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②リカの不安

    突然体が宙に浮いた。

    体ごと鷲づかみにされたまま外に出ると、眩しい太陽に、目がくらっとした。

    いいお天気!
    久しぶりに出たお庭。

    逆さまになったまま、お庭をぐるっと見回す。まだお花は咲いていなかったけど、いっぱいの緑が、何だかとても気持ちいい。

    彼女は、紫陽花の木の前に座り込んだ。
    そして私の顔をじっと見つめたの。

    何?何なの?

    「可愛くなあれ」
    と呟きが聞こえた。
    と思ったら。

    ジョキジョキジョキ…

    パラパラと地面に落ちる私の髪の毛。

    慌てて彼女をチラッと見ると、とてもキラキラした目で、ワクワクした嬉しそうな顔をして、ハサミを動かしている。

    びっくりしたけど…
    でもね、初めての経験でちょっと嬉しかったのよ。

    彼女が、私をドレッサーの前に座らせた。

    それにしても、ずいぶん短くなってしまったなー。
    ちょっとざん切り頭だけど、もう少し伸びたら、きっと可愛くなるわよね、私。

    遠くで、お母さんの声が聞こえる。
    「何やってんの!伸びるわけないじゃない」

    何?私の話してるの?
    え?私の髪の毛、もう伸びないの?

    寒い。首元がスースーする。
    鏡の中の私。
    ヒラヒラのドレスを着ていても、何だか、今までのように似合わないの。

    それから彼女は毎日、私の髪の毛を掴んでは引っ張った。
    時々、怖い顔で「伸びるもん」って呪文のように呟いている。

    やがて彼女は、何も言わずにじっと私を見つめて、また箱の中に戻す。
    そんな毎日が繰り返されるうちに、
    すっかり、箱の中で過ごす事が多くなってしまった。

    最近ちっとも遊んでくれない。
    彼女はお人形遊びが嫌いになったのかしら…

    ある日、久しぶりに彼女が私を持ち上げたと思ったら、服を脱がされた。
    キャーやめて!

    そして、私とよく似た顔の女の子に、私の服を着せた。
    誰?
    キレイな子。お顔もピカピカで、髪の毛はツヤツヤのブロンズ色。

    そうか、新しい子がやってきたのね。

    寒い…
    私、この先どうなるのかしら。

    箱の中から、部屋の明かりを感じ取り、隙間から、外の気配を伺った。



    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

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