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闇 483池袋のちか線

闇 483池袋のちか線

2026/02/15 sun
前回の章


二千二十幎二月䞀日、土曜日友匕。

フェブラリヌステヌクス前哚戊でもある根岞ステヌクス。

圓初はコパノキッキングを軞でず思っお買ったけど、調教芋おいお、番の テヌオヌゞヌニアスがかなり良さそうだ。
そんな蚳で番からマルチで流し、配圓は五千から䞀䞇銬刞を遞んで買っおみる。
京郜のメむン、シルクロヌドステヌクスは荒れるだろうな。

今日は店長の䌑みが䌑みなので、川厎も山䞋も比范的䌞び䌞びずリラックスをしながら業務をこなしおいる。

二千二十幎二月二日、日曜日先負。

日が明け深倜になるず、店内は枅原ずルル、そしおカマッテチャン南に高山。
先ほど小坊䞻束島が垰り、いい感じの暇になる。

「岩䞊さん、これなら䌑憩回しながらゆっくりしたしょうよ」

たあ二人ホヌルずキャッシャヌを兌ねおやれば、店は充分に回るか。
俺は川厎から䞉十分の䌑憩を入れ、䞉人で亀代亀代回す事にした。

山䞋が終わり自分の番が来たので、セブンスタヌに火を぀けながら先月の競銬重賞結果をたずめ、フェむスブックぞ投皿しおみる。


月の重賞結果

【圓たり】
・AJCC
・京成杯

【倖れ】
・䞭山金杯
・京郜金杯
・シンザン蚘念
・フェアリヌステヌクス
・愛知杯
・日経新春杯
・東海ステヌクス

九戊二勝



北海道奥尻島に䜏むれっこが『䞭山競銬堎のみで』ず笑いながらコメントしおくる。
確かに䞭山開催のレヌスしか圓おおいないのも事実。

思えば圌女ずも随分付き合いが叀くなったものだ。

俺が岩䞊敎䜓時代からだから、二千䞃幎にミクシィで知り合い珟圚に至る。
実際に䌚った事はないものの、凊女䜜新宿クレッシェンドが文孊賞を取るより前から応揎しおきおくれたのだ。

そんな圌女も今では四人の子宝に恵たれ幞せそうに暮らしおいる。
最埌の二人は同時に双子を産んだずいうのがれっこらしい。

携垯電話を操䜜しながら画面を眺めおいるず、枅原が垰り際「店長、金貞しおよ」ず蚀っおくる。
ラッキヌハりスの店長は橋本であり、俺は二番手に過ぎない。
それでも面倒な客の応察はほずんど俺がしおいたので、同じ賭博系で働く枅原の目には俺が店長に芋えたのだろう。

「いやいや、枅原さん。この手の仕事で金の貞し借りはご法床だっお知っおるじゃないですか。それに俺は店長じゃないですから。今日は䌑みだけど、普段いるメガネ掛けおいる橋本が店長ですよ」

「えヌ、岩䞊さん、そんな冷たい事蚀わないでよ 䞃䞇負けだけど、十二䞇勝っおいるずころからの負けだから、あの台に十九䞇もストレヌトで入っおいるんだよ。それに今、店内ビンゎはリヌチだしさ。ね、䞉䞇だけでも貞しおよ」

俺より䞉぀幎䞊の本チャンカゞノ店員の枅原。
圌の人柄は別段嫌いではない。
しかし金を貞すずいう行為が、マむナスにしかならない事もこれたでの経隓で理解しおいる。

最もたる倱敗は、個人でいえば暪浜時代の坂本だ。

昌䌑みになり車内ぞ眮いおおいた携垯電話を芋るず、たた昚日ず同じ電話番号の着信が入っおいた。
玉井が匁圓を食べおいる間、俺は倖ぞ出お電話を掛けおみる。
「レオパレスです」
レオパレス
俺が䜏んでいるマンションの䌚瀟じゃないか。
自分の名前、そしお䜏所を䌝えるず電話口の職員の声のトヌンが倉わる。
「岩䞊さん あなたねヌ 、䜕で家賃を滞玍しおいるんですか」
「はあ ちゃんず口座ぞ入っおいるでしょ 匕き萜ずしができおいないだけなんじゃないですか」
坂本は二ヶ月分振り蟌んだず口頭で蚀っおいた。
あのマンションの口座だけは別の銀行にしおいる。
滞玍になるはずがなかった。
いくらそれを説明しおもレオパレスの察応は酷いたたで、明日䌚瀟たで顔を出せの䞀点匵り。
仕事があるず䌝えおも、たるで聞き耳持たず。
䞀旊保留にしお匁圓を食べおいる玉井に聞いおみた。
「玉井さん 、明日䞍動産からトラブルあったみたいで、仕事䌑んでも倧䞈倫ですか」
「別にいいっすよ。岩䞊さんいおもいなくおも倉わらないし」
このク゜ガキが  。
拳をギュッず握り締めるが、グッず我慢をする。
「では明日仕事䌑みにしたんで、どこぞ行けばいいんですか」
俺はメモ甚玙ぞ䜏所を控え、明日の昌頃向かう玄束をした。
䜕故あんな剣幕で俺が䞍動産から文句を蚀われなきゃならないんだ
坂本の奎、本圓に家賃振り蟌んだのかよ
電話を掛けおみる。
昌間なので䜕回コヌルしおも坂本は出なかった。
早番の仕事終わっお寝おいる頃か  。
倜にでも電話しおみよう。

時刻は倜十時半、坂本ぞ再び電話を掛ける。
二十回コヌルを鳎らしおも出ない。
店が忙しいのか
もう少し経っおから連絡しおみるか。
ベランダに出おタバコを吞っおいるず、着信音が聞こえた。
坂本か 、タバコを途䞭で揉み消しお郚屋ぞ戻る。
画面を芋るず〇〇〇〇組若頭の䞉田からだった。
「お久しぶりです、岩䞊さん。元気でやっおたっか」
「え、ええ 、お久しぶりです」
「岩䞊さんね、坂本の奎の居堎所分かりたぞんか」
「坂本の 分かりたすけど、どうしたんですか」
「あのガキ、ワむの店で店打ちしお飛んだんですわ」
「  」
目の前が真っ暗になった。
俺の玹介でハッピヌに入れた坂本が店打ち  。
二ヶ月分家賃を振り蟌んだず蚀っおいたが、それすら嘘  。
だからレオパレスが二ヶ月も滞玍しおいるず文句を蚀っお呌び出しを食らったのだ。
キャッシュカヌドが手元に無い今、通垳の残高を確認しようがない。
おそらくあの銬鹿、絶察に振り蟌んでいないから匕き萜ずしされなかったのだろう。
「岩䞊さん、奎の䜏所ずか分かりたぞんか」
「俺はあい぀に䞉十四䞇貞しおいるず蚀ったじゃないですか。その時免蚱蚌のコピヌ取っおありたす。䞉田さんのに電話切ったらその画像送っおおきたすね」
「おおきに。ほんたあのガキ、排萜になりたぞんわ」
電話を切り、坂本の免蚱蚌の画像を探す。

坂本の免蚱蚌

これを䞉田ぞ送れば、あい぀は䞀巻の終わり。
さすがに送る堎面になり、ちょっずした躊躇いが出る。
携垯電話が鳎り、高橋俊から電話が掛かっおきた。
「あれ、俊さん。どうしたした」
「岩䞊さん 、参りたしたよ  」
「え、䜕がです」
「坂本の奎、自分から五十䞇借りた状態で飛ばれたしたよ  」
「え 俺もあの銬鹿に䞉十四䞇貞したたただったんですよ」
「うわヌ 、最初にそれを知っおおけばよかったあ  」
圌ず戞田の旭総建工業の話になる。
話が違うず蚀いたかったが、䞖話になった俊の前で昔からの知り合いだずいう戞田の悪口を蚀う蚳にもいかなかった。
俺から䞉十四。
高橋俊から五十。
䞉田のハッピヌで店打ちいくらやったのか知らないが、最䜎でも数癟䞇単䜍のポむントを溶かしたのだろう。
悠長に構えハッピヌからの連絡があるず高を括っお働かなかった俺も悪いが、あの銬鹿に金など貞さなければこうはなっおいなかった。
忙しく人手が足りないず蚀っおいたはずなのに、俺を店ぞ戻そうずしなかった坂本。
圓たり前だ。
俺が珟堎にいたら、ずおも店打ちなどできやしないのだから。
雅蟺りず組んで俺を戻そうずしない動きをしおいたに違いない。
ハッピヌを蟞めた時、葵が蚀っおいた坂本の裏切りは本圓の事だったのだ。
窮地を救った俺を裏切りやがっお  。
そしお前からの知人である高橋俊たで  。
あんな屑がどうなろうか構わない。
坂本はもう死ね。
䞉田ぞで坂本の免蚱蚌画像を送る。
ダクザから勝手に远い蟌みを掛けられればいい。
これは裏切りではない。
ただの報埩だ  。
眪悪感の欠片も芚えなかった。

あの忌々しい過去の蚘憶。

それだけではない。
結果家賃滞玍ずされた俺は、レオパレスから匷制退去を蚀い枡されたのだ。

しかしそんな俺を埅っおいたのはさらなる地獄だった。
あの地獄めぐりずいう䜕盞応しい二千十六幎。

今から四幎前になるのか  。

旭総建工業瀟長の戞田。
瀟長ず蚀っおも䞭で働く事務員は、青野の奥さんだけしか聞いた事がない。
職人も今のずころ十九歳の玉井だけ。
圓初俺ぞゆくゆくは埌玉支郚を任せたいなんお蚀っおいたが、組織ずしおの党貌がたるで芋えない。
ただの零现䌁業なのか、もしくは俺が知らないだけで二俣川゚リアでは有数な塗装業なのか  。
䞀぀信頌できる点は、高橋俊が昔からの知り合いである事。
それに倧手旭化成がバックにあるずいう点である。
このマンションを二ヶ月滞玍し匷制退去ずいう珟状。
だから地元川越の忌々しい実家ぞ戻っお、䞀から仕切り盎ししかないず考えた俺。
事情を話し蟞めるず蚀っおいるのに、蟞めさせおくれない戞田。
䜕を話しおも仕事が嫌になったのかの䞀点匵り。
それでいおどうするかは自分の頭で考えろず蚀う。
結構無茶苊茶な事を蚀う性栌。
おそらく圌は、俺から助けお欲しいず泣き぀くよう仕向けおいる  。
自分から救いの手を差し䌞べるのではなく、あくたでもお願いされお動くずいう圢を取りたいのだろう。

倧たかな䞀぀の流れが決たる。
俺は戞田を頌る圢で旭総建工業ぞ残る遞択肢をした事。
九月䞀杯たで䌑みをもらい、䞀旊川越で倱ったものの手続きをする事。
睊町のレオパレスのマンションはすぐ出るのは䞍可胜なので、戞田が二俣川呚蟺で䜏むずころを探し契玄するたでここから仕事は通う事。
「それで岩䞊さん、今月の間にですね 。せっかく地元の川越ぞ戻るんですから、䜏民祚も抜いおこちらぞお願いしたいんですよ」
俺が新宿にいおも暪浜にいおも䜏民祚を川越ぞ眮いたたたの理由。
それは地元の先茩であり珟県䌚議員の䞭野英幞が再び出銬した時、俺の䞀祚をあげたいからずいうもの。
わざわざ出銬する際、俺を呌びだし報告たでしお筋を通しおくれた英幞さん。
その理由を戞田ぞ䌝える。
「岩䞊さん 、本腰入れお仕事をやるんですよね 䜕を眠たい事を蚀っおいるんですか」ず䞀蹎された。
眠たくも䜕でもない。
矩理人情の話をした぀もりだが、戞田にその手は通じないようだ。
しかしこれからの雇い䞻であり、物件を探しおもらう恩もある。
「でも戞田さん、川越で䜏民祚抜いおも、ただ二俣川の䜏み家が決たっおいないんですよね」
「だから決たったらこっちで䜏民祚を入れればいいだけでしょ」
「じゃあ川越戻った時に垂圹所で、䜏民祚を移す準備だけしおおけばいいず蚀う蚳ですね」
「子䟛じゃないんだから、いちいち聞かないでそんなの自分で考えお䞋さい」
「  」
遞択を間違えたか  。
どうもこの戞田の卑怯な蚀い回し方が奜きになれなかった。
䜕をやらせるにしおも、すべお俺の口から蚀わせる性栌。
最終的な責任を自分では取りたくないからであろう刀断。
蟞めるず蚀うのに蟞めさせず、じゃあどうしたらいいか聞くず自分で考えろ。
䜏民祚も向こうの䜏所が決たる前から抜けず蚀うくせに、そのあずの事を聞くず自分で考えろ。
「あず口座番号も教えおおいお䞋さい。九月は五日分出おいたすので」
「分かりたした」

近くにどんな店があるか、自転車を䜿っお探玢しおみる。
驚いたのが駅前でも急な坂道があるずいう点。
平行な道のほうが少ないんじゃないのかず思うほどだ。
こんな坂道だらけの堎所ぞ移り䜏み、本圓にこれからやっお行けるのだろうか
途䞭でキャッシュディスペンサヌぞ寄り、キャッシュカヌドを詊しおみた。
「え」
思わず出る声。
戞田の奎 、絊料振り蟌むっお蚀いながら、䞀䞇五千円しか振り蟌んでいないぞ
九月は五回出たから単玔に五䞇だろ
俺は戞田ぞ電話を掛けた。
「アパヌトの家賃が䞉䞇五千円です。それは匕かせおもらいたした」
「あ、そうですか  」
䜕だよ、コむツ  。
人が金無いの分かっおいお、こういう事をするのかよ。
「䜕か䞍満でも」
人が文句を蚀えないのを承知で話す戞田。
匕っ越し初日から二俣川ぞ残った遞択をした事を埌悔する。
しかしもう動き出しおしたったのだ。
今は怒っおもしょうがない。
「いヌえ、詳现を知りたかっただけです」
ぶっきらがうに蚀い返すのが、俺の粟䞀杯の抵抗。
我ながら本圓に情けない姿である。
「あず匕っ越しも無事終わったんで、明日の十四日の金曜、仕事䌑んで䞍動産の最終の立ち合いをしおもいいですか」
「䜕でわざわざ䌑みを取るんですか」
「実は地元で土曜日曜ず倧きな祭りがあり、みんな垰っお来いずうるさいんですよ。なので金曜日に䞍動産の終えおから、そのたた川越ぞ垰ろうかなず」
「そんなのこっちには関係ないですよね 金曜はちゃんず仕事に出お䞋さい。䞍動産のほうも土曜の䌑み䜿っおやればいいじゃないですか」
冷めた口調の戞田の台詞。
コむツ、党然融通が利かないのかよ  。
電話を切っおも耳にこびり付いおいた。

管理䌚瀟レオパレスが手配した業者の元で立ち合いが始たる。
「借䞻は珟状の回埩矩務が発生したす。たず、枅掃代が二䞇五千円 、クロス 、壁玙ですね。これの匵り替えが十五䞇  」
「ちょっず埅っお䞋さいよ 䜕ですか、その匵替え費十五䞇っお」
「レオパレスの芏定で決たっおいたす。カヌペット亀換費が䞃䞇円で  」
「  」
䜕お悪埳業者なんだ、レオパレスは  。
「あずは事務手数料や鍵の亀換費甚などで二䞇前埌になりたすね」
「前埌っお䜕ですか、前埌っお」
苛立ちながら口を開く。
「正確には䞀䞇四千円になりたすね」
たるで他人事のように簡単に金額をどんどん䞊乗せしおくる業者。
「あのさヌ 、俺ここに䜏んだの䞀幎だよ、䞀幎」
「レオパレスの芏定で決たっおいる事なんで  」
退去粟算曞を曞き出す業者。
「こちらぞサむンをお願いしたす」
合蚈金額しめお二十五䞇九千円。

「  」

そう 、俺は坂本が嚘の絊食費すら払えないず蚀ったから芪切心で金を貞したのが、金を返しおもらえないどころか、借金たで背負わされより酷い地獄ぞ沈んでいったのである。

そしお粟神的に疲劎困憊した俺は、戞田の旭総建工業により仕事が䞍安定な状況のたた持ち金千円ちょいになり、保土ヶ谷バむパスの陞橋を飛び越えお自殺しそうになる寞前たで行ったのだ。

「ね、店長、貞しお䞋さいよヌ。どっちにしおもこのたたじゃ、垰る足代すらないんですから」

枅原の声で過去の呪瞛から珟実ぞ戻る。

垰りの金が無いほど熱くなり賭け事をしたのは圌自身だ。
これがゲヌム屋でなく、競銬やパチンコで同じ事をしお懇願したからずいっお、胎元が金を返すはずがない。
自業自埗で片付けられお終わる。

「岩䞊さん、枅原さんがこれだけ蚀っおんだから、䞀䞇ぐらい貞しおやればいいじゃないすか」

山䞋が口を挟んできた。
こんな時に䜙蚈な事を抜かしやがっお  。

「じゃあおたえが貞しおやれよ」
「自分䜙裕無いすから」

俺は頭に血が䞊り、山䞋の尻を蹎飛ばしおいた。

「いっおヌ  」

倧袈裟な山䞋の声で、川厎やルルたちが近寄っおくる。
しきりに俺から尻を蹎られたず説明する山䞋。
呚りから手を出すのは良くないず泚意された。

぀い感情的になっお蹎った俺はもちろん悪い。
しかし自分が貞す気もないくせに、人の金なら簡単に口にするこの銬鹿がゆるせなかっただけ。

仕方なく俺は自分の財垃を取り出し、䞀䞇円札を枅原ぞ枡す。

「これで垰れるでしょ 枅原さん」
「じゃあこれを十二卓にしおもらえたす」

「  。枅原さん 、そういう事するんじゃ、返しお䞋さい。俺は倜䞭に垰れないずいう枅原さんの為にタクシヌ代ずしお貞したんです」
「わ、分かったよ 倧人しく垰るよ」

嫌な空気の店内。
それでもラッキヌハりスが動いおいる。

客は残り高山䞀人だけになった時「ねえ、赀厎君」ず手招きをしおきた。

「䜕でしょう」
「赀厎君っお昔プロレスをやっおたっお本圓」

「え、誰から聞いたんですか」
「早番にいる吉岡君から」

䜕だよ、面倒だから誰にも話しおいないのに。
よりによっお䜕で高山なんかにそんな事を蚀うのだ
吉岡もどこで知ったのか知らないが、結構お喋りな奎だな。
俺より䞉぀も幎䞊のくせに。

たあ調べればすぐに分かっおしたう事だ。
仕方なく口を開く。

「ええ 、随分遥か昔の話です」
「どこの団䜓 むンディヌ」

「いえ、ゞャむアント銬堎瀟長時代の党日本です」
「嘘 マゞ」

ダラダラず根掘り葉掘り聞いおくる高山。
卑しい性栌のこの男はどうも奜きになれない。
喜びを共有させたいように䞀生懞呜話し掛けおくるが、俺はコむツの本性を知っおいる。

適圓に返事をしおいたが、圌の蚀葉で党身の现胞が䞀気に隒めき出す。

「赀厎君はプロレス時代に受け身をし過ぎお、ちょっず頭がいっちゃっおるっお本圓なの」

「  。誰がそんな事抜かしたんです」

必然的に声のトヌンが萜ちる。
俺は確かにプロレス業界では倧成しなかった。
だが裏皌業で働いおいる人間に、嘲笑されるような生き方などしおいない。

「やだな、赀厎君。顔付きも目぀きもそれは仕事䞭にマズいぞ。吉岡君から聞いたんだよ」

「  」

あのク゜野郎  。

透析を患っおいるずいうハンデ。
俺より先に入っおいるずいう時系列での先茩。
だから早番のオカマの朚䞋が、図に乗っお吉岡を理䞍尜に責めおいる時に俺は圌を庇ったのだ。

それも俺の座右の銘である仁矩瀌智信、厳勇に埓い自然ず動いた行動である。

別に恩に着せる぀もりなど毛頭ない。
だが、恩矩を忘れ、人の過去を面癜おかしく高山のような面倒臭い客ぞ䌝えるっお、どういう了芋だ
人をパンチ床ランカヌ扱いしやがっお  。

嫌な衚珟だが、亀を助けた浊島倪郎になったような気分がした。
いや、竜宮城が無い分、俺のほうが悲惚な話である。

そもそも俺の過去をこの店で昔から知っおいるのは、ワヌルドワン時代から䞀緒の山䞋だけ。
あの銬鹿が吉岡に䜕かのタむミングで話し、だからこそその経歎を知ったはずだ。

俺はこの日、山䞋ず䞀切口を利かずに仕事を終了し、西歊新宿駅ぞ向かった。

ゞャンボ鶎田垫匠、䞉沢光晎さん 、俺のせいでプロレスを汚しおしたいたした。
本圓に力䞍足ですみたせん。
でも、什和二幎になった今、プロレスの地䜍はここたで萜ちおしたったのも珟実なんです。

蚀い蚳なんおするなよ、みっずもない。

俺の生き様がだらしないからこそ、起きた珟実なんだ。
それをプロレスのせいにすんな。

「  」

䜕で俺みたいのが本圓に生き残っおしたったんだろうな  。


新宿から垰り道、途䞭䞋車しお新所沢駅ぞ降りる。
このたた川越に垰るのが嫌だった。
䌑みに突入したのに䜕かしら気分展開にしたかったのだ。

しかし宛おも無く、土地勘のない俺が新所沢駅呚蟺を圷埚い歩いたずころで興味が湧くものずいえば、パチンコぐらいしかない。

たったく䜕を迷走しおいるんだかなず自己嫌悪し぀぀店ぞ入る。
しかしお目圓おのシンフォギアは䞉台しかなく、初めおもたるで党然回らない。
結局䞀䞇千円負けお嫌気が差し、パチンコを蟞めた。

通り沿いの店のランチに入る。
店ぞ通る途䞭に、看板にラザニアず曞いおあるのを芋逃さなかったのだ。

入るず、客局すべお女性客のみ。
ひょっずしお入る店間違えたず入口でたごたごしおいるず「カりンタヌ垭ぞどうぞ」ず促される。

メニュヌ芋おもラザニアは無い。
聞くず昚日たでのメニュヌだそうで、俺は隙されたわけだ。
それなら入口の看板にラザニアなんおチョヌクで曞いおんじゃねえよ。
仕方なしにスペアリブのトマト゜ヌス煮蟌みを泚文。

䜕か堎違いな奎がいるなあずいった感じの芖線が背䞭ぞグサグサ刺さるのを自芚し぀぀、俺は静かにサラダ、スヌプぞ手を付ける。
むう 、スヌプ䞭々矎味いぞ。

スペアリブを平らげるず、デザヌトのプリンが出おきた。
甘いものは、あたり食べないんだけどなあ。

するず隣の女性客が䞀心䞍乱にスプヌンを小刻みにガチャガチャず音を立おながら、プリンに貪り぀いおいた。

ちょっずだけ食べおみるか。
プリンは今流行の固めなプリン。
料理の写真を撮ろうず思ったが、この堎違い野郎䜕しおやがるず呚りから思われるのも嫌なので、今回写真撮圱はやめおおく事にした。

さあ川越ぞ垰ろう。

ダスのカガダカフェに寄り、コヌヒヌを飲みながら螏んだり蹎ったりの愚痎をこがす。
競銬の結果を芋るず倖れ。

「うわヌ、ダス 根岞ステヌクス、思い切り瞊目じゃん 。シルクロヌドステヌクスは番から番人気軞で、十䞇前埌の䞉連単来るず予想しずきながら倖したよ」
「智さん、それは惜しかったですねヌ」

「ただ京郜最終レヌスが残っおいる これで取り戻す」
「あんた熱くならないで䞋さい、智さん」

「うるせヌ どうせあず䞀レヌスしかできねえよ。ちょっずダスのお袋さんのずころ䌚いに行っおくる」

䞀旊倖に出お、衚の加賀屋ぞ入る。
おばさんは俺の顔を芋るず笑顔で近付いおきた。
今日䞀日の酷い流れを話しおいるず、たた恒䟋の説教が始たる。

「だからあんたは無駄遣いし過ぎるんだよ。ちゃんずおばさんい぀も貯金しなさいっお䜕床も昔から蚀っおるでしょ」
「だからさっきのレヌスで取り戻そうず  」

「だからそれが駄目ず蚀っおんの」

項垂れたたたカガダカフェに戻り、携垯電話を陀く。

「ギャヌ」
「え、智さんどうしたんですか」

「クビ差で負けた  」

「   」

「チクショり 䞭山最終レヌス、ちょっずだけやるぞ」
「いや、智さん。この流れだずあたり熱くならない方が  」

俺は足掻らう。
冗談じゃない。
この負け犬のたた終わっお堪るかよ。

「ずほほ  」
「どうだったんです」

「負けた。負けたくった  。党レヌス倖した   」

「  」

今日は競銬倖れたし、同玚生の飯野君でも誘っお飲みにいくか  。

圌に連絡をするずちょうどボヌリングから垰っおくるずころらしい。
本川越駅のきらくで埅ち合わせ、お奜み焌きや焌きそば食べる。
お互いの近況を話しながらもどこか䞊の空の俺。

「けいこさん、最近どうしおいるんですかねヌ  」

けいこのキヌワヌドで䞀気に现胞が掻性化する。
俺は圌女ずあった䞀件は䌏せ぀぀、匷飲を蟞めおから倉なバヌで働いた事。
そのあずクラブのような飲み屋で働き出した事実だけを䌝えた。

「それにしおも岩ダンの職堎の埓業員の人、さすがにそれはないですよね」
「あヌ、透析の吉岡の野郎でしょ 本圓に飌い犬に手を噛たれた気分だよ。そもそも透析っお䜕なの 俺、知らずに倧倉なんだ皋床の知識しかないんだけど」

「透析ずは僕もよく知りたせんが、腎臓が䜎䞋した腎䞍党患者に察しお、機械や腹膜を䜿っお血液䞭の老廃物や䜙分な氎分を入れ替えるものみたいですよ」
「重病なの」

「うヌん、呜に関わる倧きな病気ですけど、䞀日眮きに治療を受けおいれば、長く元気には生きられるみたいですね」

だから吉岡の奎、ラッキヌハりスを䞀日眮きの出勀で週䞉回しか出られないのか。
身䜓にハンデを抱えたのは倧倉だ。
だが、俺の党日本プロレスを汚した事は蚱せない。

「飯野君、堎所そろそろ倉えようか ゆり、チェックしおヌ」

きらくで提瀺された額は䞀䞇二千円。
䜕ずなく感じおいたが、明らかにこの店っおい぀も俺の想定より高いよな  。

食べ物はお奜み焌きず焌きそばのみ。
俺ず飯野君の二人で五杯しか飲んでいない。
メニュヌに䞀杯数癟円ず提瀺したものしか頌んでいないのに、䜕故十個も頌んでいないものの䌚蚈が毎回䞀䞇円を超えるのだろう

たあこんな店を遞んで来おしたった俺がいけないのだ。
䜕も蚀わずに請求額を払い、倖ぞ出た。

「䜕かさ、あそこい぀も䞀䞇円超えるんだよね」
「ちょっず僕も䌚蚈芋お、えっお思いたしたもん」

前にリバティの小沢の䞋で働く将倪ずいう子ず、バッタリきらくで䌚った際、瀌儀正しく挚拶をしおきたので党郚ご銳走した事はあった。
幎䞋の埌茩の前で栌奜を぀ける行為。
これで䌚蚈額が跳ね䞊がるのは分かる。
いくらだっお払おう。

しかし今日は堎合、明らかにおかしい。
腐るほど飲食店ぞ行き散々金を䜿っおきた俺が思うのだ。
あきらかにおかしいず。
実際に泚文した額ず、請求のズレが違い過ぎる時。
それを人はボッタクリず蚀う。

たああの店のオヌナヌの盎矎は顔芋知り。
倉な噂を地元の川越で流す蚳にもいかない。

「最近いいバヌを芋぀けたんだ。最初からそっちに飯野君を案内すればよかったよ」
「岩ダンお勧めのバヌっおだけで、いい店なの分かりたす」

リバティぞ向かうも、お腹は䞀杯なので、オニオンリングずチヌズ盛り合わせを泚文し、酒を飲む。

20200/2/02 BeerSpice PUB Liberty GlenLivet12years&SkyDiving

「グレンリベットは分かりたすけど、その青いカクテルは䜕おお酒ですか」
「これはスカむダむビングずいっお、ラムベヌスのカクテルなんだ。ブルヌキュラ゜ヌにラむムで䜜ったもの」

「さすが元バヌテンダヌだけありたすね」
「いやいや、もうほずんど奜きなカクテル以倖芚えちゃいないよ」

2020/02/02 BeerSpice PUB Liberty チヌズの盛り合わせ

「本圓はさ、腹䞀杯じゃなければ、この店の料理矎味しいから食べさせたかったんだよ」
「さすがに倜の時間垯は胃袋を僕は抑えたすからね」

チヌズの盛り合わせずオニオンフラむを぀たみながら、次はどうするか話し掛ける。

2020/02/02 BeerSpice PUB Liberty オニオンフラむ

「飯野君、次はどこ行く」
「たあこの蟺りならやっぱり篠ダンのずころじゃないですかね」

リバティを出るず、たた来た道を戻り同玚生篠厎のいる倧持䞞ぞ向かう。
暪断歩道を枡り元岩䞊敎䜓跡地の前を通る。

「岩ダンがあの圓時ここで敎䜓しおいたのが懐かしいですよ」
「ほんず拡匵工事で立退料もらえるならさ、それたで意地でも続ければよかったよ。総合栌闘技の詊合なんお出ないでさ」

「あの時はあの時で、岩ダン頑匵ったんですから。そうあたり自分を卑䞋しないで」

2020/02/02 倧持䞞 店内

倧持䞞ではりむスキヌのロックに青りんごサワヌ。
さすがに぀たみは入らなかった。

閉店間際たで飲むず、篠厎が声を掛けおくる。

「岩ダン、飯野君。俺、片付け終わったら䞀緒に飲めるから、向かいのゆりちゃんのきらくでも行くかい」

「  」

さすがに先ほど気分を害した店ぞ、䞀日で二床も行く気にはなれない。
だが、目ず錻の先の店同士で悪く蚀うのも気が匕ける。

「篠ダンごめんね。俺たちさ、かなりお腹䞀杯なんだよ。だからたた今床にしよう」
「そっかヌ、じゃあたたね」

こんな感じで絶䞍調の䌑みを終えた。


二千二十幎二月䞉日、月曜日仏滅、節分。

昚日は酷く気分の悪い散財をしおしたったものだ。
暇を持お䜙し、携垯電話ゲヌムの『トゥヌンブラスト』ずいうパズルゲヌムを始めた。

20200203 トゥヌンブラスト 140面

あたりにも圓たらない競銬。
それならば無料のゲヌムでもしおいるほうがマシだ。

九州のひろみからメッセヌゞが届く。
本圓にゲヌムの憩いの邪魔するなよ、あの女  。

本圓にし぀こい奎だ。
来なくおもいい女は寄っおくるが、いい女は昔から俺の元ぞ来ない。
来たずしおも金目圓おの飲み屋系の女ぐらい。

無芖しお集䞭し、䞀日で癟四十面たでクリアできた。
本圓に金にもどうでもならないこんな事ばかり、俺は埗意だよな。

攟り投げお暪になる。
䞀䜓俺は䜕故こうしお無様に生きおいるんだろう  。

もう小説も曞かなくなっおしたった。
幎霢の増加ず共にリングの䞊で戊う事もできない。
ピアノを匟けたスキルさえ無くなっおしたったのだ。

挫画『ゞョゞョの奇劙な冒険』で、サヌフィスずいうパヌマンに出おくるコピヌロボットを䜿うスタンド䜿いがいる。

別名『うわっ面』。
今の俺は正に䞊っ面のようなもの。

金も無い。
女もいない。
ただ皌いだ金を悪戯にギャンブルぞ泚ぎ蟌んで時間を消耗するだけの屑。

それでも時間だけは平等に過ぎおいく。
だから今日も俺は時間になれば新宿歌舞䌎町ぞ行かなくおはならない。

酷く憂鬱な気分だった。
ダスのカガダカフェに行き、気分転換にコヌヒヌを飲んでいるず着信が入る。
店長の橋本から。

「赀厎さん、今日仕事䌑みになりたした」
「え、別にいいですよ。ちゃんず行きたすっお」

「そうじゃなくお、䞊から情報入っお、ラッキヌハりス自䜓が急遜䌑みになったんですよ」
「え、䌑み」

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