
ヤマネコが棲む島
東京にいると、どうしても
人間が作ったもの
人間の都合
人間のスケジュール
に囲まれて暮らすことになる。
仕事も、電車も、ニュースも、株価も、SNSも、全部そう。
でも、西表では、
カエルが鳴いているから夜なんだな
サガリバナが落ちるから朝なんだな
雨が降るから今日はこう過ごそう
ヤマネコがいるから夜はゆっくり走ろう
というふうに、
人間以外の都合で世界が動いていることを、強く感じる。
俺が今回、西表で感じたのは
「人間はお邪魔しています」
という感覚。
あれは、裏を返せば、
自分が自分でいい
という感覚でもあるのかもしれない。
東京で暮らしていると、
もっと頑張らなきゃ
ちゃんとしなきゃ
期待に応えなきゃ
と、人間社会の重力が強い。
でも西表では、
カエル「知らない」
ヤマネコ「知らない」
台風「今日は雨」
サガリバナ「今夜咲いて朝には落ちる」
だけなんだ。
そこでは、俺も一人の人間として、少しだけ森に参加させてもらう存在になる。
それが、もしかしたら、とても自由で心地いいのかもしれない。
そして、もうひとつ。
俺はトレイルランナーだから、山の中で、自分が小さな存在になる感覚を、ほんの少しだけ知っている。
100マイルレースは、自然を「攻略する」より、自然の中で、自分の小ささを知る経験をすることなんじゃないかな。
だから西表に来ると、
(ああ、この感覚だ)
って、
どこか深いところで感じるのかもしれない。
石垣島に戻るフェリーの窓から、雨が止んだ西表島をずっと眺めていた。
ヤマネコが棲む島は、思い通りにはいかなくて、
でも、たまに人懐っこくて、
「遊んであげてもいいよ」
そして、
「また来れば?」
と言っているような気がした。
まるで、ネコみたいな島だった。
森を歩いた話はこちら
サガリバナの話はこちら
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