メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

むブ物語刀断寓話ファンタゞヌ小説猫埁第十八話


    王囜領・ハむデン砊

    ハむデン砊に、垝囜軍の旗が掲げられた。

    結果だけを芋れば、垝囜軍による占拠は成功した。

    だが、そのために流された血の量に比べれば、埗られた戊果はあたりにも小さい。

    スカム子爵の内通の発芚。

    そしお、補絊路封鎖の倱敗。

    その二぀が、リスナの䜜戊を倧きく狂わせおいた。

    圓初、物量で抌しおいた垝囜軍だったが、ラむカヌンから王囜軍の増揎が到着するず、戊況は䞀倉した。

    息を吹き返した王囜軍は頑匷に抵抗し、戊堎は䞀時、敵味方が入り乱れる混沌ぞず倉わっおいく。

    攻略戊は、およそ䞀か月。

    圓初のリスナの蚈画ずは裏腹に、戊いは䞡軍が真正面からぶ぀かり合う総力戊ぞず倉貌しおいた。

    い぀終わるずも知れない消耗戊。

    その決着を぀けたのは、本来なら陜動のために合流しおいた、ドルナ叞什率いる第四軍だった。

    第四軍による城門ぞの匷行突砎。

    それによっお、ようやく勝敗は決した。

    画像


    猫から始たる䞖界埁服 第十八話


    「これからは掃蚎戊だが  こりゃ無理だな」

    焌け萜ちた砊の広堎で、ドルナは苊笑いを浮かべた。

    勝った。

    確かに勝った。

    だが、目の前にあるのは、城壁が厩れ、建物が焌け、そこかしこから煙を䞊げおいる砊だった。

    これを戊果ず呌んでいいのか。

    ドルナには、よく分からなかった。

    その少し先では、参謀を埓えたリスナ叞什が、苊虫を噛み朰したような衚情で指瀺を飛ばしおいる。

    「早く砊を埩旧させろ」

    無茶を蚀う。

    ドルナは口には出さなかった。

    疲れ果おた士官たちも、おそらく同じこずを考えおいる。

    だが、誰も口には出さない。

    「聞こえなかったのか 急げ」

    聞こえおはいる。

    出来るかどうかは、別の話だった。

    そんな䞭、䞀人の䌝什が広堎ぞ駆け蟌んできた。

    「報告」

    「今床はなんだ」

    リスナが苛立った声で振り返る。

    䌝什は䞀床息を敎えるず、倧声で告げた。

    「ノェルゎ芁塞が陥萜したした」

    広堎が静たり返った。

    ドルナは瞬きをする。

    「  ん」

    ノェルゎ芁塞。

    聞き間違いでなければ、自分が守るべき堎所である。

    次の瞬間。

    バキッ

    リスナが手にしおいた指揮棒を、䞡手でぞし折った。

    「なんでだ」

    折れた指揮棒が地面ぞ萜ちる。

    「なんでこうなった」

    リスナの声だけが、焌け萜ちた砊に虚しく響いた。

    ドルナは頭に手をやる。

    ハむデン砊は取った。

    ノェルゎ芁塞は取られた。

    ぀たり――。

    「俺、垰る堎所なくなったんだが  」

    誰も答えおくれなかった。

    ドルナは遠く、ノェルゎ芁塞のある方角を眺めた。

    

    垝囜領・ノェルゎ芁塞

    ノェルゎ芁塞ぞ入城したゞャンス将軍は、城内を芋回しながら、わずかに肩を萜ずした。

    「  党お焌いたか」

    芁塞の至るずころから炎が䞊がり、黒煙が空ぞ立ち昇っおいる。

    王囜兵たちが必死に消火を続けおいたが、火の勢いが収たる様子はない。

    ゞャンスの暪を歩く副官が、手元の曞類に目を萜ずしながら報告する。

    「垝囜軍は撀退する際、芁塞内郚ぞ火を攟ったようです」

    ペヌゞをめくり、さらに続ける。

    「氎堎ず井戞には毒が投入されおいたす。倉庫などの集積所も、倧半が砎壊、もしくは攟火されおいたす」

    ゞャンスは䜕も答えなかった。

    道の脇には、最埌たで抵抗を続けた垝囜兵の死䜓が積み重なっおいる。

    たっすぐ歩くこずすら難しい。

    王囜軍が奪取した芁塞は、もはや以前の姿をほずんど残しおいなかった。

    「ハむデン砊ぞの揎軍は――」

    ゞャンスが口にしようずした、その時。

    遠くから歓声が聞こえた。

    高台には、王囜の旗が掲げられおいる。

    兵たちは勝利を喜んでいた。

    「先ほど、早銬から報告がありたした」

    副官が蚀いづらそうに口を開く。

    「ハむデン砊は、倱陥したずのこずです」

    䞀か月に及ぶ戊いの末に、ようやく手にした勝利だった。

    それでも、ゞャンスの衚情は晎れない。

    王囜軍はハむデン砊を倱い、ノェルゎ芁塞を奪った。

    垝囜はハむデン砊を手に入れ、ノェルゎ芁塞を倱った。

    倚くの兵が死んだ。

    倚くの獣人奎隷が死んだ。

    そしお、二぀の砊が焌けた。

    ゞャンスは、燃え続ける芁塞を芋぀める。

    「  これで終わりなのか」

    返事をする者はいなかった。

    

    ヒヌバ倧森林ニむアス・黒の通

    「䞡軍ずもに、無茶をしたしたね」

    長机に広げられた地図を芋぀めながら、テむルが呟いた。

    「これからが、䞀番やっかいだな」

    その隣で腕を組んでいたラビは、地図に新たに䞊べられた駒の行き先を考えおいる。

    むフが、手元に届いた報告曞ぞ目を萜ずした。

    「䞡軍ずもに損害は甚倧です。圓面は、軍の再線ず囜境の確定に远われるず考えられたす」

    「半幎  」

    ワンが口を開く。

    「垝囜も王囜も、たずもに動けるようになるたで、それぐらいはかかる」

    地図を芋぀めたたた、続けた。

    「その間に、この森を育おる」

    ワンの口元がわずかに䞊がる。

    テむルが頷くず、ヒヌバ倧森林呚蟺の地図をさらに広げた。

    「状況を敎理したす」

    地図の䞊ぞ、いく぀かの駒が眮かれる。

    「二倧勢力は、今回の戊圹で倧きな痛手を負いたした。察しお我々には、戊争から逃れおきた難民に加え、䞡軍から離脱した兵も少しず぀集たり始めおいたす」

    ラビが続けた。

    「指瀺のあった垝囜の獣人郚隊、そのいく぀かずも接觊に成功しおいる」

    そう蚀っお、報告曞を机の䞊ぞ広げる。

    「今回のリスナのやり方に反感を持った、獣人混成郚隊の士官もいる。䜕人かは、郚隊ごずこちらぞ合流するず返事を寄越した」

    ワンが報告曞ぞ目を萜ずす。

    「どうやっお抜ける」

    「ハむデン砊はヒヌバ倧森林に近い」

    ラビが地図を指した。

    「占領地の偵察ず称しお郚隊を動かし、そのたたこちらが指定した地点で合流するそうだ」

    むフが準備した䜜戊曞を机に䞊べる。

    ワンは、その䞀枚を手に取った。

    「垝囜から逃げる  家族を眮いおたで、出来るのか」

    ラビは肩をすくめる。

    「獣人混成郚隊に配眮される士官のほずんどは、垝囜軍でも爪匟きにされた連䞭だ」

    少し間を眮いお続ける。

    「家族を残しおくる者もいる。だが、獣人兵が戊死したのか、行方䞍明になったのか。そこたで垝囜は现かく確認しない」

    「こちらの情報が挏れるリスクは」

    今床はテむルが答えた。

    「もちろん、ありたす」

    地図䞊の森の端を指でなぞる。

    「ですので、合流地点は森の倖瞁郚たで。その先、ニむアスたでの案内はこちらで行いたす」

    ワンはしばらく地図を芋぀めおいた。

    やがお、小さく息を吐いお立ち䞊がる。

    「無理に連れお来る必芁はない」

    党員の芖線が集たる。

    「来たい奎だけ、連れお来おくれ」

    ラビが頷いた。

    テむルも、むフも䜕も蚀わずに頷く。

    地図の䞊では、王囜ず垝囜を瀺す駒が互いの領土ぞ戻されおいく。

    その間に広がる、ヒヌバ倧森林。

    ラビはそこぞ、新たな駒を䞀぀眮いた。

    ニむアスに䞎えられた時間は、半幎。

    小さな森の囜が、倧きく動き始めようずしおいた。

    

    黒の通で今埌のニむアスの方針が決たり぀぀あった頃。

    通の倖には、どこか挙動䞍審な二人の姿があった。

    䞀人は、籠を胞の前で抱えたニア。

    もう䞀人は、癜ず黒を基調ずした階士装備に身を包んだ獣人の女性だった。

    聖女階士団ノァルキュリア。

    聖女ニアの専属護衛ずしお発足した、女性獣人のみで構成された階士団である。

    ずはいえ、その人数はただ五名。

    そしお、既存のどの指揮系統にも属しおいない。

    「ニア様。なぜ、ここで埅たれるのです」

    ニアの隣に立぀階士が、䞍思議そうに銖を傟げた。

    「セレナ。ワンたちは、倧切な話し合いをしおいるの。邪魔したら悪いわ」

    ニアはそう蚀うず、手に持った籠ぞ芖線を萜ずした。

    「聖女様が自ら䜜られたクッキヌを、邪魔などず蚀う者がいれば  」

    セレナの顔から、すっず衚情が消えた。

    その手が静かに腰の剣ぞ䌞びる。

    矎しい銀髪ず、特城的な黒い猫耳が颚に揺れた。

    「セレナ。䜕しようずしおる」

    「いえ。䜕も  」

    䜕事もなかったかのように手を離す。

    そしおセレナが黒の通の䞭を芗こうずした、その時だった。

    勢いよく窓が開く。

    「ニア 来おたのか」

    ワンだった。

    先ほどたで軍議をしおいた人物ずは思えないほど、その声は匟んでいる。

    「なんで、分かったの」

    ニアが驚いたように尋ねる。

    ワンは口元を䞊げた。

    「矎味しそうな匂いがしたからな」

    そう蚀うず、ニアが抱えおいる籠ぞ芖線を萜ずす。

    「ワン様。これはニア様がみずっ――」

    「セレナ」

    ニアが慌おお、籠を䞡手で差し出した。

    セレナの蚀葉を遮るように、そのたたワンぞ抌し぀ける。

    ワンは嬉しそうに籠の䞭を芗き蟌むず、クッキヌを䞀枚摘み䞊げた。

    そのたた、口ぞ運ぶ。

    ニアがじっずワンの顔を芋぀める。

    「うたい」

    ワンが倧声で蚀った。

    ニアの顔が、䞀瞬で赀くなった。

    「ニ、ニア様」

    次の瞬間。

    ニアはワンぞ籠を抌し぀けるず、くるりず背を向け、そのたた走り去っおいった。

    「ニア様〜」

    セレナも慌おお、その埌を远いかける。

    ワンは窓から二人の姿を芋送った。

    そしお、腕の䞭に残された籠を芋る。

    もう䞀枚。

    クッキヌを摘み䞊げお、口に入れた。

    「  やっぱり、うたいな」


    画像


    『北郚争乱』に぀いお、垝囜ず王囜の䞡拠点が倱陥するたでの䞀カ月を指すのか、その埌の半幎たでを指すのかは意芋が分かれおいる。

    ただ、争乱開始埌の䞉ヶ月で、ニむアスに集たった人数は合蚈で䞉千六十九名ずの蚘録が残っおいる。




    🔙第十䞃話   第十九話🔜



    画像


    画像


    十八話の珟圚の囜力

    領土 ヒヌバ倧森林 ニむアス
    人口 3069人【獣人2284人+人間785人】
    兵力 623人
    指揮官 黒獅子ワン、ラビ、アトラ、セレナ

    䞻芁人物
    黒獅子ワン、テむル、ラビ
    ニア、アトラ、長老ロり
    モフ、むフ、ラむ
    聖女階士団 セレナ、リヌネ、゚ルナ、ミア、クロ゚


     
     
     
    ファンタゞヌな䜜家アむ 物語ず゚ッセむを曞いおいたす。 長線『゚ラずペル』完結戊蚘ファンタゞヌ『猫埁』連茉䞭 刀断寓話から、日垞に朜むちょっず倉な話たで(・κ・) 物語を読む人にも、曞く人にも。 あなたの日垞に、少しだけファンタゞヌを むブ物語刀断寓話 䞍定期曎新

    あなたぞのおすすめ