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04_不揃いな庭、その先の豊かさ - 石巻かほく随想コラム「つつじ野」掲載文(2026.04.28)+あとがき

    宮城県石巻市の地方紙「石巻かほく」の随想コラム「つつじ野」に、2026年4月7日から寄稿させていただいています。このnoteでは掲載された文章と、書ききれなかったことや執筆時に考えていたことなどを掲載していきます。なお、新聞掲載時には規定により一部の漢字表記などが変更されましたが、こちらでは原稿のまま掲載いたします。

    掲載文「不揃いな庭、その先の豊かさ」

    晴れた日は毎日少しでも庭に出て、草を刈り、枝の手入れをしています。
    春以降は雑草とのいたちごっこです。除草剤を使えばと言われることもありますが、それはやりたくありません。雑草の中に野菜やハーブも一緒に育っているからです。

    この庭を作ったのは大震災の次の年でした。父の実家兼仕事場だった家は地震と大津波で全壊し解体まで数ヶ月待つことになりました。あの頃は命があるだけでもありがたいことでしたが、それでも父が実家をとても寂しそうに眺めていた姿が印象に残っています。

    何か出来ないかと思い、これまでのオーストラリアでの経験や暮らしを活かして、自然が循環する庭を作りたいと考えました。人も集まり楽しめる場所にしたい。そう父に話すと、快く了承してくれたところから庭作りが始まりました。

    園芸の専門的な知識は無く、聞いたことのあるやり方を試すことからのスタートでした。クローバーを撒き土に窒素を入れて緑肥にする、不耕起栽培の為に段ボールマルチを敷くなど、少しずつ作業を積み重ねていきました。やがて赤土だった場所にも野菜やハーブが育ち始めました。

    数年が経ち、螺旋型に石積みをして作った花壇が一晩で甥の砂場に変わったり、畑にしていた場所に知らぬ間にコンポストとして生ゴミが埋められていたりと、私と父の空間作りの攻防もありました。

    それから十四年。植えた記憶のないハーブや野菜たちも含めて元気に、カナヘビやミツバチなどの生き物も元気に育っています。思い描いた通りではありませんが、父と僕が弄り倒した先にある自然が今ここにある気がしていて、とても楽しく、暖かく感じています。

    石巻かほく「つつじ野」2026年4月28日(火)掲載と同内容

    あとがき

    2011年3月11日の後、親族や知人の訃報、ラジオから流れ続ける悲惨なニュース、避難所や電柱に貼られた捜索の張り紙を連日目にしていました。

    あの頃の私は、悲しさや辛さにどこか蓋をしていたように思います。何が起きても冷静に、今できることを考えて動こうとしていました。一度でも涙を流してしまったら、自分を保てなくなりそうな気がしていたからです。

    そんな中で不思議と心に残っているのは、庭だった場所の乾いた泥を割って伸びてくる雑草や野花の姿でした。力強く生きるその姿に励まされました。また、避難所や街中で知り合いと再会した時の嬉しさや、再会した人たち同士が喜び合う姿にも何度も心を動かされました。

    津波で被災した父の事務所兼実家の母屋が取り壊されることになった時、ふと頭に浮かんだのはそうした光景でした。この場所を「津波で失われた場所」として終わらせるのではなく、植物や動物、人が集まり、様々な命が行き交う豊かな空間にできないだろうか。そんな思いから庭づくりを始めました。

    オーストラリアでパーマカルチャーコミュニティーに滞在した経験もあり、植物や土、水が循環する庭を目指しました。少し格好良い庭にしたいという気持ちもありました。けれど実際には失敗の連続で、掲載文にも書いたように父との攻防もあり、思い描いた通りにはなかなか進みませんでした。

    それでも14年が経った今、その庭には様々な植物が育ち、ときにはムジナのような野生動物も姿を見せます。友人や知人が立ち寄って、庭で時間を過ごしていくこともあります。

    形は変わり続けていますが、振り返ると少しずつ、命が行き交う豊かな空間になってきたように感じます。まだ少しワイルドすぎるので、「優しい庭」になるまでにはもう少し時間がかかりそうですが、それもまた楽しみのひとつです。

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    2011年3月11日 父の母屋付近。波が来た時。
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    2011年12月 解体の段取り
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    2011年12月 解体中
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    2012年3月 解体後
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    2012年8月 庭初期段階
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    2026年6月 植生がなかなか凄いことになりました
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    たまに見かけるムジナ(アナグマ?)

    つつじ野掲載文+あとがきリスト




     
     
    四倉 由公彦 (ゆっき) 民俗芸能愛好家/音楽家/サウンドアーティスト 篠笛、和太鼓、ギター、エフェクトなどで即興演奏しています。民俗芸能は鬼剣舞、獅子舞など(主に囃子)をやらせてもらっています。宮城県石巻市出身在住。

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