
授業実践第3回|平均寿命15歳。その数字を、すぐに言わない理由(公民・経済02_資本主義の問題点)
問題です。産業革命当時のイギリスで、工場労働者の平均寿命は何歳だったでしょう」
選択肢を板書します。15歳・30歳・45歳・60歳。
手を挙げさせて、理由を一言言わせて、それから「正解は15歳です」と告げます。だいたいここで、教室に妙な間が生まれます。ざわめきとも沈黙とも言えない、あの感じです。
この授業は「資本主義の問題点」を扱います。
まず当時の政府と経済の関係を確認します。産業革命期のイギリスでは、政府は経済にほぼ口を出しませんでした。「自由主義(レッセ=フェール)」という考え方で、国は見ているだけ。夜に見回りをするだけの国家、という意味で「夜警国家」と言います。
「じゃあ昼は何してるの」という声が毎年必ず出てくる。「いい質問です、経済については何もしてないんです」と返すだけで、言葉の意味が定着します。説明するより、突っ込ませた方が早い場面があって、ここはその典型です。
資料は3つ使います。スラムの夜の絵、工場で働く子どもの絵、当時の労働条件の文書です。
クイズのあとだからか、どれも食い入るように見ていました。スラムの絵では、犬と骨を奪い合う男や路上の棺に自分たちで気づく。工場の絵では、児童労働と低賃金をちゃんと読み取っている。
いちばん手応えがあるのは3つ目、エンゲルスの文書への発問です。
「ヤバそうと思うところに3か所、線を引いてください」
「劣悪な労働環境を指摘しなさい」より、ずっと生徒が動きます。無制限労働に引く子もいれば、夜勤や児童労働に反応する子もいる。どこに引っかかるかに、その子の生活感覚が出るんですよね。
使う教材は3点です。
【プリント】歴史でも使ったことのある資料を再編したものです。著作権の関係で画像は外していますが、資料集や電子教科書で補えます。
【スライド】(リンク)使いやすいところだけ使ってください。
自作の授業プリント→Claudeに読ませる→スライドの原案生成→notebookLMで整形
【教師用原稿】(リンク)30分程度の進行です。詰まったときの保険です。
【まとめ】ワンペーパーにまとめてます(notebookLMを使用)
「正解は15歳です」と告げたあとの間が、毎回少しずつ違います。
そのまま次に進む日もあれば、「中学生より若い」という声が出る日もある。
その声が出たとき、この授業は終わったと思っています。
15歳という数字が、教科書の外に着地した瞬間だからです。
そのための間です。数秒ですが、急ぐ理由はありません。
次回は経済第4回「修正資本主義」です。