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医療珟堎で起こっおいるこず

ヒュヌモニヌ特別連茉

第64回 逌迫する重症病床、私立の䞭芏暡急性期病院の頑匵り

2021幎09月03日 掲茉

スピヌカヌ 讃井將満さぬい・たさみ぀教授  

新型コロナりむルス感染症第5波では、重症患者数が過去最倚ずなり、今も増え続けおいる。重症患者蚺療の最前線に立ち、埌玉県の医療䜓制拡充にも携わる自治医科倧孊教授・讃井教授が逌迫する重症病床の珟状を報告する。

救急車に乗せた新型コロナりむルス感染症患者の症状が急激に悪化 。 ぀い先日、私が勀務する自治医科倧孊附属さいたた医療センタヌぞ、䞭等症病院から30代の患者を転院搬送する際のこずです。移動は患者の䜓にずっお倧きな負担ずなるため、状態が悪化するこずも皀ではありたせん。この時もそうでした。呌吞は荒く苊しそうになり、SpO2動脈血酞玠飜和床がぐんぐん䜎䞋しおいきたした。すぐにでも人工呌吞噚を気管挿管しなければ呜にかかわる状態です。しかし、救急車の䞭での気管挿管は難しく、それ自䜓によっお心停止に至る可胜性がありたす。私は、祈るような気持ちで片手で酞玠マスクを患者の顔にピタッず抌し圓お、もう䞀方の手で呌吞バッグを揉みながら呌吞をサポヌトしたした。するず、SpO2は90前埌に萜ち着きたした。患者はなんずか持ちこたえ、圓院到着埌すみやかに気管挿管し、ICUに入宀するこずができたした。 今、重症患者が増え続けおいたす。第5波が始たり東京郜に緊急事態宣蚀が出た7月12日に432人だった党囜の重症患者数は、その埌䞀本調子で増加し続け、8月30日時点で2075人ず5倍近くになっおいたす。新芏陜性者数はやや枛少に転じおいたすが、重症患者数の増加は感染者数の増加から遅れおやっおきたすので、今埌も増えおいくこずが予想されたす。しかし、埌玉県ではおそらくどの自治䜓でも、珟時点ですでにコロナ専甚に確保されたICUなどの重症病床はほが満床です。

厚生劎働省ホヌムペヌゞより

デルタ株が䞻流ずなった第5波の特城のひず぀に、軜症・䞭等症患者が非垞に倚いこずがあげられたす第60回参照。これは、高霢者のワクチン接皮が進んだ結果、高霢者に比べお重症化しにくい珟圹䞖代20代・30代を䞭心ずしたその前埌の䞖代の感染者が実数・割合ずもに倚くなっおいるからだず考えられたす。しかし、重症化しにくい䞖代だずはいえ、これだけ感染者が増えれば、䞀定数は重症化しおしたうのです。 各瀟報道の通り、病床逌迫によっお、軜症・䞭等症患者で入院が必芁な方、入院したい方が自宅療逊を䜙儀なくされおいるケヌスが増えおいたす。その自宅療逊䞭に症状が悪化し、入院できないたた亡くなっおしたう方もいらっしゃいたす。病床䞍足は改善しなければならない喫緊の問題です。ただし、軜症・䞭等症の病床を増やしお誰でも入院できる䜓制を敎えおも、あるいは珟状で運よく軜症・䞭等症病院に入院できたずしおも、重症病床が埋たっおいれば、重症化した堎合に転院しお人工呌吞噚やECMOなどの高床な治療を受けるこずは困難です。

実際、軜症・䞭等症患者の受け入れに際し、「酞玠療法あるいは高流量錻カニュラ酞玠療法ネヌザルハむフロヌ錻に差し蟌んだ管から酞玠を送り蟌む療法たではできたすが、もし重症化しおも人工呌吞噚やECMOなどの高床な治療を行える病院には転院できない可胜性がありたす。それを承諟しおいただけるなら入院できたす」ず、入院前に承諟を取るこずが珟実に起こっおいたす。 患者は自由に治療を遞択できる――これが治療の䞀般原則です。幎霢や病前の身䜓・粟神機胜に関係なく、患者は、保険蚺療䞊蚱されるあらゆる治療を受ける暩利があり、たた、患者の最善の利益のために治療が行われなければなりたせん。

䞀方で、医療技術の進歩にずもない生呜維持治療が可胜になった珟圚、人工呌吞噚などの生呜維持装眮を甚いお人工的に「生かし続ける」こずが本圓に患者さんの最善の利益にかなうものなのかどうかが問題ずなり、われわれ医垫は、特に高霢者の方などにDNARDo Not Attempt Resuscitation心肺停止時に心臓マッサヌゞや人工呌吞ずいった心肺蘇生を実斜しないずいった治療制限のオプションを提瀺するこずがありたす第35回参照。

けれども、本来、治療制限の遞択は、医垫がさたざたな遞択肢を瀺した䞊で、玍埗しお決断しおいただくべきものです。ICUが満床であるずいう物理的制玄によっお、入院前に治療制限を遞択しなければならない珟状には、内心忞怩たる思いがありたす。䞀刻も早く改善しなければなりたせん。

たずやらなければならないのは、重症病床の増床です。圓院でも、先日、重症病床を8床から14床に増やしたした。しかし、その分、䞭等症病床、䞀般救急、予定入院を枛らさざるを埗たせん。新型コロナの重症患者を蚺るためには、通垞よりはるかに倚倧なマンパワヌが必芁だからです。ずくに看護垫の確保が重芁で、数だけでなく、人工呌吞噚管理に粟通したプロフェッショナルであるこずが求められるのですが、ICUの看護垫の教育には1幎以䞊の時間がかかるため、珟有の看護垫でなんずかやりくりしなければなりたせん。したがっお、重症病床の増床は非垞に難しいミッションなのです。埌玉県内のコロナ専甚の重症病床は、圓初昚幎7月19日の60床から珟圚の235床今幎8月31日ぞず4倍近くに増えたしたが、そろそろ限界に近づいおいるのではないかず思いたす。

埌玉県ホヌムペヌゞより

そこで埌玉県では、新型コロナの䞭等症受け入れ病院で患者の呌吞状態が悪化した堎合に、入院・転院調敎本郚の支揎コヌディネヌタヌ医垫が蚪問しお気管挿管する䜓制を䜜りたした。気管挿管された患者は、支揎コヌディネヌタヌ医垫が同乗する救急車で重症病院に転院するか、重症ベッドがどうしおも確保できない時には、そのたた重症病院の集䞭治療医がリモヌトでフォロヌしたす。さらに䞭等症病院における人工呌吞管理の質を維持するために、ICUの医垫や看護垫を講垫ずしお掟遣しお、困っおいるこずにお答えしたり、講習䌚を行ったりしおいたす。このようにしお救える呜を救い、人工呌吞の質を維持し、各病院の負担を分散させようずいうわけです。ちなみに、冒頭の救急車内で患者の症状が悪化した事䟋は、掟遣事業ぞの協力を芁請しに行った時のこずです。

この掟遣事業を進めるにあたっお匷く感じたのは、私立の䞭芏暡急性期病院の頑匵りです。日本の医療䜓制の特城は、欧米諞囜に比べお医療法人が経営する私立病院が倚いこずで、その功眪が今さかんに論じられおいたすが、実際にコロナ蚺療の第䞀線では倚くの私立䞭芏暡病院が非垞に頑匵っおくださっおいたす。新型コロナりむルスの実像があたりわかっおいなかった1幎前は及び腰だった面もありたすが、珟圚はやる気満々で、「どんどんやりたすからいろいろ教えおください」ずいった察応で、掟遣事業の協力を芁請しに行った私のほうが逆にハッパをかけられおいるように感じられるほどです。

コロナ患者を受け入れた堎合の補助金増額などの斜策の圱響も吊定できたせんが、そのやる気はお金だけでは説明が぀きたせん。䞍慣れな人工呌吞噚管理を必死で孊び、たた院内感染察策の専門家がいない䞭でゟヌニングなどを1から䜜り䞊げおいく 。それを倧孊病院ず比范しお1ベッドあたりの医垫や看護垫が圧倒的に少ない䞭でやっおいたす。このミッションは、䜿呜感に燃えたスタッフが䞻䜓的に動かなければ遂行䞍胜で、長期戊になればバヌンアりトする=燃え尜きる人が倚発するのではないかず心配になりたす。盞察的にマンパワヌに恵たれた地域の基幹病院に属する医垫ずしお、䜕かできるこずをお手䌝いしたい。地域病院ぞの人工呌吞支揎スタッフ掟遣には、そのような気持ちも含たれおいたす。

倖から芋るず、1幎半続いたパンデミックにおいお、本来の䜿呜を果たしおいないかのように芋える医療機関があるかもしれたせん。しかし、私が知る限り、ほずんどの医療機関や医療埓事者は匷い䜿呜感を持っお動いおいたす。䞀郚の病院に぀いおは、「病院経営のこずだけを考えお病床を増やさない悪圹」ずいうむメヌゞでの報道がありたすが、そんなこずはないず私は信じおいたす。

これは、クリニック・蚺療所の医垫やスタッフに぀いおも同じこずがいえたす。珟圚はかなりの割合の蚺療所が発熱倖来を蚭けおコロナの初期蚺療やPCR怜査を行っおいたすし、ワクチン接皮、自療逊や宿泊療逊患者の蚺療、埌遺症倖来でも貢献しおいたす。たた、盎接コロナ蚺療を行わない病院も、地域医療を支えおいたす。病気はコロナだけではないからです。

今や、各レベルの医療珟堎も行政も、日々綱枡りです。ただ、この綱枡りがなんずかできおいるのは医療や行政珟堎のスタッフの献身的な頑匵りがあるからだずいうこずをぜひ知っおいただきたいず思いたす。 それでも、われわれの力䞍足により、入院できずに自宅療逊・ホテル療逊ずなっおいる方がたくさんいらっしゃいたす。その方々の苊痛や䞍安を想像するず、䞀医療埓事者ずしお本圓に申し蚳ない気持ちで䞀杯になりたす。
8月31日口述 構成・文鍋田吉郎

 

※ここに蚘す内容は所属組織・孊䌚ず離れ、讃井教授個人の芋解であるこずをご承知おきくださいヒュヌモニヌ線集郚。

 

連茉第65回は9月13日掲茉予定です。

鍋田吉郎ラむタヌ・挫画原䜜者

なべた・よしお。1987幎東京倧孊法孊郚卒。日本債刞信甚銀行入行。退行埌、フリヌランス・ラむタヌずしお雑誌ぞの寄皿、単行本の執筆・構成線集、挫画原䜜に携わる。取材・執筆分野は、政治、経枈、ビゞネス、法埋、瀟䌚問題からアりトドア、芞胜、スポヌツ、文化たで広範囲にわたる。地方創生のアドバむザヌ、奚孊金財団の遞考委員も務める。䞻な著曞・挫画原䜜は『皲盛和倫「仕事は楜しく」』小孊通、『コンデ・コマ』小孊通ダングサンデヌ党17巻、『珟圚官僚系もふ』小孊通ビックコミックスピリッツ党巻、『孊習たんが 日本の歎史』集英瀟など。

■ヒュヌモニヌ特別連茉 医療珟堎で起こっおいるこず

写真 讃井將満、ブルヌシヌむンタヌナショナル、ヒュヌモニヌ
レむアりト本間デザむン事務所

スピヌカヌ

讃井將満さぬい・たさみ぀教授

自治医科倧孊附属さいたた医療センタヌ副センタヌ長・ 麻酔科科長・集䞭治療郚郚長

集䞭治療専門医、麻酔科指導医。1993幎旭川医科倧孊卒業。麻生飯塚病院で初期研修の埌、マむアミ倧孊麻酔科レゞデント・フェロヌを経お、2013幎自治医科倧孊附属さいたた医療センタヌ集䞭治療郚教授。2017幎より珟職。臚床専門分野はARDS急性呌吞促迫症候矀、人工呌吞。研究テヌマはtele-ICU遠隔ICU、せん劄、急性期における睡眠など。関連孊䌚で数倚くの芁職を務め、海倖にも様々なチャンネルを持぀。