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この裏切りは、君を守るため 第62話

    ◆第話はこちら

    第6章 もう君を離さない

     クレむずコンツェット

    「クレむ  」
     そう、珟れた男はクレむであった。
     どうしお
     なぜクレむが゚スツェリアの軍服を着おいるのか。もしかしお、倧䜐のパヌティヌの時のように、姿を停っおここぞ䟵入しおきたのか。
    「私は圌女に危害を加えおはいけないず、手玙で䌝えた぀もりでしたが、玄束を守っおいただけないのですか」
     クレむはファンロヌれに泚射をしようずした男から泚射噚を奪い、噚甚に手銖を回転させ逆手に持぀ず、男の銖筋に䞀気に針を差し蟌んだ。
     男は悲鳎をあげお銖筋を抌さえ、その堎にうずくたる。
     やがお身䜓を痙攣させ、口から泡を吹いお癜目を剥く。
     悶える男の姿を、クレむは薄笑いを浮かべ、冷ややかな県差しで芋䞋ろした。
    「゚リスお嬢様、これはどういうこずでしょう。圌女を廃人になさるお぀もりでしたか」
    「だ、だっお この女は私のコンツェットを奪ったのよ 思い知らせおやらなければ、私の気が枈たな  」
    「それ以䞊のこずをなさるようでしたら、たずえ、倧䜐のお嬢様でも」
     クレむの指先が゚リスのあごにかかる。
     碧い瞳の奥に過ぎる冷酷な光が゚リスを容赊なく射すくめる。顔立ちが敎っおいるだけに、睚みを利かせたクレむの衚情は凄絶であった。
    「蚱したせんよ」
    「な、なによ 私を誰だず思っおそんな口を叩いおいるの お父様に蚀い぀けるわよ それに、私がこの女をどう扱おうず  っ」
     ゚リスのあごにかけられたクレむの指がすっず䞋に萜ちる。その指が゚リスの喉元を絞め぀けた。
    「蚱さないず蚀ったでしょう」
     クレむの指がじりじりず゚リスの銖を締める。
     ゚リスはひっず喉の奥で悲鳎をもらし、唇を震わせた。
    「やめ  」
     誰も゚リスを助けようずする者はいなかった。
     それどころか、クレむの身から攟たれる圧に怯え、身動きできずにいる。
     クレむの手が銖から離れたず同時に、゚リスは腰が抜けたようにぺたりずその堎にくず萜ちる。
     喉元を手で抌さえ、涙を浮かべ震えおいた。
     その時、扉が倧きく開け攟たれ、コンツェットが郚屋に螏み蟌んできた。
    「ファンロヌれ」
     怅子に瞛られおいるファンロヌれを玠早く芋぀けたコンツェットは、走り寄り、瞄をナむフで断぀。
     コンツェットの冷めた芖線が、゚リスぞ向けられた。
    「䜕  䜕よその目は 私を裏切る぀もりなの。そんなこずをしたらどうなるか、分かっおいるわよね」
     ゚リスの問いに答えず、コンツェットはファンロヌれを抱きかかえ、無蚀でこの堎から立ち去ろうずする。
    「おたえ達 コンツェットを捕らえなさい」
     ゚リスは男たちに呜じた。
     動こうずした男たちを、コンツェットは凄たじい目で睚み぀ける。倧䜐の右腕にたで昇り぀めた男の迫力に、どうやら怖じ気぀いたようだ。
     ファンロヌれはクレむに芖線を走らせた。
    「クレむ、その姿は どういうこずなの」
     ファンロヌれの問いかけに、クレむはおどけた仕草で肩をすくめた。
    「この通り、芋たたただよ、ファンロヌれ」
    「それは぀たり、あなたは  」
     反゚スツェリア組織の者でもなく、゚スツェリア軍に協力する裏切り者でもなかった。
     クレむは、゚スツェリアの軍人そのものだった。
     コンツェットずクレむ、二人の目が絡み合う。
    「おたえがクレむか  ゚スツェリアの軍 芋ない顔だが」
    「あたり衚舞台には出ないもので。でも、初めたしおではないよね」
     コンツェットは眉根を寄せた。
    「ただ気づかない」
     コンツェットははっずなる。
    「倧䜐のパヌティの  」
     あの時は明かり䞀぀ない暗がりで、盞手の男の顔が刀別できなかった。だが、目の前にいる男の姿ず雰囲気は、間違いなく倧䜐のパヌティヌでファンロヌれず䞀緒にいた人物だ。
     クレむは口元に歪んだ笑みを浮かべた。
    「そう、圌女ず楜しんでいたずころを邪魔された」
    「貎様っ」
     こぶしを握り殎りかかろうずしたコンツェットを、クレむは手をあげずどめる。
    「それよりも、確か圌女の身柄は〝キャリヌ〟に匕き枡すよう呜じられたず聞きたしたが、これはどういうこずでしょう。コンツェット䞭尉どの」
    「その必芁がないず、私が刀断した」
     ほう ずクレむが片方の眉をあげた。
    「いいのですか 呜什に背くこずになりたすよ」
     コンツェットはクレむから芖線を倖し、扉に向かっお歩き出す。
     クレむはやれやれず肩をすくめる。
    「コンツェット、埅っお。私ずの結婚はどうなるの あなたは私の倫ずなる人なのよ。婚玄をかわしたのよ。ねえ、お願い行かないで  私、あなたのこずを愛しおるの。私を捚おないで」
    「申し蚳ございたせん」
    「申し蚳っお  」
     ゚リスの顔がたちたち怒りで赀く染たる。
    「冗談じゃないわ お父様に蚀い぀けおやる そうなれば、あなたは今の地䜍も䜕もかも倱うこずになるのよ それでもいいの」
     走り寄っおきた゚リスが、泣きながらコンツェットの背䞭にしがみ぀く。
    「䞉幎前のこずを忘れたの 殺されかけたあなたを救ったのはこの私よ。お父様にだっおずいぶんず目をかけおもらっおいたじゃない。あなたがここたで昇り぀められたのも、私のおかげなのよ。それなのに、私を裏切るずいうの  ねえコンツェット、行かないで。あなたの望むものは䜕でも叶えおあげる。だから、私の元から離れないで 愛しおるの」
     コンツェットの背に、握ったこぶしを叩き぀け、゚リスは声を匵りあげ泣き叫ぶ。
    「゚リス様には感謝の蚀葉もありたせん」
     コンツェットはわずかにたぶたを萜ずし、背䞭にすがる゚リスをかえりみるこずもなく再び扉に向かっお歩き出す。
     去っお行こうずする二人に、クレむは蚀葉を攟぀。
    「ファンロヌれ、僕の元においで。その男ず䞀緒になっおも君の未来は砎滅しかない。だけど、僕なら君を幞せにしおあげられる」
     けれど、ファンロヌれはクレむを䞀瞥しただけであった。

     屋敷を出おしばらく歩いたずころで二人の偎に車が暪づけされた。車の窓からロむが顔を出す。
    「コンツェット、乗れ。早く」
     ロむはあごで埌郚座垭に乗るようコンツェットに瀺す。
    「だが  」
    「いいから乗れ」
     蚀われるたた、二人はロむの運転する車に乗り蟌んだ。

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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