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💿今日はどんなCDを買ったの?|1997年:ジャズコンピレーションとの出会い編|テクノばかり聴いていた僕の転換点

1997年の秋、近所のスーパーマーケットだけだったアルバイトを、もうひとつ増やしました。


◆ 新しいアルバイト先でのBGMは自分で

地元の古書店――本、ゲームソフト、CD……いまのブックオフのような品揃えの、小さな個人経営店です。

そこでの店番は、とにかく自由。
好きなCDをBGMにしながらひとりで店番していればいい。
まるで天国のようなアルバイトでした。

数は少なかったですが、棚にあるすべてが店内BGMになるので、品出しをしながら
「次はどれをかけよう?」と選ぶのも毎回の楽しみでした。
自然と、テクノ以外の僕自身が持っていないCDを中心に手に取っていました。

そしてある日。店内BGM用に、ふと一枚のCDに手を伸ばしたのです。

◆ 『 London Jazz Classics 』の衝撃

GlücklichとLondon Jazz Classics 3

そう、2回目の投稿で触れたコンピレーションCDです。

なんとなく棚から手に取った
『London Jazz Classics 3』をBGMとして流した瞬間――

“ジャズ=古臭い” という僕のイメージが、根底からひっくり返りました。


◆ それまでのジャズに対するイメージ

当時は独学でテクノを作っていたのですが、同時に 大きな壁を感じてもいました。

「有名ミュージシャンの足跡をなぞっているだけでは、カッコいい曲は作れても革新的な音楽にはならない……」

そんな青臭い考えを、抱いていたのです。

「じゃあ他の音楽も聴いてみよう」と思って最初に手を出したのは、ダイエー内のCD売り場のワゴンにあった 980円のスイングジャズの廉価CD。

収録曲は Take The A Train などの大定番。
聴いてみた第一印象は、

「……なんだか“年寄りっぽい”な」

という残念な感想。
そこからしばらくジャズを開拓する意欲はしぼみ、またテクノを聴き続けていました。


◆ “テクノの先”が広がった日

アルバイト先でなんとなく再生した『London Jazz Classics 3』の衝撃に続いて、近くに置かれていた『Glücklich』や『London Jazz Classics 1と2』も聴いてみました。

そして気づけば――
その日の帰りに、レジで4枚まとめて購入していました。

何度も繰り返し聴くうち、
「なんて洗練されたすばらしい音楽たちなんだろう」と心の底から感じました。

その瞬間、中学生の頃にゲーム音楽やYMOを買いあさっていた、あの胸が高鳴る感覚がふっと蘇ってきたのです。

ゲーム音楽 → YMO → 電気グルーヴ → テクノと進んできた僕にとって、
レアグルーヴの文脈すら知らないまま出会ったこの音楽は、まさに雷のような体験でした。


◆ テクノに“飽き”を感じ始めたころ

正直、このころの僕はテクノに少し飽きを感じ始めてもいました。
似た構成やループ感に、どこか疲れ始めていたのかもしれません。

世の中はドラムンベース、ビッグビート、そしてオウテカ『Chiastic Slide』に代表されるIDM/エレクトロニカなど、新しい動きが次々と生まれていた時代。

でも当時の僕は、その流れにうまく乗れませんでした。

よりストイックに研ぎ澄まされていくハードミニマルにも、違和感を覚え始めていました。

当時、評判だったSquarepusher『Feed Me Weird Things』も、
特に「Squarepusher Theme」のベースラインには衝撃を受けつつ、
自分の中に迷いもあったのを覚えています。

今思えば、エレクトロニック路線のクラブミュージック全体が模索期だったのだと思います。

かといって、Gilles Peterson、4hero、Jazzanova らの「ブロークンビーツ」「UKガラージ」の流れも、当時の僕にはしっくりきませんでした。
ただ、不思議なことに――
彼らが紹介する“古い音楽”だけは、強烈に心をつかんだのです。

独学で音楽を作っていたせいか、
テクノもハウスもヒップホップも、UKの新しいビートも、
“機械で作った音そのもの”に少し疲れていたのかもしれません。


◆ 特に聴いたジャズコンピレーション

その頃、繰り返し耳にしたジャズコンピレーションはこのあたり。

どれも60~70年代の“古い音楽”。
なのに、驚くほど新鮮で、生き生きと響きました。

世界中の知られざるジャズ、ファンク、ラテン、ブラジル音楽。
後になって知ったことですが、これらの多くは当時“黙殺されていたB級レコード”だったそうです。
――けれど97年の僕には、そのどれもが宝物のようでした。

「もっとこういう音楽を知りたい」
そう思った瞬間、またひとつ、心の中でスイッチが入った気がします。

こうして僕は、少しずつ“テクノの新譜を追う生活”から離れ、ここから中古レコードの底なし沼へ足を踏み入れていきました。

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