
『水曜どうでしょう』は、なぜ制作者にも愛される番組になったのか|第59夜
前回の第58夜では、『水曜どうでしょう』初期の歩みから見えた「どうでしょうらしさ」の完成について考えました。
北海道212市町村カントリーサインの旅を通して、『水曜どうでしょう』という番組の設計図が完成しました。その設計図があったからこそ、舞台がヨーロッパへ移っても番組の面白さは変わらず、多くの名作が生まれていったのです。
今回は、『水曜どうでしょう』は、なぜ制作者にも愛される番組になったのかについて考えていきます。

(引用元:WEBザ・テレビジョン)
長く続く人気番組は数多くあります。しかし、その番組に携わった制作者自身が、「関われて幸せだった」と語る作品は決して多くありません。
番組は放送が終われば次の仕事へ進むのが一般的であり、制作者は作品を客観的に振り返る立場でもあります。それでも『水曜どうでしょう』については、番組を支え続けた人たちから特別な言葉が語られています。
HTBプロデューサーの杉山さんへのインタビューでは、「どうでしょう祭」の舞台裏が語られています。その中で印象的だったのは、イベントの規模や苦労ではありませんでした。
杉山さんは、普通のイベントとは違う独特の空気が『水曜どうでしょう』にはあったと振り返っています。
通常、大規模イベントでは「どんな企画を用意するか」「どう集客するか」「何人来場するか」といったことが大きな課題になります。
しかし、どうでしょう祭では、まず「ファンが集まってくれる」という信頼がありました。もちろん不安はありながらも、番組を応援してきた人たちとの間には、長い時間をかけて築かれた関係があったのです。

(引用元:雑誌「ダ・ヴィンチ」2019年12月号)
その信頼関係は、イベントが始まってから作られたものではありません。『水曜どうでしょう』という番組そのものが、出演者とスタッフ、そして視聴者との距離を少しずつ縮めてきた結果でした。
第54夜から振り返ってきたように、この番組ではサイコロによって旅の行き先が決まり、その場で起きた出来事を、そのまま受け入れてきました。
そこには、出演者だけではなくスタッフも含めて、本音を隠さない空気がありました。藤村Dが笑えば、そのまま放送される。嬉野Dは余すところなく記録する。
失敗しても、予定どおりに進まなくても、それを隠さず番組にしてしまう。その積み重ねが、「作っている人たちも楽しんでいる番組」という印象を視聴者へ届けてきたのです。
だから視聴者は、出演者だけを応援していたわけではありません。藤村Dや嬉野Dの存在も含めて、『水曜どうでしょう』というチームそのものを応援していました。
そして、その応援はイベントという形になっても変わることはありませんでした。制作者と視聴者が対立するのではなく、同じ番組を楽しむ仲間のような関係が、自然と生まれていたのです。

(引用元:雑誌「ダ・ヴィンチ」2019年12月号)
杉山さんはインタビューの最後で、「やっぱりすごく幸せなコンテンツだなと思いますね」と語っています。この一言には、多くの意味が込められているように感じます。
それは単にイベントが成功したからでも、番組が長く続いたからでもありません。自分自身が関わった作品を、心から誇りに思えるという実感があったからこそ出てきた言葉ではないでしょうか。
さらに杉山さんは、番組を見続けてきたファンは『水曜どうでしょう』のスタンスを理解しているから安心感があるとも語っています。出演者だけでなく、スタッフの考え方や番組の空気まで共有されている。
これは長年積み重ねてきた信頼があったからこそ生まれた関係です。制作者が視聴者を信頼し、視聴者も制作者を信頼する。その循環こそが、『水曜どうでしょう』という作品を特別な存在にしてきたのだと思います。
『水曜どうでしょう』は、視聴者だけに愛された番組ではありませんでした。番組を作る人たち自身も、この作品を愛し、このチームを誇りに思い、その気持ちが30年経った今も受け継がれています。
だからこそ、祭が開かれ、新作が待ち望まれ、制作者自身が「幸せなコンテンツ」と語る作品になったのでしょう。それは人気番組という言葉だけでは表せない、『水曜どうでしょう』だけが持つ大きな魅力なのです。
(※記事中の画像は、作品紹介および考察を目的として、解像度を下げて引用しています。著作権は各権利者に帰属します。)
次回、第60夜は「カントリーサインカードは、なぜ記憶に残るのか」について考えていきます。
この連載は、これからも『水曜どうでしょう』の魅力を一つずつ読み解いていきます。「❤️スキ」「👤フォロー」で応援いただけると励みになります。
📌今回の内容を踏まえて、皆さんは……
A. 制作者まで楽しんでいる番組だからこそ、長く愛され続けたと思う
B. やはり出演者4人の魅力が一番大きかったと思う
どちらに近いでしょうか。理由もあればぜひコメントで教えてください。
(コメントには必ずご返信させていただきます)
今後の『水曜どうでしょう』考察の参考にさせていただきます。
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■運営者(ユウナ)について
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