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ゲームで聴いた、最初のブラジル音楽 | OutRunとPassing Breezeの記憶|ゲームから流れていた“異国の風”が、時を越えて僕をブラジルへ導いた。

Passing Breeze が流れていた夏。

あれは小学校低学年の頃(1986〜1988年頃)でした。
夏休みに親戚一同でナガシマスパーランドに泊まりがけで遊びに行ったときのこと。
ホテルにあったゲームコーナーに、ひときわ目を引く赤い筐体がありました。
セガの《アウトラン》。

アウトランの筐体

ハンドルを握ると、赤い車が海辺の道を駆け出す。
青い空、白い砂浜、そしてスピーカーから流れてくるリズムとメロディ。
どこか知らない国の海辺へ連れ出されるような、不思議な高揚感がありました。

当時はそれが「ブラジリアン・フュージョン」だなんて知るはずもなく、
ただ“気持ちのいい音”として、心の奥に刻まれていきました。
すぐにゲームオーバーになったけれど、
あの夏の記憶はいまだに鮮やかに残っています。

今思えば、あれがアウトランとの出会いであり、
ブラジルを感じさせる音楽との最初の出会いでした。

ゲームの中に流れていた“異国の風”

『アウトラン』は、プロデューサーの鈴木裕氏が
「女の子を隣に乗せて海岸線を走るような、もっと普通のゲームを作りたい」
という発想から生まれた作品でした。

舞台はヨーロッパですが、流れていた音楽は南の風を感じさせるフュージョン。
Magical Sound Shower のピアノ、Passing Breeze のベースライン、
Splash Wave の疾走感、そして Last Wave のエレピ。
どれもそれまでのゲーム音楽ではあまり聴いたことのない、
心地よい“風のあるサウンド”でした。

再び、あの音と出会う

時は流れて高校3年生。
古書店アルバイトの中で、いくつかのコンピレーションに出会いました。

Glücklich(1993)とLondon Jazz Classics 3(1995)

『Glücklich』(1993)と『London Jazz Classics 3』(1995)。

日本の地方都市で暮らす高校生にとって、
各国のジャズ・フュージョンが収録されたこのCDは衝撃的な出会いでした。

そこに収録されていた To Be の「Glücklich」、Azymuth の「Manhã」、
そして Antônio Adolfo の「Cascavel」。

初めて聴く曲なのに、僕の心には“アウトラン”がよみがえりました。
To Be や Antônio Adolfo のベースラインは Passing Breeze を、
3曲に共通するエレピの響きは Last Wave を思い出させたのです。

不思議と、ラテン色の強い Magical Sound Shower よりも、
いつも選んでいたのは Passing Breeze でした。
たぶん、この系譜の音に、
自分が求めていた“風”があったからなのかもしれません。

あの夏の風は、今も。

ゲームで聴いた“異国の風”は、
時を経てブラジルの音楽との偶然の出会いに僕を導き、
静かに輪を描きました。

今もPassing Breeze のメロディを聴くたび、
かつての自分の胸のざわめきが少しだけ蘇ります。

あとがき

音楽との出会いは、たいてい“偶然”のようでいて、
いつか必ず“再会”という形で現れるものなのかもしれません。
そんなことを思いながら、次の音を探しています。

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