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掘り続けた日々のあとで 第1回 — 中古レコードを集めだした頃|97年から約30年、中古レコード購入について思うこと

先日、1997年に出会ったジャズ・コンピレーションCDの事を書きました。

あのCDをきっかけに、中古レコード探求の深みへとフルスロットルで踏み込んでいった——そんな実感があります。

今回から3回にわたり、30年近く続いたレコード収集がひと段落した今、少し立ち止まって、中古レコード収集の道のりを振り返ってみようと思います。

まず第1回では、レコードを“探していた時代”の空気から振り返ってみます。


◆ 中古レコード購入について思うこと

右も左もわからない時期から始まって、
何でもかんでも揃えたい時期、
内容にこだわる時期、
オリジナルにこだわる時期、
コンディションへのこだわり。
そして音楽以外のレコードの付加価値にまで目が向く時期へ。

伊勢の古書店での出来事のように、ラッキーなことも多かったレコード収集期でしたが、40代に入る頃、“古いレコードを追いかける旅”はいったん深呼吸のような時期に入りました。

2015年ごろから緩やかな断捨離を行い、いま手元に残っているのは、流行や市場人気とは縁遠い、心から繰り返し聴きたいと思えたものだけです。

◆ 中古レコードを集めだした当初

始まりは、97年。

バイト先で知った、ジャズのコンピCDをきっかけに古い音楽に興味がわき、レコード店で「ほかにこういうのはありませんか?」と尋ねながら、足を使って探す日々が始まりました。

成功もあれば失敗もあり、手探りの連続。
毎週レコード店に通う日々は、12インチを追いかけていた頃と変わりません。

ただ、通う先が中古レコード店になっただけでした。
街の中古店や、輸入中古専門店。
当時は神戸や大阪には中古レコード店がたくさんありました。

こうして街の店を巡る体験が中心だった時代も、やがてインターネットの普及で大きく変わることになります。


◆ インターネットがもたらした変化

レコード収集が加速した理由を振り返ると、やはりインターネットの存在は大きかったと思います。

ただ、インターネット以前と以後では、レコード探しの「行動」がまったく変わったようにも感じます。

―― 歩き回っていた頃

インターネット以前、レコード探しは「歩き回る」行為でした。
どの店に何があるか分からない。今日は一枚も買えないかもしれないし、思いがけない一枚に出会えるかもしれない。
そんな不確かさを抱えつつ、街を歩き、箱を覗き、指を黒くしていく時間そのものが、レコード探しでした。

―― 世界とつながったあと

ところがインターネットの普及で、世界中のレコード店の“温度差”は少しずつ薄まりました。

個人サイト、ネットショップ、eBayやヤフオク、GEMM、CD and LP、そして2005年に始まったdiscogsマーケットプレイス。

僕も、黎明期のインターネットでは相当買いましたし、タイトルも内容もわからない霧の中を、それこそ時間を問わず世界とやり取りしていました。

やがて、eBayとGEMMの登場により欲しいタイトルをピンポイントで探せるようになり、「見つけたらコンディションと値段、そして勢い次第」という感覚が、当たり前になっていきました。そしてdiscogsの登場です。

買う側からの意見になりますが、ネットの進化と同時に、“ハズレ” や “偶然の出会い” は少しずつ減っていったように思います。

当時のネットレコード店でも、簡単な試聴ができる場合はありました。ただし今のように自由に聴けるわけではなく、レコード店側が選んだ曲の、さらにごく一部分を聴いて判断するしかありませんでした。
無駄な出費は抑えられますが、その分、試聴では拾いきれなかった、素晴らしい楽曲との出会いを逃していたとも思います。

ネットレコード店での購入は、足を棒にして名古屋・大阪・神戸を歩き回っていた頃とはまったく違いました。

―― 店頭の景色が変わった

そして、店頭の景色にも変化が現れました。スマホが広く使われるようになった2010年代前半ごろから、お客が何枚かのレコードを確保してはスマホを見比べる光景が目立つようになりました。

街の中古店のレジの向こうにあるPC画面には、オークファンやPOPSIKE、discogsなどの文字が見え隠れしていたものです。

昔は街ごと、店ごとに個性があり、同じ盤でも値付けも状態もばらばらでした。今ではどの街でも相場から大きく外れることは少なくなり、“遠征したからこそ出会える一枚” は減ってしまったように思います。

◆ 手で掘り当てた記憶

今も心に深く残っているのは、三重県の古書店や街のお店、旅先で偶然立ち寄った店で、自分の足で探し当てた一枚ばかりです。

僕の経験では、ネットで買ったレア盤は、なぜか思い出に残りにくいようです。
手に入れたことで納得してしまい、聴かずじまい。
そんなレコードは、ネットでの買い物を重ねるうちに少しずつ増えていったように思います。

“手で掘り当てた”という体験の重みは、やはり特別なのだと思います。

第2回に続きます

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