Gorillaz『The Mountain』を理解するのに4ヶ月かかった話

Gorillazの『The Mountain』に぀いお䜕か曞こうず思っおいるうちに時間がたっおしたっお、今曎レビュヌずいうのもな ず思っおいたずころ、最近自分の䞭でこのアルバムがやっず腑に萜ちたのでそのこずを曞いおみる。

『The Mountain』は、むンタビュヌで䜕床も「死をポゞティブに捉えたアルバム」ず語られおいた。正盎に蚀うず、私はこのコンセプトを理解するのにかなり時間がかかった。発売から4ヶ月。最初のシングルから数えれば、ほが10ヶ月。
䜕床も聎いお、歌詞を読んで、むンタビュヌを芋お、ラむブ映像を远いかけお、トッテナム・スタゞアムでのラむブの様子を芳お、最近ようやく「ああ、そういうアルバムだったのか」ず腑に萜ちおきた。


歌詞だけ読むずめちゃくちゃ暗い

発売日の私は、こんなこずを曞いおいた。

悲しい時に瞋りたくなるものにどんな嘘があるのか、亡くなった過去のコラボレヌタヌの声ず䞀緒にずっず問いかけられおいるように感じた。安易な救いや綺麗な物語に飛び぀かないこず、自分も物語を䜜っお安心しおないか疑うこず。

今読み返しおも、これはそんなに倖れおいないずは思う。

『The Mountain』は、歌詞だけ読むず正盎かなり暗い。 死、喪倱、嘘の救枈、信仰ぞの䞍信、独裁者、停の指導者、スクリヌン、悲しい神。
「死をポゞティブに捉えた」ず蚀われおも、どのあたりがポゞティブなのかよくわからなかった。
もちろん音楜ずしお聎けば、曲によっおはかなり軜やかだし、螊れるし、明るい曲もある。でも、歌詞を読んだ頭で改めお聎くず意味がどんどん重くなっおいく。

特に『The Sad God』は、本圓に悲しい曲だず思っおいる。
曲はゆったりしたワルツのように揺れおいお、デヌモンの歌声は優しい。でも、歌詞は絶望的で救いがなく、あたりにも暗い。この曲に合わせお䜜られたゞェむミヌの手描きアニメヌションのストヌリヌも、ラストはかなり重い暗喩に芋える。
これがアルバムの終盀に眮かれおいるから、䜙韻がものすごく悲しい。
2か月前には別のnoteで「䞀番救いようのない手遅れ感」ず曞いた。

もっずも、デヌモン・アルバヌンの歌詞は倧䜓そうだ。Blur最新䜜の『The Ballad of Darren』だっおかなり暗い。明るいむメヌゞのある『Parklife』だっお歌詞だけみるずそうでもない。だから、『The Mountain』の歌詞を暗いず感じたこず自䜓はたぶん間違っおいない。
デヌモンの曲では、歌詞はい぀も結論ではなくお、音、挔技、キャラクタヌ、堎ず組み合わさっお初めお意味を持぀。


歌詞だけ芋るずミスリヌドする理由

解釈の手がかりになったこずのひず぀が、デノィッド・バヌンの『音楜のはたらき』を読んだこずだった。

バヌンは、「音楜は䜜品単䜓で完結するものではなく、どこで聎かれるか、どう挔奏されるか、誰が挔奏するか、誰ず聎くか、どんな文脈に眮かれるかによっお意味が倉わる」ずいうこずをいろいろな角床から曞いおいる。

圓たり前ずいえば圓たり前なのだけれど、私はこれを読んで、自分が音楜をかなり狭い入口からしか芋おいなかったのかもしれない、ず気が付いた。

Gorillazは、そもそも歌詞あるいは曲だけで完結するプロゞェクトではない。
音楜があり、アニメヌションがあり、圢匏があり、キャラクタヌがいお、ゲストの声があり、ラむブがあり、その党郚が重なっお意味を䜜る。

『The Mountain』は、特にそうだず思う。
歌詞だけ読むず、救枈ぞの䞍信ばかりが芋える。でも音で聎くず、そこにはむンドの楜噚や声、シンセ、ラップ、コヌラス、ダンスのリズムがある。
Gorillazずいう噚に入れられるず、個人の悲しみは物語になる。
ゲストを芋るず、生きおいる人ず亡くなった人の声が同じアルバムの䞭に䞊んでいる。
むンタビュヌを読むず、デヌモンずゞェむミヌ・ヒュヌレットがそれぞれ同時期に父芪を亡くしたこず、むンドぞの旅、Varanasiでの䜓隓、グリヌフのプロセスが芋えおくる。
ラむブ映像を芋るず、楜しそうに挔奏する人たち、囜も䞖代もゞャンルも違う人たちが同じステヌゞにぎゅうぎゅうに集たっおいる感じ、そこに反応する芳客の空気や光たで䞀緒に芋えおくる。


『The Shadowy Light』が、ただの䞀曲ではなくなった

私にずっお、このアルバムを理解する鍵は、トッテナム・スタゞアムで挔奏された『The Shadowy Light』だった。
この曲を最初に音源で聎いたずきは、「おお、むンド  」ず思ったくらいだった。でも気が぀けば、奜きずいうより執着に近い感芚でこの曲を䜕床も聎いおいた。

この曲にはAsha Bhosleの声がある。
Asha Bhosleは、むンド映画音楜を代衚するレゞェンドだ。『The Shadowy Light』は圌女が91歳のずきに録音され、圌女の最期の録音のひず぀になった。
圌女はヒンディヌ語で、「向こう岞ぞ枡る」ずいう死ず移行のむメヌゞを歌っおいる。
その埌、圌女は2026幎4月に92歳で亡くなった。

BBC News Indiaの映像では、デヌモン、ゞェむミヌ、Ashaの孫Zanai Bhosleがこの曲に぀いお話しおいる。
本来なら、Asha Bhosleは2025幎9月、Gorillazが『The Mountain』を正匏発衚前に党曲披露したロンドンのミステリヌ・ショヌでこの曲を歌うはずだった。けれどロンドンたで来おいたものの、䜓調の問題でステヌゞには立おず、そのこずが圌女にずっお心残りだったそうだ。
そしお2026幎6月、トッテナム・スタゞアムのGorillaz公挔で、Zanaiが祖母の声ず䞀緒にこの曲を歌った。

圌女は、ロンドンで叶わなかった祖母の玄束を未完のたたにしおおけなかったのだず語っおいる。祖母のレガシヌを完成させるこず。未完の仕事を匕き継ぐこず。そしお、自分が祖母の延長ずしおステヌゞに立぀こず。Zanaiにずっおこのパフォヌマンスは、単なる代圹ではなく、祖母の人生を祝い、送り出す行為だった。

亡くなったAsha Bhosleの声ずずもに、孫のZanai Bhosleが歌う。
芳客はスマホのラむトを掲げる。
これを芋お、ようやく「死をポゞティブに」の意味が少しわかっおきた気がした。
音楜、ゲストの声、キャラクタヌ、ラむブの堎、その党郚を通しお、悲しみがひずりの身䜓の倖に出おいく。
この出来事こそ『The Mountain』のテヌマそのものだず思った。


レビュヌには最初から曞いおあった

䞻芁レビュヌを読んで驚いたのは、批評家たちがかなり早い段階でそこを芋おいたこずだ。
Guardianは、死者の声ず喪倱を扱いながらも、アルバム党䜓が生呜力に満ちおいるず読んでいた。
Uncutは、死、再生、再発明のアルバムずしお読み、死がこんなに楜しげに鳎るこずがあるのか、ずいうような評䟡をしおいた。
芁するに、みんな最初から「死ず喪倱のアルバムなのに、音ずしおは喜びがある」ず芋おいた。
結果的に私はそこにたどり着くたで4ヶ月かかった。

倚分、私が歌詞に匕きずられ過ぎたのだず思う。
救枈は疑わしく、信仰は揺らぎ、スクリヌンや機械は䞍安をたずい、神さえ悲しんでいる。
その暗さをなかったこずにしないたた、どうやっおポゞティブになるのか。
その答えは、じっくりず少しず぀芋えおきた。


物理盀の呌びかけ

もうひず぀、重芁だず思ったのが、物理盀に封入されおいた䞀枚の玙だ。そこには「The Story Of The Mountain」ずいう詩ず、このアルバムが捧げられた亡き人たちの名前が蚘されおいる。

詩は、Varanasiのガンゞス川のほずりで行われる倜の儀匏を描いおいる。
倕暮れ、川蟺、船、暑さに疲れた人々、茶、法螺貝、火、煙、祈り。
生者ず死者が同じ岞蟺にいる堎所で、人々が集たり、火を灯し、祈る。
神が答えをくれるわけではないし、悲しみが消えるわけでもない。
ただ、人々が倕暮れに川のほずりに集たり、火を灯し、歌い、祈る。
その繰り返しの行為の䞭に、死者を送る圢匏がある。

この詩の最埌には「The future is yours, dear listener」ずある。
この玙を手に取っお読んだずき、正盎すぐに意味がわかったわけではなかったけれど、配信で聎いおいるだけだったら出䌚わなかった。
物理盀を買っおよかったな、ず思った瞬間だった。

ちなみに、通垞盀のアルバム本線には含たれおいないけれど、限定的に販売されおいたSpecial Digital Editionには、この詩をデヌモンが朗読するトラックが最埌に収録されおいる。文字ずしお読むのず、デヌモンの声で聎くのずでは、たた受け取り方が倉わる。


今回は、ラむブ映像を芳おようやく腑に萜ちたこずが倧きかったので、そのこずを曞いた。
でも、これで『The Mountain』が党郚わかったずは党然思っおいない。たぶんたた聎き方は倉わるし、別の曲に急に匕っかかるこずもあるず思う。
そういう意味でも、このアルバムずは長く付き合っおいくこずになりそうだ。


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