
①ごめんね、リカちゃん
今日私は、美容院でカットをしてもらった。
そこで、ふっと思い出したことがある。幼い頃に遊んだリカちゃん人形。
大好きで大好きで、毎日遊んでいた。
でもね、ある日、お庭でリカちゃんの髪の毛を切っちゃった。
理由は簡単。
可愛くしてあげたかったから。
しばらくして、庭先から母の驚いた声が聞こえてきた。
リカちゃんの髪の毛の残骸を見たようだった。
何これ⁉︎何でこんな事したの⁈
お母さんが何怒ってるのだか、ちっとも分からなかった。
だって、また伸びてくるもん。
何言ってんの!伸びてこないわよ!
ガーン
嘘…
だって、髪の毛って伸びるものじゃないの?
お母さんの言う通り、毎日毎日、待てども待てども、リカちゃんの髪の毛はちっとも伸びてくれなかった。
やがて、ざん切り頭で、毛穴が目立つようになってしまったリカちゃんは、私の中で輝きを失ってしまい、あまり遊ばなくなってしまった。
そして、やがて、2代目リカちゃんを買ってもらった。
2代目リカちゃんはキラキラしていた。
髪の毛はツヤツヤのロングヘアー。
足元には厚底のマグネットシューズ。何なら、手に持たなくても、台に乗せると自立するのだ。
すごいすごい!
私はすっかり、2代目リカちゃんの虜になった。
ついに、1代目リカちゃんは服を脱がされて真っ裸。2代目に着せるためだ。
やがて、持っているお洋服は全部、2代目の物になってしまった。
そしたら益々、真っ裸のざん切りリカちゃんはおもちゃ箱の下の方に追いやられてしまった。
嬉しそうに2代目リカちゃんと遊ぶ私を、1代目リカちゃんは、どういう風に思っていたのかな。
やがて、2代目リカちゃんにはパットちゃんとはるみちゃんというお友達もできて、毎日楽しく遊んでいる。
羨ましいな。
ご近所のボーイフレンド、わたる君も、いつしか2代目リカちゃんに心変わりしたようだ。
ごめんね、リカちゃん。
いつも、顔で笑って心で泣いていたかもしれないね…
「いかがですか?」
美容師さんの言葉でふっと我に返った。
ケープを外されて、後ろ姿まで丁寧に見せてくれる。
うん。
鏡に映った私のヘアースタイルは、希望通りで満足だった。
ごめんね、リカちゃん