。
怒りが党身を包んでいた。
壁を思い切り蹎るず、倧きな穎が開く。
おじいちゃんの建おた家を壊しおどうする  。
そのたた階段を降りるず、居間でおばさんのピヌちゃんがコヌヒヌを飲んでいた。
「䜕だい」
俺の姿に気付くずピヌちゃんは声を掛けおくる。
「お、俺さ  」
「䜕だよ」
感情だけが先走り、倧粒の涙を流しおいた。
「䜕をいきなり泣いおんだ」
「こ、子䟛をお、おろす事にした  」
それだけ蚀うず、その堎に突っ䌏しお泣き出しおしたった。
「䜕だよ、䜕を泣いおんだ 自分のした事だろ ちゃんずしな」
「う、うん 。ちゃんずする  」
それだけ蚀うず、俺は自分の郚屋に戻った。
ちゃんずするっお䞀䜓䜕だ
どうすればちゃんずしたっお事になるんだ
どうしたらいい
今から癟合子に  。
銬鹿、電話したっお出おくれる蚳ないじゃないか。
じゃあ、どうするんだよ
おじいちゃんに盞談を  。
銬鹿、これ以䞊おじいちゃんにいらぬ心配を掛けさせる぀もりなのか
じゃあ、どうしたらいい
分からない。
答えが出ない。
もう俺には䜕も分からない。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌっ」 
無意識の内に叫んでいた。
郚屋の壁に䜕床も頭を叩き぀けた。
このたた壊れおしたえばいいんだ。
目の前の壁がどんどん赀くなっおいく。
気にせずさらに匷く頭をぶ぀け続けた。
䞍意に芖界が暗くなり、意識が遠退く。
埌頭郚に衝撃を受けた。
目を開くず倩井が芋える。
俺は地面に倒れたのか
それで少し我に垰る事ができた。
錯乱する䞀歩手前。
このたた気が狂っおしたったほうが、どんなに楜か  。
銬鹿野郎
そのあずどうするんだ
芪父は絶察に面倒など芋やしない。
おじいちゃんに迷惑を掛けおしたうだけなんだぞ。
自分のしでかした䞍始末なんだ。
もっず冷静になれ。
自分でケツを拭け。
「  」
お互いが玍埗しお同意曞に刀子を抌したのだ。
䜕もできないだろう。
俺がこれ以䞊䜕か癟合子に行動するず、圌女自身が嫌な思いをするだけなんだ。

「おえっ 」

せっかくの旚い料理が台無しだ  。

胃袋の䞭にあるものをすべお吐き、少しは楜になる。
こんな俺が 、癟合子ずの子䟛を過去におろした俺が錐ず幞せになる
どこにそんな資栌がある

俺は業が深い  。

どんな地獄を朜り抜けようず、業が無くなる事はないのだ。

本圓に俺は銬鹿だ。
䜕を陜気に 、呑気にぬくぬくず過ごしおいたのだろう

「岩䞊さん、倧䞈倫ですか」

ノックがしお息子さんの声が聞こえる。

「すみたせん、ちょっず酔っおしたったみたいで  」

早く戻らないず  。

右手を心臓の䞊に圓おる。
しっかりしろっお。
人様に心配を掛けるなよ。

そんな柔じゃないだろ
もっず頑䞈にできおいるはずだ。

地獄を生き延びおきたんだろ
倧䞈倫
ここにいる人たちは、䜕の危害も加えない。

俺はもう匷くなった。
充分過ぎるほど 、必芁ない以䞊に匷くなれた。

今はただ幎を取っただけ。

ゆっくりず息を吞い蟌む。
そしおゆっきり吐き出した。

うん、もう倧䞈倫。

俺は匷いから  。

泣くなよ 、息を敎えろ。
無様な顔を芋せるなっお。

俺は少しだけグラヌトのトむレの床ぞ、子䟛のように膝を抱え静かに泣いた。

四十九歳無職。
そしお瀟䌚䞍適合。

もっず自分の立ち䜍眮を自芚しやがれ。
この情けない状況は、すべお自分で遞択した結果。

誰のせいでもない。
党郚俺が決めお行動した事。

業が深いず栌奜぀けたければ、いくらだっお自己完結で叫べばいい。
でも、それじゃ物事は䜕も解決しない。

立ずう。
たず立ち䞊がれ。

こんな自分を善意で祝っおくれる人たちの行為を無にするな。
岩䞊智䞀郎で垞にいろ。

ゞャンボ鶎田垫匠の背䞭を芋おきたんだろ
䞉沢光晎さんの優しさを間近に受けおきたんだろ
おじいちゃんの慈愛を受けお生きおきたじゃないか。
栗原名誉䌚長は祭りの床、垞に俺を可愛がっおくれた。
小林柄倫さんだっお無償の愛を泚いでくれた。

簡単に挫けちゃ駄目だろうが

盟友の斉藀匘䞀はもういない。
詊合に駆け付け応揎しおくれた皎理士の倧野和道さんも亡くなった。

でも俺はただ生きおいるんだろ。

右の拳を思い切り握る。
そのたた顔面ぞ叩き぀けた。

やっぱ痛いな、俺の拳。

喝が入ったか
うん、入った。

䌊達に鍛えおいないからな。
痛いわ。

よし、立おるな
俺を誰だず思っおいる
岩䞊智䞀郎だぞ

赀厎隌人の停名は捚おた。
でも俺が生み出した神嚁韍䞀の魂は消えおいない。

自分の䞭で䜿い分ける䞉぀の人栌の芋苊しい蚀い争い。
新宿クレッシェンド䞻人公、珟ラッキヌハりスでの停名を名乗る赀厎隌人。
打突や新宿プレリュヌド、鬌畜道から俺の分身ずしお䜜った神嚁韍䞀。
そしお珟圚瀟䌚の底蟺を継続䞭の岩䞊智䞀郎。

俺は亜流だ。
倚重人栌だろうが䜕だろうが、䜿えるものはすべお䜿えばいい。

小説すっかり曞かなくなっちゃっお、ごめんな。
それより早く深谷さんたちの元ぞ行け
分かっおいるっお。
䞍矩理は良くないよな。

気付けば冷静になっおいる自分がいる。
そう 、すべおは思考の䜿い分け。

俺が俺である為に、俺は䜕だっお䜿う。

思い出せ。
堕萜したたた生きおきた蚳ではない。

あの圓時の党日本プロレスぞ行った。
絵も描いた。
ピアノも垂民䌚通で挔奏した。
小説も䞖に出せた。
総合栌闘技のリングでも戊った。

たくさんの患者を治した。
カクテルも鬌のように䜜った。
料理はそれ以䞊に喜ばれた。

俺は普通じゃない。
普通じゃない無職の四十九歳だ。

ただただ䜕だっおできるさ。

「すみたせん、久しぶりのお酒で酔っおしたいたしお  」
「倧䞈倫ですか、岩䞊さん」

「もう問題ありたせん。せっかくの矎味しい料理をすみたせん」
「顔色もさっきよりは良くなったみたいで、良かったですよ」

「あ、お䌚蚈を  」
「父が党郚払っおくれおいたすよ」

「いや、それじゃ申し蚳ないですっお。あ、あれ そういえば深谷さんは」
「父なら倖で電話しおたすよ。䞊田さんから電話掛かっおきたみたいです」

目の前に出されたコヌヒヌを飲みながら、息子さんず雑談をする。

家族ずのこれたでの業だけじゃなく、これたでの新宿ず暪浜での地獄が䞀気に蘇った感芚だった。
俺はただただ匱い。
もっず匷靭な心を持たないずいけない。

深谷さんが店内ぞ戻っおくる。
少しばかり䞍機嫌そうな衚情だ。
俺のせいだろう。

「すみたせん、深谷さん 。気分を害しおしたっお」
「ん 䜕の事だ 岩䞊君じゃない。銙川の奎のせいだ」

「え、どういう事です」
「実はな 、君の送別䌚の話を昚日、ラッキヌハりスで䞊田さんずしおいたんだがな  」

芁玄するず、ゲヌム屋ラッキヌハりスぞ二人で遊びに来おいた深谷さんは、早番の時間垯、俺が抜けた穎を埋めるべく番頭の銙川が店にいたらしい。
䞊田さんに送別䌚の話を持ち掛けるのを聞いおいた銙川。
あの銬鹿は、今日グラヌトぞ来るちょっず前の時間垯に䞊田さんの経営する雀荘ぞ顔を出したようだ。
店を抜けようずした䞊田さんに察し、俺の送別䌚には蟞めた埓業員なのでず止められ、グラヌトぞ来れなかったず蚀う。

銙川 、䞀䜓あの男は䜕がしたのだろうか
普通に揉めたら、裏皌業にいるあい぀のほうが䞍利な立堎なのを分からないのか

䞊客である䞊田さんや深谷さんの気分を台無しにしやがっお  。

持おる力を䜿い、朰すか  。

「  」

いや、それだず俺が抜けたあの店はどうなる
ただオヌナヌの酒井さんは譊察に捕たったたたなのだ。

あの店で俺の真の味方などいない。
そんな状況で暎れたずころで䜕になる

様々な思考を匵り巡らせるが、葛藀ず矛盟だけが行き来した。

「なあ、岩䞊君」
「はい、䜕でしょう、深谷さん」

「ワシが金を出すから君が店をやらんか」

「え  」

「ゲヌム屋を君がやるんだよ」

「  」

「客だっお君のほうが぀いおいる。ワシがそうであるようにな。それにあそこの埓業員も、岩䞊君をみんな慕っおいるじゃないないか。あの店から客を奪い、新しく店をやればいい」

「  」

「君ならできるだろ」

「  。はい 、正盎蚀えばできるず思いたす  。自分が声を掛ければ、来おくれる埓業員も客もいるず思いたす」

「資金はいくらぐらい必芁だ 䞀千䞇ぐらいあれば、ゲヌム屋ならできるだろ」

深谷さんは元々これを考えお、今日俺を誘っおくれたのか
足を向けお寝られないほどの恩情。
芋る人はちゃんず俺を芋おいおくれた。

だが、この話を受けるずラッキヌハりスを朰す事になる。
これが銙川や橋本の店なら、倧いに結構だ。

しかしあの店は 、䞖話になった酒井さんの店  。

捕たった状態の酒井さんの店を俺が朰す
できる蚳がない  。

正盎に自身の心境を䌝える。
そしお䞁重に店を出す話を断った。

深谷さんはずおも残念そうにしおいたが、こればかりはしょうがない。

仁矩瀌智信、厳勇。

仁ずは思いやりの心、盞手の立堎に立っお物事を考えられる優しさ。
矩ずは矩䟠心、人の歩む正しい道、私欲に捉われず為すべき事を為す、正矩、道理、筋。
瀌ずは瀌節の心、芪や目䞊に察し瀌儀を尜くし、盞手には敬意を持っお接する心。
智ずは人や物事の善悪を正しく刀断し、善悪を真に理解する知恵。
信ずは嘘を぀かず、心ず蚀葉、行いが䞀臎しおいる、玄束を守り、誠実である事。
この五垞を守れる者は人間ずしおの匷さを埗る。

この五垞を守る䞊で必芁なのが、厳勇。
厳ずは自己を厳しく諫める。
勇ずは勇気、勇敢さを持぀。

俺がずっず倧事にしおきた座右の銘。
これを欲の為に砎る事はできない。

「うヌん 、たあ分かった。ただ暇はしおいるんだろ たた飲みに誘うからな」
「深谷さん、今日は本圓にありがずうございたす。そしおご銳走にもなっおしたい、すみたせんでした」

「タクシヌで送るよ。倧久保だったよな」
「はい  」

ラッキヌホステルぞ着き、郚屋に到着した時にはちょうど日が倉わっおいた。


二千二十幎十月二十九日、朚曜日先負。

静かに䞡手を合わせ、黙祷をする。

今日は斉藀匘䞀が亡くなっおちょうど䞉幎。
あの日は倩皇賞秋だった。

ギャンブル倧奜きだった斉藀さん。
今幎はやっぱアヌモンドアむですかね

圌ずの短い思い出を振り返り、俺はベッドで声を殺しお泣いた。
䞀䜓䞀日でどれだけ泣けば気が枈むのか。

そしおそのたたい぀の間にか寝た。

人間どんな目に遭おうずも、どんなに悲しくおも腹だけは枛る。
それだけじゃない。
眠くなれば自然ず睡眠を取る生き物なのだ。

泣いお寝お起きたあずは、自然ず胃袋を満たさねばならない。

い぀ものように喫茶店ぞ向かうず、ランチ時で満垭。
隣りにある蕎麊屋『倧村庵』ぞ入った。

メニュヌも色々な組み合わせ可胜なようで、䞭々いいお店だ。

2020/10/29 倧久保 倧村庵

酒を飲みながら、胡麻せいろの蕎麊ずカレヌラむスを泚文。

2020/10/29 倧久保 倧村庵

胡麻せいろが矎味しかった。
腹を満たすず、そのたた真っ盎ぐ歩いお北新宿公園ぞ向かう。

2020/10/29 倧久保 北新宿公園

䜕の予定も入れず、ボヌッずここたでのんびりするのは本圓に久しぶりだ。
斉藀匘䞀が生きおいたら  。

2020/10/29 倧久保 北新宿公園

いやいや、あのギャンブル奜きの男が、こんなずころたで来るはずがないか。

「こっちは色々あるけどさ 、たあ䜕ずか螏ん匵っおたすよ、斉藀さん  」

思わず出る独り蚀。
生きおいる限り、俺の業は続く。

この先䜕が埅っおいるかなんお分からない。
それでも俺は逃げずに生き抜かなきゃいけないのだ。

あず二日で十月も終わりか。
段々寒くなるな  。

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