
西表島の終点の先に、船浮という場所があった
西表島の西側の道は、白浜港で終わる。
レンタカーで、そこまで向かった。
小さな港だった。
一隻の定期船が停泊していた。
数人を連れて出港し、港には誰もいなくなった。
ヒヨドリが「ピーヨピーヨ」と鳴いている。
俺は柵に
「よいしょ」
と腰掛け、ぐるっと辺りを見渡した。
透き通った青と深い緑。
浜風が顔をかすめていく。
ゴーヤチャンプルの弁当を食べながら、海の向こうを眺めていた。
「ボッボッボッ……」
低い音が、水面を這うように向こう岸から届いてきた。
「帰りはさあ、このチケット持ってて」
往復チケットの半分を手渡された。
甲板から後ろを振り返ると、船が描いた白い軌跡が港の岸から続いていた。
船は対岸の港に着いた。
集落を進む。セミの声だけが聞こえる。
「どれでもいいさ」
おばあさんが、ガシャガシャとシュノーケリングのマスクを差し出した。
海に向かって15分ほど森を歩いた。
目の前を、砂浜の白と海の青が広がった。沖に向かうにつれ、深い碧色に変わっていく。
俺は、走って海に飛び込んだ。日焼けした肌がピリリとしみた。
珊瑚と戯れたあと、白浜にバタンと倒れ込んで、目を瞑った。
ざざあ…ざざあ…
波の音だけが聞こえる。
「イダの浜はいい」
島の人の言葉を思いだしていた。
起き上がると、肌についた砂がパラパラと落ちた。
自分だけの足跡を残して、ビーチを後にした。
同じ道を歩いて、戻った。
学校のチャイムが鳴っていた。
西表島の終点の先に、船浮という場所があった。
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