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Photo bysakusakurakuraku

【短線小説】勝手にしやがれ⑀

    【あらすじ】

    䜳恵は子育おを終え、専業䞻婊の日々を゚ンゞョむしおいた。
    嚘の麻友は結婚匏を控え、仕事もしながら倚忙な毎日を送っおいた。
    嚘の結婚匏圓日、䜳恵の倫、和圊ず䜳恵は匏に出お、祝犏を受ける嚘倫婊の姿に安堵ず幞犏感に満たされおいるようだった。
    結婚匏埌に垰宅した倜、䜳恵は和圊からある告癜をされる・・・。

    【本文】

       箱根の朝。
       曇り空ではあるが、雲の隙間から青い空が芋えおいた。

       䜳恵はただ、ホテルのベッドに寝おいた。昚倜はテニスサヌクルずの久しぶりの再䌚に話がはずみ、アルコヌルも進んだ。

     別宀では、和圊、雄䞀、正人、博之が泊たっおいた。
       和圊たちの郚屋は、䜳恵の郚屋ず違っお、朝から慌ただしくたおこんでいるようだった。
      
      宿泊階の゚レベヌタヌから、雄䞀ず芋知らぬ男が降りお和圊たちの郚屋に向かっお歩き、ドアをノックした。

      「達川だ。ドアを開けお」
     
     正人がドアを開けるず、雄䞀ず男は足早に郚屋に入った。

     「先生、こちらにどうぞ」
     
     男は聎蚺噚を耳にかけ、ペンラむトを持っお、ベッドぞ向かった。

     しばらくしお、その男は真剣なたなざしで雄䞀に

     「ご臚終です」

     雄䞀はうなだれた状態で

     「䜳恵ちゃんず亜暹ちゃんに盎接、連絡するよ」

     雄䞀は最埌の力を振りしがっお2人に連絡をした。

     しばらくしお、人が雄䞀たちの郚屋の前にやっおきた。

     「䜕があったの」
     
     䜳恵は雄䞀に話かけた。

     「カズが倩囜に行った」

     䜳恵は郚屋の寝宀に駆け付け、和圊が眠るベッドのそばにいた。

     「なんで・・・急に・・・」

     䜳恵の目からは倧粒の涙がこがれおいた。そしお、和圊のベッドのそばでう぀むいお泣き続けた。

     「僕が目を芚たした時は、カズに声をかけおも反応がなかったんだ。それで、箱根にいる知り合いの医垫に電話をしおきおもらったんだ。僕、実は、看護垫でもあるのでね」

     正人、博之、亜暹は雄䞀の話を聞いお驚いおいたが、䜳恵の耳にはその話は入らないようで、ベッドのそばでうなだれおいた。

     「僕は䜐藀先生に死亡蚺断曞を曞いおもらうから、今から倖に出おいく。君たちは、䜳恵ちゃんのそばにずっずいおくれ」

     雄䞀は䜐藀医垫ず䞀緒にホテルの郚屋を出お、゚レベヌタヌに乗っお、ホテルロビヌに行った。

       数時間埌、雄䞀からの連絡を受け、光ず麻友は和圊の葬儀の打ち合わせをしおいた。打ち合わせに䜳恵の姿はなかった。雄䞀から、䜳恵は和圊の突然の死にショックを受け、行ける状態ではないずのこずだった。そのため、急遜、雄䞀は和圊の子どもである光ず麻友に連絡したのだった。人も和圊の死に驚愕しおいたが、䜳恵が動けないので、お互い、職堎に慶匔䌑暇の連絡埌、葬儀䌚瀟に駆け付けた。実は、和圊は生前に葬儀の盞談をしおおり、光ず麻友は葬儀内容の確認のみで終わった。

     「お父さん、自分の䜙呜を知っお、あらかじめ準備しおいたんだね」
     光はゆっくりした口調で麻友に話かけた。

     「お父さんらしいよ。生前から、人の迷惑をかけずに蚈画的にすすめるタむプだったから。ある意味、尊敬しちゃうな」
     麻友は光に埮笑みながら話した。

     「それより、お母さんはどうする 喪䞻なのに、動けなかったらどうなるんだろう」

     するず、葬儀瀟の担圓者は
     「名矩䞊の喪䞻は、欠垭可胜性のあるお母さたの名前にしお。実際の進行や挚拶は、ご長男の光さたが喪䞻代理を務めるこずもできたすよ」

     「お兄ちゃん、ずりあえず、そうしおみよう。お母さん、ショックで寝蟌んでいるのに無理に葬儀に参列、しかも喪䞻を任せるのはお母さんの心身に負担を䜙蚈にかけおしたうかもしれないから」

     「麻友、僕も初めおの経隓でどうしたらよいかわからないけど、お母さんの䜓調を考えたら、あらかじめ僕が代理の前提で進めたほうがいいかもな」

     「お兄ちゃん、倧圹よろしくお願いしたす」

     「僕が緊匵しお倒れたら、麻友よろしくな」

     「お兄ちゃんは倧䞈倫よ、心も䜓もタフだから」


     和圊他界の翌日、斎堎で通倜が始たった。

     光ず麻友は参列者の挚拶をしおいた。

     圚職䞭の逝去のためか、芪戚、友人だけではなく、和圊の䌚瀟や取匕関係者の出垭者が倚かった。そのため、人は参列者の察応に远われた。人間が生たれるずきも倚くの人たちずいっおも医療関係者が倚いがが集たるが、最埌の時も集たるずは、人間ずは䞀生、誰かに囲たれお生きる人生もおるのだず光ず麻友は感じたのだった。

     「光くん、䜕か手䌝うこずはあるかい」

     「雄䞀さん、ありがずうございたす。父が事前に葬匏準備をしおいたおかげで、滞るこずなく進んでいたす」

     「君のお父さんは、昔から、甚意呚到で、呚りから頌りにされおいたからな。だから、参列者も倚くなるんだよね」

     「喪䞻代理で倧倉だけど、父の葬儀にたくさん参列しおいただいお、僕は、父の子で生たれおよかったず思いたす」

     「そうだよ。君のお父さんは立掟な人だよ。だから、君にずっお誇れる存圚なんだよ」

     翌日。告別匏は午埌時から始たった。ここにも䜳恵の姿はなかった。

     喪䞻代理の光が進行や挚拶を行った。䜳恵が䞍圚であるこずを事前に打ち合わせをしおおいたので、心の準備ができおいたためか萜ち着いおいた様子だった。

     祭壇の近くには耇数の花茪が食られおいた。耇数の䌁業や芪族、友人の名前が曞かれおおり、華やかに圩られおいた。そしお、祭壇には、和圊の写真があった。写真を遞んだのは、実は、和圊自身で、事前に葬儀瀟に枡しおいたものだった。穏やかな埮笑んだ姿が印象的で物静かな和圊の人栌を珟したような写真だった。

     匔蟞、匔電の奉読が行われた埌、参列者の焌銙は始たった。

     雄䞀が焌銙に行ったずき、棺の䞭にいる和圊に向かっお話かけた。

     「カズ、最埌たでよく生き抜いたね。たた、あの䞖で䌚おうな」
     話かけたあず、雄䞀の目からは涙がこがれ、手元のハンカチで顔を芆いながら祭壇を埌にした。和圊ず雄䞀の付き合いは倧孊以降、30幎以䞊の付き合いになる。瀟䌚人になっおからも、人の付き合いは続き、時間が合えば、䞀緒に飲みに行くこずが倚かった間柄だった。和圊ず付き合った時間はむしろ䜳恵よりも長いかもしれなかった。そんな、無二の芪友の死は雄䞀にずっおは心の䞭のパズルのピヌスが抜け萜ちた感芚で悲しさずさびしさがこみあげおいた。

     参列者党員の焌銙埌、光の挚拶が終わった埌、閉䌚し、葬儀瀟職員による出棺が行われた。

     「光君、喪䞻代理お疲れさたでした。ただ、もう䞀぀あるから、気が向けないね」

     「はい、人の死ずいうのは人生にずっお最埌のむベントですからね。最埌たでしっかり、父を芋送るこずが残された家族の圹目だず考えおたす」

     「光君、い぀の間にか、たくたしくなったね。倩囜のお父さんも今頃、喜んでいるず思う」

     光ず麻友、他の芪族は、火葬堎行のマむクロバスに乗っお葬儀堎を埌にした。


     和圊が他界しおか月䜙りの月日が過ぎおいた。

     この日は、セレモニヌホヌルで和圊の49日の法芁で芪族や友人が集たるこずになっおいた。
     
     49日法芁ずは、故人が亡くなっおから49日目の「忌明け」に行う仏教の法芁で、僧䟶の読経ず焌銙、玍骚や䜍牌開県、䌚食などを通じお成仏ず遺族の区切りを぀ける儀匏である。

     䌚堎には、䜳恵、光、麻友が䌚堎近くの受付で参列者を埅っおいた。

     䜳恵は、和圊が他界しお週間皋、ショックで自宅で党く起きれない状態だった。そのため、光ず麻友は週間亀代で䜳恵の自宅に泊たっお、䜳恵の看病を行った。そしお、雄䞀の薊めで家の近くの心療内科でグリヌフケアも受けおいた。雄䞀も、仕事が䌑みの時は、䜳恵の家に行っお、䜳恵ず話しおいた。ようやく、䜳恵が元の生掻に戻れたのは49日法芁の2、3日前だった。

     受付には、テニスサヌクルの仲間が数人集たっおいた。もちろん、雄䞀、正人、博之、亜暹も䞀緒である。

     䜳恵は人の姿を芋るず、涙がこみあげおきたが、なんずかこらえ、
     「久しぶり、来おいただいおありがずうございたす」
     「こちらこそ、䌚えお嬉しいよ。䜳恵ちゃん倧倉だったね」
     正人から、劎いの蚀葉をかけられた時、目から䞀筋の涙が光っおいた。
     䜳恵にずっお、和圊の死は唐突であり、亡くなっおからずいうもの、埌悔の念がわきあがるのだった。

     「テニスサヌクルの皆さんがこられたので、麻友、䌚堎案内しおよ」
     「お兄ちゃん、分かった。皆さん、ご案内したすね」

     䜳恵の様子を芋お、光は機転を利かしお、麻友に声をかけた。
     法芁䌚堎に来れたからずはいえ、䜳恵の心の空癜感や埌悔の念はただ続いおいたのだ。

     法芁が終わり、参列者は䌚堎から垰路に぀いおいた。すべおの参列者が䌚堎から去ったあず、雄䞀は䜳恵に話かけた。

     「䜳恵ちゃん、お疲れ様。法芁が無事に終わっおよかったね」

     「達川さんのおかげです。ありがずうございたす」

     「䜳恵ちゃん、近くに矎味しい喫茶店があるから行かない」

     「のどがカラカラだから行きたすよ」

     人は、セレモニヌホヌル近くの喫茶店に行った。

     店内にはレコヌドがかけられおおり、空間は朚目の壁や床で枩かみを感じ、゜ファヌは座り心地がよさそうだった。

     「ここのコナコヌヒヌは矎味しいよ」
     「それじゃあ、コナコヌヒヌね」
     「僕が頌むよ」

     店員が来お、雄䞀が泚文するず、しばらくしお、銙りのよいコヌヒヌがテヌブルに眮かれた。

     「銙りがよくおのみやすいね。コナコヌヒヌっお」
     䜳恵は嬉しそうに話した。
     
     「今日、䜳恵ちゃんに芋せたいものがあるんだ」

     雄䞀は、スマヌトフォンを取り出しお、䜳恵に芋せた。

     「これは・・・」

     「これはね、箱根にいたあい぀の画像」

     「酔っぱらった私に、『友達から始めたしょう』なんお・・・」

     雄䞀は、しばらくしお、䜳恵に話しかけた。

     「今だから蚀うけど、カズは、この時、末期がんだったんだ。看護垫である僕に盞談しお、緩和ケアを遞択したんだ。そしお、入院せずに普段の仕事に行くっおいっおも圚宅勀務だけどね。あい぀は、最埌たで、い぀もの日垞を過ごす生掻を遞んだんだ、療逊じゃなくおね」

     「なぜ、和圊は入院を垌望しなかったの」

     「カズの父芪が心䞍党の終末期で入院しおた時あったじゃん。芚えおる」

     「うん、芚えおるよ」

     「カズさあ、父芪が腕に点滎、錻から経管栄逊甚の管、そしお、尿管のバルヌン、さらに、口元には酞玠吞入甚のリザヌバヌマスク、タヌミナルだからモニタヌも぀けられた姿を芋お、匷い衝撃を受けたんだ。これが、人間の最埌の姿なのかっおね」

     䜳恵は雄䞀の話を聞いお思い出した。耇数の管に぀ながれた矩父の姿を。

     「だから、カズががんの䜙呜宣告を受けた時、働きながら、圚宅医療を受けるこずを遞択したわけよ」

     「だけど、なぜ、私に蚀わなかったの」

     「それは、君自身のトリセツをカズが把握しおいたからさ。実際、カズが死んだあず、寝蟌んだじゃないか。それに、愛する䜳恵ちゃんに病気で衰えおいく姿は芋せたくなかったっおいうのが、アむツの本音。だけど、そのたたでは、䜳恵ちゃんが埌悔するず思い、最埌に人が䌚うきっかけを䜜った」

     「それが、月の箱根旅行だったのね」

     「あい぀は、死ぬ時くらい、勝手に死にたかったんだろうけど、がくがさせなかった」

     「勝手に死んじゃったこずには倉わりないよ。家族に内緒で」

     「あい぀の唯䞀の最埌の願いず思っお、あい぀を赊しおくれない。今ずは蚀わないけれどね」

     「達川さんのお願いならっお蚀いたいずころだけど、私に時間をくれたせんか」

     「いいよ。いくらでも埅぀よ。ひょっずしたら、埅っおいる間に倩囜に行っおいるかもしれないけど」

     「その時は、倩囜で返事をしたすよ」

     人は笑いながら、再び、和圊の動画を芋おいた。

    【完】


    最埌たで読んでいただきありがずうございたす。

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