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犏祉の仕事はなぜ「むなしい」のか⑀

    第5話 光の䞭の闇 闇の䞭の光



    衝撃

    シモキタさんが就劎移行支揎を担圓しおから間もなく、近隣の瀟䌚犏祉法人が運営するグルヌプホヌムで衝撃的な出来事があった。

    早朝、䞀人の男性利甚者が行方䞍明になったのだ。

    幞い散歩をしおいる方から、その方が山道を歩いおいるずころ「発芋」され、倧事には至らなかった。

    その利甚者は、日䞭はその法人の就劎移行支揎を利甚しおいた。

    関係者の話によるず、䌚瀟での職堎䜓隓実習や面接を終え、就職が決たっおいた。

    行方䞍明になったのは、仕事開始日の圓日の朝だった。

    おそらく䞍安で眠れぬ倜を過ごしたのだろう。

    それでも、期埅しおくれおいる家族、支揎しおくれたスタッフのこずを想うず、いたさら断るわけにもいかない。

    その葛藀の䞭での行動だず、予想された。


    宿盎


    瀟䌚犏祉法人▲▲は、グルヌプホヌムなど入所斜蚭をいく぀か運営しおいるが、宿盎のスタッフを眮いおいなかった。

    この件があっお以来シモキタさんは、自分が就劎支揎をしおいる利甚者が日䞭䞍安定なずきや、就職埌も心配なずきは、その利甚者が入所しおいる斜蚭の事務所に寝泊たりするようになっおいた。

    斜蚭長や副斜蚭長は反察しおいたが、残業代などいっさいの手圓求めないこず、翌日䌑みを取らないこずなどを条件に、了解しおくれた。



    食事サヌビス


    宿盎初日のこずを、シモキタさんはいただに鮮明に芚えおいる。

    倕食は利甚者ず䞀緒にずろうず思い、斜蚭の食堂に行くず、倕食の献立ずしお、ミニうどんずハムの入ったサンドりィッチが出おきた。

    え、これが倕食

    確か利甚者さんは䞀床の食費で、数癟円ほどは払っおいるはずだが 。

    シモキタさんはいささか動揺したが、利甚者さんたちは慣れおいるらしく、ごく自然に食べおいた。

    䜕事もなく䞀晩が明け、朝も利甚者さんず䞀緒に食堂に行った。

    甚意されおいたのが、セルフサヌビスの炊飯噚ずふりかけ、小袋にはいった即垭みそ汁だった。

    利甚者は思い思いにご飯を盛り、ふりかけをひず぀ずり、甚意されおいたお怀に足跡みそ汁をしがり出し、お湯を入れおいた。

    確か朝食も、倕食分ず同様の金額を利甚者から城収しおいるはずである。

    これだけ 

    ただ、利甚者の皆さんが、楜しそうにふりかけを遞んでいる姿をみるず、ずおもそんな疑問を衚に出すわけにはいかなかった。

    別の日では、倕食では、おでんずおにぎり、うどんずコロッケ、朝食では、菓子パンのみ、昚倜のチャヌハンの残り、ずいうずきもあった。

    食費の収支っお、どうなっおいるんだろう

    あたり䜙蚈なこずはかんがえたくなかったが、もずもず銀行員だったこずもあり、劙に気になっお仕方がなかった。



    就劎継続支揎B型のMさん



    ある日の就劎移行支揎の䜜業所。

    法人の就劎継続支揎B型を利甚しおいるMさん(男性)が、昌の䌑憩時間に䜜業所に顔を出した。

    「おヌ、来た、来た」

    就劎移行支揎の利甚者であるKさんが招き入れた。

    「Mさんが困っおいるんで、シモキタさんに盞談したらず誘ったんだ」

    挚拶をするず、Mさんは話し始めた。

    「明日、法人の理事䌚ず評議員䌚があるんですけど、そこでうたく話せるか、すごく䞍安なんです。初めお参加するんです。人前で話せるようになる秘蚣っお、䜕かありたすか。あれば教えおください」



    筋曞きのあるスピヌチ


    Mさんは切矜詰たった様子だった。

    「いちおうどんなこずを話すかは、斜蚭長や副斜蚭長、事業郚長の前で緎習しおいるので、倧䞈倫だず思うんです。先茩の利甚者によるず、䞀通り話した埌、理事や評議員から、いろいろず聞かれるらしいんです。その受け答えが、できるかどうか 」

    「その受け答えができないなら、そのたたできない姿のたたでいいんじゃないですか おそらく理事や評議員は、そういうありのたたのMさんを知りたいはずだし。」

    ずシモキタさんが答えるず、

    「最初の自己玹介ずスピヌチの内容は、だいたい斜蚭長が決めるから、ただいいんです。僕の堎合は、最初は就劎を垌望しおいたけれど、いたの就劎継続支揎B型の䜜業所でスタッフや仲間に恵たれ、その埌自助グルヌプに参加しお、就劎しなきゃずいう匷迫芳念がなくなった、みたいな話をする予定です。
    でも、本音を蚀えば、やっぱりい぀かは就劎したいし、自助グルヌプの掻動も、そんなに積極的にやっおいるわけじゃなくお 。そこを现かく聞かれたら、どうしよう ず思っお」

    シモキタさんは、内心困ったな、ず思った。

    正盎に蚀うず、理事も評議員も、誰なのかたったく知らないし、なるべく関わりたくなかった。

    「でも、そうですよね、シモキタさんの蚀った通りですね。ありのたたしか出しようがありたせんものね。そうしたす。ありがずうございたす」

    Mさんは垰っおいった。



    豪華な理事䌚


    「法人の理事䌚っお、すげヌ、豪華なんですよ」

    ず、利甚者のKさんが蚀っおきた。

    以前、䞀床参加したこずがあるずいう。

    「お昌くらいの時間から、レストランの䞀宀を借りおやるんだよ。理事や評議員の前で、利甚者さんたちが、いろいろず話す。俺のずきは、スタッフは斜蚭長ず副斜蚭長、事業郚長、事務長だけだったかな。話した埌は、そこでけっこう豪華な匁圓を食べお、その埌はコヌヒヌや玅茶ずお菓子。

    だからさ、みんな、それ目圓おで参加したがる。Mさんは、ちがうけどね」

    「Mさんはちがう」

    「Mさんみたいに、真面目で、斜蚭長たちの蚀っおいる通りに話しおくれそうな人が、結局遞ばれるんだよね。俺みたいに、途䞭から自分の蚀いたいこずを蚀っおしたう人は、䞀床で終わり。Mさんは、遞ばれたほう。」

    シモキタさんは法人で働いお数幎近くになるが、そういえば法人の斜蚭で理事䌚が開かれたずいう話を聎いたこずがなかった。

    それにしおも、どこにそんなお金があるんだ

    嫌な予感がしおきおいた。



    盎芳



    次の日の倕方、Mさんから電話があった。

    「シモキタさんのアドバむスのおかけで、すなおに話すこずができたした。」

    どんな話をしたの、ずシモキタさんが尋ねるず、

    「いたはB型でがんばっおいるし、自助グルヌプもがんばるけど、将来は就劎したい、ずいう話をしたした。理事の方や評議員の方はふ぀うに聎かれおいたのですが、副斜蚭長が䜕床も、就劎はあきらめたんじゃなかったのず尋ねおくるので、私も抌し黙っおしたったら、理事のどなたかが、無理に諊めさせる必芁はないじゃないかず、副斜蚭長に蚀っおくださっお。」

    なんずなく光景が目に浮かんでくる。

    「それで、い぀か就劎移行支揎でがんばりたい、っお蚀ったら、理事や評議員のみなさんは、就劎移行支揎をよく知らなかったらしく、ぜひ理事䌚でシモキタさんに話しおほしいっお、蚀っおたしたよ」

    「なんで僕の名前を、理事が知っおいるの」

    「私が名前を出したした。たずかったですか」

    「いや、いや、倧䞈倫ですよ」

    ず、蚀い぀぀も、ああ、たた呌び出されるな、ずシモキタさんは盎芳した。



    掗脳、そしお謝眪



    案の定、シモキタさんは翌日、法人本郚に呌び出された。

    事務所に行くず、副斜蚭長ず事業郚長、Mさんが利甚しおいる就劎継続支揎B型の管理者(女性)、そしお、なんずMさんもいた。

    「あのさ、自分が担圓しおいない利甚者に、無責任なこずを蚀うの、やめおくれる。
    職員はみんな、Mさんもシモキタさんに掗脳されたっお、蚀っおいるよ。」

    事業郚長が、わざわざげんなりしおいるような様子で蚀っおきた。

    「掗脳なんお、しおいたせんよ」

    「しおるよ。Mさん、自分で蚀っおみな」

    ず、事業郚長が蚀うず、

    「えヌず、あのヌ。私が勝手なこずを蚀っおしたったのが悪いんです。みなさんにご迷惑をかけおしたいたした。私がシモキタさんに盞談したばっかりに 。斜蚭長に蚀われたずおりにすればよかったんです。」

    Mさんが、いたにも消え入りそうな声で蚀った。

    「Mさんをここたで远い぀めるっお、支揎者ずしお、どうなのよ。シモキタさんさぁ、ちゃんずMさんに謝っおくれる」

    副斜蚭長が、問い詰めるようにシモキタさんに蚀った。

    Mさんは、ずっず䞋を向いおいる。

    「Mさん、すいたせんでした」

    シモキタさんがそう蚀うず、Mさんは䞋を向いたたた、頭だけコクリず䞋げた。

    シモキタさんは、二床ず自分が担圓しおいない利甚者ず、口をきかないこずを玄束させられた。



    「理事䌚にカネを䜿い過ぎおるっお、蚀いたいの」



    Mさんず管理者が郚屋を出お、3人になったずきだった。

    シモキタさんの䞭で、これたで䞀方的に我慢させられおきた、䜕かが動き出した。

    「あのヌ、お聎きしたいこずがあるのですが、よろしいでしょうか」

    「ああ」

    事業郚長が、いかにも䞍機嫌そうに答えた。

    「理事䌚や評議員䌚はレストランの䞀宀を借り切っお行わるず聞いたのですが、本圓ですか」

    「別に、答える矩務はないだろ」

    ず事業郚長が答えるず、

    「ああ、やっおるよ。なんか、もんだいあんの」

    ず副斜蚭長が、぀っかかるように聞き返しおきた。

    「入所しおいる利甚者さんの朝食や倕食を、もっず充実させるこずはできないのですか」

    シモキタさんがそう蚀うず、副斜蚭長が

    「䜕それ。理事䌚にカネを䜿い過ぎおるっお、蚀いたいの
    じゃあ、ちゃんず蚀っおおくよ。この法人は我々がここたで぀くっおきたんだから、ほかの誰かに蚀われる筋合いはない。この法人のこずは、3人で決める(斜蚭長、副斜蚭長、事業郚長)。䜕か蚀いたいこずある」

    「せめお、少しは話し合いができるような、定䟋での䌚議は必芁だず思いたす。」

    シモキタさんがそう蚀うず、事業郚長が、

    「䌚議は、もうやっおいるよ。月に䞀回。ただ、アンタには声をかけおいないだけ。」

    ず、あおこするように蚀うず、副斜蚭長、事業郚長はさっさず郚屋を出おいった。

    シモキタさんは䞀人ため息を぀き、倖ぞ出た。


    ★★建蚭のトラック



    倖に出るず、以前から気になっおいたこずを、改めお思い出した。

    法人の駐車堎はアスファルトで敎備されおいないので、䞀芋、空き地のようになっおいる。

    そのため、どこたでが法人の駐車堎なのか、わかりづらい。

    その駐車堎の䞀角に、い぀も★★建蚭ずいう名前が入った、トラックが䜕台か眮いおあった。

    最初は★★建蚭の駐車堎なのかず思っおいたが、トラックが出払っおいる日䞭などは、ずきどき法人の瀟甚車が眮いおあるこずもあった。

    どうなっおいるんだろう

    ちょうどそのずき、マむクロバスからスタッフのQさんが降りおきた。

    「ここっお、★★建蚭のトラックがあったり、法人の瀟甚車が眮いおあったりするよね。どちらの所有なの」

    「私もわからないんですよね 。斜蚭長からは、空いおいるずきは、䞀声かけおくれれば眮いおいいよっお、蚀われおいお。★★建蚭の方からも、トラックが普段よりも倚いずきは、この蟺たで眮いおもいいですか、ずか尋ねられたこずもあったし。
    昔、気になったので斜蚭長に尋ねおみたら、ふっず話を倉えられたこずがあったので、聞かない方がいいだろなっお」

    Qさんも、䞍可思議そうな衚情であった。



    駐車堎の収入は寄付金、䌚費



    倕方、䞀人で仕事をしおいるず、

    「差し入れ」

    ず蚀いながら、Jさんの葬儀で䞀緒だったヘルパヌのUさんが入っおきた。

    「元気にしおいるかず思っおさ」

    手には、けっこうな量のミスタヌドヌナツがあった。

    䞀緒に食べたしょうよ、ず蚀っお、Uさんを迎え入れた。

    「Uさん、知っおいたら教えおほしいんだけど、本郚の駐車堎のずころに、い぀も★★建蚭のトラックがあるじゃないですか ずきどき法人の瀟甚車もあったりするんだけど、あそこっおどうなっおいるんですか」

    「ああ、あれね 。
    じ぀はさ、りチの旊那が★★建蚭なの。法人のだいたいの工事は★★建蚭だから、旊那もよくここに来おたみたい。私がここで働くきっかけになったのも、元はそれだしね。
    でね 、駐車堎の話。私も旊那から聞いただけだからよくわからないけど、どうも法人が★★建蚭に貞しおいるみたいね。でも以前、その凊理の仕方を監査でひっかかったこずあっお、それからはどう凊理しおいるかは、わからない。」

    「監査で泚意されこずがあるんですか」

    「県が監査結果を報告するずき、私もその堎にいたんだけど、なんだか寄付金だか䌚費ずかで、凊理しおたみたいよ。」

    「駐車堎の収入を寄付金ずか䌚費で凊理しおた すごいな 、それ。」

    「それで、監査で泚意を受けたから、もう駐車堎を貞すのはやめる、ずか蚀っおたはずなんだけど、それでもトラックがあるんだよね 」



    決算曞



    シモキタさんは、ネットで公開されおいる法人の決算曞をみ぀け、じっず芋぀めた。

    銀行員時代は、぀ね日頃眺めおいた曞面だ。

    おかしいな 。

    あれだけの土地を貞しおいれば、䞀幎間でそれなりの収益があるはずだが、決算曞のどこをみおも、その痕跡がなかった。

    どうしたのず、Uさんが聞いおきたので、

    「この決算曞だず、どこに売り䞊げがはいっおいるのか、ちょっずわからないですね 」



    チグハグな垳簿


    Uさんが、思い切ったように話し出した。

    「私も䞍思議だったんだけど、瀟䌚犏祉法人っおさ、どういう䌚蚈になっおいるのか、わからないんだよね。
    いたでもね、事務所の䞭の䌚話では、それりラガネでやりたしょう、ずか、平気で蚀っおいるずきがある。
    最初は冗談だず思っおいたけど、ここの法人っお、やれ理事䌚やら新幎䌚やら、なにかず豪華なのよ。シモキタさんが来る前に、斜蚭長が、障害者の人暩擁護ずか䜕ずかで、どこかの財団から衚地されたこずがあったの。そのずきなんお、ホテルの䞀宀を借り切っおね。
    でも、そういう豪華な䌚は䞉圹ず、お気に入りの利甚者さんだけ。私たち䞀般の職員は誰も参加できない。
    それにしおも、あのお金っお、どこから出おいるんだろうっお、ずっず䞍思議だった。」

    ああ、銀行員時代にもこういう䌚瀟っおあったな 。

    垳簿䞊の敎合性は䞀通りずれおいるのだけど、党䜓的なお金の動きを眺めるず、どこかチグハグな印象を受ける。

    「あ、そうそう。監査で泚意を受けたあず、銀行を早期定幎退職した方に事務長ずしおきおもらったこずがあったけど、すぐに䞊の䞉圹ずぶ぀かっお、蟞めた。その埌が、いたの事務長。◆◆病院で経理をしおいお、こっちに来おもらったらしいよ。いたの事務長になっおから、お金のこずは、もうぜんぜんわからなくなった。」

    え、もしかしお 。

    しかし、その先は、ただ胞䞭にしたっおおくこずにした。



    入り組んだ人間関係



    シモキタさんは、話を倉えおみた。

    「理事䌚っお平日の昌間にやっおいたすよね。人、集たるんですかね 」

    「★★建蚭の瀟長も、評議員だったんじゃないかな 。奥さんが代わりにいっおるっお、聞いたけど。」

    「それ、いいんですか」

    「よくわからないけど、奥さんは矎味しいお匁圓をいただいお垰っお来る、みたいな感じらしいよ。
    理事っお蚀えば、就劎継続支揎B型にいるMさんのお母さんが理事っお知っおた 
    あのずきは、利甚者ご家族代衚ずいう立堎ならいいず思うけど、斜蚭長の説明だず、そういうんじゃなくお、あくたでも個人的な立堎っお蚀っおたから、スタッフの間でもちょっずもめたらしいけどね。」

    そうだったんだ 。

    シモキタさんは、次々ず出おくる話に圧倒され、収拟が぀かなくなっおいた。

    しかし、これだず、あたりにも人間関係が、耇雑に入り組んでしたっおいお、その党䜓像をある皋床描けおいないず、ヘンな話だが、仕事どころではなくなっおしたう。

    日に日に、消耗しおいく自分を感じおいた。



    Mさんからの謝眪



    勀務時間は、ずっくに過ぎおいた。

    シモキタさんは、Mさんずご䞡芪を埅っおいた。

    Mさんはあれ以来、就劎継続支揎B型を利甚するこずがなくなり、法人ずのすべおのサヌビスも解玄しおいた。

    そのMさんから、電話があったのだ。

    どうしおもお䌚いしお、話しおおきたいこずがありたす、ず蚀う。

    Mさんはご䞡芪ず䞀緒に来蚪した。

    Mさんは、䞀気に話し出した

    「シモキタさん、この前は本圓にすいたせんでした。あんなこずになるずは、思っおもいなかったんです。
    B型の管理者に、理事䌚での様子を説明しお、“ありのたたの姿で話す”ずいうアドバむスをシモキタさんに教えおもらったず話したら、それを管理者が副斜蚭長䌝えお、あんなこずになっおしたっお 。そのこずを謝りたくお 」

    そうだったのか 。

    シモキタさんは、䜕の心配もいらないず䌝えた。


    理事や評議員たちの良心


    父芪が、静かに話し始めた。

    「いたたで息子は、なかなか自分の意芋を蚀うこずができなかった。理事䌚のずきも、今たでだったら、斜蚭長に蚀われるがたただったず思う。
    それが、あんなふうに自分の意芋を蚀えたずいうこずで、その堎にいた劻はずおも感激したそうです。
    ずころが、しきりにそれを蚀い盎させようずする斜蚭偎の察応をみお、深く䞍信感を持ったそうです。」

    母芪が話す。

    「斜蚭長からお願いされお、理事をしおいたしたけど、今回の件で蟞めさせおいただきたした。以前から、い぀も䌚食したり、肝心の䌚議はおろそかだったりず、疑問をもっおいたしたから。
    でも、やはり子どもが利甚しおいるずなるず、぀い斜蚭偎ず反目したくないず思っお 。
    あの日の理事䌚の埌、垰ろうずしたら、駐車堎で䜕人かの理事ず評議員に呌び止められお。
    斜蚭偎の、子どもに察する察応をみおいお、それたでうすうす感じおいた䞍信感が、䞀気に噎き出したそうなんです。
    みなさん、やっぱりおかしいず思っおいたんですよ。毎回、お金ばかりかけお。幟床か苊蚀を呈しおいた理事もおられたしたが、その方は、䞉圹が自分で奜きなものを食べる口実に理事䌚を䜿っおいるだけなんじゃないか、ずいう結論でしたね。もう、無理だよねっお。」



    たた䌚う日たで。



    父芪が蚀う。

    「息子からも、斜蚭の朝食や倕食の献立を聞いおいたので、たずはそっちが先だず思っおたした。
    ただ、この法人を息子に勧めたのは、私なんです。
    どこか良い犏祉斜蚭はないかずいろいろず調べおいたら、倧孊の教授が曞いおいた本に、この法人がずおも奜意的に曞かれおいた。
    今回の件で、私も懲りたした。次の斜蚭遞びは、劻に頌みたした。劻の方が、同じような境遇のお母さんを、良く知っおたすから。
    やはり、母芪のネットワヌクっお、すごいですね。すぐに次の候補が芋぀かった。
    私も䞀緒に芋孊に行っおきたしたが、この法人よりもずっず芏暡は小さいものの、ずおもしっかりしおいる印象を持ちたした。
    いざずいうずきは、やはり倧孊教授よりも、母芪のネットワヌクですね。」

    さすがにシモキタさんも、倧笑いをしおしたった。

    Mさんも、母芪も笑っおいた。

    「最埌に、少し䞍躟なこずをお聞きしおいいですか」

    父芪が、真面目な衚情で尋ねおきた。

    「シモキタさんは、これからもずっずこの法人で働かれる予定なのですか もし、別の犏祉斜蚭に移ったり、独立されるようなこずがあれば、ぜひそのずきは䞀声かけおいただければ、ず思いたしお。息子がね、い぀かはシモキタさんの支揎を受けたいっお蚀っおいるものですので。」

    「たぁ、私もご察しの通りの立堎ですので、い぀たでこの職堎にいられるか、わかりたせんが 」

    シモキタさんは、苊笑するしかなかった。

    䞉人を芋送っお、シモキタさんは垰る準備を始めた。

    バックの䞭には、い぀でも出せるように、日付だけが空癜なたたの退職届が入っおいた。

    ずりあえず、今日は、いいか。

    シモキタさんは、そっず職堎の鍵を閉めた。

     
     
    留守ず蚀ぞ ここには誰も居らぬず蚀ぞ 五億幎経぀たら垰぀お来る (高橋新吉『るす』)

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