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闇 432盟友ぞ線

闇 432盟友ぞ線

2025/12/22 mon
前回の章


二千十䞃幎十月二十九日、日曜日赀口。

斉藀さん 、出䌚っおからニ、䞉幎かもしれないけど、随分前から知り合いだった気がしたした。

四十䞃歳で亡くなるなんお早過ぎるよ。

安らかに眠っお䞋さい。

俺は十䞃時䞉十九分に、この投皿をフェむスブックで発信した。
来月になったら山䞋哲也ぞ斉藀匘䞀の容態を聞こうず思っおいた矢先、仕事䞭ラッキヌハりスにお、圌の蚃報を聞いた。

倩皇賞秋が開催された日。
レヌスが終わり、この日の䞭倮競銬党レヌスがすべお終わっおから斉藀匘䞀は静かに息を匕き取った。

競銬からポヌカヌゲヌムから 、ありずあらゆるギャンブル倧奜きだったもんな  。

そしおセブンスタヌも  。

俺さ、本圓に競銬たったくやらなかったんだぞ
客で競銬奜きの田䞭仁が「赀厎さん、倩皇賞䜕を買うんですか」ず聞いおきたからさ、こう答えたんだ。

「いやヌ、仁さん。ゞョヌカヌも行っおいるんですよね」
「うん、そうだよ」

「それならあの店の名矩だった斉藀匘䞀さん分かりたす」
「うん、あの枩和な人だよね」

「癌が再発しおしたっお、今入院しおいるんですよ」
「だから最近姿芋なかったのか」

「だから俺、願掛けの意味もあっお、競銬を封印しおいるんです。なので倩皇賞の枠順すら芋おいないんですよ。できれば斉藀さんの芋舞い行っお、倩皇賞だけやっおもいいですかず聞きたいずころだったんですけどね」

「うヌん 、䜕かいいなあ 、そういうの」

神様などいやしない。
俺が本圓に心から願ったっお、䜕にも願いなんお聞き入れおくれないのだから。

芋舞いの人数制限
そんなの気にせずさ 、俺勝手に行っちゃえば良かったよ。

い぀だっお俺にあるのは埌悔ばかり。
䜕でさ 、玄束砎るんだよ  。

䞀緒に高田銬堎の矎味い鰻屋ぞ行こうっお、あの時蚀ったじゃん。
川越だっおさ、䞀床は連れお行きたかったんだよ  。

党郚もう無理じゃねえかよ、銬鹿野郎

店内には客もいるし、埓業員だっおいる。
だから涙は出なかった。

仕事を終え、家に垰る。
倚分圌ずのこれたでをずっず思い出しながら垰っおきたず思う。

郚屋に着いおから倩皇賞秋のレヌス結果を初めお芋た。
キタサンブラックが䞀着だっおさ、斉藀さん。

䞀番ず二番人気のガチガチ決着だから、倚分斉藀さんやっおいたら、絶察倖しおいたよな
でも、䞉着に十䞉番人気の銬が来おいるから、ひょっずしたら䞉連耇や䞉連単で圓たっおいたかもな。

銬連の配圓が九癟円なのに、䞉連耇䞀䞇五千二癟九十円の、䞉連単は五䞇五千䞉癟二十円だっおさ。

たったくさ 、䜕も倩皇賞の日に亡くならなくたっお、いいだろうが
どれだけギャンブルが奜きなんだよ、斉藀さん  。

俺は䞀人で静かに泣いた。


二千十䞃幎十月䞉十日、月曜日先勝。

斉藀匘䞀の蚃報から翌日。
女々しい俺は、たたフェむスブックぞ投皿をした。


同じ䟡倀芳、䌌たような考え方をし、゜フトずボックスの違いはあれど同じセブンスタヌを吞い、短い期間だったかもしれないけれど、互いに劙な信頌感を芚えながら今日たで 、いや昚日たで来た。

2017/10/30 セブンスタヌボックスず゜フト

だからずおもこんなに悲しいのだろう。
早く良くなっお䞀緒に鰻を食べに行こう。
高田銬堎に矎味しい鰻屋あるからっお蚀っおいたのになあ  。

斉藀さん、俺すごい悲しいです。
䜕にも圹に立おなくおすみたせん。
倩皇賞の日に亡くなるなんお、本圓にあなたはどこたでギャンブルが奜きなんだよ。

今幎になっお䞀緒に行った寿叞屋ず叙々苑の焌肉、お互い䞭々時間が合わず、二回しか食事行けなかったけど、今でも鮮明に芚えおいたす。
俺が利甚され隙され、倱意のどん底にいおも倉わらず接しおくれた斉藀さん。

今たでありがずうございたした。

岩䞊智䞀郎



今曎こんな事をいくら曞いたずころで、もう二床ず垰っおこない。

あなたの存圚に俺はどれだけ救われたんだろう。

結局䞋萜合の聖母病院で䌚ったのが、最埌になっちゃったな。
あの時さ、セブンスタヌあげられお本圓に良かったよ。

背埌から匱々しく「岩䞊さん」ずいう声が聞こえた。
慌おお振り返る。
「  。斉藀さん  」
嫌な蚀い方だが、䞀目芋た瞬間分かっおしたった。
もうこの人は長くないのだず  。
点滎をした状態のたた少しず぀俺に近付いお来る。
蚀いようのない悲しみに溢れたが、それをおくびに出しおはいけない。
ゆっくり時間を掛けお圌は゜ファヌぞ座る。
人間お、たった数ヶ月 、いや䞀ヶ月ちょっずでここたで现くなっおしたうのか思った。
「すみたせん、勝手に来おしたっお  」
痩せこけた頬を少しだけ䞊にあげ無理に笑う斉藀匘䞀。
芋おいお痛々しかったが、俺は芚悟を決めた。
「すみたせん 、岩䞊さんぞ連絡もせずに 、こんな状態になっおしたっお  」
ゆっくり銖を暪ぞ振る。
少しでも自然䜓で元気付けおあげなきゃ。
「䜕を気匱な事蚀っおんですか、斉藀さん。前に玄束したじゃないですか。高田銬堎に矎味しい鰻屋あるっお 。早く元気になっお䞀緒に行きたしょうよ。焌肉だっお、いくらだっお旚いずころあるんですから」
蚀葉を発しながら俺は倖を眺めた。
姿を芋ながらだず涙を我慢できなかったから。
芋えないように必死に腕を぀ねる。
涙なんお絶察に芋せるなよな  。
「そうですね 、玄束したしたよね  」
「ええ、玄束したしたよ 絶察に守っおもらいたすから 、早く元気になっお䞋さいよ  」
「はは 、玄束したすよ、岩䞊さん  。最近競銬どうです」
「ぜ、党然ですよ 。あ、俺ね 、たった今から競銬蟞めたす。俺の持っおいる運党郚斉藀さんにあげたす。だからずっずず元気になりたしょう」
「ありがずうございたす。岩䞊さん  」
「はい、䜕でしょう」
「申し蚳ないのですが、セブンスタヌを䞀本もらっおもいいでしょうか」
「  」
「医者に止められおしたっお、党然吞えないんですよ」
「分かりたした 。倖ぞ出れたすか」
「ええ  」
傍で支えながら聖母病院の倖ぞ䞀緒に出た。
ポケットからセブンスタヌのボックスを取り出し䞀本だけ取るず、箱ごず斉藀ぞ手枡す。
「え 岩䞊さん、䞀本だけで  」
「箱ごずあげたす 。医者に芋぀からなきゃ、吞いたい時、吞えるでしょ」
「はは、そうですね 。火もお借りしおいいですか」
「もちろんですよ。すみたせん、゜フトでなくボックスで  」
「䜕を蚀っおんですか  」
俺は火を぀け、そのたたラむタヌも手枡した。
看護婊が斉藀の姿を芋぀け、血盞を倉えお走っおくる。
バツの悪そうな斉藀匘䞀。
俺は軜く䌚釈しお、病院を出た。
病院の入口から斉藀の姿が消えるたで芋守る。

あの時で最埌の別れになっおしたった。

二千十䞃幎四月二十二日、土曜日仏滅。
去幎二俣川から戻っおきお以来の再䌚。
斉藀匘䞀ず䌚っお色々話をするずいうだけで、劙に浮かれおいた。
気の合う仲間ずいうだけでなく、早期発芋で癌は治ったずいうがそれが食事を誘っおくるたで回埩した事が嬉しいのだ。

マグロ赀身だけですべお十五貫。
それを芋た斉藀はたた吹き出しおテヌブルを叩きながら倧笑いした。
「いや、斉藀さん。俺、実は魚類苊手でマグロの赀身しか食べられないんですよ」
「ぎょ、魚類  」
しばらく笑いが止たらそうなので、俺は攟っおおきマグる事にした。
別に受け狙いで頌んだんじゃないんだけどなあ。
圌が冷静になっおから俺はラッキヌハりスの愚痎を話す。
するず斉藀は神劙な顔぀きになり、静かに口を開く。
「岩䞊さん 、その銙川っお男 、私は名前ぐらいしか知りたせんが、最䜎な人間ですね。倧倉は確かに今ゞョヌカヌの店長ずいう名目ですよ。ただそれをどう思いたすなんお、いちいち聞いおくるなんお、人間の所業じゃありたせん。少なくずも私はそういった人間は本圓に真から軜蔑するし、倧嫌いですね」
「  」
斉藀匘䞀の台詞が、心の䞭にあったトゲトゲしい感情をすべお溶かしおいくのが分かった。
おそらく俺は誰かにこの事をずっず分かっおほしかったのだろう  。
ゲヌム屋ずいう絶滅危惧皮に近い商売。
長幎その業界にいた人間でないず分からない事もある。
圌はおそらく裏皌業の狭い業界の䞭で、䞀番の理解者だったのだ。
だから俺は圌を付き合いが短いのに、盟友だず勝手に思っおいた。
いくらでも話が尜きない盞手。
それが今目の前にいる。
䞀緒に働いた事もなければ、今日初めお酒を飲んだだけ。
それでも最高の気分だった。
䌚蚈はマグロがそんな倀段しなかったのか、䞀䞇円札でお釣りが来た。
斉藀もし぀こく金を払おうずしたが、俺は頑ずしお受け付けず、寿叞屋を出るず逃げるように駅ぞ向かった。

あの時掛けおくれた蚀葉さ、俺絶察に忘れないからね。

二千十䞃幎䞃月二十九日、土曜日赀口。
「赀厎さん、高山さんのパンをコンビニで買っお来お䞋さい」
銙川が千円札を折り畳み、買い物甚の網財垃に入れお枡しおくる。
「高山さん、パンっお蚀っおもどういうパンがいいんですか」
「ん、そうだねヌ、䞀぀は゜ヌセヌゞが入ったや぀ずさヌ、あずはサンドむッチ系だね。これは赀厎君のセンスに任せるよ」
出前が無料なんだから店屋物を頌めばいいものを  。
客が匕いたからいいものの、満垭の時に蚀い出したらどうする぀もりなんだ、銙川の銬鹿は。
こういう悪しき前䟋を客の蚀いなりで埓うからどんどんおかしくなっおいく。

也杯を枈たせ、焌肉は来る間お互いの近況を話した。
䟋の高山はゞョヌカヌにも来おいるらしく、向こうでも煙たがられおいるようだ。
「たったくコンビニでパンを買っおこいずか、本圓あの人には参りたすよ」
「え、ラッキヌハりスは岩䞊さんに察しお、そんな事たでやらせおいるんですか」
目を向いお驚く斉藀。
その衚情は怒りも混じっおいるように芋えた。
「たあたあしょうがないんですっお、斉藀さん。俺があの店では䞀番の䞋っ端なんですから」
斉藀は倧きく息を吐いおからセブンスタヌを口に咥える。
俺のはボックスで、圌は゜フト掟。
考え方どころかタバコたで同じだ。
肉が運ばれおくる。
「岩䞊さん、どんどん食べお䞋さいね」
「斉藀さんだっお食べお䞋さいよ」
「私は元々食が现いんですよ。肉は䞀切れ二切れ食べられれば、充分なんです」
次々ず運ばれおくる肉の皿。
こうした時間を過ごしおいるず、競銬で銬鹿みたいに金を散財した自分を恥じおしたう。
もっず早く斉藀を誘っお食事に来た方が、よほど有意矩な金の䜿い方だ。
「でも明らかに斉藀さん、前よりほっそりしおいたすよ ある皋床は食事取っお䞋さいね」
「抗癌剀っおあるじゃないですか」
「ええ、それがどうしたした」
「あれはですね 、人間の身䜓を壊す薬なんですよ」
「  」
「だから私は飲んでいないんです。たあ自分の身䜓ですからね」
「でも、斉藀さん、それだず  」
「もちろん医者にはちゃんず蚀っおいたすよ。ただ抗癌剀だけは飲みたせんず䌝えおいるだけで」
「俺、斉藀さんに䜕かあったら嫌ですからね」
「やだなヌ、岩䞊さんは 。そう、真面目な顔で蚀わないで䞋さいよ」
「いやいや、そりゃあさすがに心配したすっお」

あの時無理やりにでも抗癌剀を飲たせおいたら  。

いやいや、たらればなど、今考えたずころでもう党郚遅い。
もう話す事も顔を芋る事もできないのだ。

斉藀匘䞀ず初めお出䌚った時の事は、未だ鮮明に芚えおいる。

荻の頃よりは確かに繁盛しおいるが、ただただ入客が足りない。
過去出たロむダルの貌り玙によく名前がある倧野。
客がいない状況の䞭、新庄ず話しながらたた聞いおみた。
「新庄さん、この倧野っお方は䞀人で来おいたんですか」
「いや、基本぀がいっお蚀うか二人組で、もう䞀人䜿うのいるので、たたに䞉人で来おいたしたね」
「結構な頻床でですか」
「ええ、そこのロむダルずかの名前芋れば、結構来おるの分かるじゃないですか」
「そこたでポヌカヌ䞭毒なら、たた時間空いたら来そうですね」
「ほんず荻の野郎のせいで、あんなのクビにしお本圓良かったですよ」
やはりこの倧野䞀掟が来なくなった原因も荻。
あのシャブ䞭を排陀した俺の決断は、間違っおいなかったようだ。
「それにしおも岩䞊さんの手腕は倧したものです。俺の䞊の芪父も店の評刀を聞いお感心しおたすよ」
新庄は組長でも、ただその䞊に組長がいる。
この業界に詳しくないので図匏がよく分からないが、よく二次団䜓、䞉次団䜓ずか蚀われおいるや぀なのだろう。
あの荻ならこういった事を詳しそうだが、圓時りザかったので右から巊に聞き流しおいたしな。
たさかダクザ本人に詳しく聞く蚳にもいかない。
店のむンタヌホンが鳎った。
二人組のサラリヌマン颚の男が映る。
「新庄さん、この人たちっお分かりたすか」
「あ、これがそうですよ。そこに貌っおある倧野ずその仲間です。よく぀がいで来おた」
ドアを開け䞭ぞ招き入れる。
その時あずから入っおきた男ず目が合う。
え、ひょっずしお  。
向こうも䞍思議そうな衚情で俺を芋おいる。
「倧倉ちゃんか」
「岩䞊さんですよね」
ほずんど同時に声を出した。
䞀番街通りにあったゲヌム屋『ワヌルドワン』時代、共に働いた仲。
圓時早番の責任者のゎマすり豚の吉田に嫌気を差し、ワヌルドワンを蟞めようずした倧倉ず山䞋。
頭に来た俺は倧倉たちから事情聎取をしお動き、吉田をクビに持っお行った。
ただ俺が䞉十歳ちょうどぐらいの頃か
もう十数幎前の話だ。
「䜕だよ、あそこに曞いおある倧野っお、倧倉ちゃんの事だったのかよ」
「䜕で岩䞊さんがここで働いおいるんですか」
十数幎ぶりの偶然的な再䌚。
俺ず倧倉は昔を懐かしみながら話が止たらない。
「あ、岩䞊さん、自分の連れの斉藀さんです。たたにワヌルドワンにも来おいたんですよ」
「はじめたしお 、いや、前に䌚った事あったんですね」
「斉藀です。自分は芚えおいたすよ、岩䞊さんの事」
新芏䌝祚に『斉藀匘䞀』ず名前を曞いた圌の顔は、いたいち思い出せなかった。
あの頃䞀日の入客も癟名は超えおいお、よほど倪い勝負をする客でないず正盎芚えおいられなかった。
俺のいた遅番でなく、倧倉や䞉門のいた早番に来おいたのだろう。
新庄は気を利かせたのか、さり気なく店を出お行く。
「いやヌ、倧倉ちゃんず䌚うのワヌルドワンぶりだろ 十䜕幎ぶりよ」
「違いたすよ。䞀床自分が通りに東通りにいたら、埌ろからスリヌパヌホヌルドされながらグルグル回されたじゃないですか」
「ん そんな事䌚ったっけ あヌ、俺が倉な颚俗の仕事しおいる時か」
あれは確か俺が巣鎚譊察に捕たったあずだから、それでも十幎くらい前か。
岡郚さんず小沢さんがボクシング芳戊の垰り道、歌舞䌎町に寄り俺ぞ電話しおきたあの頃。
倉なお觊りパブ行っお小沢さんが朮掛けられお、川越垰っおからキャバクラ寄っお  。
もちろん圓時付き合っおいた癟合子には内密にしお。
仕事が颚俗のガヌルズコレクションじゃなかったら、本圓に楜しい思い出だ。
考えおみるず、あの時も暗黒時代を過ごしおいたよな  。
俺ず倧倉ず斉藀は、ゲヌムをするのも忘れ、昔の話で盛り䞊がった。
たさか昔の郚䞋ずこんな再䌚をするなんお、思いもよらない。
これもたた䜕かの流れなのだろう。

あの時新庄が蚀っおいた䞉人組が、たさか倧倉、山䞋、斉藀匘䞀だなんお倢にも思わなかった。

今ではたったく連絡を取らなくなっおしたった倧倉だが、あい぀があの時斉藀匘䞀ず䞀緒に来なければ、知り合う事すらなかった珟実。

ワヌルドワン時代からの因果埋。

倧倉、山䞋 、か぀おの郚䞋が客で来た皮肉。
人生っお本圓にどう転ぶか分からないものだ。

二千十五幎六月十䞉日、土曜日赀口。

日にちが替わり、六月十䞉日になる。
䞉沢光晎さんの呜日。
ゞャンボ鶎田垫匠の呜日の䞀ヵ月埌 、あれから随分月日が経っおしたった。
偉倧な背䞭をガキの頃芋お共に時間を過ごせたっおいうのが、自分の唯䞀の財産だ。
自虐的になっおいたが、こんなんで鶎田垫匠や䞉沢さんに顔向けできるのか
女の色銙に惑わされ、自身を芋倱っおいた。
俺はただこうしお生きおいる。
これからも自身に恥じぬ生き方をしないずいけない。
今日のむンタヌコンチは、由銙ちゃんに背䞭を芋せる俺にずっおの築き䞊げる新しい䞀歩。
昔から岩䞊のお兄ちゃんずずっず懐いおくれおいるのだ。
もっずしっかりしないず。
むンタヌホンが鳎る。
倧倉斉藀コンビが来店。
本来の自分ぞ戻らないず駄目だ。
孀独でもいいじゃないか。
孀高に生きれば。
ドアを開け招き入れる。
い぀もの日垞。
そこぞ山䞋も加わる。
高朚も来た。
理事長ず莉麻の倫婊も登堎。
今の俺の居堎所はここ。
もう迷うなよ。
俺は俺のたたでいい。
「岩䞊さん、䜕か最近調子悪いんですよね」
斉藀が声を掛けおくる。
「調子悪い 斉藀さんが」
「ええ、肩が劙に凝るずいうか、䜕か党身が倉なんですよ」
「ちょっずいいですか」
圌の䞡肩を指で觊る。
思ったよりも酷くガチガチに固たっおいた。
「固いですよね」
「斉藀さん、自分前に敎䜓を開業しおいたんですね。ちょっずだけ斜術させおもらっおもいいですか」
「お願いしたす」
目を閉じながら斉藀の身䜓を觊蚺する。
あの頃を思い出しながら、心から治したいず真剣に経絡を探った。
岩䞊流二点療法。
たるで血流が良くならない  。
頭の䞭で祝詞を唱える。
「ひふ●よ●む●や、●ず●ちろ●ね、し●るゆ●぀●ぬ、そ●たは●め●、う●●りぞ●の●す、あ●け●れ●」
矀銬の先生から圓時教わった神の蚀葉、祝詞。
祝詞を䞃回唱えながら、最埌に右手で十字を切る。
䞃匏 、斉藀の身䜓を觊る。
「え、䜕でだ」
思わず声が出おしたう。
ここたでやっおたるで倉わらない斉藀の身䜓。
指先で感じた異圢な感芚。
俺にずっお初めおの経隓だった。
い぀もだったら䜕かしらの効果が出おいるはずなのに  。
劙な違和感を芚えた。
「固いですよね、はは 。どこのマッサヌゞ行っおもこうなんですよね」
「斉藀さん、倚分なんですけど、これっお凝りずかじゃないような気がしたす。俺が斜術しお、こうたで固いたたっお今たで無いんですね。できるだけ早く、病院ぞ蚺察しおもらったほうがいいず思いたす」
「うヌん、凝りじゃないんですか  。分かりたした、明日病院ぞ行っお怜査しおもらっおきたすね。ありがずうございたす」
ほほ笑む斉藀の暪顔を芋お、粟圩が欠けおいるように感じた。
「斉藀さん 絶察に病院行っお䞋さいね」
「どうしたんですか、岩䞊さん 。そんな真面目な顔で芋ないで䞋さいよ」
知り合っおただたった数ヶ月。
それでも䌌たような幎代を行き、䟡倀芳や考え方も䌌おいた。
俺は斉藀みたいな人間が奜きなのだろう。
䜕か遭っおからでは困る。
䜕故自分でもこんな事を䌝えたのかよく分からない。
それでも圌に蚀わずにはいられなかった。
俺の杞憂に過ぎなければいいが  。

あの時のあれがあったから、早期発芋できた癌。

なあ、斉藀さん  。

ちょっずは俺、あんたの延呜に協力できたのかな

「あ、岩䞊さん、すみたせん」
「䜕だよ」
「今日ちょっず手持ちが  」
「この怪人山ゎネスが 本圓どうしょうもねえな  」
たさか俺からタカる為に、わざわざ呌び出したのか
バヌの䌚蚈を枈たせ、䞭川の豚小屋ぞ向かう。
入るず店内はそこそこの混み具合い。
話をするには呚りの隒音が邪魔だったので、䞀杯飲んでから谷原愛穂の豚の華ぞ堎所を移す。
ここなら客もいないし、静かに話せる。
「岩䞊さんいらっしゃい グレンリベットありたすよ」
「じゃあ、俺はそれをストレヌトで。山䞋は」
「自分、生ビヌルを」
「愛穂ちゃんも䞀杯飲んで」
「ありがずうございたす」
タバコに火を぀け、䞀息する。
「それで倧事な話っお䜕だよ それを聞くのに䞉軒も俺がおたえに奢っおんだぞ くだらない事じゃないだろうな」
「斉藀さんの件です」
「斉藀さん」
「ええ、ずっず調子悪いっお蚀っおたじゃないですか」
「ああ、俺は医者ぞ怜査しおもらったほうがいいず蚀ったんだけどね」
「斉藀さん 、癌が芋぀かりたした  」
「え  」
あの斉藀匘䞀が癌
思わず声を倱う。
俺の䞀぀幎䞊だから四十四歳。
あの斉藀が癌  。
「でもですね 、早期発芋みたいだから、ただ良かったみたいです」
「それで今、斉藀さんは䜕をしおるの 入院しおるずか」
「いえ、自宅で䌑んでいる状況です。仕事には出おきおいたせん」
だからここ最近倧倉が䞀人で店に来おいたのか。
あい぀、䜕故そんな倧事な事を蚀わずに  。
「斉藀さんは倧䞈倫なのかよ」
「はい、発芋が早かったんで、呜に別状はないみたいです」
倧きく息を吐き出した。
たさかこんな身近に同䞖代で癌に掛かる人がいたなんお。
山䞋の話を信甚すれば、斉藀は無事ずいう事になる。
いや、埅お  。
この山ゎネスの話す事だぞ
本人から盎接確認したかった。
「なあ、斉藀さんに電話を掛けおも倧䞈倫か」
「倚分それはただしないほうがいいず思いたす。斉藀さんから連絡あれば、自分がちゃんず岩䞊さんには蚀いたすから」
「  」
客ず店の関係。
付き合いなんおあの二階のゲヌム屋から。
それでも斉藀は気付けば俺の䞭で、ずおも倧切な人間になっおいた。
ここは山䞋の話を信甚するしかないだろう。
愛穂に蚀っお䌚蚈を枈たせる。
時蚈を芋るず十䞀時を回っおいた。
このあず店に行き、朚村を問い詰める。
䜕だか嫌な流れになっおきたなあ  。

そう 、あの時俺は四十䞉歳、斉藀匘䞀は四十四歳だった。

あの頃はただ谷原愛穂も元気で明るく生きおいた。

斉藀さんよ 、知り合っお䞉幎間で死んじゃうなんおさ、やっぱり寂しいよ  。

過去の蚘憶がどんどん鮮明になり、次々ず浮かんでは消えおいく。

二俣川の時、生きる屍のようだった俺。
岡郚さんの助けで無事川越ぞ垰っおきお、ただ䞀幎も経っおいない。

それなのに谷原愛穂は身投げをし、斉藀匘䞀は癌で奪われた珟実。

頭の䞭の敎理がうたく远い付かない。
それでも時間は平等に過ぎおいく。

倚分これが生きおいるずいう事なのだろう。

月日の流れず共にこの悲しみは颚化しおしたうはず。
でも俺が存圚を忘れなければ 、い぀かたた小説を曞く時が来たら、絶察に蚘録に残しおやる。

倚分誰もこんな事はしない。
だから俺がい぀か 、絶察にやるからね。


二千十䞃幎十䞀月九日、朚曜日倧安。

十月二十九日に斉藀匘䞀が亡くなっおから、今日たで。
俺は仕事には穎を空けずに出勀した。

ただ䜕を食べおどう生掻したかをハッキリ芚えおいない。

今日は斉藀さんの火葬匏。
西歊新宿線䞭井駅にある萜合祭儀堎ぞ。
安らかに眠っお䞋さい。

俺がフェむスブックぞ投皿できたのは、こんな短い文章だけだった。

写真も䜕も撮れなかった。
前日になっお山䞋から電話があった。

それで急遜匷匕に䌑みを取ったのだ。

ラむバル店の人間の葬儀ぞ躍起になる俺。
橋本は䌑みを譲っおくれたが、店長の銙川は嫌味をネチネチ蚀っおきた。

だから俺は語尟を荒くし怒鳎った。
最悪それでクビになるなら、それでもいいず思った。

圌の死を汚すな。
それだけは絶察に譲っおはいけない線だった。

火葬匏には知っおいる顔も䜕人かいた。

倧倉ず山䞋は元よりそうだが、倧山、そしお暪浜ぞ䞀緒に連れお行っおくれず懇願し、俺を裏切った男である䞭口の姿たでいた。

今ずなっおはどうでもいい事だった。
そんな小事よりも、骚になった斉藀匘䞀を芋届ける。

山䞋哲也には埌日怒鳎り぀けないずいけない。
䜕故なら火葬匏の報告を事前の前日にしおきた事。
そしお銙兞を甚意する必芁があるのか聞くず「いらないず思いたすよ。自分はただ行きたす」ず簡単に答えた事。

実際に火葬匏ぞ行き終わった時、ゞョヌカヌのオヌナヌらしき人物が、銙兞を持っおきた人間たちから預かり、倧きな声でこう蚀った。

「本日は斉藀進の為にお集たり䞋さり誠にお疲れ様でした。預かった銙兞は、九州に䜏む圌の母芪ぞ私が責任持っおお枡し臎したす」

本名の斉藀進ずいう名は、葬儀で初めお知った。
そしお九州の出身だった事も、その時初めお知った。

俺は本圓に圌の事をよく知らないたた䞉幎間接しおいたのだ。

それでも友達だったよね、斉藀さん。
いや、い぀からか分からないけどさ 、い぀の間にか勝手に盟友だず俺は思っおいたんだよ。

匏堎の倖ぞ出おセブンスタヌぞ火を぀けた。

ゞョヌカヌのオヌナヌは火葬匏に来た人間たちず芪しそうに話をしおいたが、俺の顔を芋るず䞍思議そうな衚情で近付いお来る。

「えヌず 、倱瀌ですが、お䌚いするのは初めおですよね」

「ええ、そうだず思いたす」

「ん 、倱瀌ですが、斉藀ずは叀くからのお知り合いの方なんでしょうか」

俺はポケットからセブンスタヌのボックスを取り出す。
ニダリず笑いながら静かに蚀った。

「叀くからではないず思いたす。倧倉や山䞋、そしお倧山や䞭口は随分昔から知っおいたすけどね」

「はあ  」

セブンスタヌの箱をゆっくり掲げた。

「付き合い自䜓は䞉幎皋床です。でも 、同じセブンスタヌを愛した盟友でした」

俺はそれだけ蚀うず軜く䌚釈をし、匏堎をあずにした。

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