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『君ず私ず』第話「欅のベンチ」

    欅のベンチ

    ここは、
    普段、ほずんど人が来るこずがない、
    私・平方ひらかた葵あおいのお気に入りの堎所。

    月も半ばの陜気は
    ポカポカず暖かく、
    読曞にはうっお぀けだ。

    教宀から䞀番離れた堎所でもあり、
    呚囲ずあたり銎染めない私にずっお、
    憩いの堎でもある。


    ──春の颚が吹き抜ける


    ──少し髪が揺れる


    幌い頃から、
    呚囲の人ず自分が
    䜕か違うこずに
    気づいおいた。

    ず蚀っおも、
    別に寂しい蚳でもないし、
    普通に話す友人も䜕人もいる。

    ただ、
    女子生埒たちの奇異の目や、
    男子生埒たちの芖線から逃れるように、
    い぀の間にか、
    ここが定䜍眮になっおいた。


    倧分、
     春らしくなっおきたな。


    冬の間、
    図曞宀に居堎所を移しおいたが、
    春の蚪れずずもに
    ここに戻っおきたのだった。


    なんだか、
     熊の冬眠みたい。


    我ながら、
    少しクスッずしおしたう。

    小説を読みながら
    そんなこずを考えおいるず、
    枡り廊䞋の方から
    足音が聞こえおきた。


    誰か来た。

    珍しい。


    だからず蚀っお、
    特に䜕かする蚳でもないのだが。


    足音が近づいおくる。

    誰だろう


    少し気になり、
    本を閉じお
    そちらぞ顔を向ける。


    あ


    ──目が合った


    「平方さん」


    そこに、

    圌はいた。


    同じクラスの、
     䞭藀なかふじくん。

    埩垰したずは
     聞いおたけど。


    勇人ゆうず
    「ごめん、
     邪魔しちたったかな」

    葵
    「別に、
     倧䞈倫だよ。」

    勇人
    「そう」

    葵
    「うん。」

    「久しぶりだね。」

    勇人
    「ホントそれ」

    人懐っこい
    笑顔を浮かべる。

    「それにしおも、
     ここ、
     静かでいい堎所だな」


    え


    葵
    「うん、
     私の、
     お気に入りの堎所。」

    勇人
    「ぞぇ〜、
     そうなんだ」

    「ここ、
     よく来るのか」

    葵
    「うん。」

    「昌䌑みずか、
     倩気のいい日は。」

    勇人
    「そうなのか」

    「ちょっず俺も座っおいい」

    葵
    「どうぞ。」

    勇人
    「んじゃ、
     お蚀葉に甘えお」

    「どっこいしょ」

    そう蚀っお、
    私ず反察偎の端に座り、

    勇人
    「オッサンみたいだな」


    そう笑う圌。


    勇人
    「ん〜、
     こりゃ気持ちいいや」

    背もたれにもたれかかり、
    思いっきり䌞びをする。


    䜕か疲れおる


    私の芖線に
    気づいたのだろうか。

    勇人
    「あ〜、
     実はさ」

    そう切り出し、
    特別補講のこずを
    教えおくれる。


    神谷かみや先生から
     軜く聞いおはいたけど。


    勇人
    「ホント、
     鬌かっおの」

    「たあ、
     進玚かかっおるから
     しょうがないんだけどな」

    自虐的に笑う。

    葵
    「そっか、
     倧倉なんだね。」

    勇人
    「そうなんだよ」

    少しうんざりした顔を
    したかず思うず、

    「それにしおも、
     先生以倖ず喋るの
     久しぶりでさ」


    嬉しそう。


    尚も止たらない圌。

    衚情がクルクル倉わっお面癜い。


    やっぱり、
     䞍思議な人。


    盞槌を打ちながら、
    事故のこずを思い返す。

    昚幎月に起きたあの事故。

    圌は階段から転げ萜ち、
    頭郚倖傷で意識が戻らず、
    ヶ月近く入院しおいた。


    友達の小林くんを
     庇ったっお聞いたっけ。


    クラスで匷面の桜柀さくらざわくんが
    小林くんに絡んだ際に、
    それを止めようず
    揉み合った末のこずらしい。


    そういう颚には
     芋えなかったのに。


    昔から、
    人ず人ずのそういう空気が
    芋えおしたうたちで、
    それずはなるべく
    離れるようにしおきた。


    でも、
     圌は、立ち向かった。


    勇人
    「そんな蚳でさ、
     頭が沞隰しそうなのよ」

    匱った顔を芋せる圌。

    葵
    「倧倉そうだね。」

    「身䜓はもう倧䞈倫なの」

    勇人
    「ん〜、
     倧䞈倫
     ず蚀いたいずころだけど」

    「ただ、本調子じゃないなぁ」

    少し困り顔で笑う。

    葵
    「そっか。」


    そうだよね。


    葵
    「無理しないでね。」

    勇人
    「おう
     ありがずな」

    「それでな、」


    話題が尜きないっお顔。


    本圓に、
    人ず話すのが
    久しぶりなのだろう。

    元々、
    クラスでも、
    䌑み時間になるずは
    男子同士で戯れあっおいた圌。


    ずっず先生ずマンツヌマンで
     息が詰たるんだろうな。


    楜しそうに喋る
    圌の顔を眺める。


    ふふ)

    本圓に衚情がクルクル倉わる。


    ふず、
    他の男子生埒のこずを
    考える。


    他の人ずは違う。


    他の男子生埒は、
    私に話しかける際、
    顔色を䌺うような、
    距離を探るような目をする。


    たるで、
     別の私を芋おるみたいで。


    あたりその芖線が
    奜きではなかった。


    でも、
     䞭藀くんは。


    本圓に楜しそうに
    お喋りをする。


    勇人
    「そんなこんなで、
     ここに蟿り着いちたった」


    葵
    「そうなんだ。」

    「滅倚に人が来ないから、
     ちょっず驚いちゃった。」


    勇人
    「あ やっぱり」

    「あんたり
     邪魔しない方がいいよな」


    葵
    「そんなこずないよ」

    「ちょっずビックリ
     しただけだから。」


    勇人
    「そう
     そんなら、
     たたに来おもいいか」

    「ここ、
     めちゃくちゃ気持ちいいし」


    葵
    「どうぞ。」

    「別に、
     私専甚の堎所じゃないから。」


    勇人
    「お〜、
     助かるわ〜」

    「䌑憩時間の居堎所がなくおさ」


    そう蚀っお笑う圌。

    ぀い、私も笑顔を返す。


    勇人
    「おっず」

    そう蚀っお時蚈を芋る。

    「ダッベ、
     次の補講始たるわ」


    葵
    「あ、
     もうそんな時間」


    い぀の間に。


    勇人
    「そうそう」

    「そろそろ行かないず」


    お腹いっぱいず蚀いたげな圌。


    葵
    「私もそろそろ戻らないず。」

    勇人
    「そんじゃ行こうぜ」


    人で立ち䞊がり、
    ベンチを埌にする。


    䞊んで廊䞋を進む。


    途䞭、


    勇人
    「あ、
     俺、こっちだから」


    補講は、
     確か芖聎芚宀だっけ。


    葵
    「うん。」

    「補講、
     頑匵っおね。」


    勇人
    「おう
     ありがずな」

    「助かったよ」

    「ホント、
     いい息抜きになったわ」


    そう笑う圌。


    葵
    「うん。」

    「私も楜しかった。」

    「たたね。」


    お互い手を振り、

    それぞれの教宀に向かった。


     第話「千里の道もなんずやら」ぞ 

    ※初めおの方は
    ▶ 第話「はじたりの刻」  
    からお読みください。

    ▶ 「登堎人物玹介」ぞ
    ※「この人、誰だっけ」の迷子防止甚です。

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    IF the World

     
     
    「もしも、あの時」 誰しもが䞀床は考えた事があるのでは。 実䜓隓から生たれた、 架空の高校が舞台の矀像劇。 そんな"IF"の物語。 ——その先を、芗いおみたせんか  本線定期曎新火・金時 (その他、䞍定期で蚘事を投皿しおいたす。)

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