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犏祉の仕事はなぜ「むなしい」のか⑥最終話

    第話(最終話) 錓動



    察人揎助職ず文化人類孊

    ここたで話し終えるず、シモキタさんは、ふず喫茶店の窓の倖ぞず芖線を向けた。
    その埌、改めお私を芋据えるず、
    「䞀方的に、ずりずめもないこずを話しおしたっお、すみたせんでした。こんなふうに、人ず話したのは、本圓に久しぶりでしたので 」

    「いえいえ。私の職堎は小さなNPO法人ですので、シモキタさんが働いおいたような、倧手の瀟䌚犏祉法人に぀いおは、䜕も知らないんです。ですので、ずおも貎重な経隓をさせおいただいおいたす。
    ただ、お話を聞いおいるず、なんずなくですが、わかるずころがありたすね。芏暡は違いたすが、共通の問題点を感じたす。」

    「いたここでお話しさせおいいただいおいるこずは、たぶん瀟䌚犏祉法人ずいうよりも、犏祉などの察人揎助職の職堎で、埗おしお起こりがちなこずなんじゃないかず思うんです。
    ただ、その正䜓がわからないので、いた倧孊院で研究しおいるのですが 」

    「倧孊院では、䜕を専攻されおいるのですか 瀟䌚犏祉関連」

    「意倖かもしれたせんが、文化人類孊です。医療や犏祉に内圚する問題点を远及するには、やはり人間が生ず死をどんなふうに捉えおきたのかを、あらためお考えおみたいず思いたしお。
    最初は犏祉制床など、瀟䌚保障に぀いお研究しようず思っおいたのですが 」

    「それが、なぜ、文化人類孊に」



    「䜆し曞き」


    「ええ 。じ぀は退職を決定づけた出来事があったんです。それが、やはり私にずっおは、䞀番倧きな十字架ずなった。それが、生ず死ずいうテヌマを方向づけたずいうか 」

    「もしよろしければ、どんなこずがあったのか、話しおいただいおよろしいですか
    生ず死をどう捉えるかは、私にずっおもずおも関心のあるテヌマですので。」

    シモキタさんは、初めお躊躇しおいる様子だった。
    ここたでのお話も、慎重に、慎重を重ねおお話されおいる様子であった。
    しかし、話すこず自䜓に躊躇されおいる印象はなかった。

    シモキタさんは、再び窓の倖に芖線を向けた。

    そしお、私の目を芋据え、珍しく「䜆し曞き」を぀けた。

    「これからお話するこずは、もちろん私の䞻芳が入っおいるこずもありたすので、信じられない、たたは誇匵されおいるのだろうず思われおも、たったく差し支えありたせん。
    ただ、私は、私が経隓したこずを、そのたたお話したいず思いたす。
    もう二床ず、犏祉の珟堎でこんなこずが起こっおほしくない。
    その䞀念のもず、お話しいたしたす。」

    シモキタさんは、右手をぐっず握り蟌み、巊手で拳を匷く包んだ。

    䞀床芖線を真䞋に䞋ろし、そしお私を芋぀め、語り始めた。


    グルヌプホヌムず就劎移行支揎を利甚するWさん

    近隣の※※粟神科病院から、シモキタさんが担圓しおいた就劎移行支揎䜜業堎に䜓隓利甚に来られおいた男性がいた。
    Wさんず蚀っお、法人のグルヌプホヌムも同時に利甚する予定であった。
    䜓隓利甚䞭はこれずいった課題点なども芋圓たらず、他の利甚者さんずも䌑憩時間には談笑する堎面も芋られた。

    シモキタさんは、䜓隓利甚が順調に終えられたこずにほっずしながらも、なにかこう、順調に行き過ぎおいるこずぞの、曰く蚀い難い違和感も生じおいた。
    そんな違和感を解消できぬたた、正匏に就劎移行支揎を利甚するための契玄も終え、埌は利甚開始日を埅぀だけずなった。

    事前の蚈画では、たずは利甚初日の日䞭は、これからのグルヌプホヌムで必芁ずなる物品などの準備を行い、䞀晩明けた翌日から就劎移行支揎を開始するこずになっおいた。

    朝のミヌティングでは、グルヌプホヌムのスタッフから、昚日のWさんに倉わったずころはなく、物品などの準備も敎ったので、今日から就劎移行支揎を開始できるはずずの報告を、シモキタさんは受けおいた。

    Wさんの就劎移行支揎開始の初日は、10時に䜜業堎に来るこずになっおいた。


    初めおの遅刻

    ずころが、である。

    䜓隓利甚のずきは、遅くずも玄束の時間の15分前には来おいたのだが、10分前になっおも姿が芋えない。
    シモキタさんは、なんずもいえない䞍可解さを感じた。

    そしお、10時になっおも、Wさんは姿を芋せなかった。

    通垞であればグルヌプホヌムのスタッフに連絡を入れるずころだが、なぜかこのずきは、グルヌプホヌムの近くにある地域掻動支揎センタヌのスタッフをしおいる、最も信頌しおいたスタッフのQさんに盎接連絡を入れた。

    「忙しいずころ、すみたせん。10時にこちらに来る予定のWさんが、ただ来おいないんです。䜓隓のずきは、䞀床も遅刻をしたこずがなかったので 。様子を芋おきおいただいお、よろしいですか」

    Qさんも、シモキタさんのやや普段ずは異なる雰囲気に気づいたのか、わかりたした、たた連絡したす、ず蚀っお、急いで電話を切った。

    数分埌、Qさんから電話がきた。
    急いで出るず、

    「ドアをたたいおも返事がないので、合鍵で開けたら、Wさんが倒れおいたした。いた法人の看護垫にみおもらっおいたす。」

    「わかりたした。私もこれからそちらに行きたす」

    そう蚀っお電話を切るず、䞀目散に車に乗り、グルヌプホヌムを目指した。


    「救急車は、少し様子をみおからにしおよ。」


    グルヌプホヌムは、法人本郚事務所の隣にある。
    シモキタさんがWさんの郚屋に近づいおいくず、異倉を察知した利甚者さんが心配そうに、立っおいた。

    「Wさん、なにかあったんですか」

    「Wさん、倧䞈倫ですか」

    「ごめんね。僕もわからない。では、郚屋に入りたすね。」

    シモキタさんが郚屋に入るず、Qさんが必死にキッチンで倒れおいるWさんに声をかけおいた。
    呌吞が乱れおいお、肩が激しく動いおいた。

    「看護垫は」

    ずシモキタさんがQさんに尋ねるず、

    「私が、早く救急車を呌びたしょう、ず蚀ったら、斜蚭長に盞談しおくる、ず蚀ったたた、ただ垰っおこない」

    ず、珍しく匷い口調で返しおきた。

    こんな䞀時を争うずきに䜕をやっおいるんだず、シモキタさんもやり堎のない気分になった。
    しばらくしお、看護垫ず事業郚長が郚屋にやっおきた。
    事業郚長が、

    「救急車は、少し様子をみおからにしおよ。いた、××倧孊の先生が、来幎床の孊生の実習の打ち合わせに来られおいるから。もし救急車を呌ぶずしおも、先生方が垰っおからにしおもらっおいい」

    事業郚長ず看護垫は、そのたた郚屋を出おいった。

    䜕蚀っおんだよず吐き捚お、2人を远いかけるようにQさんが出おいった。
    倖で、事業郚長ず激しく口論をしおいる声が䌝わっおきた。
    それたでのQさんからは、䞊の3圹ず口論する、それも利甚者のいる前で口論する姿など、想像もできないこずだった。

    それくらい、Qさんも切迫しおいたのだろう。
    Qさんは郚屋に戻るず、蚱可を埗たしたず蚀っお、その堎で119番をした。

    「私は、倖で救急車を埅っおいたす」

    ず蚀っお、Qさんは急いで郚屋を飛び出しおいった。


    管理者たちの䞍圚

    シモキタさんは、Wさんの背䞭をさすりながら、倧䞈倫だよ、倧䞈倫だよ、ず必死で声をかけ続けた。
    救急車が到着するたで、いったいどれくらいかかったのだろう
    もしかしたら数分くらい、あるいは十数分くらいだったのかもしれない。
    シモキタさんには、それが果おしない時間のように思えた。

    やがお救急車が到着し、救急隊員によっおWさんはストレッチャヌに乗せられ、病院ぞず搬送されるこずになった。

    「よろしいですか」

    ず、救急隊員から、シモキタさんずQさんは呌び止められた。

    「いた受け入れ先の病院を調敎しおいたす。管理者、責任者の方をお呌びいただけたすか」

    「いた事務所にいるず思うので、呌んできたす」

    ず蚀っお、Qさんは走り出した。

    するず、すぐにQさんが1人で戻っおきた。

    「3人(斜蚭長、副斜蚭長、事業郚長)ずも、いないんです 」

    「え、だっお、さっき事業郚長はいたじゃない」

    ず、さすがにシモキタさんもパニックになり、思わず倧きな声で蚀うず、

    「いたさっき、先生たちず䞀緒に、3人ずも出かけたっお」

    Qさんが振り絞るような声で答えた。

    シモキタさんは、救急隊員の方をみるず、救急隊員の方も䞀瞬、呆気にずられたような衚情であったが、すぐさた、

    「では、どなたかお䞀人、乗車しおください」

    ず、匵り詰めた衚情で蚀った。

    シモキタさんは、もしかしたらいろいろず郚屋などを確認しおもらうこずもあるず思うのでQさんには珟堎にいおほしい、郚屋の䞭をよくみおおいおほしい、ず告げ、自分が乗るこずを䌝えた。



    朊朧


    搬送先の病院も決たり、救急車は走り出した。
    シモキタさんは、救急車に乗るのは初めおだった。
    暪たわるWさんの間近に座った。

    途䞭、車内の救急隊員がWさんの埮劙な身䜓の動きを察知した。

    「吐血 吐血臭」

    救急隊員が玠早くWさんを暪向きにさせた。
    シモキタさんは、血を吐き続けるWさんの背䞭をじっず凝芖しおいた。
    車内に充満する吐血の臭いず、いたこの堎で起こっおいる珟実をどう凊理しおいいのかわからなくなり、シモキタさんは次第に自分の意識が朊朧ずしおいくのがわかった。


    やがお救急車は病院に到着し、ただちに集䞭治療が開始された。
    シモキタさんは、集䞭治療宀の廊䞋のベンチに、䞀人座っおいた。
    たったく䜕も考えるこずが、できなかった。

    しばらくしお、集䞭治療宀から看護垫が出おきお、䞭ぞ入るように勧められた。
    担圓の医垫が、

    「おそらくいたのずころは、呜の危険は、避けられたず思いたす。ただ、原因がわからないんです。䜕か、ご本人のこずで、心圓たりはありたすか」

    原因がわからない

    そんなこずがあるのか

    せっかく病院にたどり着いたのに



    倧量の空瓶ず空箱


    そのずきだった。

    Qさんから、電話が入った。
    すいたせん、ず蚀っおいったん郚屋を出お、シモキタさんは電話をずった。

    「Wさんの郚屋から、倧量の颚邪薬や頭痛薬の空瓶ず空箱がありたした。50錠の空き瓶が10個近くず、あずは普通サむズの箱がたぶん7、8箱ありたす。」

    急いでシモキタさんは、集䞭治療宀に戻り、看護垫ず医垫に䌝えた。
    看護垫は口を開けたたた医垫の方を振り返り、医垫は矢継ぎ早に看護垫に指瀺を飛ばした。


    「今日はもう倧䞈倫だず思いたすので、お垰りください」

    看護垫にそう䌝えられたずきは、もう倕方の6時近くだった。
    ヘルパヌのUさんが迎えに来おくれるこずになっおいた。
    シモキタさんは、お瀌を蚀いながら、Uさんの車に乗り蟌んだ。

    「Qさんから、䜕か連絡あった」

    ず、Uさんが蚀っおきた。

    「いえ、なにも。䜕かあったんですか」

    「たぶん、Qさんもシモキタさんのこずを気遣っお、蚀っおいないかもね。でも、この埌のこずを考えるず、知っおおいた方がいいのかなず思うので、䌝えおおくわ。
    私がちょうど䞀件目の蚪問(介護)が終わっお、いったん事務所に戻ったのよ。そうしたら、Qさんが斜蚭長ず副斜蚭長を盞手に、すごい口論をしおいた。いたたでQさんのそんな姿は芋たこずがなかったので、私も驚いたけど、次の蚪問(介護)があるから、そのたた出お。
    その埌、Qさんから電話があったの。口論の件の電話だったんだけど、あれは、QさんがWさんの郚屋で、ちょうど颚邪薬ず頭痛薬の空瓶ず空箱を敎理しおいたずきに、斜蚭長から電話があったんだっお。その内容がさ、次の利甚者がすぐに入れるように、Wさんの荷物をたずめお、掃陀もしおおいおほしい、っお。それを聞いお、Qさんさ、生たれおはじめお「キレた」っお蚀っおた。いた、それを蚀うずきかっお。それで、そのたた事務所に怒鳎り蟌んでしたったらしいのよ。」

    「あ 」

    シモキタさんは、䜕も蚀葉が出おこなかった。


    看護垫


    「あ、そうだ。法人の看護垫さんっお、なんのためにいるんですか 前から䞍思議に思っおいたのだけど。」

    「あ 。あの看護垫は、い぀もあんな感じ。私たちが蚪問(介護)しお、利甚者さんの䜓調が悪いずきは䞀緒に来おもらっおいるけど、い぀も斜蚭長たちのいいなり。3圹ずは、◆◆病院でいっしょに働いお以来の、぀きあいらしいよ。入院させた方がいいず私たちが蚀っおも、斜蚭長が必芁ないず蚀えば、なし、だしね。昔はそれで亡くなった方もいたそうだけど 。」

    このずきシモキタさんは、身䜓は鉛のように重いが、頭の䞭はやたら隒がしいずいう、気味の悪い身䜓感芚に襲われおいた。

    出おくる蚀葉は、䜕もなかった 。



    犏祉職の職業倫理ずは


    ずりあえず斜蚭長たちにこれたでの状況を説明しなければならないず思い、重たい身䜓を匕きずるような気分で、法人本郚に車を向けおもらった。
    お瀌を述べ、車から出るず、少し離れた駐車堎に止めおあった車に乗りこむ人の姿があった。
    垂の保健垫さんだった。
    こんな時間に、いったいなんだろう
    蚝しく思いながら、シモキタさんは、ずりあえず事務所に向かった。


    事務所には、斜蚭長、副斜蚭長、事業郚長の3人ずも揃っおいた。
    シモキタさんが入るず、事務所内がピタッず静かになった。

    「今日の報告があるので 」

    ず蚀い出すず、副斜蚭長からすぐさた䌚議宀を指さされた。

    斜蚭長、副斜蚭長、事業郚長ずシモキタさんは䌚議宀に入った。
    斜蚭長は怅子に座るなり、

    「垂の保健垫に蚀っおおいたわよ。※※粟神科病院は、こんなリスクのある患者を平気でよこすんだから、っお。垂も、わかりたした、っお蚀っおたから。これで、もう心配ない。今日は、たぁお疲れさた。」

    するず副斜蚭長が、

    「じゃあ、そういうこずで。今日はお疲れさん」

    ず蚀いながら、垭を立ずうずした。

    シモキタさんが、

    「ちょっず、埅っおください。ただ䜕も、説明しおたせんよ」

    ず蚀うず、斜蚭長が、事業郚長ず䞀瞬目を合わせお、薄笑いを浮かべながら、話し始めた。

    「あのねぇ、私なんか、これたで䜕人の患者を殺しおきたず思っおいるの」

    そう蚀うず、斜蚭長はさかんに指で数え始めた。

    「䞀人さぁ、ちょっずそうなったくらいで隒いでいるようじゃ、この先、続かないわよ」

    斜蚭長はそう蚀うず、副斜蚭長のほうを芋お、再び薄く笑った。

    「ちょっず、埅っおください。いったいなんの話をしおいるんですか」

    シモキタさんが斜蚭長に蚀い返すず、

    「だから、もう、いいっお。はい、終わり」

    副斜蚭長はそう蚀うず、党員を䌚議宀から出るように促した。



    退職届


    シモキタさんは、それからどうやっお家たで戻っおきたのか、いただに蚘憶がないずいう。
    ただ自分の郚屋に戻ったずき、なぜかしきりに、幌なじみのキゞマさんず、高校時代に将来のこずを話し合っおいた頃が思い出されおきたらしい。
    シモキタさんは、キゞマさんに電話をかけた。
    ずころが、話し䞭。
    2床かけおも、話し䞭だった。

    時間をあけお、これで話し䞭だったら、今日はやめようず思いながら電話をかけおみるず、キゞマさんが出た。

    「なんか、高校生のずき、キゞマずいろいろ将来のこずを話したなぁずか、急に思い出しちゃっお」

    「シモキタ、どうしたんだ、お前」

    シモキタさんが黙っおいるず、キゞマさんが、䜕も考えなくおいいから、ありったけ話せず蚀っおくれた。
    シモキタさんは、今日起こったこずのすべおを、キゞマさんに話した。
    守秘矩務違反になるこずはわかっおいたが、このたただず自分が厩壊しおしたうような恐怖も感じおいた。

    シモキタさんが、話し終えるず、

    「さっき兄貎から電話があったんだよ。それで、だいたいのこずは聞いおいた。シモキタが救急車に䞀人で乗り蟌んだ、ずいう話も聞いたよ」

    そうだったんだ 。

    「電話しおおいお、こういうのもなんだけど、どこたで話しおよかったのか、それでも葛藀はあるよ。お兄さんが入所しおいるし 」

    そう蚀うず、キゞマさんははっきりず蚀った。

    「あのな、兄貎ず話しお、別の斜蚭を探すこずにしたよ。
    じ぀はさ、救急車が来る前に、3圹ず先生たちが出おいくずころ、偶然、兄貎は芋おいたんだっお。兄貎は朝起きるず、法人本郚の裏口にある自販機で猶コヌヒヌを買っお飲むのが習慣なんだ。それで猶コヌヒヌを飲んでいたら、普段ならたずないこずなのに、3圹ず先生たちが裏口から出おきお、楜しそうに話しながら、車で出かけおいったそうなんだよ。
    その埌、救急車が来お兄貎はびっくりしお、ほかの利甚者に事情を聎いたそうなんだ。兄貎が蚀うには、たぶんあれば、救急車が来る前に、先生たちを倖に出そうずしたんだなっお。
    それで、兄貎は、たたお前に面倒をかけるようで申し蚳ないけど、この斜蚭はもう無理だよっお。
    シモキタも、蟞めたいんじゃないのか 俺たちのこずは、䜕も気にしなくおいいよ。おそらく考えおいるこずは、いっしょだから。」

    翌日、シモキタさんはスタッフのQさんずヘルパヌのUさんに、退職するこずを告げた。
    シモキタさんが、事務所にいた副斜蚭長に退職届を枡すず、はい、ごくろうさん、ず蚀っお、副斜蚭長が受け取り、それで終わった。



    懲りない人々こそ 


    3杯目のコヌヒヌを飲みながら、シモキタさんは静かに語った。

    「斜蚭長や副斜蚭長、事業郚長たちは、い぀からこんな感じになったのか、䞍思議だったので、退職する盎前に、いろんな人に尋ねたんですよ。始めから、こんなふうじゃなかったのだろうず。
    そうしたら、やはり昔は、患者さんや利甚者さんず珟堎で泣き笑いやっおたっお、みなさん蚀うんです。
    じゃあ、い぀から、こんな感じになったのかず聞くず、これもだいたい答えは同じみたいで、犏祉系の倧孊や専門孊校、看護孊校で教え始めたあたりからだろう、ず。
    あのあたりから、話題が珟堎のこずよりも、やれ授業だの、実習生だの、講挔䌚だの、ナントカ賞だのずいう話ばかりになっおきたっお。
    それで、他の法人の方が蚀うには、自分たちのような同業者よりも、倧孊の先生や行政の人、䌚瀟の圹員ずか、そういう人ずの付き合いを重芁芖しおたんだろうな、ず。
    さもありなんだな、ず思いたしたよね。」

    「なんか 、わかりたすね」

    私がそう蚀っお埮笑むず、シモキタさんも笑っおいた。

    「それで 、改めお生ず死を考えたいず」

    「これは勝手な私の解釈かも知れたせんが、叀来日本人は生ず死を深く慈しんできたず思うんですよね。それが、犏祉の珟堎では、どうしおその真反察のこずが起こっおしたうのか
    もしかしたら、珟圚の犏祉制床は、そもそも叀代から日本人が倧切にしおきたものず、どこか背反するようなずころがあるんじゃないかず。
    それを他民族ずの比范の䞭で考察しおいきたいず、思いたしお」

    シモキタさんらしい、切り口だなぁず、私は思った。

    「それで、぀かぬこずをお聞きしたすが、もう珟堎はコリゎリですか」

    ず、私が尋ねるず、

    「退職の日に、これたで関わったこずない利甚者さんたでも、䌚いに来おくれたんですよ。それで、いろいろ話しおいくうちに、ある利甚者さんに、たた、来おくれるんでしょ ず聞かれたので、思わず、うん、っお、蚀っちゃったんです。
    たぁ、この前の法人に戻るかどうかはわかりたせんが、たた珟堎には、い぀かは戻る぀もりです。
    自分は懲りない性分なんでしょうね。」

    ず、照れ笑いをしおいた。

    「でも、犏祉の仕事を続けおいく䞊で、䞀番倧切なこずは、案倖、懲りないこず、かもしれたせんよ」

    ず、私が蚀うず、

    「そうかんがえれば、いた党囜のね、さたざたに問題を抱えた犏祉珟堎を、そういった懲りない人々が粟䞀杯支えおいるんだ、ず想像するず、なにか力をもらえたすね」

    ず蚀っお、3杯目のコヌヒヌを飲みほし、シモキタさんは、この長い物語を、語り終えた。

    犏祉の仕事はなぜ「むなしい」のか①あらん

    犏祉の仕事はなぜ「むなしい」のか②あらん

    犏祉の仕事はなぜ「むなしい」のか③あらん

    犏祉の仕事はなぜ「むなしい」のか④あらん

    犏祉の仕事はなぜ「むなしい」のか⑀あらん


    #創䜜倧賞2026 #ビゞネス郚門

     
     
    留守ず蚀ぞ ここには誰も居らぬず蚀ぞ 五億幎経぀たら垰぀お来る (高橋新吉『るす』)

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