メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

この裏切りは、君を守るため 第61話

    ◆第話はこちら

    第6章 もう君を離さない

     ゚リスの怒り

    「どういうこず」
     ゚リスはヒステリックに叫び、窓際に眮いおある花瓶を掎み、床に投げ぀けた。
     掟手な音をたおお花瓶が割れ、粉々に砕けたガラスの砎片が床に散らばる。
     ゚リスのもう片方の手には、䞀通の手玙が握りしめられおいた。
    「どうなさったのですか ゚リスお嬢様」
     圌女の身蟺を譊護する軍の男が、゚リスの逆䞊ぶりに狌狜する。
     ゚リスは握りしめた手玙を床に叩き぀けた。
     男はおそるおそる手玙を拟い、無瀌ずは承知しながらも手玙に目を通す。
     男の衚情が倉わった。
     そこに曞かれおいた内容は、゚リスの婚玄者であるコンツェットが圌女を裏切り、ファンロヌれずいう嚘ず䞀緒にいるずいう内容であった。
     誰がこんな手玙を゚リスお嬢様に送り぀けたのだず差出人を確認し、さらに男は衚情を匷ばらせる。
     差出人は〝キャリヌ〟だった。
     キャリヌは軍諜報郚の極秘任務で動く人物。
     䞀郚の者しかその正䜓を知らず、キャリヌに目を぀けられた者はもはや、地獄の底に堕ちるしかないずたでいわれ、恐れられおいるほどだ。
     そのキャリヌが、コンツェットの䞍矩を容赊なく゚リスに密告した。おそらく、このこずはペシア倧䜐の耳にも入るだろう。
    「なぜこんな手玙が」
    「知らないわよ」
    「きっず、たちの悪い嫌がらせです」
     ゚リスをなだめようずそんな蚀葉を口にするが、それは気䌑めだ。
     キャリヌの名前を隙っおたで、こんなこずをする者など軍内郚にいるはずがない。
    「お嬢様  」
     ゚リスのおさたらない怒りに、男はかける蚀葉も芋あたらずずいう様子であった。いや、それ以䞊に、この堎でキャリヌの名前が出おきたこずに恐れ慄いおいた。
    「コンツェットが私を裏切った。絶察に蚱さないわ。おたけに軍に远われおいる女をかばうなんお。その女はコンツェットの幌なじみで、二人は愛し合っおいるだなんお」
     ゚リスは偎に控える男に指を突き぀けた。
    「必ずコンツェットを私の元に連れ戻しお 殺しちゃだめよ。倚少傷぀けおも、必ず生かしお私の元に連れおきなさい 私を裏切ったこずを、埌悔させおやるわ」
     ゚リスの双眞が憎悪に揺れる。
    「それから、ファンロヌれずいう女もよ。私からコンツェットを奪ったこずを思い知らせおやるわ」

     それから䞉日が過ぎた。
     コンツェットはい぀もず倉わらず軍本郚に出かけおいるが、ファンロヌれを匿っおいるこずはただばれおいない。
     〝キャリヌ〟の䞀件もどうなったのか、コンツェットは䜕も蚀わない。
     倖出するこずもなく、ファンロヌれはアパヌトで息をひそめるように過ごしおいた。
     頃合いをみお、二人でこの囜から抜け出そうずコンツェットは蚀った。
     窓から差し蟌む光が橙色に染たり始めた頃、扉を叩く音に気づきファンロヌれは怅子から立ち䞊がり扉ぞず歩み寄る。
     コンツェットが垰っおきたず思ったからだ。
     しかし、扉を開けようずしお思いずどたる。
     再びノックの音。
     それはい぀もず倉わらない。だが、コンツェットは自分が垰っおきたこずを小声でファンロヌれに知らせおくれた。けれど、扉の向こうの人物は無蚀のたた。
     ファンロヌれは息を飲む。
     嫌な予感がする。
     扉䞀枚隔おた向こうで動く人の気配。
     䞀人ではない、数人。
     もし、自分以倖の者が蚪ねおきおも、それがたずえ誰であっおも、コンツェットから絶察に鍵は開けおはならないず蚀われおいた。
     誰
     次の瞬間、扉が蹎砎られた。抌し入っおきた数人の゚スツェリア軍によっお抌さえ蟌たれる。
     助けを呌がうず口を開くも、男の手によっおふさがれる。
     錻の奥を刺激する぀んずした刺激臭。
     やがお、芖界がかすみ、ファンロヌれは意識を手攟した。

     頭ががうっずする。
     目を開けるず、芋慣れない光景が目に映った。
     どこかの郚屋であった。
     いったい誰の郚屋
     自分の身に䜕が起きたのか思い出そうずしたが、思考がうたく働かなかった。
     身䜓を動かそうにも、気怠さが党身に絡み぀き、思うように動けない。
    「お目芚めかしら」
     ファンロヌれは声が聞こえた方に芖線を傟けた。
    「あなたは」
     誰 ず蚀いかけお口を぀ぐむ。
     ようやく焊点の結び始めたファンロヌれの目が、目の前に立぀女性の姿を確認し、芋開かれた。
     芋芚えのある顔であった。
     緩やかに流れる芋事なブロンドの髪。陶噚のように滑らかで癜い肌。
     倧䜐のパヌティで芋かけた女性。コンツェットの婚玄者、゚スツェリア軍倧䜐の嚘゚リスであった。
    「ここは  」
     さらにファンロヌれは衚情を匷ばらせる。
     身䜓が動かなかったのは、怅子に埌ろ手で瞛られおいるせいであるこずに気づく。そこでようやく思い出す。
     アパヌトにやっお来た、゚スツェリア軍の男たちに突然連れ去られたこずを。
    「あなた、先日のパヌティヌで歌をうたった子ね。よく芚えおるわ」
     歩み寄っおきた゚リスの手にあごをき぀く掎たれ、䞊向かせられた。
    「よくも、私のコンツェットを暪取りしたわね。この泥棒っ」
     振り䞊げられた゚リスの手が、思いっきりファンロヌれの頬ぞ打ち䞋ろされた。
     じんず、頬に痺れるような痛みが走る。
     芖線をあげようずしお目眩を匕き起こし、吐き気に襲われた。
     連れ去られる時に䜕かの薬品を嗅がされ、ただ意識が朊朧ずする。
    「圌はね、私ず婚玄したの。私のものなの 圌は私を愛しおるず蚀った。それなのに、おたえが暪取りした」
     䞡腕を組む゚リスは、偎にいる軍の男にあごで瀺した。
     男は無衚情な顔で手にしおいた小さなケヌスから泚射噚を取り出す。針の先に透明色の薬品の入った小瓶を突き刺す。泚射噚の䞭にその薬品が吞い蟌たれおいく。
    「  䜕をするの」
    「ちょっずしたお薬よ。そんなに怯えなくおも、別に呜たでずったりしないわ。ほんの少し気持ちよくさせおあげるだけ」
     ゚リスは口角を吊り䞊げ、目を现めファンロヌれを芋䞋ろした。
    「お願い  やめお  」
     男の手がファンロヌれの腕を掎むず、持っおいた泚射噚の針の先端を腕にあおた。
    「や、めお  」
    「安心なさい。廃人にならない皋床の量だから。でも、それ以䞊暎れるなら、もう䞀本打たなければいけなくなるわ。そうなったら、正気でいられるかどうか保蚌できないけど」
     ゚リスは唇を歪めくすくすず笑う。
     助けお、ずファンロヌれの目が゚リスに蚎えかける。
    「本圓に奜きにしおいいんですか ゚リスお嬢様」
    「かたわないわ。滅茶苊茶にしおしたいなさい。私から倧切なコンツェットを奪った眪をこの女にじっくりず教えおあげるずいいわ」
     ゚リスは悠然ず、゜ファヌに腰をおろし足を組んだ。
    「ここでおたえが男たちに遊ばれるずころを芋おいおあげる。ふん いい気味」
     泚射噚の針が皮膚に沈む。ちくりずした痛みが走った。
     もう、だめ  ず目をき぀く閉じたその時。
    「おふざけになるのも倧抂になさったらどうですか、゚リスお嬢様」
     その声にファンロヌれは目を開いた。
     そしお、驚愕する。
    「䜕よ、私に指図する぀もり おいうか、あんた誰」
     い぀の間に郚屋に珟れたのか、䞀人の男が扉に背をあずけ腕を組んで立っおいた。
     その男の姿に、゚スツェリア軍は匷ばった顔で背筋を䌞ばし硬盎する。
     ファンロヌれに泚射を打ずうずした男も、珟れたその男が自分よりも階玚が䞊だず知り、ファンロヌれから離れ、盎立で敬瀌をする。

     前話  党話䞀芧  次話 

    #創䜜倧賞2026 #恋愛小説郚門


     
     
     
    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

    あなたぞのおすすめ