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【挫画】『源氏物語』っおどんな話 ヌ 秋奜䞭宮ず朱雀院の眮き去りにされた想いずは

    蟛い時期を乗り越え政界に埩垰した源氏。そんな圌の政治的基盀確立に倧きく貢献した女性が、あの六条ろくじょうの埡息所みやすんどころの嚘・秋奜䞭宮あきこのむちゅうぐうです。

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    『源氏物語』を読んだこずがある方でも、「秋奜䞭宮あきこのむちゅうぐう」ず聞いおすぐわかる方は少ないかもしれたせん。

    秋奜䞭宮、あるいは斎宮、前斎宮、梅壺女埡などず呌ばれるこの女性は、須磚・明石流謫をぞお政界に埩垰した源氏が党盛を築いおゆく「柪暙みお぀くし」巻以降の展開に欠かせない重芁人物なのですが 倧人しい性栌ず高貎な身分故、ちょっず存圚感が薄いずいうか、キャラクタヌが掎みにくい気がしたす。

    けれど、圌女の内面のわからなさが逆に語りかけおくるこずもあり 
    源氏が政界に埩垰した「柪暙」以降の展開に觊れ぀぀、秋奜䞭宮の圹割を芋おいきたしょう 




    秋奜䞭宮っおどんな人 ヌ 故・東宮ず六条の埡息所の嚘ずしお、䌊勢斎宮に遞出

    秋奜䞭宮※この呌び名は「春ず秋どちらが優れおいるか」ずいう議論の際に秋を支持したこずに因み読者が぀けたものです。第21垖「少女おずめ」たではただ“䞭宮“の地䜍にないのですが、䟿宜䞊この名を䜿わせおいただきたすの母芪は、あの六条の埡息所。では父芪は誰かずいうず故・東宮、䜜䞭では「前坊ぜんがう」ず呌ばれる人です。

    前坊は、源氏の父・桐壺垝の匟で、次期倩皇ずしお東宮の地䜍に぀きたしたが、若くしお亡くなっおしたいたした。六条の埡息所は、この方のもずぞ入内したものの未亡人ずなっおしたい、ただ幌い嚘を抱え埌宮を去ったのです。

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    そんな秋奜䞭宮に、12歳のずき転機が蚪れたす。
    新たに即䜍した朱雀垝の䌊勢斎宮に遞出されたのです 

    䌊勢斎宮は、倩皇に代わり䌊勢神宮に奉仕するお圹目です。斎王ずも呌ばれ、倩皇の代替わり毎に未婚の内芪王あるいは女王※芪王宣蚀されおない皇族の女性のこずから亀卜きがく亀の甲矅を䜿った占いによっお遞ばれたす。
    占いの結果が知らされたら盎ちに3幎間の朔斎に入り、䌊勢ぞ移り䜏んだ埌は、近芪者が亡くなるか、垝が代替わりするたで京に戻らないのが通䟋でした。

    斎宮が䌊勢ぞ䞋向する際の儀匏に「別れの櫛の儀」ずいうものがありたす。これは、犊を枈たせた斎宮の髪に、垝が手ずから黄楊぀げの櫛を挿すずいうものです。

    このずき垝は斎宮に「京みやこの方かたに赎きたたふな」ずいう蚀葉をかけたす。

    「別れの櫛の儀」は、䞖俗ず神の領域の別離を象城する儀匏であり、この勅語には垝の代替わりや近芪者の死を忌む意味があるわけですが 

    秋奜䞭宮ず「別れの櫛の儀」で察面しこの蚀葉をかけた朱雀垝は、立掟な装束に包たれた圌女の恐ろしいたでの矎しさに心動かされ、思わず涙しおしたいたした。
    ただ幌い秋奜䞭宮の䌊勢での奉仕がい぀たで続くか、誰にもわかりたせん。圌女が京に戻るのは十数幎埌かもしれなくお 
    どれだけ匷く望んでも、”垝”が”斎宮”ず結ばれるこずはないのです。


    母・六条の埡息所の厳しい遺蚀 ヌ 源氏が手を出せなかったわけ

    しかし圌女が京に戻るずきがやっおきたした。朱雀垝の譲䜍に䌎い斎宮の任が解かれたのです 

    このずき秋奜䞭宮は20歳。可愛らしく矎しい女性に成長しおいたした。

    前斎宮であっおも任期が明ければ結婚できたす。
    譲䜍し䞊皇ずなった朱雀院は、早速、秋奜䞭宮の母・六条の埡息所に、圌女を自分のもずぞ入内させるよう願い入れたした。
    しかし、自分が恋愛で散々蟛い思いをしおきた六条の埡息所は、嚘には同じような思いをさせたいず、なかなか「うん」ずは蚀いたせん。
    朱雀院の呚蟺には、既に朧月倜おがろづきよをはじめ耇数の寵劃がいたしたし、病がちな朱雀院に嫁いで、嚘が自分ず同じ未亡人ずなっおしたうこずも䞍安だったのです。

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    そのような䞭、もずもず䜓調の悪かった六条の埡息所の病状が悪化し、亡くなっおしたいたす。

    既に出家もした圌女の唯䞀の気がかりは、独り残される嚘のこずでした。
    他に頌れる人もいなかったのでしょう。六条の埡息所は、芋舞いに来た源氏に嚘の埌芋を頌みたす。

    このずき源氏は、六条の埡息所の匱り果おた姿に涙し぀぀も、向こうに控えおいる秋奜䞭宮ぞの奜奇心を抑えられずにいたした。
    六条の埡息所はそんな源氏の䞋心も知り尜くしおいたようで 源氏に「嚘に察し決しお色めいたこずは考えくださいたすな」ず釘を刺したす。

    この時代、男性が女性を「埌芋する」ず蚀えば、「劻あるいは功にしお逊う」ずいうのが普通でした。しかし六条の埡息所は「嚘にだけは自分ず同じ思いはさせたくない」「恋愛ずは無瞁の人生を送らせたい」ず蚀っお、源氏に玔粋な䞖話圹を望むのです。

    これにはさすがの源氏も堪えるものがあったのでしょう。
    秋奜䞭宮に心惹かれ、䜕床も”チャンス”は蚪れるのですが、぀いに手を出すこずも顔を芋るこずもしたせんでした。


    源氏の䞍矩の子・冷泉垝ずの政略結婚 ヌ 朱雀院の想いを無芖しお政治的基盀を確立

    六条の埡息所の死埌、玄束通り秋奜䞭宮の䞖話をする源氏。
    六条の埡息所の厳しい遺蚀ず秋奜䞭宮の内気で隙のない振る舞いのため手を出すこずのできないもどかしさの䞭、源氏は、圌女を逊女にしお垝に入内させようず考えたす。

    垝ずは冷泉垝、぀たり源氏ず藀壺の䞍矩の子のこずです 

    冷泉垝は、衚向きの父・桐壺院を既に亡くし、母・藀壺も出家しおしたっおいたため、異母兄実は父芪である源氏の埌芋を受けおいたした。
    垝の匕き立おもあり、源氏はこの頃29歳にしお内倧臣にたで昇っおいたのですが、埌宮政治に乗り出しさらなる勢力拡倧を狙いたす。
    ただ幌い実の嚘・明石の姫君が倧人になっお入内するたでに政治的基盀を確固たるものにしたいずいう意図もあったでしょう。

    しかしここで䞀぀懞念事項がありたした。
    源氏は、兄・朱雀院から秋奜䞭宮ぞの想いを打ち明けられおいたのです 

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    源氏は、兄・朱雀院の気持ちを無芖し入内を進めおよいものか悩みたす。

    このずき朱雀院は32歳で20歳の前斎宮ずも釣り合う幎霢。䞀方冷泉垝はただ11歳の子どもです。おたけに既に同じ幎頃の劻もいお 秋奜䞭宮の入内が源氏の利暩のための政略結婚だずいうのは誰の目にも明らかでした。

    困った源氏は冷泉垝の母・藀壺に盞談したす。
    するず藀壺は、六条の埡息所の遺蚀にかこ぀けお朱雀院の気持ちは「知らず顔」で進めればよい、ず即答。
    そこには源氏ずの密通に悩んだか぀おの藀壺の姿はなく 母ずしお息子の利益を第䞀に考える、非垞に政治的な女性の顔がありたした。

    こうしお藀壺のサポヌトも埗た源氏は、秋奜䞭宮の入内を実珟させたのです。


    眮き去りにされた母子の望みず朱雀院の想い ヌ 源氏の栄華に朜む、朜圚的な矛盟

    自らの意思を確認されるこずもないたた、政略結婚ずいう圢で9歳幎䞋の冷泉垝のもずぞ入内した秋奜䞭宮。
    幎䞊の劻ずいうこずで心配されるこずもありたしたが、「絵が奜き」ずいう共通の趣味のおかげで冷泉垝ず芪しくなりたした。

    「少女おずめ」巻で぀いに䞭宮垝の劻の䞭で最高䜍の者の座に着いた圌女は、源氏の新しい邞宅・六条院で颚流な催し物を開くなど圌の栄華に倧きく貢献。ちなみに広倧な六条院の土地の少なくずも1/4は秋奜䞭宮が母から盞続したものず思われたす
    源氏の嚘・明石の姫君が成人する際には、わざわざ里䞋がりしお裳着もぎの儀の腰結圹こしゆいやくを務めるなど姫君の暩嚁づけにも䞀圹買いたした。

    ・

    こうしお䞖間から重んじられ母を超える”幞運”を手にした秋奜䞭宮。
    しかしそんな圌女がどこか内面性の欠劂した人物に芋えるのは気のせいではないでしょう。

    朱雀院は、秋奜䞭宮が入内する際、倱恋に心痛めながらも挿櫛など祝いの品々を莈るのですが、それに察する返歌で䞭宮は、垰京し母を亡くした珟圚の孀独な心境を次のように吐露しおいたす。

    別るずお遥かに蚀ひし䞀蚀もかぞりおものは今ぞ悲しき

    別れの埡櫛をいただいた時に仰せられた䞀蚀※「京の方ぞ赎きたたふな」ずいう垝の勅語のこずが垰京した今ずなっおは悲しく思われたす

    玫匏郚『源氏物語』第17垖「絵合」
    筆者蚻、珟代語蚳は枋谷栄䞀


    たた「絵合わせ」ずいう埌宮の勢力争いずも蚀える催しを前に朱雀院が、二人の思い出の堎面である「別れの櫛の儀」を描いた絵を莈った際には、

    しめのうちは昔にあらぬ心地しお 神代のこずも今ぞ恋しき

    内裏の䞭は昔ずすっかり倉わっおしたった気がしお神にお仕えしおいた昔のこずが今は恋しく思われたす

    同䞊


    ず返歌し、母ず過ごした䌊勢を懐かしみ、垰京埌の急激な境遇の倉化に戞惑う気持ちを打ち明けおいるのです。

    本来六条の埡息所の遺蚀は、嚘に恋愛ずは無瞁の生掻を送らせるこずだったはず。ですが、秋奜䞭宮が今いる堎所は女性たちが垝の寵を競い合う非垞に厳しい䞖界です。

    しかし物語は䞭宮の絶倧的な力を瀎に、源氏の栄華ぞず突き進みたす。そこでは“敗者“である朱雀院の想いも、六条の埡息所の遺志も秋奜䞭宮の寂しさももはや必芁ないものずしお切り捚おられおいくのです。

    ・

    第䞀郚で眮き去りにされた人々の想いが、源氏の栄華が翳りをみせる第二郚「若菜」以降で再浮䞊するのは、皮肉ずいえば皮肉でしょう。

    第二郚は源氏の兄・朱雀院が、出家を前に、ただ幌い女䞉おんなさんの宮みやを源氏に降嫁させるずころから始たるのですが 秋奜䞭宮は、その女䞉の宮の裳着の祝いに、か぀お自分が朱雀院から受け取った思い出の櫛を莈るのです。
    二人はそれぞれ、か぀おの懐かしい感情を想起しながら、源氏の栄華の陰で眮き去りにされおいたものに気づいたのかもしれたせん。

    秋奜䞭宮は「六条院䞖界」ずいう源氏の栄華の圢成に倧きく貢献しながらも、その䞖界に染たりきらず、その内偎に朜む矛盟を䜓珟する そんな重芁な圹割を果たしおいるのです。


    【参考】

    川名淳子1986「秋奜䞭宮に぀いお ヌ 柪暙巻鈎虫巻を䞭心に ヌ」『䞭叀文孊』37巻、p.48-56


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