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むブ物語刀断寓話ファンタゞヌ小説猫埁第十䞃話


    王囜軍が蚭眮した投石機から、巚倧な岩が攟たれた。

    岩は県前にそびえる城塞の壁ぞ激突し、砕け散った砎片が雚のように降り泚ぐ。

    芁塞ぞ向かっお攻城塔を抌す獣人奎隷たちには、容赊なく矢が济びせられおいた。

    䞀人、たた䞀人ず地面ぞ倒れおいく。

    倒れた獣人奎隷はその堎から匕きずり出され、代わりに埌方の檻付き銬車から、鎖に繋がれた獣人たちが次々ず連れ出される。

    空いた堎所ぞ抌し蟌たれた圌らは、再び攻城塔を抌し始めた。

    そのずき、芁塞から無数の壺が攟たれた。

    壺は攻城塔ぞぶ぀かり、䞭に詰められおいた油が呚囲ぞ飛び散る。

    続けお飛来した火矢が突き刺さった瞬間、炎が䞀気に燃え広がった。

    燃え盛る攻城塔から逃れようず、兵たちが次々に飛び出す。

    だが、その身䜓にも炎が燃え移る。

    悲鳎を䞊げながら地面を転げ回る者。

    助けを求めお手を䌞ばす者。

    そのすぐ暪では、次の攻城塔が再び芁塞ぞ向かっお動き始めおいた。

    県前に広がる地獄絵図を、小高い䞘の䞊からゞャンス将軍は黙っお芋぀めおいた。

    その芖線の先にあるのは、炎に包たれながらもなお嚁容を保぀巚倧な芁塞だった。


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    猫から始たる䞖界埁服 第十䞃話


    ――垝囜領・ノェルゎ芁塞。

    垝囜でも難攻䞍萜ず呌ばれるノェルゎ芁塞。

    その攻略は、長幎にわたる王囜の悲願でもあった。

    ここを突砎すれば、その先には垝囜有数の穀倉地垯――カヒム平原が広がっおいる。

    王囜軍にずっおノェルゎ芁塞の陥萜は、単なる領土の獲埗ではない。

    垝囜の食糧䟛絊を脅かし、戊争そのものを倧きく傟けるための䞀手だった。

    「䞀カ月以内  」

    ゞャンスは手にした呜什曞を匷く握りしめ、呟いた。

    垝囜に誘い出される圢でノェルゎ芁塞ぞ䞻力を向けた結果、今床は王囜北郚の芁であるハむデン砊が危機に晒されおいる。

    だが、王囜軍を転進させおハむデン砊ぞ揎軍を送れば、ノェルゎ芁塞の垝囜軍から远撃を受ける恐れがあった。

    簡単に兵を匕くこずなどできない。

    そこぞ王郜から届いたのは、

    ノェルゎ芁塞を最短で攻略し、その埌ハむデン砊ぞ救揎に向かえ――

    ただそれだけを蚘した呜什曞だった。

    「攻城塔、厩萜」

    前線から䌝什の声が飛ぶ。

    ゞャンスは呜什曞を握ったたた、燃え萜ちる攻城塔を芋぀めた。

    わずかな沈黙のあず、静かに口を開く。

    「党軍、前進」

    䌝什たちが息を呑んだ。

    「いかなる犠牲を払っおも芁塞を萜ずせ。予備の攻城塔も出させろ」

    「はっ」

    指瀺を受けた䌝什が駆け出しおいく。

    ゞャンスは冷たい県差しを、再びノェルゎ芁塞ぞ向けた。

    

    ――王囜領北郚・ハむデン砊、垝囜軍陣地。

    「䞀カ月だ」

    リスナの怒号が倩幕の䞭ぞ響き枡った。

    呚囲に集たっおいた参謀たちにも、ひり぀くような空気が䌝わる。

    「䞀カ月以内にハむデン砊を萜ずす」

    誰も蚀葉を返さなかった。

    リスナは苛立ったように呚囲を芋回す。

    「ドルナはどこに行った」

    第四方面軍叞什ドルナの所圚を尋ねる。

    だが、誰も正確な答えを返せなかった。

    「  チッ」

    リスナが机を拳で叩く。

    その衝撃で、戊局図の䞊に眮かれおいた駒の䞀぀が倒れた。

    「どい぀も、こい぀も無胜ばかりだ」

    さらに拳を振り䞋ろす。

    「どうしお私の䜜戊の邪魔をする」

    怒声だけが倩幕の䞭に響いた。

    だが、返事はない。

    気づけば、い぀の間にか呚囲の参謀たちは垭を倖しおいた。

    残されたリスナは䞀人、頭を掻きむしる。

    そしお、目の前に広げられた戊局図を睚み぀けた。

    そこには王囜軍ず垝囜軍。

    敵ず味方。

    いく぀もの駒が、互いに入り乱れるように配眮されおいた。

    

    ――ヒヌバ倧森林・ニむアス。

    北郚争乱が始たっおから、たもなく䞀カ月が経ずうずしおいた。

    黒の通ず呌ばれるワンの通には、ニむアスの䞻だった者たちが集められおいた。

    郚屋の䞭倮に眮かれた倧きな机を囲むように、それぞれが垭に぀いおいる。

    獣人たちの代衚ずなったロり長老。

    獣人郚隊を率いるアトラ。

    ニむアスの軍事を統括するラビ。

    行政ず戊略を担うテむル。

    そしお、商流ず諜報を支えるむフ。

    それぞれが圹割を持ち、報告を䞊げ、刀断を䞋す。

    か぀おは森の䞭に点圚する小さな集萜に過ぎなかったニむアスは、少しず぀䞀぀の囜ずしおの圢を持ち始めおいた。

    その䞭心にいるのが、ニアだった。

    圌女は新たにニむアスぞ流れ蟌んだ難民たちを支えるため、皮族の違いなど気にするこずなく動き続けおいた。

    食事の配絊を手䌝い。

    怪我人を芋舞い。

    泣く子䟛がいれば、その隣に座る。

    獣人であろうず、ヒュヌマンであろうず倉わらない。

    そんな姿を芋た者たちは、い぀しか圌女を別の名で呌ぶようになっおいた。

    ――聖女。

    本人の意思ずは関係なく、その呌び名は少しず぀ニむアスに広がり始めおいる。

    そしお、その流れをさらに加速させたのが、ワンの独断で新蚭された護衛郚隊だった。

    聖女階士団――通称、ノァルキュリア。

    獣人の女性のみで構成された、ニア専属の護衛郚隊である。

    通の倖では、癜ず黒を基調ずした装備に身を包んだ女性兵たちが、ニアの呚囲を固めるように埅機しおいた。

    「  ワン」

    テむルが呆れたような声を出す。

    「䜕だ」

    「い぀の間に、こんなものを䜜ったんですか」

    「必芁だったからだ」

    「そういう話をしおいるわけではありたせん」

    ワンは䜕食わぬ顔で肩をすくめた。

    そのずき、郚屋の扉が開いた。

    むフが䞀枚の玙を手に持っお入っおくる。

    「戊況報告です」

    党員の芖線が集たった。

    むフは玙面ぞ目を萜ずす。

    「王囜軍はノェルゎ芁塞ぞの攻撃を継続。垝囜軍もハむデン砊ぞの攻勢を匷めおいたす」

    「損害は」

    ラビが尋ねる。

    「双方ずも、かなり出おいるようです」

    郚屋の空気がわずかに重くなった。

    ワンは䜕も蚀わず、机の䞊に広げられた地図ぞ芖線を萜ずした。

    ノェルゎ芁塞。

    ハむデン砊。

    そしお、その二぀の戊堎から離れた堎所にある倧きな森。

    そこには䞀぀だけ、黒い駒が眮かれおいた。

    ニむアス。

    ワンはその駒を指先で軜く匟く。

    「予定通りだ」

    「こちらは、予定倖です」

    テむルが頭に手をやり、呆れたように蚀った。

    数枚の報告曞を取り出し、机の䞊ぞ眮く。

    䞀同が芗き蟌むず、そこには现かな数字がびっしりず䞊んでいた。

    テむルは数字を指で远いながら説明する。

    「この䞀カ月で、ニむアスはずんでもない速さで成長しおいたす。問題は、制床がたったく远い぀いおいないこずです」

    ふず顔を䞊げる。

    だが、ワンは報告曞ではなく、向かいに座るニアをじっず芋぀めおいた。

    「  聞いおいたすか」

    「聞いおる」

    テむルは小さくため息を吐いた。

    「では続けたす。たず、ニむアスにしっかりずした法を䜜りたす」

    その蚀葉に、䞀同の衚情が倉わった。

    「珟圚は王囜ず垝囜、それぞれから来た者たちが、それぞれの垞識を持ち蟌んでいたす。そのせいで、些现なこずでも揉め事が起き始めおいたす」

    そこでロりが静かに手を䞊げた。

    「獣人たちの間では、いただヒュヌマンに察する䞍信が残っおおりたす」

    䞀床蚀葉を切り、ニアぞ芖線を向ける。

    「䞀方、ここぞ逃れおきたヒュヌマンたちには、聖女様のおかげもあり、獣人ぞの偏芋は少なくなっおおりたす」

    テむルは頷いた。

    そしお、ニアを芋る。

    その芖線に気づいたニアは、少し考えおからゆっくりず口を開いた。

    「ニむアスは、獣人ずヒュヌマンが等しく暮らす堎所です」

    郚屋の䞭が静かになる。

    「だからこそ、王囜のルヌルも垝囜のルヌルも䞀床忘れお、ここに暮らすみなさんが䞀緒に生きおいける。そんな仕組みを䜜れればず思いたす」

    毅然ず話すニアの姿を、ワンは黙っお芋぀めおいた。

    先ほどたでずは打っお倉わり、その衚情が匕き締たる。

    「方針は決たった」

    ワンが怅子ぞ深く腰掛け盎した。

    「ここは自由の地だ。だが、䜕をしおもいいずいう意味じゃない」

    机の䞊に眮かれた報告曞ぞ芖線を萜ずす。

    「いいぞ。最優先事項だ」

    そしお、はっきりず蚀い切った。

    「ニむアスの法を䜜る」

    䞀同が倧きく頷く。

    そこからは、それぞれの立堎から掻発な意芋が飛び亀い始めた。

    その様子を芋ながら、テむルはそっずニアぞ目配せする。

    ニアも頬を緩め、小さく䌚釈を返した。

    二人のやり取りに気づくこずなく、ワンは真剣な衚情で報告曞を読み始めおいた。


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    このずき生たれたニむアス基本法は、その埌幟床もの改定を経お、珟圚の法䜓系ぞず受け継がれおいく。

    ただし、珟存する最叀の資料には、こんな䞀文が残されおいる。

    「聖女の昌寝を劚害した者は重眪ずする」

    これが英雄本人の盎筆であるずいう説に぀いおは、珟圚も議論が続いおいる。



    🔙第十六話   第十八話🔜



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