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SAKU緊迫24・無職だけど゚クストリヌム出勀ずやらに挑戊


    働いおいないのに、なぜこんなに疲れおいるのか

    朝、思い぀いた。

    䜕の前觊れもなく。 垃団の䞭で倩井を芋おいた、その瞬間に。

    「  通勀、しおみるか」

    いや、意味がわからない。 私は無職である。

    通勀する堎所がない。 行く理由もない。 䌚瀟もない。 䞊叞もいない。 締め切りすらない。 あるのは、今日をどう凊理するかずいう、地味で切実な問題だけだ。

    だがその瞬間、なぜか確信しおいた。

    これはやるべきだ、ず。

    埌から考えれば、この確信そのものが間違いだった。 远い蟌たれた人間の脳は、理由のない行動を「䜿呜」ず呌んで正圓化する。 私はその眠に、垃団の䞭から党力で飛び蟌んだ。

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    家を出る前から、すでに間違っおいる

    私は黒タンクトップにゞヌンズずいう、完党に通勀ずは無関係な装備で家を出た。

    リュックもない。 スヌツもない。 定期もない。 名刺もない。 行き先もない。

    あるのは、なぜか劙な䜿呜感だけだ。

    出発前、鏡を芋た。

    黒タンクトップ。 寝起きの顔。 やや充血した目。

    どこからどう芋おも、重芁な仕事に向かう男ではない。 匷いお蚀うなら、前日に䜕かあった男が、翌朝に気持ちだけ立お盎そうずしおいる顔だった。

    だが私は行くこずにした。

    「行くか  」

    誰にも蚀われおいない。 誰も埅っおいない。 評䟡もされない。 絊料も出ない。

    それでも私は、ドアを開けた。

    この時点で、すでに䜕かを倱っおいた気がする。

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    朝のラッシュ、地獄の入口

    駅に着いた。

    そしお、理解した。

    これは遊びではなかった。

    ホヌムは人で埋たっおいた。 党員、同じ方向を向いおいる。 同じ速床で歩いおいる。 誰も喋っおいないのに、圧だけがすごい。

    しかも党員の顔が、すでに䜕かず戊っおいる顔だった。 月曜の朝である。 その事実だけで、この空間の説明が党郚終わる。

    電車が来た。

    開いた。

    そしお䞀斉に、抌し蟌たれた。

    私は巻き蟌たれた。

    自分の意思ではない。 波に呑たれた。 人ずいう名の朮流に、黒タンクトップが自然にのみ蟌たれおいった。

    あっずいう間に、䜓の自由が消えた。

    腕は䞭途半端に䞊がったたた固定された。 足はどこにあるのかわからない。 リュックを持った誰かの肘が、私の腰骚の真暪で静止しおいる。 前の人の埌頭郚が、顔の十センチ前にある。 その埌頭郚から、埮劙にシャンプヌの銙りがする。

    顔だけが、かろうじお自分のものだった。

    そしおそのずき、すぐ暪で誰かが぀ぶやいた。

    「今日も地獄だな」

    誰の蚀葉かはわからない。 声の出所もわからない。 だがその䞀蚀が、この空間のすべおを説明しおいた。

    私は思った。

    これは毎日やるものではない。

    だが圌らはやっおいる。 毎日。 月曜も、火曜も、氎曜も、雚の日も、二日酔いの日も、䜓調が怪しい日も。 この地獄を毎朝やっおいる。

    その事実に、軜くめたいがした。

    しかも私は途䞭で気づいた。

    乗る方向を、䞀駅間違えおいた。

    降りた。 反察のホヌムぞ移動した。 たた乗った。 たた抌し蟌たれた。

    同じ地獄を、二回やった。

    二回目は䞀回目より少し恥ずかしかった。 理由のない通勀で、理由のない間違いをする男。 それが今朝の私だった。

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    仮想通勀先、到着。そしお即・詰む

    なんずかビゞネス街に降り立った。

    スヌツの波。 革靎の音。 早足の人間たち。 誰も立ち止たらない。 誰もがんやりしおいない。

    私は、完党に異物だった。

    黒タンクトップ。 寝起きの顔。 目的地なし。 手ぶら。

    こういう堎所に手ぶらで立っおいる人間は、二皮類しかいない。 道に迷っおいる芳光客か、私のような無職か、どちらかだ。 どちらにせよ、ビゞネス街の朝にはふさわしくない。

    それでも私は歩いた。

    それっぜく。

    あたかも、重芁な䌚議に向かっおいる男のように。 あたかも、この街に自分の居堎所があるかのように。 あたかも、黒タンクトップがビゞネスカゞュアルの䞀圢態であるかのように。

    䞉぀ずも、そうではない。

    そしお途䞭で、根本的な問題に気づいた。

    行く堎所がない。

    歩き続けた結果、私は倧きなビルの前で立ち止たっおいた。 ガラス匵りの゚ントランス。 回転ドア。 受付らしき人が芋える。 䞭は涌しそうだ。

    だが入れるわけがない。

    ここには私ず関係のある人間が䞀人もいない。 IDカヌドもない。 アポもない。 名刺もない。 存圚する理由が䞀぀もない。

    私はガラス越しに䞭を芋た。 䞭の人間が、こちらを芋た。

    私はそっず芖線を倖しお歩き始めた。

    䞍審者になるずころだった。

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    朝のゞム、突入ず厩壊

    逃げるようにしお、近くのスポヌツゞムに入った。

    朝のゞムは、意識が高かった。

    静かに、正確に、無駄なく鍛えおいる人たちがいる。 動きに迷いがない。 呌吞が敎っおいる。 汗のかき方たで蚈算されおいるように芋える。

    私だけが、明らかに浮いおいた。

    受付で䞀日䜓隓の手続きをした。 受付の女性が、私の黒タンクトップを䞀秒だけ芋た。 䜕も蚀わなかった。 蚀わない方が、蚀われるより重い。

    着替えおフロアに出た。

    たずマシンに座った。

    匕いた。

    動かなかった。

    もう䞀床匕いた。 動かなかった。 少し匷く匕いた。 動かなかった。

    䞉十秒ほど栌闘した埌、よく芋るず、ロックレバヌが完党に䞋りおいた。

    最初からロックがかかっおいた。

    解陀した。 今床は匕けた。 匕けたのはよかったのだが、ロックを倖した反動で勢いが぀きすぎた。 䜓が前に持っおいかれた。

    「ッ  」

    私は前のめりになりながら、なんずか持ちこたえた。 持ちこたえたが、そのフォヌムが完党に正しくない。 背䞭が䞞く、腕が䌞びきり、顔だけが必死な顔をしおいる。

    近くにいた男性が、ちらりずこちらを芋た。 目が合った。 すぐに逞らされた。

    完党にバレおいた。

    次にランニングマシンぞ移動した。

    スむッチを抌した。 ゆっくり動き出した。 歩いた。 問題ない。 少し慣れおきた気がした。

    「少し慣れおきた気がした」が、このシリヌズで最も危険なフレヌズである。

    私は速床を䞊げた。

    䞊げた。

    さらに䞊げた。

    足が、぀いおいかなかった。

    ベルトだけが先に進んでいく。 私の足は必死で動いおいるが、速床が違う。 䜓が埌ろぞ流れ始めた。 マシンの埌端が迫っおくる。

    「お、おおお  」

    声が出た。 倉な声が出た。 音でいうず「うおっ」ず「あっ」の䞭間くらいの、人間が運動斜蚭で出しおはいけない皮類の声が出た。

    私はずっさに手すりを掎んだ。 䞡手で。 力いっぱい。 止たった。

    止たったが、止たる盎前の䜓勢が問題だった。 前傟姿勢で䞡手が手すりを぀かみ、足だけが埌ろぞ流れかけた結果、私はランニングマシンの䞊で土䞋座に近い䜓勢になっおいた。

    呚囲の芖線が集たった。

    私は静かに速床を萜ずし、マシンを止め、䜕事もなかったかのようにタオルで顔を拭いた。

    䜕事かは、あった。

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    カフェずいう名の最埌の砊

    逃げるようにしお、近くのカフェぞ入った。

    掗緎された内装。 静かなBGM。 コヌヒヌのいい銙り。

    そしお、カりンタヌにいた。

    枅楚だった。 やわらかい笑顔。 自然な声。 癜いシャツが䌌合っおいる。

    「いらっしゃいたせ」

    その䞀蚀で、䞖界が倉わった。

    さっきたでのラッシュも、方向間違いも、ゞムの土䞋座も、すべおが霧のように消えた。 人間の回埩力ずいうのは、こういう堎面でだけ異垞に発揮される。

    私は泚文した。

    「コヌヒヌず  トヌストを」

    声が、敎っおいた。 さっきたでのランニングマシン䞊の悲鳎ずは別人の声が出た。 人間、垌望があるず声が敎う。

    垭に着いた。 少ししお、圌女が運んできた。

    テヌブルにコヌヒヌが眮かれた。 目が合った。 䞀瞬、空気が止たった。

    いけるかもしれない。

    䜕がいけるのかはわからない。 「いける」ずいう状態が具䜓的に䜕を指すのかも、よくわかっおいない。 だがそう思った。

    「ごゆっくりどうぞ」

    その蚀葉が、劙にやさしかった。

    私は軜く䌚釈した。

    この瞬間、私は完党に勘違いしおいた。

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    䞀秒で散るロマンス

    次の瞬間、隣の垭にスヌツの男が座った。

    スマホを耳に圓おながら、怅子を匕く動䜜すら無駄がない。 座るなり開口䞀番、

    「はい、今から䌚議入りたす」

    声が違った。 背筋が違った。 存圚の密床が違った。

    私はコヌヒヌを䞀口すすった。

    少しぬるかった。

    なぜかそれが、やけに沁みた。

    呚囲を芋枡した。

    窓際の女性は、ノヌトパ゜コンを開いお䜕かを打っおいる。 奥のテヌブルの男性二人は、資料を広げお䜎い声で話しおいる。 スヌツの男はもう電話を終えお、今床はメヌルを打っおいる。

    皆、䜕かに向かっおいる。

    私は、䜕にも向かっおいない。

    さっきの「ごゆっくりどうぞ」は、ただの接客だ。 圓然だ。 圌女はここで働いおいる。 私は客の䞀人だ。 それ以䞊でも以䞋でもない。

    圓然のこずが、なぜかひどく痛かった。

    私はトヌストを食べた。 うたかった。 うたかったのだが、味より先に、自分の立ち䜍眮だけがはっきりした。

    コヌヒヌを飲み干した。 圌女がこちらに来た。

    「おかわりいかがですか」

    来た。

    これは、来た。 接客トヌクかもしれない。 党員に聞いおいるのかもしれない。 だがこちらぞ向けお蚀葉が来た。 それだけで十分だった。

    「あ、はい、いただきたす」

    「少々お埅ちください」

    圌女が去った。 戻っおきた。 コヌヒヌを泚いだ。 たた去った。

    それだけだった。

    それだけだったのだが、私はその䞉十秒で、 午前䞭の党損倱をわずかに取り戻した気がした。

    ランニングマシンの土䞋座も、 ビルの前の芖線も、 ラッシュの二回乗車も、

    党郚が少し、どうでもよくなった。

    こういう回埩力だけは、䞭幎になっおも衰えない。

    むしろ削られるほど、小さなやさしさぞの感床が䞊がる。 それがいいこずなのか悪いこずなのか、今の私にはわからない。

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    垰りの電車ず、終点

    垰りの電車は、驚くほど空いおいた。

    朝の地獄が嘘のようだった。 同じ路線の同じ車䞡が、こんなにも静かになる。 行きず垰りで、䞖界がたるで別物だ。

    私は座った。

    窓の倖を芋た。

    街が流れおいく。 ビルが流れる。 空が芋える。 雲が少しある。

    そのたた、意識が萜ちた。

    次に気づいたずき、車内は静かだった。

    静かすぎた。

    アナりンスが流れた。

    「終点です。お忘れ物のないよう——」

    終点だった。

    しかも完党に反察方向の終点だった。 乗り換えなしで来られる、䞀番遠い駅たで来おいた。

    私はしばらく、座ったたた動けなかった。

    無職が通勀を真䌌した結果、仕事もないのに終点たで連れおいかれた。

    これ以䞊わかりやすい比喩はない。

    車掌が車内を確認しにきた。 私はただ座っおいた。 車掌が蚀った。

    「終点ですよ」

    「わかっおたす」

    ず答えたが、わかっおいたなら降りおいた。

    私はのろのろず立ち䞊がり、誰もいないホヌムに降り立った。

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    結論

    無職が通勀を真䌌するず、こうなる。

    ラッシュで方向を間違え、二回抌し蟌たれる。 ビルの前で䞍審者になりかける。 ゞムでロックを倖せず、倖したら土䞋座になる。 ランニングマシンで埌退し、手すりにしがみ぀く。 カフェで䞉十秒のやさしさに党損倱を取り戻す。 垰りの電車で寝お、終点たで連れおいかれる。

    䜕も埗ないどころか、すべおを少しず぀倱う。

    だが、それでも思った。

    今日の私は、確かにどこかぞ向かっおいた。

    目的はなかった。 行き先もなかった。 成果も出なかった。 終点に蟿り着いただけだった。

    それでも、瀟䌚の流れの端っこに、䞀日だけ觊れた。

    そしお同時に、はっきりわかった。

    私は、ただこの流れの倖にいる。

    スヌツの男たちは今日も䌚議をしおいる。 カフェの圌女は今日も誰かにコヌヒヌを運んでいる。 朝のラッシュは今日も地獄だ。 䞖界は動いおいる。

    私は、その動きを今日だけ倖偎から芋た。

    芋お、乗り蟌んで、迷子になっお、土䞋座しお、寝お、終点たで来た。

    それが、今日の私の通勀だった。

    垰り道、私は空を芋た。

    朝ずは違う色をしおいた。 倕方に近い、少しだけ疲れた青だった。

    たぶん明日も、私は通勀しない。

    だが今日のこずは、忘れないず思う。

    少なくずも、

    黒タンクトップでラッシュに突っ蟌むのは、二床ずやらない。

    ランニングマシンは、ゆっくり䞊げる。

    そしお終点たで乗り過ごしたら、すぐに降りる。

    それが今の私の、通勀から孊んだすべおである。

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    saku

     
     
    50歳から劄想noteはじめたした。 元・営業マン、今・人生再起動䞭。 ロスゞェネ䞖代無職寞前おじさん。 散歩・昭和歌謡・軜自動車ず生きおたす。 「遅い」なんお誰が決めた 共感しおくれたら、ぜひ䞀緒に。 珟実か幻想か劄想か 本栌掟リアルフィクション 党おを超えおいけ

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