
『君と私とIF』第15話「空転」
──翌朝・金曜日──
<3ーC教室>
教室に入たその瞬間、
目が合った。
勇人
「・・・、よぉ」
桜澤
「・・・、おう」
そこにいた、
桜澤と。
(焦った・・・)
たったそれだけのやり取り。
お互い、自分の席に向かう。
(昨日の今日でこれか・・・!)
でも、
昨日までとは、
少しだけ、違って見えた。
「翔」──
大原が声をかける。
三浦も混ざって、
3人で何か話してる。
(あいつらの笑顔、
戻ってから初めて見たな)
席に着くと、
小林
「・・・何があったの?」
小声で聞いてくる小林。
勇人
「実はな・・・」
同じく小声で、
昨日の桜澤のことを話す。
小林
「・・・そっか」
「よかった」
少しホッとした様子。
勇人
「おう、ありがとな」
(ずっと心配かけてられんしな)
少し、教室の様子を眺める。
女子たちは賑やかだ。
男子は・・・。
何人かずつ集まって、
チラホラ談笑してはいるようだ。
(・・・)
武田は。
一人、
自分の席によっかかって、
しかめっ面でうつむいてる。
(あいつ・・・)
昨日の、桜澤の謝罪を思い返す。
(結局、俺だけ、
知らぬ存ぜぬじゃ済まんよなぁ)
(どうしたもんか・・・)
思案していると、
小林
「勇人?」
再度、
小声で話しかけてくる。
勇人
「お? どうした?」
振り向く。
小林
「・・・また考え事?」
勇人
「ああ、ちょっとな」
小林
「・・・」
「武田くん?」
勇人
「ん?」
(鋭いな・・・)
「ああ・・・」
少しうつむき、
小林
「・・・勇人が」
難しい顔を、
横に逸らしながら、
「勇人が、
無理しなくて・・・、
いいんじゃないかな」
絞り出す。
(小林・・・)
勇人
「・・・ああ、そうだな」
笑顔で、
「無理はしねーよ」
そう返す。
と。
──キーンコーンカーンコーン──
──予鈴だ。
座り直して
向きを変え──
途中で目が合った。
(平方さん・・・)
つい、目を逸らす。
(落ち着け・・・)
──勇人。──
(ないない・・・)
一人、
悶々としていると、
神谷先生が入ってきた。
<3ーC教室>
──昼休み──
「武田!」──
突如、高橋七海の声が響く。
(なんだ?!)
視線が集まる。
武田
「・・・んだよ、七海?」
武田が鬱陶しそうに応じる。
七海
「あんたね・・・」
「なんなのよ、今日は!」
高橋が捲し立てる。
「朝からずーっと不機嫌で!」
「いい加減にして!」
武田
「うるせーよ!」
「んだ、テメーは?!
俺の母親か!」
七海
「なによ・・・」
「今日だけじゃないじゃない!」
「ずーっと変なテンションで周りに絡んで!」
「みんなが困ってるの分かんないの?!」
武田
「んだと?!」
「ふざけんなテメー!」
言い争いが続く。
(おいおい、大丈夫か・・・?)
武田
「うるせーってんだよ!」
「お前に関係ねーだろが!」
七海
「・・・あんた」
「ホント、いい加減にしてよ・・・」
目に涙を溜めて、立ち尽くす。
絵梨花
「はーい、そこまで」
坂下が割って入る。
花音
「ななみん泣いてんじゃん」
「かわいそうに」
高橋を抱き寄せ、
イイコイイコする相沢。
武田
「っ・・・、クソ!」
吐き捨てる武田。
絵梨花
「大体は七海のいう通りじゃん?」
「なんなの、あんた?」
(止めると思いきや・・・)
武田
「うるせーよ・・・」
「お前らに何が分かんだよ・・・」
次第に、語気が弱くなる。
花音
「分かるわけないよねぇ?」
絵梨花
「そうそう」
「ていうかさ」
「関係ないって、
十分巻き込まれてるんですけど?」
花音
「ホントだよね〜」
「ななみんだって、
ずっとトモくんのこと気にして
止めてくれてたのにね〜」
(すげぇ連携・・・)
──ギリッ
歯軋りか。
何も言い返せず、
立ちすくむ武田。
(ギャル怖え・・・)
そこへ、
「武田ぁ」──
(陽葵さん、参戦・・・)
陽葵
「あんたさぁ、
顔と態度に出過ぎなんだよ」
「そこまでにしときな」
(トドメ・・・)
武田
「・・・」
力なく、ドカッと座りこむ。
相沢と坂下の2人は、
高橋を慰めながら、
女子の輪に戻っていく。
(女子怖い・・・)
武田の横顔をうかがう。
(苦悩・・・か?)
険しい顔をしている。
(女子は・・・)
高橋をみんなで慰めている。
(平方さんも)
彼女が、
高橋に話しかけているのが見える。
(そういや、仲良かったもんな)
(しかし、この空気・・・)
(何も言えねぇ・・・)
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