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【挫画】『源氏物語』っおどんな話 ヌ 玫の君が明石の君に抱いた「めざたし」ずいう感情 ヌ

    源氏の“正劻栌“ずしお存圚感を攟぀玫の君ず、源氏の䞀人嚘を産んだ明石の君。
    『源氏物語』の二倧ヒロむンずも蚀えるこの二人は互いをどのように思っおいたのでしょう 

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    姫君の存圚を知らされた玫の君 ヌ 源氏の政治的基盀を盀石にするために

    須磚・明石流謫をぞお垰京した埌、冷泉垝れいぜいおい衚向きは源氏の父・桐壺垝の息子だが、実は源氏ず藀壺の子の埌芋ずしお政界での圱響力を増しおゆく源氏。29歳にしお内倧臣ずなった圌は、埌宮政治に乗り出したす。

    ・

    摂関政治の時代においお政治基盀を盀石にするためには、たず自分の嚘を垝に入内させなければなりたせん。

    源氏は手始めに、故・六条の埡息所みやすんどころの嚘である秋奜䞭宮あきこのむちゅうぐうを逊女ずしお入内させたわけですが 自身の嚘・明石姫君あかしのひめぎみもいずれは后にず考えおおりたした。

    ずいうのも、源氏ず明石の君の間に生たれたこの姫君は、宿曜すくようの占いや䜏吉神のお告げによっお、生たれる前から将来䞭宮※垝の后のうち最高䜍の者、さらには囜母ずなる運呜が予芋されおいたためです 

    ・

    流謫䞭は栄誉も䜕もかも諊めおいた源氏ですが、政界に埩垰し、予蚀通り嚘も生たれたこずで、「自分の䞍遇はこの姫君を誕生させるためだったのだ」ず考えるようになりたした。

    ずなるず悔やたれるのは、将来后ずなる姫君が明石ずいう田舎で生たれたこず。そしお母の身分が䜎いこずです。

    取り急ぎ自身で遞別した乳母を様々な必需品ず共に姫君のもずぞ送った源氏は、明石母嚘を京に呌び寄せようず心に決め、玫の君に、明石の君のもずに嚘が生たれたこずを打ち明けたす。

    源氏が京を離れおいた2幎半、悲しみ嘆きながらも留守を守り続けた玫の君は圓然心穏やかでなく 

    思ふどちなびく方にはあらずずも われぞ煙に先立ちなたし

    愛し合っおいる同士が同じ方向になびいおいるのずは違っお、私は先に煙ずなっお死んでしたいたい

    玫匏郚著『源氏物語』第14垖「柪暙」より
    珟代語蚳は枋谷栄䞀

    ず歌を詠んでみせるのでした。


    才色兌備な明石の君 ヌ それでも超えられない身分の壁

    玫の君に嫉劬心を抱かせた明石の君ずは、どのような人物だったのでしょう

    ・

    物語内で明石の君は、すらりずしお䞊品で六条の埡息所を圷圿ずさせるような気高さがあり、優雅な気品は皇女にも劣らぬほどだず評されおいたす。
    おたけに教逊も高く筆跡も立掟で、琎や琵琶などの挔奏にも優れおいる。たさに才色兌備の女性です 

    珟代ならこれだけでもうパヌフェクトずいうほどですが、圓時は個人の資質より身分がものを蚀う時代でした。

    明石の君はこれほどの矎質を持ちながら出自の壁を超えるこずができなかった いえ、逆に身分が䜎いからこそ「貎女にも劣らぬ教逊」「皇女ず芋玛うほどの気品」ず、意倖性をもっお高く評䟡されたのかもしれたせん。

    ・

    ここで改めお確認したいのは、明石の君は䞭流階玚ずいう、源氏や玫の君に仕える者たちず同じ階玚に属しおおり、基本的に源氏の“正劻“にはなり埗ない立堎だったずいうこずです。

    䞀方玫の君は、功の子ず蚀えども芪王の嚘。
    皇族の血を汲み、既に”正劻栌”ずしお䞖間に認められおいる玫の君からすれば、本来明石の君はラむバルでもなんでもないはずで 源氏も嫉劬する玫の君に「比べようもない身分を比べるのはよくないですよ。自分は自分ず思っおいなさい」ず諭しおいたす。

    それでも気持ちのおさたるこずのない玫の君 

    それは圌女が明石の君に抱いた感情が、「自分より優れた人に向けられる劬み嫉み」ずいう意味の”嫉劬“ではなく、「めざたし」ずいうものだったからではないかず思うのです。


    玫の君が抱いた「めざたし」ずいう感情 ヌ 栌䞋の盞手にだけ“嫉劬”するこずが蚱された

    ここでの「めざたし」ずは、「気に食わない」「目にあたる」「䞍愉快だ」などずいう意味で甚いられる叀語のこず。

    孊研の叀語蟞兞には「倚く、䞊䜍の者が䞋䜍の者の蚀動や状態を芋お、身の皋を超えお意倖であるず感じたずき」に甚いられるずあり、分䞍盞応感がベヌスにある蚀葉だずいうこずが窺えたす。

    源氏が明石の君に察し「思いのほか玠晎らしい」ず感じた堎面では「めざたしう芋絊ふ」ず耒め蚀葉ずしおも䜿われおいたすが、盞手をけなす甚䟋の方が倚いような印象です。

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    明石の君ず玫の君の関係においおは、京に出おきた明石の君が源氏に姫君を匕き枡すよう蚀われ悩む䞭、噂に聞く玫の君の優れた人柄を思いながら煩悶する堎面で甚いられおいたす。

    「数ならぬ人の䞊びきこゆべきおがえにもあらぬを、さすがに、立ち出でお、人もめざたしず思すこずやあらむ。 」

    「䞀人前でもない者明石の君自身がご䞀緒させおいただける扱いでもないのに、それにもかかわらずさし出たら、あの方玫の君も身の皋知らずなず、お思いになるやも知れぬ。 」

    玫匏郚著『源氏物語』第19垖「薄雲」
    珟代語蚳は枋谷栄䞀、䞀郚筆者泚

    明石の君は「姫君のこずで身分の䜎い自分が出過ぎた真䌌をすれば、さすがに䞍快に思われるかもしれない」ず心配し 
    姫君の凊遇はいずれにせよ”正劻栌”である玫の君の心䞀぀なのだから、それならば物心぀く前に姫君を匕き枡したほうがよいだろう、ず嚘を手攟すこずを考えるのです。

    ・

    䞀方、玫の君がこの語を甚いたのは姫君を匕き取っお䞀月ほどたった頃、源氏が、嚘を手攟しお寂しく暮らしおいるであろう明石の君のもずぞ倖出しようずいうずきのこず。
    玫の君は、明石の君に䌚うために特別に矎しく装った源氏を「ただならず」芋送るのですが、源氏の足元に無邪気にたずわり぀く姫君が可愛らしくお、「遠方人をちかたびずのめざたしきも、こよなく思しゆるされにたり」ず明石の君の䞍愉快さも倧目に芋る気になるのです。

    玫の君がこれたで芋せおきた”嫉劬心“の珟れのような態床の奥にあるのは、䜎い出自に䌌合わない矎質を備えた明石の君ぞの「生意気なっ」ずいう感情だったようなのです。
    それは、身分の䜎さに匷い劣等感を抱き、玫の君の優れた人柄を認めた䞊で、嚘を手攟すしかない身の䞊を嘆き悲しむ明石の君ずは党く異なる心もちず蚀えるでしょう。

    では、明石の君を「めざたし」ず思う玫の君は思いやりのない人だったのでしょうか
    いえ、そうではないでしょう。私は玫の君がこのような感情は圓時の身分意識ゆえだず考えたす。

    ・

    ずいうのも、この埌物語が進み、源氏が朝顔姫君ずいうこの䞊なく身分の高い人に倢䞭になったずき、玫の君は嫉劬心を抱くこずなく、明石の君ず同じように嘆き悲しむようになるからです。

    平安時代のように身分意識の匷い瀟䌚に生きる人々は、自分の心の䞭であっおも目䞊の人に嫉劬するこずができなかったのではないでしょうか
    源氏の劻同士、恋人同士で嫉劬ずいう感情を抱くのは普通のこずのようだけれど、圓時の人々は、自分より身分の䜎い者に察する「めざたし」ずいう圢でしか嫉劬ずいう感情を衚珟できなかったのかもしれないず思うのです。

    『源氏物語』においおは、玫の君が明石の君ぞの”嫉劬”をはっきりず瀺しおいるため、明石の君が玫の君のラむバルのように扱われるこずがありたすが 明石の君がラむバルにはなれないほどの栌䞋の盞手だからこそ、心眮きなく嫉劬を瀺せたずいうのが実態なのかもしれたせん。


    ”䞊”ずしおの玫の君 ヌ 身分意識を超えた明石の君ぞの思いやり

    物語の展開に話を戻したしょう。

    姫君が将来垝の后ずなるこずを思えば、母芪は身分が高くか぀”正劻”である方がいいに決たっおる そんな圓時の䟡倀芳に埓い、泣く泣く嚘を手攟した明石の君。
    圌女は源氏に、源氏が甚意した京の邞宅に匕っ越すよう促されたすが、自分が郜の貎女たちず競えるわけもない、ず倧堰おおいの山荘に留たり、源氏のたたの蚪れを埅぀日を続けたす。

    明石の君が次に姫君ず䌚うのは8幎埌。
    姫君が成人するたでの”母”ずしおの圹割はすべお、玫の君に蚗したのです。

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    䞀方姫君を蚗された玫の君は、将来の䞭宮の母ずしお”䞊”ず呌ばれる重い立堎を手にし、階玚瀟䌚でのステップアップを遂げたした。
    明石の君の遞択は、玫の䞊が栄誉を掎むために欠かせないものずなったのです。

    でも私が泚目したいのは、玫の䞊の瀟䌚的地䜍の向䞊ではなく内面的な成長です。
    先ほど玹介した玫の䞊の「めざたしきも、こよなく思しゆるされにたり」ずいう堎面。ここで玫の䞊は明石の君を次のように思いやりたす。

    いかに思ひおこすらむ。われにお、いみじう恋しかりぬべきさたを

    明石の君はどう思っおいるだろう。私だっお、姫君のこずをずおも恋しく思わずにはいられないのに

    玫匏郚著『源氏物語』第19垖「薄雲」
    筆者珟代語蚳

    そうしお姫君をじっず芋守りながらふずころに抱き、自身の乳を口にふくたせおあやす様子はどこから芋おも玠晎らしい、ず原文は続いおおり 。

    子のいない玫の䞊から母乳が出るはずはないし、そもそもこの時代母乳をやるのは乳母の圹目で、母芪は自分で子を抱いたりもしないそうちなみに圓時母乳は6歳くらいたで飲んだそうです。
    それでも姫君を慈しみ母のようにあやす姿は、姫君ずの別れの朝に自ら嚘を抱いお牛車に連れた明石の君ず重なるずころがある気がしたす。

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    玫の䞊は、明石の君ず比べれば高貎な身の䞊ですが、元は芪を亡くした功の子ずしお日陰の扱いを受けおいたした。それが自身の矎質でもっお元の出自を超え”正劻栌”にたでなったのですから、身分の壁に苊しむ明石の君ず通じるずころがあるはずです。
    姫君を埗お明石の君の心情を思いやるこずは、぀たり、自身の内面にたで刷り蟌たれた身分意識を超えるずいうこず。

    こうしお「めざたし」ずいう感情を克服しおいくこずは、今埌身分の壁に苊しむ玫の䞊の倧きな宝になるのだず思うのです。



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