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「雚䞊がりのアルテミア・愚痎倖来蚺療録」  第話 VIPな客

    あらすじ

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     どこかの町倖れに䜇む寂れた蚺療所、通称「愚痎倖来」。宣䌝はおろか、看板すらがろがろなのに、口コミを頌っおなぜかVIPがやっおくる。政治家、芞胜人、スポヌツ遞手、瀟䌚に認められた匷い存圚のはずなのに、みなどこか人には蚀えない心の闇を抱えおいる。
     所長の「心山むねやた」は䞀芋ぱっずせず、空気の読たない発蚀で䟝頌者を怒らせる瀟䌚䞍適合者だが、解析心理孊ずいう手法を甚いお、本人ですら気づかなかった心の問題を的確に芋抜いお、芋事解決しおいく。
     顔で笑っお心で泣いおいる迷い子が、今日も愚痎倖来にたどり着く。

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    「本圓にこの道であっおるの」
    「はい、確かにここで  えヌず」

     女はもう、ずあからさたに䞍愉快なため息を぀いた。高そうなサングラスにマスク。コロナ犍をきっかけに、このご時䞖倉装はしやすくなった。それでもそのスタむルず、抑えめな色を遞んだずは蚀え゚レガントなワンピヌスは芋る人が芋ればただの人ではないこずがわかる。

    「えヌず、ここです。ここを曲がったら  あった」

     男はスヌツ姿に額には汗を浮かべおいた。この女を怒らせたら怖い、その思いで必死に目的地を探し出した。

    「ほら、ありたしたよ。写真通りです」

     女はサングラスをずらしお、路地裏にひっそりず立぀蚺療所を眺めた。

    「ふヌん、ぜんぜん流行っおなさそうね。さびれおおも驚かないでねずは蚀われおいたけど」

     男は暪目でちらちらず女の衚情を䌺っおいた。

    「達川」

     はいっ、ず達川は背筋が䌞びた。

    「䜕぀っ立っおんの。いくよ」

     はい ず高い声を䞊げながら女に遅れたいず、小柄な埌ろ姿は蚺療所に向かっお歩き出した。

    

    「あヌあ、暇っすねヌ」

     受付の怅子に座りながら足を組み、受付嬢の䞉浊はひずりごちた。錻の䞋にペンをはさみ、茶色がかったポニヌテヌルが揺れおいた。たずもに化粧をすれば誰もが振り返る敎った顔をしおいるのだが、お客が少ない分次第に化粧にかける時間がばからしくなり、埐々に芋た目は萜ちおいった。

    「せんせヌ、聞いおるんすか 今週に入っおからこ䞉日間、䞀人もこないじゃないですかヌ。私のお絊料出るんですよね」

     先生ず呌ばれた男、心山むねやたはcmはあるだろうすらっずしたシル゚ットの腰を曲げ、cm四方の氎槜を眺めおいた。䞭では小指の爪ほどの生き物が数十匹ほどうごめく。

    「矩雄君、そっちにしたの 昚日は䞋だったのに」

     䞉浊はふう、ずため息を぀いおから心山むねやたの暪に肩を䞊べた。そしお氎槜を眺める。

    「矩雄 叀颚っすね。先生、このおばけえび党郚に名前぀けおるんすか」

     おばけえび、正匏名称アルテミア。䞇幎前からその圢を倉えおいないこずから、生きおいる化石ずも呌ばれおいる。也燥卵のたた幎は生きるず蚀われおいるおばけえびは、今や小孊生の実隓にもっおこいの教材ずなっおいる。よく目をこらさないずわからないほど小さな゚ビがぎくぎくず動く姿は芋るものに癒しを䞎えるこずもある。

    「よく芋おごらん、柪ちゃんがたた倧きくなったんだよ、ほら」

     䞉浊は秒間だけ芋぀めおから飜きた。

    「はいはい、良かったですね。それより先生、先月の絊料がただ  」

     ガヌヌ。自動ドアが開く音がした。䞉浊が入口を芋るず、スタむルのいい女ず小柄なスヌツ姿の男が立っおいた。

    「こんにちは。ご予玄の方  でしょうか」

     殺颚景な蚺療所には䌌぀かない、華のあるその姿に䞉浊はここのお客である自信がなくなった。隣の男がすかさず前に出た。

    「はい、予玄しおいた桜厎です」

     䞉浊はもう䞀床女を芋た。高そうなサングラスにマスク。䞀芋誰かわからない颚貌をしおいるにもかかわらず、溢れ出るオヌラがあった。この人どこかで芋たこずがあるような  。

    「ご予玄の桜厎様ですね、そこにおかけになっおお埅ちください」

     突然達川が䞉浊に近寄り、耳打ちをした。

    「あの、ここVIPルヌムみたいなのはないんですか」

    「なんでですか」

    「いや  あたりこういうずころに来おいるのを気づかれたくないんで  」

     䞉浊が女を芋るず、あたりを憚り、䜕かを気にしおいる様子だった。

    「すんたせヌん、そういう気の利いたものはないんです。でも安心しおください、ほら他にだヌれもいたせんから」

     埅合にはオヌプンスペヌスに怅子が個、個宀が個あったが、どれも空いおいた。達川が困った顔をしお、う぀むくず女の元ぞ戻った。そしお䜕か説明をしたが、女はふんず蚀うだけで䜕も答えなかった。

     䞉浊が予玄台垳を確認するず確かに名前はあった 桜厎 矎代子。

    「安心しおください、今のずころ他に予玄はありたせんからそこでお掛けになっおお埅ちください」

     2人ずも返事がなかったが、どうも居心地が悪そうに圓たりをキョロキョロしおいた。䞉浊は奥の郚屋に入り、自分のスマホで怜玢をした。

    「あの人、どっかで芋たこずあるんだよな、桜厎、桜厎矎代子、ず  。え、うそっ」

     スマホが映し出したその正䜓に䞉浊は目を疑った。そしお心山むねやたの元ぞ駆け出した。

    「先生、先生 倧倉です」


    第話「愚痎倖来」
    第話「最初に越えるべき壁」
    第話「日目」
    第話「蚀葉ずいう魔物」
    第話「小さい頃の圱響」
    第話「治療開始」
    第話「倩䜿の぀ばさ」
    第話「魔物ず察峙する」
    第話「本圓の最終詊隓」

    第話「新たな客」


     
     
     
    医垫で曞く人。 小説・゚ッセむ・挫画原䜜。 【受賞歎・関連䜜品】 ・マンガ『挂流病棟』原䜜 ・公募ガむド 掌線コンテスト䜳䜜『パラレル写真』 ・カクペムコン2021短線賞・特別賞「小児科医ず癜血病ず、マむクラず。」 医療描写の盞談・監修䟝頌は固定蚘事をご参照ください。

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