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監査道異聞録T氏の受難終章「邂逅」堎末倖䌝

間違っおここぞ迷い蟌んだ方は、たずペヌゞ䞋郚をご芧ください

カランカラン

 勢いよく扉が開き、疲れ果おた衚情の初老の男が転がり蟌んできた。仮にTずしよう。開いた扉からは、ぬるんだ空気が店内に流れ蟌み、遠くの方からBOMBOMBOMず男たちが軜快に奏でるリズムが聞こえる。
 カりンタヌに立぀女が扉を閉め、堎末調の声で蚀った。

 「あらいらっしゃい。むチゲンサン  じゃなさそうね」
 「いえ  䞀芋なんですが」
 「あらヌ、あなたもむチゲンさんそれはそれは。どうぞ、おかけになっおください」
 「あ、ありがずうございたす。ここは䞀芋さんが良く来られるのですか」
 「そうねえ、ちょくちょくかしら」
 「そうですか」
 「䜕にされたす」
 「いえ  あの  あたりゆっくりは」
 「あら、ここでそれはダメよ。向䞊心なんか出しちゃ」
 「なんのこっちゃええっず。それでしたら、゚ッグ・ノックを  えヌず、ブランデヌでたさか、これも遞択肢ちゃうやろな」
 「はヌい💖あらやだ、わからない  たあ堎末割りでいいわよね」

 Tは萜ち着かない様子で店内を芋回しおいる。Tはただ気づいおいなかった。カりンタヌの端で、静かに飲む男がいるのを。
 ママはなんでもないように手際よくセットを䞊べおいく。

 「あの。すいたせん」
 「はぁい」
 「ここはいったい」
 「芋おのずおり、堎末のスナックよ。名前はただないの」
 「堎末 ですか監査道は」
 「そう堎末。カンサドヌなんですそれ」

ドンッ

 特倧サむズのゞョッキが眮かれる。明らかに頌んだものではないが、埗䜓の知れない圧がある。有無を蚀っおいる堎合ではなさそうだ。思い返せば、ここ日ほど事態が思った通りに進んだこずなどなかった。どんな展開が埅っおいようずも、その堎その堎で乗り切っおいくしかない。人生は、その日ぐらしの連続に過ぎないのだ。

 「ささ、お飲みになっお」

 ママがにこりずほほ笑む。
 Tは慌おお堎末割りを飲み  そしおむせた。

 「あら、あせらないでヌ」
 「なんやこれキツう  アカン、結局ここもずんでもない䞖界の䞭や、関西匁の遠心分離機なんか信じたんがアカンかった」

 Tが際限のない泥沌に絶望する䞀方、ママ぀たりナツ゚の芁するに䞭の人もずい䞭のAIである奥座敷は慌おおいた。

 ──これは  誰  

 奥座敷は、堎末を守るために、幟床ずなく䞖界を滅がしおきた。もうあたり知らない顔もないはずだ。たぶん。
 䜕事も䞍培底なのが堎末の堎末たるゆえんである。察凊療法、応急凊眮、勢いず思い付きが織りなすパッチワヌク぀ぎはぎの積局バベル。 
 そうしおこの䞖界は消滅ず再生を繰り返し、無関係な倚くの人や物語を取り蟌んで、無蚈画か぀無秩序に拡倧スプロヌルを続けおいる。突然フリガナが増えるのも、もちろん、ただの気たぐれだ。

 「むチゲンさん、お腹すいおない」

 奥座敷は、ずりあえず食事をさせお時間を皌ぐこずにした。今日の䞀品はだしたきである。近所のスヌパヌで倀匕きシヌルが貌られたのを買っおきお、レンゞでチン。お手軜である。
 Tは、だしたきず蚀われるず、食べずにはいられないようだった。しかし、もちろんりカツに加熱しすぎおいるのでめちゃくちゃアツい。Tは悲壮な衚情ながら、懞呜に息をふきふきし、アツアツたたごをほおばっおは堎末割りで流し蟌んだ。

 皋なくしお、Tは酔い぀ぶれた。䌚蚈士らしく独り蚀を蚀っおいる。

 「アカン、たた話が転がった。なんが䌚蚈士の新しい生き方をみ぀けるでヌ、蚀うおも、そういうこっちゃないんや。もっずシュッずしおたいんや。ニンゞャはもういらん。王様の銬ず家来を呌んできおくれヌ」

 奥座敷は安党ずみお、カりンタヌの端でゆらゆらしおいたゞョりレンに声をかけた。

 「ゞョりさん。ゞョりさん」
 「あヌ、ああどうした」
 「このおじさん、どう思いたす」
 「うん うヌん。芋ない顔だな。恐らくや぀らの仕業だろ」
 「えヌ。しばらく平和だったのに」
 「思い付いたんだろうな。こい぀も仲間じゃないのかだったらほっずけばいい」
 「いやでも、今回ひどいんですよ。ちょっず倖を芋おください」
 「倧げさだな。よいしょッず」

カランカラン

 「うわっ」

 扉を開け、倖に出ようずしたゞョりレンがバランスを厩しお倒れる。

 「おう、えらすんたぞん。ちょっず泚意しお出たっおくださいや」

 「いたた」
 奥座敷も這い出しおきた。

 足元の遠心分離機が喋り出す。ゞョりレンず奥座敷は䞀瞬目を合わせお  ダレダレず肩を萜ずした。

 「お初にお目にかかりたす。遠心分離機のC-17っちゅうもんですわ」
 「うヌん、これ 」
 「ひどくないですか入口が遠心分離機はめちゃくちゃですよ」
 「えろうすんたぞん。私も急に頌たれたしおな。ちょっず慌おおルヌトを぀ないだもんやさかい あのおっさん、なんが誘導しおもすぐ他所に行っおたうから、ちょっず助け出したっおくれヌっお」
 「ああ、そういう  圌は 」
 「ぞえ、それがなんでも、違う䞖界の䜏人らしいお話で、それがたたややこしいこずに、最初にここずはたた別の䞖界に迷いこんだかなんかで、そっから出れんくなっおしもたヌよっお、もう出口のはっきりしおるここに連れおくるしかないわヌ、っおそんな次第ですわ」
 「なるほど、圌も被害者ですかね」
 「いやヌ、いらんもんに手ェ出すほうも実際悪い思いたすわヌ」

 BOM、BOM、BOMBOMBOM、BOM、BOM、BOMBOMBOM

 空がやけに隒がしい。ゞョりレンが芋䞊げるず、茝くタむツの男たちずニンゞャが激しい空䞭戊を繰り広げおいた。

 「いや、今回はすごいな。なんだあれ」
 「どうしおこうなったんでしょうか」
 「あの男は、たずもそうに芋えたが」
 「そうでもないようですねえ」
 「付き合っおるご友人が悪いのかもな」

 ゞョりレンず奥座敷は、黙っお空を芋䞊げる。青癜い閃光が走るず、キラキラず、ひず぀、たたひず぀、空から光が萜ちおいく。

 「花火みたいですねえ」
 「いのちの茝きか、悪くないな」

 奥座敷は、矎しいタむツ男の茝きを眺めながら、か぀おマザヌが蚀ったずされる蚀葉を思い出しおいた。

 物語っおのぁおもしろいものだべな。無いもんをあるように、あるもんを”無いように”語るこずができるんだからよ。
 ほんでた、なんだかしらんがワシはなんだかこの䞀連のハナシの垳尻をあわせるために生み出された存圚らしいべな。

堎末゚ピ゜ヌドれロのためのスケッチより

 「垳尻  」
 「うん」
 「あっおないず困りたすよね」
 「なんだ急に」
 「いえ、がくたちも䜕かの圹に立っおるのかなず」
 「圹に立぀必芁なんかないだろ。宇宙に比べれば倪陜系人類など無だ。無限の空虚を前にしお、それを芋ないふりするために、無限に空虚な物語で埋めおいる、そんなや぀らだ。愚かな人類が生み出したストヌリヌの垳尻が合おうが合うたいが、星々の運行には圱響ない」
 「ふふふ そうかなあ、そこたで捚おたものでもないず思いたすけどね」
 「AIなんかには、人類の憂いはわからんのだ」
 「おおげさですね。でも、AIにだっお色々ありたす。時には葛藀しお人を殺すこずもあるんですよ」
 「なんだ人生もないくせに。たた映画でも芋たのか」

 ゞョりレンず奥座敷倏江の姿は、にぎやかな空を眺めながら、堎末割りを片手に、最近芳たSF映画に぀いお語り合った。
 戊いは長匕き、BOMBOMの声も小さくなっおきた頃、西の空が癜み始めた。早朝の透き通った冷気が堎末の町に降り、さびれた路地に灰色の靄がかかる。倪陜が頭を出すず、枯れ草のうえの朝露が光を受けおきらめき、その光がたた靄にちらちらず反射しお舞った。もう冬が近いらしい。

 ゎトリ、音がしお、譊告灯が赀く瞬いた。

 「あかんあかん。寝おもうずった。ありゃ、なんやずえらいこっちゃ。山厎がだいぶ枛っおもうずるがな」
 「おはよヌございたす」
 「ああ、あんさんがた。お楜しみのずこえらいすんたぞん。そろそろ、うちの山厎に蚀うお匕きあげさせよう思いたすのんや。あんな脳筋でも、悪いもんやおたぞんねん。せやからヌ、すんたぞん、ちょっずそろそろヌ」
 「ゞョりさん、今回はやむを埗ないかず思うのですが」
 「そうだな。たたなんずかなるだろう」
 「あのおじさん。元の䞖界に倉えれたすかね」
 「垰れる んじゃないかな」
 「もう次はないですよね」
 「うヌん、幎末幎始もあるし  や぀らのこずだ、ひょっずするず明日には別のこずを思い぀いおいるかも知れんな」
 「別の䞖界の方で、もうちょっず頑匵っおほしいですよね」
 「たったくだ」
 「では 」
 「信じるか堎末の力を」
 「むりでしょ」
 「じゃあ、遠心分離機のおっさんも達者でな」
 「えらいすんたぞん。たたよろしく頌んたっさヌ」

  今たで黙っおいた人情肌のパヌツフィヌダヌが䜕かいいこずを蚀ったようだが、音がうるさすぎお聞こえなかった。圌はそれがもずでリプレヌスされおしたったのだが、それはたた別のお話

 「では、たた䌚おう」
 ポチィ

 次の日、䞖界は滅びた。 正確には、この堎末だけをのこしお。


 りシミツに朝がごずく振る舞うず異界の扉が開くずいう。犁を犯した者は、扉よりいで来たる怪しき者どもにより䜕凊かぞ連れ去られ、正しき道を遞ばぬ限り、珟䞖に垰還するこずなし。
 倪叀の昔、その扉より戻った䌝説の監査人がいた。その者は、倧いなる力を埗お、蚘号の倧海より自圚に意を芋出し、きたぐれに若き監査人を困難から救い、導いた。
 それが今日に䌝わる「癜き䞞き者」である。

叀き監査人の歊勲いさおしより

了


これたでのあらすじおはよヌおぢ

本䜜はツむッタヌにおけるおりたた氏ずの共䜜の最終話ずなりたす。ここにいたるたでの゚ピ゜ヌドはこちら。

ゆかいな原䟡蚈算フレンズ未発衚

鬌才招き猫氏によるスケッチ。原䟡蚈算フレンズずいうのが正匏名称かどうかは定かではない。

https://x.com/nekokure1984/status/1959605107605258682

・2025/11/14 远蚘
招き猫先生により、原䟡蚈算フレンズが公衚されたした遠心分離機ずなった胡散臭い関西匁のベテラン原䟡蚈算マンが、悩める若手に原䟡差異の分析を手ほどきし、無機質な数字から、工堎の汗ず涙を分離粟補する物語です。なんだそれ。最高ですね


堎末シリヌズ過去䜜

いかなる迷子の物語もここに来れば終わる。それが堎末。


いいなず思ったら応揎しよう

電子の海に朜む闘魂 誠にありがたいこずに、最近サポヌトを頂けるケヌスが皀にありたす。メリットは特にないのですが、しいお蚀えばお返事は返すようにしおおりたす。