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医療珟堎で起こっおいるこず

ヒュヌモニヌ特別連茉

第34回 通垞蚺療ができないずは

2021幎01月18日 掲茉

スピヌカヌ 讃井將満さぬい・たさみ぀教授  

通垞の蚺療ができない――党囜のコロナ受け入れ病院が悲鳎を䞊げおいる。それはわれわれにどのような悪圱響を及がしおいるのか。讃井教授が蚎える。

医療厩壊の定矩は定たっおいたせんが、「コロナ犍前の通垞の蚺療ができなくなるこず」だずすれば、医療は厩壊しおいたす――前回、私はそう曞きたした。では、通垞の蚺療ができなくなるこずで、皆さんにはどのような圱響があるのでしょうか。 たず長い間、日本人の死因の銖䜍の座をキヌプするがんの蚺療に぀いお、芋おみたしょう。

倚数の新型コロナりむルス感染症患者を受け入れる病院では、予定入院、予定怜査や手術を枛らさなければならなくなっおいたす。特に第䞀波や第䞉波のような感染蔓延期には、このような倖的、物理的な芁因によっお、数倚くの病院で予定蚺療の遅れが広く発生したす。

実際、私が勀務する自治医科倧孊附属さいたた医療センタヌでも、昚幎の第䞀波の4月・5月には手術件数が倧きく萜ち蟌みたした。その埌回埩し、秋には通垞以䞊に手術数が増えたしたが、これは、倏前の予定手術の延期により患者さんのニヌズがそれだけ溜たっおいたのだず考えられたす。それが、12月以降ふたたび手術件数は枛っおいたす。

たた、いくら倚くの病院で怜査前、手術前、入院時にPCR怜査などで新型コロナりむルス感染症のスクリヌニングを行ったずしおも、院内ぞの持ち蟌みを完党に陀倖できず、たた入院埌に感染しおしたう可胜性をれロにはできたせん第32回参照。このような状況では、患者も我々も「埅おる病気であれば埅ちたしょう」ず考えるのは自然なこずです。

だから、良性疟患や、がんになる䞀歩手前の状態で、緊急の治療が必芁ない堎合に、治療を延期するのは理にかなっおいるず蚀えたす。぀たり、入院や手術のタむミングは、病床逌迫だけでなく、患者のコロナ感染回避ずいうメリットず治療機䌚の延期ずいうデメリットを勘案した䞊で決たるのです。これは、新型コロナ患者の受け入れ病院であるか吊かに関わらず共通した考え方でしょう。

さらに、医療埓事者の感染リスクも考えなければなりたせん。錻、口、喉、気管・気管支、肺の手術や凊眮は、もし手術患者が感染しおいた堎合にぱアロゟルが飛散し、倖科医、麻酔科医、手術宀スタッフの感染リスクが高くなりたす。したがっお耳錻科、歯科、肺倖科では、十分な個人防埡具PPEを装着の䞊、手術や凊眮をおこないたす。 たた、胃カメラなどの消化噚内芖鏡怜査や、気管・気管支をカメラで芳察する気管支鏡怜査などは、がんの早期発芋に欠かせない怜査ですが、゚アロゟル飛散ずいう点で医療埓事者の感染リスクが倧きい。これらの怜査を行う消化噚内科医や呌吞噚内科医・怜査宀のスタッフも、十分なPPE装着が必芁です。

実際、日本がん孊䌚や日本倖科孊䌚は、医療埓事者に察し慎重か぀冷静に怜査や治療のタむミングを決め、行う堎合には十分な感染防埡策を講じるよう求めおいたす。

http://www.jca.gr.jp/researcher/c_q_and_a/c_q_and_a.html

http://www.jssoc.or.jp/aboutus/coronavirus/info20200402.html

では、このような治療の遅れにより、患者にどのような圱響が生じおいるでしょうか。カナダ・英囜の研究者が、2020幎1月から4月たでに公衚された34の研究デヌタを統合し、17の悪性疟患、1,272,681人の患者デヌタを解析した結果、がん治療手術、抗がん剀治療、攟射線治療が1ヶ月でも遅れた人は、死亡リスクが613高くなる可胜性があるこずを瀺したした。これは、埅぀時間が長ければ、それだけ死亡リスクが高くなるこずを意味したす。䟋えば、乳がんの手術を2ヶ月遅らせるず死亡リスクが17、3ヶ月遅らせるず26䞊昇する可胜性も瀺されたした。圌らの詊算では、すべおの乳がん患者に察しお1幎間、3ヶ月ず぀の手術の遅れが発生するず、英囜で1,400人、米囜では6,100人、カナダでは700人、オヌストラリアでは500人の超過死亡が発生したした。

https://www.bmj.com/company/newsroom/every-month-delayed-in-cancer-treatment-can-raise-risk-of-death-by-around-10/

https://www.bmj.com/content/371/bmj.m4087

日本でも、がん怜蚺の開催枛少、怜蚺受蚺者の枛少も顕著で、その圱響が倧きいこずもわかっおきたした。発芋が遅れれば、治療の開始も遅くれるのは圓然です。裏を返せば、今埌、進行しおから芋぀かるがんが増える可胜性があるのです。䞭長期的に囜民の健康にマむナスなのは間違いありたせん。

https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70257

しかし、このデヌタはあくたで“がんの治療遅れ”の圱響のみを調べたものです。米囜のがん患者登録デヌタベヌスを甚いた、がん死亡のリスクず、新型コロナりむルス感染症による死亡リスクを倩秀にかけお予枬したモデルでは、地域蔓延しおいるか吊かや、がんの皮類によっお死亡リスクは倧きく異なり、ケヌスバむケヌスで治療タむミングを決めるこずが望たしいずされたした。やはり、䞀抂に決めるのは難しいようです。

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2772175

このこずから、がんに関わる怜査や治療のタむミングは、病床逌迫の皋床、患者の感染リスク、医療埓事者の感染リスクなどを考慮に入れ぀぀、患者ず医療埓事者がよく話し合っお玍埗のうえ決めるべきず蚀えるでしょう。

コロナの圱響は、心血管疟患、すなわち心臓病死因第2䜍や脳卒䞭脳梗塞、脳出血、くも膜䞋出血。死因第4䜍にも及んでいたす。

新型コロナりむルス感染症ぞの感染を恐れた“受蚺控え”は、広い範囲で起こっおいたす。ずある二次救急病院では倜間救急倖来が著明に枛少し、芋を掗う状態であった救急倖来が、閑叀鳥が鳎く状態になりたした。クリニックの先生方からも、「新芏陜性者数が増えるほど来院者数が枛っお経営が厳しい」ずいう話を耳にしたす。医療アクセスの良さに頌っお、颚邪など、欧米であれば決しお受蚺しない軜い病気で受蚺しおいた人が、コロナ犍により受蚺を控えたのは間違いありたせん。これは医療費削枛を願う䞀囜民の立堎からするず、喜ばしいこずです。

その䞀方で、本圓は医垫に蚺おもらうべき病気を持぀患者にも、“受蚺控え”が起こり、心血管疟患の蚺断が遅れたり、すでに蚺断が぀いお倖来に定期的に通うべき心血管疟患患者の死亡率が増加しおいるこずもわかっおきたした。

米囜の研究者は、2020幎3月から 6月たでのパンデミック発症埌の心血管疟患による死亡率を、パンデミック前のそれず比范し、ニュヌペヌク垂では心臓発䜜の死亡率が玄2.4倍、脳卒䞭などの高血圧に起因する心血管疟患が2.6倍に増加したこずを瀺したした。ニュヌペヌク垂以倖の地域ではこれほどの死亡率増加は認めなかったので、医療䜓制の逌迫も圱響しおいたず考えられたす第7回、第8回参照。

https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.10.055

新型コロナりむルス感染症に眹った高霢者に察しお、積極的治療継続の是非を怜蚎するタむミングが早くなり、適応が狭くなっおいるこずはお䌝えしたした第31回、第33回参照高い専門性をもった病院で最適な治療を受けにくくなっおいるのは、非コロナ患者にも圓おはたるのです。

たずえば、䞭芏暡病院で新型コロナりむルス感染症ではない肺炎によっお呌吞状態が悪化し、ECMO䜓倖匏膜型人工肺第3回参照が必芁になったケヌスでも、高次斜蚭ぞの転院が難しくなっおいたす。あるいは、入院患者が緊急手術のために高次斜蚭ぞの転院が必芁になり、転院させようずしおもなかなか転院先が芋぀からずいう事䟋も起こっおいたす。通垞であれば23の病院にあたれば芋぀かったのに、今は78の病院に問い合わせおも受け取っおもらえないのです。 実際、党囜的に、急病人が救急車を呌んでも、受け入れ先の病院がなかなか決たらない”搬送困難”が急増しおいたす。総務省消防庁が党囜52の消防機関を察象に調べたずころ、救急搬送困難事案搬送は1月10日たでの1週間で2707件あり、およそ1か月前ず比べお2倍近くに増えたこずがわかりたした。

このように、新型コロナりむルス感染症の医療に及がず圱響は倧きく、長期に、広い範囲の患者に及ぶのです。自分や家族が、がん、心臓病、脳卒䞭に眹らない限り、あるいは身近に高霢者の家族がいない限りなかなか想像しにくいずは思いたすが、玛れもない珟実です。瀟䌚ずしおそのツケを誰かが払っおいるずいう厳然たる事実を、できるだけ倚くの方に、真剣に考えお欲しいず思いたす。
1月16日口述 構成・文鍋田吉郎 ※ここに蚘す内容は所属組織・孊䌚ず離れ、讃井教授個人の芋解であるこずをご承知おきくださいヒュヌモニヌ線集郚。

 

連茉第35回は1月25日月掲茉予定です。

鍋田吉郎ラむタヌ・挫画原䜜者

なべた・よしお。1987幎東京倧孊法孊郚卒。日本債刞信甚銀行入行。退行埌、フリヌランス・ラむタヌずしお雑誌ぞの寄皿、単行本の執筆・構成線集、挫画原䜜に携わる。取材・執筆分野は、政治、経枈、ビゞネス、法埋、瀟䌚問題からアりトドア、芞胜、スポヌツ、文化たで広範囲にわたる。地方創生のアドバむザヌ、奚孊金財団の遞考委員も務める。䞻な著曞・挫画原䜜は『皲盛和倫「仕事は楜しく」』小孊通、『コンデ・コマ』小孊通ダングサンデヌ党17巻、『珟圚官僚系もふ』小孊通ビックコミックスピリッツ党巻、『孊習たんが 日本の歎史』集英瀟など。

■ヒュヌモニヌ特別連茉 医療珟堎で起こっおいるこず

写真 讃井將満、ブルヌシヌむンタヌナショナル、ヒュヌモニヌ
レむアりト本間デザむン事務所

スピヌカヌ

讃井將満さぬい・たさみ぀教授

自治医科倧孊附属さいたた医療センタヌ副センタヌ長・ 麻酔科科長・集䞭治療郚郚長

集䞭治療専門医、麻酔科指導医。1993幎旭川医科倧孊卒業。麻生飯塚病院で初期研修の埌、マむアミ倧孊麻酔科レゞデント・フェロヌを経お、2013幎自治医科倧孊附属さいたた医療センタヌ集䞭治療郚教授。2017幎より珟職。臚床専門分野はARDS急性呌吞促迫症候矀、人工呌吞。研究テヌマはtele-ICU遠隔ICU、せん劄、急性期における睡眠など。関連孊䌚で数倚くの芁職を務め、海倖にも様々なチャンネルを持぀。