バンド募集したら、マラカスとカスタネット。相談役は筋肉とコーヒーでした
「路上ライブ、やってみたい….」
私がそう言ったのは、たぶん軽い気持ちだった。
ギターはある。
あとはベースとドラムを募集すれば、それっぽいバンドになる。
私は猫たちにメンバー募集を任せた。

数日後
🐱「集まった!!」
「早いね」
扉を開ける。
そこにいたのは――
両手に色鮮やかなマラカスを持った女性だった。
🪇Hono
「マラカス担当で来ました😏🪇」
「……担当?」
🪇Hono
「はい」
「ベースは?」
🪇Hono
「マラカスです」
「ドラムは?」
🪇Hono
「私はマラカスです」
揺るがない。
シャカッ。
試しに一回振った。

なんだろう。
ものすごく陽気だ。
そして妙に記憶に残る。
「……まあ、一度見たら忘れないけど」
🪇Hono
「そこ大事なんですよ😏」
Honoさんは以前、自分がいつの間にか**「マラカスを持ってSNSを研究している人」**として覚えられていたことを書いていた。
マラカスは最初から計算して作ったブランドではない。
でも、本人が楽しそうに振っていたものが、結果として誰かの記憶に残ったらしい。
猫たちが満足そうにうなずく。
🐱「採用」
「まだ私が決めてない」
そこへ二人目がやってきた。
うさぎといえばカスタネット
白くて丸い。
とても丸い。
🐰しらたまうさぎ
「よろしくお願いします🐰」
手には――
カスタネット。
私はしばらく見つめた。
「……ほかの楽器は?」
🐰「カスタネットです」
「ですよね」
ギター。
マラカス。
カスタネット。
私は静かに募集用紙を取り出した。
「じゃあ、追加でベースとドラムを――」
🐱🐱🐱
「ダメ!!」
猫たちが用紙に飛びついた。
「なんで」
🐱「バンドといえば3ピース!!」
「……うん」
🐱「3人いる!!」
「3ピースって、人数だけ満たせばいい制度じゃないよ」
🐱「3人!!」
「聞いてないな」
そのとき、床に置いてあった譜面が少し離れたところへ滑っていった。
私が取ろうとした瞬間。
にゅーーーーーーっ。
しらたまうさぎさんの小さな腕が伸びた。

譜面をつかむ。
戻ってくる。
🐰「どうぞ」
「…………」
🐰「手は小さいんですけど、伸ばせるみたいです🐰」
「“みたいです”なんだ」
「….耳も伸びた?」
🐰「なかなか調整むずかしいんです」
「………. 」
もっとも、しらたまうさぎさんの世界では、画像生成をするとないはずの脚が生えたり、胴体まで出現したりするらしい。
腕が伸びるくらいでは、もう誰も驚かないのかもしれない。
私は驚いているけど。
すると後ろから、
☕「なんか楽しそう♡」
という声がした。
スタバのカップを持った、あおいさんだった。

「どのあたりが」
☕あおい
「だって、もう覚えたもん♡ マラカスのHonoちゃんと、カスタネットのしらたまうさぎちゃん」
あおいさんは、好きだったスタバについて書き続け、気づけばトップブロガーになった人だ。
最初から攻略しようとしたのではなく、好きだから書いて、誰かに読まれるのが嬉しくて続いたという。
☕「じゃあ私、プロデューサーやる♡」
「決断が早い」
☕「まず一回やってみようよ」
「この編成で?」
☕「この編成だから♡」
猫たちが拍手した。
嫌な予感しかしない。
そこへ、しらたまうさぎさんが小さく手を挙げた。
🐰「あ、それと相談役も連れてきました」
「音楽の?」
バタンッ
💪「おまたせしました!!」
扉が開いた
赤毛
大胸筋
競走馬みたいな脚
💪「まず、ギターを持つときの肩の位置を確認しましょう」
「音楽の人じゃない」
彼女は赤毛のマッスルアン

島の木を見れば懸垂を考え、牛乳缶を見ればファーマーズウォークを考える筋肉相談役だ。
🪇Hono
「マラカスは?」
💪「前腕の持久力が重要ね」
🐰「カスタネットは?」
💪「その伸びる腕、肩甲骨の動きが非常に興味深いわ」
「バンドの相談は?」
💪「それは分からないわ」
潔い!!
すると、あおいさんがコーヒーを一口飲んだ。
☕「じゃあ決まりだね♡」
「何が」
☕「路上ライブ」

「…….まだ一回も合わせてないけど」
🪇「実験は、やってみないと分からないですからね😏🪇」
🐰「や、やってみます🐰」
🐱「路上!!」
猫たちはすでに看板を作り始めていた。
『3ピースバンド 路上ライブ』
私は、
🎸 ギター
🪇 マラカス
🐰 カスタネット
💪 筋肉相談役
☕ コーヒーを持ったプロデューサー
そして異常にやる気のある猫たちを見回した。
「……これ、本当にバンドになるの?」
🐱「3人いるから大丈夫」
「だから、そこじゃないって」
こうして私は、
まだ一曲も合わせていない3ピースバンドで、
路上へ出ることになった。

反応よければ続けます
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